- 更新日 : 2024年7月16日
RPOとは?採用代行のメリット・デメリット、選び方や導入すべき企業を解説
優秀な人材を採用できるか否かは、企業の命運を左右するといっても過言ではありません。しかし、採用業務に十分なリソースを割ける企業ばかりではないでしょう。
当記事では、RPO(採用代行)について解説を行っています。採用に悩む企業経営者や、人事担当者はぜひ参考にしてください。
目次
RPO(採用代行)とは?
RPOとは「Recruitment Process Outsourcing(リクルートメント プロセス アウトソーシング)」の頭文字を取った略語であり、採用業務の委託代行を意味します。
応募者への対応や書類選考などの採用業務は、自社内の人事部門で行うのが通常です。しかし、人手不足や業務効率化など様々な理由から採用業務の外部委託を検討する企業も存在します。そのような企業にとって、心強い助けとなるのが採用代行を行うRPOサービスベンダーです。
RPO(採用代行)が注目される理由
採用業務を外部委託する理由には、どういったものがあるのでしょうか。本項では、RPOが注目される理由について解説します。
人口減少に伴う採用競争の激化
現在の日本では、少子高齢化の進展により、人口減少が続いています。2008年の約1億2,808万人をピークとして人口減少に転じ、2023年4月時点では、約1億2,455万人となっています。ピーク時と比較して、400万近く減少しており、減少は今後も続く見通しです。また、厚生労働省の「日本の人口等関係資料」によれば、2060年には総人口が9,000万人を割り込んで、高齢化率は40%近い水準になると推計されています。
参考:
人口推計(令和5年(2023年)4月確定値)|総務省統計局
日本の人口の推移|厚生労働省
人口減に加えて、高齢化率も高くなっていけば、自ずと人材不足となり、労働力となる働き手の確保はより困難となるでしょう。このような状況を受けて、企業における採用競争は激化し、貴重な人材を確保するための方策として、採用活動のプロであるRPOサービスベンダーに注目が集まっています。
採用業務の複雑化による人事の業務負担増
従来の採用業務は、紙の書類選考や対面での応募者対応が主だったものでした。しかし、現在の採用業務は、自社HPやSNSといった採用チャネルの多様化などから、従来よりも多くのタスクが発生しています。そのため、採用業務を担う人事部門の負担も増加し、負担軽減を考える企業からのRPOに対する注目が高まる結果となっています。
ただ求人を出すだけでは、優秀な人材を確保することは難しく、質の高い求人であることが求められます。企業の魅力や他社との違いなどをアピールし、「この企業で働きたい」と思わせることが必要となるでしょう。そのためには、自社HPやSNS等を活用し、自社の魅力をアピールしていくことが採用業務においても必要です。このように採用活動に質が求められていることも、注目される一因となっています。
RPO(採用代行)のサービス内容
RPOサービスベンダーは、採用に関わる様々な業務を効率的に代行してくれます。具体的に提供されるサービスを項目ごとに解説します。
採用計画の立案
人材の採用や配置に関して、今後の道筋を示した計画を立てることは重要です。RPOでは、企業へのヒアリングのもと、最適な採用計画の立案を行い、採用活動のガイドラインを定めます。また、採用計画の目標達成のための各種プランニングを行う場合もあります。
採用手法の選定
ハローワークや求人サイト、自社サイトなど様々な採用手法が存在します。RPOでは、多くの採用手法の中から企業に合った最善の手法を選択します。RPOにより、多様化する採用手法から最適な手法を選ぶことが可能となるでしょう。
候補者の選考・面接
求人に応募してきた候補者の選考は、採用業務でも特に重要です。この業務では、豊富なノウハウを持つRPOサービスベンダーの知見が活かされます。自社に採用ノウハウがない企業であれば、心強い助けとなるでしょう。
入社前後の対応・フォロー
RPOは人材を採用して終わりではありません。入社前後のフォローまで行い、人材が最大限の力を発揮する手助けを行います。採用された人材のフォローに回す人的リソースのない企業も多いため、このサービスは重要です。
採用活動の分析とフィードバック
採用活動を行った後は、活動を分析し次回以降につなげることが重要です。採用活動の分析やフィードバックにおいては、採用のプロであるRPOベンダーの意見が大きな助けとなります。
RPO(採用代行)を利用するメリット
RPOを利用するには、コストが発生します。多くの企業は、コストに見合うリターンがあると判断して、RPOを利用しているはずです。では、RPOの利用にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
