- 更新日 : 2024年7月16日
マネージャーとは?意味や役職・仕事・必要性や求められる能力・育て方を解説
マネージャーという言葉を仕事、スポーツ界、芸能界など様々な場面で耳にするのではないでしょうか。組織をマネジメントするにあたって、マネージャーは欠かせない存在です。この記事ではマネージャーの意味、マネージャーに該当する役職、果たすべき役割と必要なスキルや育成方法について解説します。
目次
マネージャーとは?
マネージャー(manager)とは、マネジメント(management)を遂行する人の意味です。マネジメントとは、一般的に「経営」や「管理」を意味しますので、マネージャーは「経営者」「管理者」ということになるでしょう。有名な経営学者ピーター・ドラッカーはマネジメントを「組織に成果をあげさせるための機関」と定義していますが、それは組織が達成すべき成果に責任を持つ「経営」や「管理」という概念にも合っています。
以上を踏まえると、マネージャーは経営理念に基づき数値目標などの成果をあげるために組織内の人材やプロジェクトなどを管理する役割を担う人材、役職ということになります。
外資系企業はもちろん、日本企業においても部長や課長といった中間管理職としてマネージャーという役職を設けることがあります。また、小売業や飲食業などで地域を統轄するエリアマネージャーや、店舗管理を行うフロアマネージャーといった役職もよく聞かれます。
リーダーとの違い
マネージャーと似た役割と考えられているものにリーダーがありますが、実はマネージャーとリーダーは似て非なるものです。
リーダー(leader)とは、リーダーシップ(leadership)を発揮する人を意味します。リーダーシップとは、組織目標を達成するためにメンバーを統率する能力のことです。リーダーは立場や役職に関わらず、メンバーの先頭に立って統率する人のことですが、マネージャーは役職に基づき成果をあげるために組織を管理する人を指しており、意味合いが異なります。
マネージャーであっても、メンバーの先頭に立って組織を率いることを求められるため、マネジメント能力だけでなくリーダーシップも必要となるでしょう。
マネージャーの必要性
組織におけるマネージャーの必要性は、組織の規模や構造、目標などによって異なります。まず、自らが統括する組織全体および個々のメンバーの目標設定と達成をサポートし、進捗を管理します。
また、業務遂行の効率化やチームの活性化も重要な責務です。さらに、組織内で発生する問題の特定と解決、リスク管理も担当します。
マネージャーは、組織の効率的な運営と持続的な成長を目指すうえで欠かせない存在なのです。
マネージャーの役職とは?
一般的に用いられる課長、係長、主任などの職名のうち、マネージャーがどれに当たるかの明確な定義はありません。しかし、その役職に基づき組織を管理する人、という定義から考えると、「管理職」がマネージャーに該当するといえるでしょう。なお、会社内のどの役職が管理職に該当するかは、会社によって異なります。
部長
会社によっては、部長がマネージャーの役割を担うことがあります。部長は、自身の部門やプロジェクトを管理し、部下の指導や育成、目標達成に向けた施策の実行などを行います。部門全体の戦略策定や、上層部への報告も担当することもあります。
課長
会社によっては、課長がマネージャーに該当することがあります。課長がマネージャーに該当する場合、一般的に課全体の管理を担います。具体的には、部下の業務指示、目標設定、評価、チーム全体の士気向上などです。また、上層部への報告や、他の部署との連携なども重要な業務となります。
係長
会社によっては、係長がマネージャーに該当することがあります。管理範囲は、所属する係の範囲に限られますが、具体的に行うこととしては、部下の目標設定や進捗管理、問題解決、チーム全体のモチベーション向上などです。係長は、現場の最前線で部下を直接指導しながら、チーム全体の成果に貢献することが求められます。
マネージャーの種類(仕事別)
マネージャーは、仕事の内容や管理する組織などによっていくつかの種類に分類されます。以下ではその代表例について解説します。
ゼネラルマネージャー
ゼネラルマネージャーは、企業や組織全体を束ねる上級管理職です。マネージャーの中でも上位職に当たり、一般的な日本企業の役職では部長以上に該当します。外資系企業で設置されることが多い職名です。
ミドルマネージャー
ミドルマネージャーは、中間管理職のことで、一般的には部長や課長など、組織の中間に位置するマネジメント層を指します。経営戦略・方針を決定する経営層と、現場で業務を行う社員を結びつけ、企業や組織全体が有効に機能するように調整を行うのが重要な役割です。経営層の方針やビジョンを部下に伝えて、部下のマネジメントや育成にも当たります。
