- 更新日 : 2025年3月27日
購買サイクルのRCMとは?リスクマネジメントの重要性・RCMの作成手順【テンプレート付き】
購買サイクルの最適化は、企業の成長に欠かせない戦略の一つです。特に、信頼性中心のメンテナンス(RCM)を取り入れることで、製品やサービスの品質を向上させ、顧客満足度を高めることができます。
本記事では、RCMが購買サイクルに与える影響と、その具体的な活用方法について詳しく解説します。
目次
購買サイクルとは

購買サイクルとは、顧客が商品やサービスを購入するまでの一連の過程を指します。
購買サイクルは、企業が顧客を理解し、効果的なマーケティング戦略を立てるための基本概念であり、ビジネスの成長に不可欠な要素です。
【購買サイクルの内容】
| プロセス | 概要 |
| 仕入れ先への注文 | 企業が具体的なニーズを把握し、それを満たすために適切な仕入れ先を選定 |
| 商品の検品と保管 | 納入された商品の種類、数量、価格などが正確であることを確認 |
| 代金の支払い | 仕入先からの請求書を受け取り、代金の支払い |
仕入れ業務の現場には不正のリスクが多く存在し、実際に不正が発生した事例もあります。内部統制は、購買業務の仕組みを整理し、不正を未然に防ぎ、トラブルを回避するために重要な役割を果たします。
購買サイクルにおけるリスク管理の重要性
購買サイクルで想定されるリスクは、主に以下のとおりです。
【購買サイクルで想定されるリスク】
- 購買担当者と取引先の癒着
- 購買業務の属人化
癒着とは、購買担当者が取引先との個人的な関係を優先し、公正で透明な取引を行わず、自身や取引先に有利な条件を提供する行為を指します。
癒着が発生すると、不正が発生する可能性があります。それにより会社が被害を受ける可能性も出てきます。
属人化とは、特定の担当者に業務が集中し、その人だけが業務の詳細を把握している状態を指します。
特定の担当者に業務が集中すると、その人の判断や手続きに依存することになり、業務の進め方にばらつきが生じやすくなってしまうでしょう。
購買サイクルのリスク管理に用いるRCMとは

RCMとは、リスク管理に関するマトリックス表のことです。
RCMの目的は、システムや設備の信頼性を最大化し、リスクを最小限に抑えることです。これを購買サイクルに適用することで、購買業務のリスクを抑えることができます。
購買サイクルのRCMの作成方法

購買サイクルのRCMの作成方法は、以下手順です。
【RCMの作成手順】
- 業務記述書・フローチャートの草案を作成する
- リスク・コントロールを設定する
- 業務記述書・フローチャートをもとにRCMを作成する
➀業務記述書・フローチャートの草案を作成する
まず業務記述書とフローチャートの草案を作成することが重要です。購買プロセスの全体像を明確にし、リスクを効果的に管理するための基盤を築くことができます。
リスクとコントロールを明確にし、作業担当者、作業内容、および作業手順を理解することが目的です。
②リスク・コントロールを設定する
購買プロセス全体の透明性と効率性を高め、リスクを最小限に抑えるために、リスク・コントロールを設定することが重要です。
プロセスの各ステップや決定点、情報の流れを示すことで、業務記述書を補足し、プロセスの可視化と理解を助けます。
③業務記述書・フローチャートをもとにRCMを作成する
業務記述書とフローチャートの情報を活用して、潜在的なリスクを特定し、それらのリスクを軽減するための対策を決定します。
RCMに記載する主な項目は、以下のとおりです。
【RMCの記載項目】
| 記載項目 | 内容 | |
|---|---|---|
| 業務内容 | 統制内容・業務内容を具体的に記載 | |
| リスクの内容 | どんなリスクがあるのかを具体的に記載 | |
| 内部統制の内容 | 内部統制の内容を具体的に記載 | |
| 要件 | 実在性 | 資産及び負債など |
| 網羅性 | 計上する必要がある資産や負債、取引など | |
| 権利と義務の帰属 | 資産および負債を適正な価格で計上しているのかどうか | |
| 評価の妥当性 | 評価方法が適切であるかどうか | |
| 期間配分の適切性 | 取引や会計事象を適切な金額で記録し、収益及び費用を適切な期間に 配分されているかどうか | |
| 表示の妥当性 | 資産や負債などが適切な項目に分類され記載されているか | |
| 頻度 | RCMを見直し、更新する頻度 | |
| 内部統制の有効性 | 事業活動や業務の目的が達成される具合 | |
| 評価内容 | 購買サイクルの各プロセスにおける潜在的なリスクがすべて網羅されているか、また、そのリスクが現実的であるかの評価 | |
購買サイクルのRCMテンプレート-無料ダウンロード
購買サイクルのRCMテンプレートを1から作成するとなれば、大幅な工数がかかってしまいます。
業務負担を軽減させるためにも、あらかじめ.購買サイクルのRCMテンプレートを用意しておき、作成することが大切です。
以下から無料で活用できるため、ぜひダウンロードしてみてください。
まとめ
購買サイクルの最適化は企業の成長に不可欠です。特に信頼性中心のメンテナンス(RCM)を取り入れることで、製品やサービスの品質を向上させ、顧客満足度を高めることができます。
企業として健全な成長を目指すうえで、購買業務における効率性と信頼性を上げるためにも、適切なリスク管理と内部統制を実施するよう努めましょう。
当社が提供する「マネーフォワード クラウド債務支払」をご活用いただくことで、購買業務における内部統制の強化が可能です。事前申請と支払申請の紐付けにより、不正な支出や不適切な手続きを防止し、組織の承認ルールに基づいたプロセスが構築できます。また、FB(ファームバンキング/総合振込)データをインターネットバンキングへAPI連携する機能によって、全銀データ(FBデータ)の手動登録が不要になり、手間の削減と内部統制に効果的です。購買業務における内部統制強化についてお悩みの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
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※1 日本取引所グループの公表情報に基づき、2025年1月〜6月にグロース市場への上場が承認された企業のうち、上場時にマネーフォワード クラウドを有料で使用していたユーザーの割合(20社中10社)
よくある質問
購買サイクルとは?
購買サイクルとは、企業が必要な商品やサービスを調達するための一連の過程を指し、需要の認識から仕入先の選定、価格交渉、発注、商品の受領と検品、保管、そして代金の支払いまでを含みます。 購買担当者の不正や属人化を防ぐためにも、購買サイクルは重要です。
購買サイクルRCMの作り方は?
購買サイクルRCMの作り方は、主に以下のとおりです。
- 業務記述書・フローチャートの草案を作成する
- リスク・コントロールを設定する
- 業務記述書・フローチャートをもとにRCMを作成する
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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