採用活動にかかる業務負担が軽減できる
すでに述べた通り、現在の採用業務は複雑化しており、業務負担は大きなものとなっています。しかし、業務を外部委託すれば、負担の軽減が可能です。自社内では処理しきれない業務の代行は、大きなメリットになるでしょう。また、業務負担が軽減されることで、よりコア業務に注力することも可能となります。
プロによる採用活動により質が向上する
現在の採用活動は、ただ求人を出して待つのではなく、積極的に自社をアピールする攻めの姿勢が重要です。そのためには、効率的に求職者にアピールすることが必要となります。RPOサービスベンダーは、採用活動のプロであり、効率的なアピール方法も熟知しています。RPOを利用することで、質の高い採用活動が行えるようになるでしょう。
採用後のミスマッチを減らせる
熟慮に熟慮を重ねたうえでの採用であっても、社員と企業のミスマッチが起きる場合もあります。ミスマッチを減らすためには、ノウハウが必要となりますが、一朝一夕で蓄積できるものではありません。
RPOサービスベンダーであれば、すでに豊富なノウハウを蓄積しています。そのため、採用後のミスマッチを減らすためにも、採用のプロによるRPOの利用が役立ちます。
採用にかかわる一部業務を任せることもできる
RPOでは、採用に関わる一切の業務を任せるのではなく、一部の業務のみ委託することも可能です。そのため、書類の確認や送付、電話対応など事務的な手続きのみを任せ、面接は自社で行うといったフレキシブルな対応も可能となります。また、一部委託の場合には、お互いの業務範囲を明確にすることが、スムーズな採用活動を行ううえで重要です。
採用の費用対効果などの成果を可視化できる
RPOの範囲は、書類選考や面接対応など、直接的な採用業務に留まりません。RPOでは、レポートの作成や分析なども代行してもらえます。プロの作成したレポートは、採用の費用対効果など、成果の可視化につながるでしょう。また、プロの目による分析は、今後の採用業務の改善につながります。
RPO(採用代行)を利用するデメリット
RPOの利用によるメリットは数多くありますが、デメリットはあるのでしょうか。本項ではRPOの利用によるデメリットを解説します。
採用代行前の要件定義に工数がかかる
RPOでは、すべての採用業務ではなく、一部の採用業務を委託することも可能です。ただし、この場合には、自社がどの業務を委託するのか明確にしておかないと、RPO利用前の要件定義に時間や手間が掛かってしまいます。RPOを利用する際には、自社の業務フローの確認や、要件のすり合わせを行うようにしましょう。
社内に採用のノウハウが蓄積しない
RPOサービスベンダーは、豊富な採用ノウハウをもとに採用業務を行います。豊富なノウハウに裏打ちされた採用業務の代行は、RPOの利用における大きなメリットです。しかし、RPOの利用は自社へのノウハウ蓄積という面では、デメリットとなってしまいます。継続的にRPOを利用するのでなければ、自社へのノウハウ蓄積も考えなければならないでしょう。
採用代行会社により結果に差が出る
RPOサービスベンダーは、中途採用や特定業界など各々の強みを持っています。自社の計画に沿った最適なサービスベンダーに委託できなければ、望むような結果も得られないでしょう。また、特性だけでなく、質にも違いがあり、質の高いサービスを提供するサービスベンダーを選ばなければ、折角のRPOも効果を発揮できません。
RPO(採用代行)の導入に向いている企業
自社における採用業務に不満を感じず、結果も出せている企業であれば、RPOを導入する必要性は薄いでしょう。では、どういった企業であれば、RPOの導入に向いているのでしょうか。
人事に人手不足が生じている企業
高度かつ複雑化し、質も求められる現在の採用業務には多くの人員が必要となります。しかし、採用業務に割ける人的リソースが十分でない企業も多く存在するでしょう。また、人事部門の人員を増員しても、すぐに業務に対応できるわけではありません。そのような人事部門のリソースに余裕がない企業は、RPOを導入することで、課題解決につながるでしょう。
早期に多数の人材採用が必要な企業
通常企業においては、採用計画が立てられており、計画にもとづいて採用が行われます。しかし、急成長する企業においては、多数の人材が早期に必要となります。また、計画にはない社会情勢の変化への対応のため、多くの人材が必要となる場合もあるでしょう。そのような多くの人材を一気に採用する場面であれば、採用のプロであるRPOサービスベンダーの力を借りることで、ミスを減らし、効率的な採用活動が可能となります。
採用のミスマッチが起きている企業
採用後のミスマッチを防ぎたいのは、どの企業であっても同様です。しかし、採用ノウハウが少なかったり、割けるリソースが少なかったりする場合には、どうしてもミスマッチが増えてしまいます。そのため、採用のミスマッチが起きている企業や、自社では完全にミスマッチを防げないと感じている企業には、RPOの導入が勧められます。