エリアマネージャー
エリアマネージャーは、小売店や飲食店などを全国展開する企業で、複数の店舗や拠点からなる一定のエリアのマネジメントを行うマネージャーを指します。エリア全体の売上管理を任され、各店舗の管理を行います。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは、業務遂行時にプロジェクトを設けた際、そのプロジェクトの進行管理を行う役職に当たります。IT業界ではシステム開発チームの責任者を指すことも多いです。プロジェクトの予算、人員、スケジュール、成果物の品質などを一括管理します。
プロダクトマネージャー
プロダクトマネージャーは、プロダクト(企業が生産する製品・商品)に対して全責任を負い、決定権を有する役職に当たります。企画、開発、販売、改善とプロダクトに関する工程すべてに関わるため、経営者に近い非常に重要なポジションといえます。IT業界やメーカーなどに設けられることが多いです。
プレイングマネージャー
プレイングマネージャは、チームのマネジメント業務を行いながら、メンバーの一員として実務にも従事する人のことを指します。役職名ではなく、実務経験豊富な人がこのような形で仕事を任されることが多いです。
人的リソースが限られる企業ではとくに、マネジメントと実務を兼任できるプレイングマネージャーが求められる傾向にあります。社会情勢や市場環境の変化に対してスピーディーな対応が求められる中、迅速に経営トップの意向を現場に落とし込むためにも、プレイングマネージャーが求められています。
芸能マネージャー
芸能マネージャーは、芸能プロダクションなどに所属する俳優やタレント、歌手などにつき、芸能活動がスムーズに行えるようサポートする役職のことです。担当する芸能人のスケジュール管理や出演交渉などの営業活動を一手に担っています。
マネージャーの役割・仕事
マネージャーは、組織内の人材やプロジェクトなどを管理する役割を担っています。以下ではマネージャーの役割や仕事の内容について、少し掘り下げて紹介します。
経営層と現場をつなぐ
マネージャーは、経営層の打ち出す経営戦略やビジョンに基づき、成果につなげるために組織を管理する役割を担います。組織のメンバー一人ひとりに経営戦略やビジョンを正しく浸透させることが重要な仕事です。
目標と進捗の管理
マネージャーが管理する組織全体やメンバーそれぞれの目標に、経営戦略やビジョンを落とし込むのも重要な役割です。会社全体の目標に基づき、組織が達成する目標を立て、その目標を達成するための行動計画を策定します。さらに、行動計画に基づきメンバーそれぞれの目標とタスクを具体的にします。目標を立てた後は、定期的に進捗管理も行います。
問題提起・問題解決
組織目標についての進捗管理を行う中で、目標の達成度を確認します。進捗遅れなどの問題が発生している場合にはその原因を明らかにします。さらに、作業を効率化できないか、新しい仕事のやり方がないかなどを検討して、PDCAサイクルを回し、目標達成につなげることもマネージャーの重要な役割です。
人材の活用と育成
組織目標を達成するために、組織内の人的リソースを適正に配分することも重要な役割です。組織がうまく機能するように、メンバー一人ひとりの能力や適性、仕事観などをしっかりと把握して、最適な仕事を割り振る必要があります。面談などを通じて改善点を指導したりサポートを行ったりするなど、人材を育成することもマネージャーの役割です。
モチベーションの管理
組織として成果を発揮するには、メンバーのモチベーションアップも大変重要です。特に上司であるマネージャーの支援はモチベーションアップに必要で、1on1ミーティングなどを通じて双方向のコミュニケーションの機会を持つと効果的でしょう。
評価・フィードバック
目標達成状況の確認や1on1ミーティングなどの面談を通じて、メンバーの評価をフィードバックすることも重要です。数値目標への達成度など定量的な評価はもちろん、定量的に評価できない意欲、貢献度なども正しく評価してフィードバックすることがモチベーション向上につながるでしょう。うまくいかなったことについては、マネージャーがメンバーとともに考える形で支援することも大切です。
マネージャーに求められるスキル
マネージャーが成果をあげるためには、メンバーへの様々な働きかけを通じて組織力を高めるスキルが求められます。ここではマネージャーに求められるスキルについて紹介します。
コミュニケーション能力
