- 更新日 : 2024年7月12日
販売業務プロセスの内部統制は?段階別にリスクとポイントをわかりやすく解説
販売業務プロセスに内部統制を実施することで、無駄なキャッシュややり取りが起きていないかをチェックし、改善させることができます。では具体的にどのようなことを行うのでしょうか。本記事では、販売業務のプロセスの概要とプロセスごとの内部統制のポイントを解説します。どこでどのようなリスクをはらんでいるのかも合わせて解説します。
販売業務プロセスとは

販売業務プロセスは、以下の5つの工程を指します。
- 受注
- 出荷
- 売上計上
- 請求
- 回収
企業にとって販売業務は売り上げを生み出す重要な業務です。取り扱う商品や企業による若干の違いはありますが、一般的にどのような工程なのかを詳しく見ていきましょう。
受注
受注とは、顧客からの注文を受ける段階で、取引先や顧客からの希望を受けて作成された注文書を受けることを受注と呼んでいます。注文書を受け取ったら、記載のある商品を数量用意し、納期を確認して次の工程へと移ります。
出荷
受注で用意した商品を実際に顧客へ発送する工程です。数量や送り先、納期が間に合うかを含めて確認をして発送します。企業はこの時点で顧客に対してサービスを提供したことになります。
売上計上
社内における手続きでは、出荷完了後に売上計上を行います。ほとんどの場合に商品を引き渡した時点で、先方から代金の支払いがあったかどうかに関係なく、通常はこの時点で売上を計上します
請求
売上計上後に作成した請求書を顧客に受け渡す工程です。請求書の受け渡しは郵送や手渡し、電子メールへの添付などさまざまです。顧客情報や注文書通りの商品と個数になっているかを確認してから送付します。
回収
請求書に従って代金を回収します。必要に応じて領収書を発行します。
販売業務プロセスにおける内部統制のポイント

販売業務プロセスにおける内部統制のポイントを解説します。工程ごとに異なるリスクが潜んでいることも一緒に見ていきましょう。
受注
受注に潜んでいるリスクは以下のようなものが代表的です。
【リスク】
- 注文書の内容と異なった商品・数量を手配してしまう
- 緊急の注文時に在庫確認ミスや誤発注してしまう
対策としては注文書の情報をシステムに入力する、納期までに納品するために定期的な在庫チェックを行うことです。また、顧客の財務状況の調査も実施してください。支払い能力がないと出荷しても代金を回収できない可能性があります。与信限度額を超えた受注の場合は断るか、前払いの交渉を検討しましょう。
出荷
出荷に関しては次のリスクが考えられます。
【リスク】
- 注文書と異なる数を出荷してしまう
- 在庫がない・不足しているなどの理由により納期が守れない
もっとも起こりうるリスクが、出荷数や出荷商品の取り違えです。出荷完了時点でその荷物を出荷済みとするサインをしておくといいでしょう。また、出荷時点で納品書を商品と当時に発送するのも方法のひとつです。在庫数の管理も忘れずにしましょう。もし顧客が受領してから売上計上する場合は、商品発送照明やオンラインでの追跡をして証拠を残してください。
売上計上
売上計上の業務では、次のようなリスクが考えられます。
【リスク】
- 売上の架空計上が発生してしまう
- 売上計上漏れが起きてしまう
架空計上を防ぐ方法として、クレジットメモを検品及び入庫伝票に従って発行するようにしましょう。売上計上漏れに対しては、経理担当者が出荷伝票と注文書を突き合わせて確認する、システムで管理するなどの方法で防止できます。
請求
請求のリスクとして考えられるのは以下の通りです。
【リスク】
- 水増し請求が発生してしまう
- 請求漏れが発生してしまう
水増し請求に対しては、営業担当者や出荷業務を行っている人物が請求書を発行・発送しないようにすると防ぐことができます。請求漏れは、出荷・商品配達時点でタイムリーに請求書を発行するようにするといいでしょう。郵送もセットで行えば、請求忘れや請求漏れを防止できます。
回収
代金回収にもリスクが孕んでいます、代表的なものは以下の通りです。
【リスク】
- 現金回収の場合、回収担当社員による着服が起きる可能性がある
- 貸し倒れ
代金の着服防止のためには、振込に変更するほか、入金システムを導入するなどの方法で対策ができます。貸し倒れのリスクに関しても、事前に与信限度額が適正かを判断しなければなりませんが、どうしても回収できない場合は貸倒引当金を計上するようにしてください。
まとめ