RPO(採用代行)のサービスを比較するポイント
RPOサービスベンダーは、数多く存在します。また、ベンダーごとに特徴も様々であり、サービス導入には、比較検討が必要となるでしょう。本項では、RPOサービスベンダーを比較する際のポイントを解説します。
情報の管理体制
採用業務は、履歴書をはじめとした応募者の個人情報を取り扱うことになります。個人情報の漏洩は、企業のイメージを悪化させ、以降の採用活動にも悪影響が出てしまうでしょう。そのため、委託先を選ぶ際には、情報管理体制の整ったサービスベンダーを選択することが重要です。
委託先を選ぶ際には、プライバシーマークを取得したRPOサービスベンダーを選択すると良いでしょう。プライバシーマークは、個人情報の保護に対する第三者認証制度であり、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が運営しています。
参考:プライバシーマーク制度|一般財団法人日本情報経済社会推進協会
採用の実績や事例の豊富さ
保有する採用実績や事例の豊富さは、比較検討する際の重要な要素となります。実績が多ければ、それだけ採用ノウハウが蓄積されており、優秀な人材確保の助けとなるでしょう。また、豊富な事例にもとづいた採用であれば、採用後のミスマッチも起こりづらくなります。
豊富な実績や事例は、多様なサービスプランなど、提供可能な選択肢の多さにもつながります。豊富な選択肢の提示があれば、より自社にマッチしたRPOサービスベンダーを選ぶ助けとなるでしょう。
RPOサービスベンダーの対応品質
RPOでは、サービスベンダーが採用業務を行うことになります。そのため、サービスベンダーの対応は、委託元企業の対応と応募者に判断されてしまいます。対応品質が悪ければ、違和感を覚えた応募者が辞退する可能性もあるでしょう。優秀な人材をみすみす逃してしまうような事態も起こり得るため、対応品質を確認し把握することは重要です。
RPOの活用で業務効率化を
複雑化する採用業務に頭を悩ませている企業も多いでしょう。非効率的な採用業務では、望む人材の採用もままなりません。もし、採用業務に課題を感じているのであれば、RPOの活用を検討してはいかがでしょうか。その際には、ぜひ当記事を参考にしてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
管理職の定義や役割は?役職者との違いや求められる能力も紹介
管理職とは、企業内で部や課といった組織を率いる人のことです。業務管理や人財育成などの役割とともに、一定の権限が付与されます。管理職に求められる能力には、ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキル、テクニカルスキルなどがあります。多くの場合、管…
詳しくみる自走とは?人材や組織の特徴・育成方法を紹介!
目まぐるしく変動する現代のビジネス環境に対応するためには、自主的な行動が求められます。そのために必要となる概念が、近年注目を集めている「自走」です。 当記事では、自走について注目の背景や意味、自走可能な組織の作り方などについて解説を行ってい…
詳しくみる信託型ストックオプションとは?メリットや有効な活用方法を解説!
昨今スタートアップ企業やベンチャー企業で信託型ストックオプションの導入が進んでいます。しかし、従来のストックオプションとはなにが違うのでしょうか? この記事では、信託型ストックオプションの基本情報を解説するほか、従来のストックオプションとの…
詳しくみるHRM(人的資源管理)とは?5つの機能をもとに具体的な事例を紹介
HRM(Human Resource Management)とは「人的資源管理」を意味します。具体的には、従業員を人的資源と捉えて有効活用するための採用、教育、人事評価、人材配置などの仕組みを指します。 この記事ではHRMとは何かについて述…
詳しくみるストックオプションの会計基準は?会計処理や費用計上のタイミングについて解説
ストックオプションは「企業会計基準第8号」に基づいて、費用計上が求められます。適切な会計処理を行うためには、基準の内容や費用計上のタイミングを正しく理解することが重要です。 とくに上場・非上場の違いや無償・有償といった区分によっても処理方法…
詳しくみる取締役とは?役割や責任・給与体系についてわかりやすく解説
取締役とは、会社法に定められている役員のことです。取締役は、企業における業務の執行について意思決定を行う立場にあるため、企業全体の業務について責任を負っています。 今回は、取締役の意味合い、似た役職名称との役割と責任の違い、選任要件、仕事内…
詳しくみる