マネージャーにとって最も重要なスキルの一つが、コミュニケーション能力です。経営方針などの浸透、的確な目標管理、人材活用・育成といったマネージャーの役割を果たす上では、メンバーとのコミュニケーションが基盤になります。
コミュニケーションは対話型であることが重要です。効果的な質問を通してメンバーの意見や考えなどを引き出しつつ、会社やマネージャーの意見や考えを伝える形の対話型コミュニケーションです。傾聴力や質問力、フィードバック力といったコミュニケーション能力が求められます。
危機管理能力
市場環境の変化や、顧客とのトラブル、メンバーに発生する諸問題など、組織が対処しなければならない問題は多々あります。一旦問題が発生するとその処に時間や労力を要することもあり、組織目標達成のためのマネジメントを十分に行えなくなることが想定されます。
様々な危機を予見して事前に対処する能力、問題発生時に影響を最小化すべく対処する能力といった危機管理能力も、マネージャーの重要なスキルといえるでしょう。
ロジカルシンキング
組織目標やそれに合わせたメンバー一人ひとりの目標設定、その達成状況の評価、改善の実施などを進める上では、論理的思考力が重要です。
それぞれの目的や理由などを明確にした上で、メンバーに対して論理的に説明することが、行動への納得感やモチベーションの向上につながります。ひいては、組織目標達成への近道になるでしょう。
人材育成の能力
組織の成果を最大限に引き出すためには、メンバーのスキルアップが欠かせません。スキルアップにつなげるために必要なのが、一人ひとりの適性・能力を正確に把握する力です。
的確な業務分担やチーム編成を通じてメンバーのモチベーションを高められると、効果的に人材育成を進められるでしょう。人材の適切な管理を通じた人材育成の能力も、マネージャーにとって重要なスキルです。
業務・テクニカルスキル
業務を遂行するために必要な能力を、テクニカルスキル(業務遂行能力)といいます。具体的には、製品やサービスに関する知識、技術や業界に関する知識、それらの知識をもとに業務を進めるための分析力、表現力などのスキルです。
これらのスキルは、組織目標の的確な設定や達成状況の適正な評価、人材管理・育成など組織のマネジメントを行う上で欠かせません。
マネージャーを育成する方法
マネージャーの育成は、会社を経営するにあたって最もプライオリティを置かなければならないことの一つでしょう。ここでは、マネージャーの育成が必要な理由と育成方法について紹介します。
研修を実施する
マネージャーに求められるスキルは、コミュニケーション能力、ロジカルシンキング、人材育成の能力など、ヒューマンスキルによるものが多い傾向にあります。したがって、マネージャーとしての資質がある人材を早めに見極めて育成することが重要です。
マネージャー候補の最も一般的な育成方法は、研修を実施することです。研修の方法は集合研修、社内勉強会、OJTに大別されます。座学で習得できないスキルは、ディスカッションやロールプレイングなどのプログラムを入れるか、OJTで身につけられるよう工夫が必要です。
また、マネージャーに就任して一定期間経過した後、現場での実践状況などを確認し改善に生かすためのフォローアップ研修を行うことも重要です。
経営陣とのコミュニケーションを図る
経営陣と現場の橋渡しがマネージャーの重要な役割のため、経営陣の考えや経営理念、目標などを正確にマネージャーに浸透させなければなりません。同様に現場の声を経営陣に届けて、経営戦略に生かすことも重要です。そのためには、定期的に経営陣とマネージャーがコミュニケーションを図る場を設ける必要があるでしょう。
他のマネージャーと交流する
様々なメンバーをかかえるマネージャーは孤独になりがちです。そのため、各種のミーティングや集合研修での意見交換、懇親会といったマネージャー同士の交流の場を設けることが重要です。経験豊富なマネージャーのノウハウを共有し、異なる視点に基づく意見から気づきを得られるほか、困ったときに相談できる仲間を得られます。能力面、心理面の双方によい効果をもたらすでしょう。
経営上のキーマン、マネージャーの育成が命運を握る
マネージャーは会社の経営目標を達成するために、組織の管理を担う大変重要な役割を果たしています。会社が永続的な発展を遂げるためには、マネージャーの役割や求められるスキルを正しく理解した上で、適性を持った人材を見出して早めに育成することが不可欠です。この記事を通してマネージャーについての理解を深め、自社の人材育成に生かしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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