- 更新日 : 2024年7月12日
ISO認証の取得で内部統制を強化できる!取得・維持の流れも解説
内部統制の強化をするための方法として、ISO認証の取得も効果的です。では、ISO認証とは一体どのようなものなのでしょうか。
この記事では、ISO認証とは何か、ISO認証の取得で内部統制を強化できる理由、その他のメリットを紹介します。また、ISO取得を検討する際に知っておきたいデメリットやISO認証の取得手順についても、詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
ISO認証とは
ISOとは、International Organization for Standardizationの略称で、日本語では「国際標準化機構」と言います。スイスのジュネーブに本部を置く非政府機関で、国際的な規格を制定することを目的として活動しており、ISOが制定した規格がISO規格と呼ばれます。
ISO認証とは、審査登録機関(認証機関)が組織のマネジメントシステムを規格に基づき審査し、認証することです。ISO認証されると審査登録機関のリストに登録され、認証書が発行されます。
ISO認証の取得で内部統制を強化できる理由
ISO認証を取得すると、内部統制の強化につながります。その理由として、主に以下が挙げられます。
- 組織システムを確立できるから
- 責任と権限を明確化できるから
上記の理由をそれぞれ解説していきます。
組織システムを確立できるから
ISO認証を取得するには、組織システムを確立する必要があります。組織システムは、内部統制においても重要なポイントです。
そもそも内部統制とは、経営目標を達成するために必要なルールや仕組みを整備して、適切に運用すること。ルールの適切な運用には、組織システムの確立が欠かせません。ISO認証の取得により、内部統制で重要な組織システムが確立されることがメリットです。
責任と権限を明確化できるから
内部統制において責任と権限の明確化が重要な理由を説明ISO認証の取得で内部統制を強化できる理由の2つ目が、責任と権限を明確化できることです。
繰り返しになりますが、内部統制では責任と権限を明確化することが重要となります。責任の所在が不明で、権限を持つ人間がいないと組織システムは有効に機能しないためです。ISO認証を取得することで、組織における責任と権限を明確化できるため、内部統制の確立にも役立ちます。
内部統制の強化以外|ISO認証を取得するメリット
実は、ISO認証の取得は「組織システムを確立できる」「責任と権限を明確化できる」以外にも、メリットがあります。
ISO認証を取得するメリットは、社会的信用を獲得できることです。ISOは国際基準であり、ISO認証を取得していれば国際機関に認められていることになります。つまり、ISO認証=社会的信用度の向上につながるというわけです。
具体的には社会的信用度が向上すると、営業先からの信用も得やすくなり、取引増につながる可能性があります。また、顧客へのアピールポイントにもなるため、商品やサービスへの信用度も向上します。
ISO認証を取得するデメリット
ISO認証の取得にはさまざまなメリットが挙げられますが、一方でデメリットも存在します。ISO認証を取得する主なデメリットは、以下のとおりです。
- 書類作成や文書管理の手間がかかる
- 効果が出るまで時間がかかる
ここでは、それぞれのデメリットを見ていきましょう。
書類作成や文書管理の負担がかかる
ISO認証を取得するには、書類作成や文書管理の負担がかかります。というのも、自社が国際規格に適用しているかを証明するため、細やかなところまで書類を作成し、文書を管理しなくてはならないからです。
さらにISO取得時だけでなく、ISO認証の維持にも負担がかかるのがデメリットです。ISO認証の更新頻度は3年。つまり、3年に1回は更新審査のために書類を作成する必要があります。もちろん、ISO認証を維持するためには、日頃の文書管理も重要です。
効果が出るまで時間がかかる
すぐに効果が出ないことも、ISO認証の取得のデメリットに挙げられます。ISO認証の取得により得られるメリットには、即効性がありません。組織システムは長期的に運用することで、少しずつ効果を発揮するものだからです。
取得に手間がかかるわりに効果が出るまでに時間がかかることで、担当者のモチベーションが下がる可能性もあります。
ISO認証を取得・維持する流れ
ISO認証を取得・維持する流れは、以下のとおりです。
- 一次審査(1段階審査)
- 二次審査(2段階審査)
- 認証取得
- 維持審査(1年目)
- 維持審査(2年目)