販売プロセスでは、すべてに共通するリスクは少なくないものの、各工程特有のリスクがあることが分かります。リスク回避のためにはそれぞれの工程で対策を講じる必要があるでしょう。企業にとって売上は生命線ともいえる重要なものです。回収できなくなってしまうような事態を避けるためにも、しっかりとしたリスクコントロールが必要です。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
やることリスト付き!内部統制構築ガイド
内部統制を基礎から知りたい方・内部統制の導入を検討している担当の方・形式だけになっている内部統制を見直したい方におすすめの人気ガイドです。
内部統制の基本と内部統制構築のポイントをギュッとまとめています。
J-SOX 3点セット攻略ガイド
すべての上場企業が対象となるJ-SOX(内部統制報告制度)。
本資料では、IPO準備などでこれからはじめてJ-SOXに対応する企業向けにJ-SOXの基本からその対応方法までをまとめた、役立つガイドです。
経理担当者向け!Chat GPTの活用アイデア・プロンプトまとめ12選
経理担当者がChat GPTをどのように活用できるか、主なアイデアを12選まとめた人気のガイドです。
プロンプトと出力内容も掲載しており、コピペで簡単に試すことも可能です。
マネーフォワード クラウド会計Plus サービス資料
マネーフォワード クラウド会計Plusは、IPO準備・中堅〜上場企業向けの業務効率化と内部統制強化を実現するクラウド会計ソフトです。
銀行やクレジットカード連携で取引データを自動取得、AIによる自動仕訳で会計業務を効率化。周辺システムと連携することで、二重入力や確認工数を削減します。また、仕訳承認機能やユーザーごとの権限・ログ管理機能を搭載しており、内部統制にも対応。SOC報告書も提供しています。
よくある質問
販売業務プロセスとは?
販売業務プロセスは、企業が売上を出す重要なプロセスです。 企業によって異なるものもありますが、主なプロセスは以下の通りになります。
- 受注
- 出荷
- 売上計上
- 請求
- 回収
販売業務プロセスのリスクは?
受注の場合であれば手配する商品や個数の間違い、請求では請求漏れが考えられます。また、自社に依存したリスクもあれば取引先の財務状況に依存するリスクもあるため、そちらも対策を講じなければなりません。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
内部統制におけるキーコントロールとは?識別のやり方やポイントを説明
内部統制において、キーコントロールの選定は重要です。比較的負担が大きいといわれる運用状況評価において、評価するコントロールが多いとより大きな負担となります。 本記事では内部統制におけるキーコントロールの識別方法や識別手順、コントロール数が多…
詳しくみるIPO準備における法定監査とは?会社法監査・金融商品取引法監査の基礎を解説
IPOを目指す企業や経営者にとって、「法定監査」は欠かせないプロセスです。本記事では、会社法監査と金融商品取引法監査という2つの法定監査の基本や、IPO準備におけるポイントを解説します。 法定監査とは?押さえておきたい基礎知識 法定監査とは…
詳しくみるISO取得のプロセスや費用などの基礎知識を解説
ISO規格とは、国際標準化機構が認定している規格であり、取得によって対外的な信用度の向上や社内意識の向上といった効果が見込めます。取得に際しては、体制の構築費や審査費、維持費といったコストがかかります。 本記事では、ISO規格の定義や取得の…
詳しくみるコーポレートガバナンスとは?企業統治の意味や目的をわかりやすく解説
コーポレートガバナンスとは、企業経営において透明性や公正性を確保し、株主や利害関係者の権利を尊重するための取り組みです。最近では、企業の社会的責任や環境問題にも配慮するなど、多様な観点から重要性が高まっています。本記事では、コーポレートガバ…
詳しくみるIT統制とは?構築プロセスや評価項目、対応時のポイントを解説【テンプレート付き】
IT統制は、情報システムの適切な運用と管理を確立し、情報資産を保護するための仕組みです。近年、企業活動におけるITの重要性が高まる一方で、サイバー攻撃や情報漏洩などのリスクも増大しています。IT統制は、こうしたリスクに効果的に対応し、経営の…
詳しくみるISMSの維持審査とは?更新審査・初回審査との違いや内容、期間、費用などを解説
情報セキュリティ対策が企業経営の重要課題となる現在、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)/ ISO 27001認証は、組織の信頼性を高め、事業リスクを低減するための有効な手段です。しかし、情報セキュリティレベルを継続的に向上させ…
詳しくみる


