- 更新日 : 2024年7月17日
 
アーリーステージとは?資金調達の方法や成功させるためのポイントを解説
アーリーステージとは起業直後の挑戦的な時期で、ビジネスの成長と資金調達の成功が事業の将来を左右する大事な時期です。この段階では、ビジネスプランの確立、資金繰りの安定、そして資金調達の方法選択がキーとなります。
本記事では、アーリーステージ企業のための資金調達方法と、その成功のための重要なポイントについて詳しく解説していきます。
目次
アーリーステージとは

 アーリーステージとは、スタートアップ企業の成長フェーズのうち、起業直後の段階を指します。具体的には、創業から1〜3年が経った時期で、事業や製品・サービスの開発がまだ初期段階である企業が多いです。
アーリーステージの企業はまだ事業モデルや製品・サービスの完成度が低く、売上規模も小さいため、資金繰りが困難な時期です。そのため、資金調達を実施し、事業の成長を加速させることが重要となります。
アーリーステージの定義
アーリーステージは、シードステージの後の段階に位置しています。顧客の課題を満足させる製品を提供し、それが適切な市場に受け入れられている状態であるPMF(Product Market Fit)の達成を通じて収益化を目指している状態です。
アーリーステージの課題
アーリーステージの主な課題は、事業の実現可能性の証明、市場への適応、資金調達の確保などです。この段階の企業は、しばしば実績や業績が伴っていないため、投資家や金融機関からの支援を得るためには、ビジネスプランやアイデアの魅力を十分にアピールする必要があります。
成長フェーズと投資ラウンドの変化

 スタートアップの成長フェーズ(事業ステージ)が進むにつれて、投資ラウンドはより大規模なものへと変化していきます。これは、スタートアップ企業の事業規模や成長性が大きくなるにつれて、投資家からの期待値も高くなるためです。
 
 成長フェーズが進むにつれて、投資家からの要求も厳しくなってきます。そのため、スタートアップ企業は、事業計画や財務状況をしっかりと整理し、投資家からの質問や要望に答えられるように準備しておくことが重要です。
なお、各シリーズにおける特徴については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひお読みください。
アーリーステージの資金調達方法

 アーリーステージにおける資金調達方法は、VC(ベンチャーキャピタル)、日本政策金融公庫、補助金・助成金などが挙げられます。これらの方法から、企業の成長段階や資金需要に応じて選びましょう。
VC・CVCから投資を受ける
VC・CVCは、スタートアップ企業への投資を行う組織です。出資を受けるメリットには、返済義務がないこと、経営スキルやノウハウを学ぶ機会があることなどがあります。ただし、議決権のある株式を引き換えに渡した場合自由な経営ができなくなる可能性がある点は留意しておかなければなりません。
日本政策金融公庫(政府系金融機関)による創業融資を受ける
日本政策金融公庫は、シード段階から事業開始後のステージにある企業に対して、無担保・無保証人で最大3,000万円までの融資を提供します。この制度は、設備資金や運転資金に使用可能です。
民間の金融機関と比較して金利が低く設定されているため、資金調達の負担を軽減できます。担保や保証人が不要なケースもあるので、事業の初期段階で担保や保証人を用意できない場合でも融資を受けられる可能性が高いです。す。また、経営のアドバイスや販路開拓など国の支援を受けられる点はメリットでしょう。
一方で、審査が比較的厳しいため、事業の実現可能性や経営者の資質などについて、高い評価が求められます。また低金利な反面、民間の金融機関と比較して融資額が少ない場合があります。そのため、大規模な資金調達には不向きです。
アーリーステージで日本政策金融公庫による創業融資を受けるかどうかは、企業の状況やニーズによって判断する必要があります。
地方自治体・信用保証協会・金融機関の連携による制度融資を受ける
地方自治体や信用保証協会と金融機関が連携して提供する制度融資も、アーリーステージの企業にとって有用な資金調達方法の一つです。最大3,500万円までの資金調達が見込めます。
地方自治体は制度融資を通じて地域の中小企業の支援を行っているため、融資の審査や融資後のフォローアップにおいて、地方自治体による支援を受けられることはメリットです。
一方で、審査基準が比較的高く設定されるため、自己資金が少ないと融資金額も低く抑えられてしまう点はデメリットといえるかもしれません。また審査に時間がかかることが多く、資金繰りに余裕がないと困難な状況に陥る可能性があります。返済能力が不安定な場合は利息負担が重くなるので、経営に悪影響を及ぼす恐れも考えられます。
制度融資は返済期間が比較的長い場合もあるので、融資後の返済計画をしっかりと立てておきましょう。
公的支援である補助金・助成金を受ける
補助金や助成金は、返済義務がなく、多くのスタートアップにとって魅力的な資金調達手段です。これらは通常、特定のプロジェクトや研究開発に関連する費用に利用されます。
補助金・助成金は、国や地方自治体から事業者に対して支給される資金です。融資とは異なり返済義務がないため、資金繰りを安定化しやすい利点があります。新商品・サービスの開発や販路拡大、人材育成などに活用することで、事業の成長や拡大につなげられる点もメリットでしょう。また、国や地方自治体から認められた事業であることは、事業の価値を高めるとともに、投資家や顧客からの信頼獲得にもつながります。
一方で、補助金・助成金を申請するには必要書類の作成や提出といった手続きが発生します。申請内容によっては面接やプレゼンテーションなどの審査を受ける場合もあり、準備に手間がかかることはデメリットといえるでしょう。また使途が限定されているケースもあるので、事業計画や申請内容を作成する際には使途をよく確認しましょう。
アーリーステージの資金調達額の目安

