- 更新日 : 2024年7月12日
ジャスダック(JASDAQ)とは?マザーズとの違いも解説
「ジャスダック(JASDAQ)」は、東京証券取引所が運営している株式市場のひとつで、①信頼性②革新性③地域・国際性の3つのテーマが掲げられています。ジャスダック市場にはベンチャーなどの中小型株を中心に成長企業が多く上場していますが、古参の企業の銘柄もあり、2022年2月時点で694社が上場中です。
今回はこのジャスダックの特徴やマザーズとの違いなどについてわかりやすく解説していきます。ジャスダックは、2022年4月の東証再編に伴いなくなりますが、再編前後の流れを抑えるためにもぜひ理解しておきましょう。
※この記事は2022年2月時点の情報を基に作成しています
目次
ジャスダック(JASDAQ)とは?成長力のある企業が集まる株式市場
「ジャスダック(JASDAQ)」とは、東京証券取引所が開設している株式市場のひとつで、主に成長性を持つ中小型株を中心に上場しています。ジャスダックではコンセプトとして①信頼性②革新性③地域・国際性の3つを掲げており、「スタンダード」と「グロース」の二部構成になっている点が特徴です。
【ジャスダックスタンダード】一定の規模の成長企業がメイン
ジャスダック・スタンダード(JQS)とは、一定の規模・実績を持つ成長企業を対象としている市場になります。スタンダードに上場している企業は659社とグロースの35社に比べて非常に多く、また歴史ある企業も上場している点が特徴です。
<ジャスダックスタンダードの上場銘柄例>
- 日本マクドナルドホールディングス株式会社
- 株式会社ワークマン
- 東映アニメーション株式会社
【ジャスダックグロース】成長可能性のある新興企業がメイン
ジャスダックグロース(JQG)とは、成長性の高い新興企業(ベンチャー企業)中心の市場です。上場企業数は35社と少ないですが、ユニークな技術やビジネスモデルを持つ企業が上場しています。ただし、2022年2月現在、新規上場などが停止されているため、これからグロースに上場することはできません。
<ジャスダックグロースの上場銘柄例>
- シンバイオ製薬株式会社
- 株式会社リプロセル
- 株式会社ストリームメディアコーポレーション
ジャスダックの特徴は?
ジャスダックの主な特徴についてみていきましょう。
<ジャスダックの主な特徴>
- 成長性のある中小型株中心の株式市場である
- ①信頼性②革新性③地域・国際性の3つをコンセプトにしている
- 「スタンダード」と「グロース」の二部構成になっている
- 投資家は東証一部・二部の銘柄に比べて大きな値上がり益を狙いやすい
なお、ジャスダックスタンダードの上場基準については東証二部と同様です。
ジャスダックとマザーズの違いは?
同じ新興企業(ベンチャー企業)向けの株式市場に「東証マザーズ」があります。両者の主な違いは以下のとおりです。
<ジャスダックとマザーズの主な違い>
- ジャスダックがスタンダードとグロースの二部構成に対して、マザーズは一部構成である
- 上場数はジャスダックが694社に対しマザーズは426社と、ジャスダックのほうが多い
- 新興企業中心のマザーズに比べると、ジャスダックスタンダードは歴史のある企業も上場している
- 上場審査基準が異なる
上場審査については例えば、ジャスダックスタンダードは見込み株主数が400人以上、時価総額が10億円以上に対し、マザーズは上場した際の見込み株主数が150人以上、時価総額が5億円以上です。株主数や時価総額を見ると、マザーズのほうが上場ハードルは低いといえるでしょう。
2022年4月に東証市場は再編され、3つの市場区分へ
2022年4月より、ジャスダックを運営している東京証券取引所は、現在の市場区分を以下の3つに再編します。
- プライム市場:東証一部に代わる市場。グローバルな大企業が上場する
- スタンダード市場:プライム市場上場企業に次ぐ規模・実績を誇る企業が上場する市場
- グロース市場:高い成長性を持つ企業が上場する市場
この再編にあたり、ジャスダックという市場はなくなることになります。
東証市場再編でジャスダック上場企業はどうなる?