- 更新審査
ISO認証の初回取得時は、一次審査→二次審査の順に進みます。当然のことながら、一次審査を通過しないと二次審査は受けられません。二次審査を通過すると、認定機関による認定書の発行を推薦してもらえます。一次審査では、組織システムの構築とISO規格に要求される文書が見られます。二次審査では、マニュアルがISO規格に沿っているか、マニュアル通りに業務が実行されているかが焦点です。
前述のとおり、ISO認証の取得後も定期的に維持審査や更新審査が行われます。維持審査は1年ごとに実施され、ISO認証に必要な組織システムの運用が継続して実行されているかが確認されます。
また、更新審査は初回審査から3年後に実施される審査です。ISO規格に沿ったマニュアルが適切に運用されているか、認証登録に適合する状態が維持されているか、発生した問題点に対する改善が行われているかなどが審査されます。初回審査とは異なり、維持審査や更新審査は1段階のみです。
まとめ
ISO認証とは、審査登録機関(認証機関)が組織のマネジメントシステムを規格に基づき審査し、認証することです。ISO認証されると審査登録機関のリストに登録され、認証書が発行され、内部統制を強化したり社会的信用を高めたりすることが可能となります。
取得に必要な審査は2段階あり、それぞれで必要な書類を作成したり文書管理を求められたりするため、取得・維持には手間がかかります。また、組織システムの運用は長期にわたるものであり、短期的な効果は見えにくいこともデメリットです。
メリットとデメリットを理解したうえで、内部統制の強化のためにもISO認証の取得を目指しましょう。
よくある質問
ISO認証とはなに?
ISOとは、International Organization for Standardizationの略称。日本語では「国際標準化機構」と表します。よく耳にする「ISO規格」とは、スイスのジュネーブに本部がある非政府機関が制定する国際的な規格です。審査登録機関により認証されると、ISO認証を取得できます。
ISO認証の取得は内部統制を強化できるの?
ISO認証の取得により、内部統制を強化できる理由は主に以下の2つです。
- 組織システムを確立できるから
- 責任と権限を明確化できるから
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
内部統制の実施基準を6つの要素別に徹底解説|改訂点や効率的に行うコツも紹介
IPO(新規公開株、新規上場株式)の準備をするときに欠かせないのが、「内部統制」と呼ばれる仕組みです。金融庁が対象範囲や評価基準を用意しているものの、難しくて理解できていない方も少なくないでしょう。 この記事では、内部統制の意味と実施する目…
詳しくみる監査役は誰がなる?権限・任期・報酬・選任の流れを徹底解説!
監査役の役割は、企業の業務執行が適切に行われているか監視・監督することです。そのため監査役を正しく選任することは、企業の健全な経営に欠かせません。 本記事では、監査役の設置が必要な会社、任期や権限、選任方法などについて詳しく解説します。監査…
詳しくみる遡及監査(そきゅうかんさ)とは?実施の目的や条件、問題点などを徹底解説
多くのベンチャー企業が目標とするIPOには約3年の準備期間が必要だといわれています。 IPO申請には上場申請直前期から2期分の監査証明が必要ですが、さまざまな事情で監査対象期の期首を過ぎても監査人と監査契約を締結できない場合があります。 こ…
詳しくみる内部統制報告制度とは?目的や改訂ポイントをわかりやすく解説
上場企業は、財務報告の信ぴょう性を確保するために内部統制報告制度への対応を行う必要があります。内部統制報告書の提出が義務付けられており、提出しなかった場合は罰則を受けることになるためです。そのような状況にならないためにも、まずは内部統制報告…
詳しくみる内部統制におけるログ管理の重要性とは|ログ管理の課題やポイントを解説
内部統制では、整備しなければならない多くのポイントがあります。そのなかでも特に重要なのが、ログ管理です。 では、なぜログ管理が重要なのでしょうか。この記事では、内部管理におけるログ管理の重要性と問題点を挙げて解説します。さらに、ログ管理での…
詳しくみるJ-SOX(内部統制)の3点セットとは?基本的な作り方を解説【サンプル付き】
これからIPOを目指す企業にとって、必須となるのがJ-SOXへの対応です。J-SOX対応を効率よく進めるために必要となるのが、「フローチャート」「業務記述書」「リスクコントロールマトリックス」のJ-SOX3点セットを呼ばれる書類です。とはい…
詳しくみる