 アーリーステージにおける資金調達額の目安は、企業のビジネスプランや市場のニーズに大きく依存します。一般的には、数千万円から数億円の範囲内での調達が考えられます。ただし、この段階では資金調達の目的が明確でなければならず、資金の使途も具体的であることが重要です。
アーリーステージで調達された資金は、具体的に製品・サービスの開発費用に充てられることが多いです。また製品・サービスを市場に浸透させるために、マーケティング・広告にも資金を割く必要があります。事業拡大に向けて、設備投資や販路拡大などにも資金が必要です。さらに事業を成長させるにあたって、優秀な人材を確保しなければならないため、採用費用もかかってくるでしょう。
アーリーステージで資金調達を成功させるためのポイント

 アーリーステージでの資金調達を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、特に意識すべき3つのポイントについて解説します。
事業のアイデアやコンセプトが明確である
投資家や金融機関は、ビジネスのアイデアやコンセプトの明確さを重視します。事業計画は具体的で実現可能なものでなければならず、市場への適応性や将来性が評価されるためです。
ターゲット市場や競合状況を十分に理解している
ターゲット市場の理解と競合状況の分析は、資金調達の成功に不可欠です。市場の需要や競合他社の動向を把握することで、事業計画の妥当性を証明することができます。
経営陣やチームメンバーに高いスキルや経験がある
経営陣やチームメンバーのスキルや経験は、投資家にとって重要な判断基準の一つです。経営者やチームの能力が高ければ、投資家からの信頼を得やすくなります。
まとめ
アーリーステージは、スタートアップ企業の成長において重要な段階です。アーリーステージの企業はまだ事業モデルや製品・サービスの開発段階で売上規模が小さいため、資金繰りが困難なことが多いです。
事業を成長させるためには資金調達が必須となるので、投資家はもちろんのこと、日本政策金融公庫や地方自治体・信用保証協会・金融機関の連携による制度融資、公的支援である補助金・助成金を活用することも視野に入れて、準備を進めましょう。
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よくある質問
アーリーステージとは?
アーリーステージとは、スタートアップ企業の成長フェーズにおいて起業直後の段階を指します。一般的に、創業から1〜3年が経ったばかりで、事業や製品・サービスの開発がまだ初期段階であることが多いです。
アーリーステージの資金調達方法は?
資金調達の方法には、VCなどから投資を受ける、融資を受ける、補助金を受けるなどがあります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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