2022年4月の東証市場再編により、ジャスダックを含め東証一部・二部などの東京証券取引所が運営する市場はなくなり、各上場企業はプライム・スタンダード・グロースのいずれかの市場に移行することになります。

上記のとおり、現在ジャスダックに上場している企業はスタンダード市場もしくはグロース市場に移行する予定です。
ジャスダックに関する株価指数について
ジャスダック上場銘柄を対象とした主な株価指数には以下の3つがあります。
- 日経ジャスダック平均株価
- JASDAQ INDEX
- JASDAQ TOP20
それぞれ順に見ていきましょう。
日経ジャスダック平均株価
「日経ジャスダック平均株価」とは、ジャスダック市場全銘柄を対象とした株価指数です。“日経”とあるとおり、日本経済新聞社が1985年4月1日より算出及び公表をしています。ジャスダック市場全銘柄を対象にしているため、ジャスダック市場全体の方向感を把握するのに役立てることができます。なお、2022年2月16日時点の終値は3,610.08円でした。
JASDAQ INDEX
「ジャスダック指数」や「JQ指数」とも呼ばれる「JASDAQ INDEX」もジャスダック上場全銘柄を対象に算出される株価指数です(日経ジャスダック平均株価とは、算出方法が異なります)。1991年10月28日の時価総額を100ポイントとして算出しており、ジャスダック市場全体の動きをチェックする際に効果的です。なお、2022年2月16日時点の終値は162.19ポイントでした。
JASDAQ TOP20
「JASDAQ TOP20」は、ジャスダックの代表的な20銘柄で算出された株価指数です。この20銘柄は、毎年1回10月に見直しがなされています。なお、2022年2月16日時点の終値は4550.53ポイントです。
<2022年2月時点のJASDAQ TOP20構成銘柄例>
- 日本マクドナルドホールディングス株式会社
- GMOフィナンシャルホールディングス株式会社
- 株式会社田中化学研究所
ジャスダック上場の3銘柄を紹介
ここではジャスダックに上場している3つの銘柄を紹介します。
株式会社 出前館
株式会社出前館(以下、出前館社)は、デリバリー仲介サイト「出前館」等を運営している企業です。2006年6月に上場を果たし、2022年2月現在はジャスダックスタンダードに上場しています。昨今、同社は競合のウーバーイーツとの競争激化を背景に、積極的に資金調達や事業への投資を行っています。なお、出前館社は2022年4月からの東証市場再編にあたり、スタンダード市場へ移行予定です。
株式会社セキュアヴェイル
株式会社セキュアヴェイル(以下、セキュアヴェイル社)は、ITセキュリティを専門とする企業で、2006年6月に上場を果たしました。2022年2月現在、ジャスダックグロースに上場をしています。同社は2022年4月からはグロース市場へ移行する予定ですが、同市場の上場維持基準を充たしていません(2021年6月30日時点)。セキュアヴェイル社では、2026年3月までに上場維持基準を充たすための各種取り組みを進めていく予定です。
株式会社ワークマン
株式会社ワークマン(以下、ワークマン社)は作業服や作業用品、カジュアル衣類等を手掛ける企業です。ジャスダックには2004年12月に上場を果たし、2022年2月現在ジャスダックスタンダードに上場しています。同社は「最重要目標に集中し、それ以外はしない」という「しない経営」を実践していることで有名です。2022年4月以降はスタンダード市場へ以降する予定です。
まとめ
ジャスダックとは、東京証券取引所が運営している、中小型株中心の株式市場です。2022年4月からは東証市場再編が実施されるため、ジャスダック自体なくなってはしまいます。ただ、これからの市場区分の流れを抑えるためにもジャスダックを正確に理解しておきましょう。
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※1 日本取引所グループの公表情報に基づき、2025年1月〜6月にグロース市場への上場が承認された企業のうち、上場時にマネーフォワード クラウドを有料で使用していたユーザーの割合(20社中10社)
よくある質問
ジャスダックとは何ですか?
東証一部等と同様に、東京証券取引所が運営している株式市場のひとつ。中小型株が中心に上場しており、スタンダードとグロースの二部構成になっている。
東証市場再編でジャスダック上場企業はどうなる?
新しい市場区分であるスタンダード市場もしくはグロース市場に移行予定です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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