• 作成日 : 2024年2月27日

プロジェクト収支管理とは?その必要性やシステム化のメリットについてわかりやすく解説

プロジェクトを推進する際、収入と支出の管理は必須です。企業では、新規事業の立ち上げ、システム開発や導入、業務プロセスの抜本的な見直しなど、さまざまなプロジェクトが企画されます。それらのプロジェクトごとに収支を管理する必要があるのです。

本記事では、プロジェクト収支管理にまつわる情報を、重要性、具体的なタスク、注意点などの観点から解説します。

プロジェクト収支管理とは

プロジェクトごとに収支を管理すると、各案件で発生した売上や経費を常に監視でき、全体の成果を可視化することが可能になります。
そして、随時その状態を把握しながら方向性を修正していくことが求められます。
プロジェクト収支管理は、全ての企業で必須といえるでしょう。

プロジェクト収支管理の重要性

プロジェクトの収支管理はなぜ重要なのでしょうか?端的にいえば、プロジェクトを成功させるためです。プロジェクト別の収支管理は、予算を超過させないために何らかの制御を行ったり、無駄を省いて収益を最適化させたりするなど、プロジェクト成功のために重要な役割を果たします。

例えば、自社製品を開発して市場へ販売するプロジェクトを立ち上げた場合を考えてみましょう。予定通りの原価で想定通りの売上が達成できているかを確認していない場合、ニーズのない製品を作り続けてしまっていても、それに気づけない可能性があります。これでは取り返しのつかない大赤字を抱えかねません。

こういった事態を避けるには、プロジェクトの収支管理が重要になります。収支管理の仕組みをしっかり構築できていれば、想定外の事態が拡大していくリスクを大きく抑えられます。

具体的には、プロジェクトの採算がとれているかどうかをリアルタイムでしっかりチェックすることが効果的です。その結果をもとに方針を再検討することで、市場価値の高い製品を作り続けられるでしょう。

また、仮に開発中の製品が市場から求められていなかったとしても、収支管理を徹底しておくことで早期にニーズが無いことに気づけます。これができれば、損失が大きくなる前に市場から撤退する判断を下せます。
このように収支管理は、大きな赤字を出さないための手段としても効果を発揮します。

収支管理のポイント

プロジェクト収支管理の実施には、いくつかのポイントがあります。
ポイントをしっかり押さえておくことで、プロジェクトの成功率を高めることができます。

不確実性への対応

一つ目のポイントとして、不確実性(リスク)への対応が挙げられます。
リスクは、それが現実になってしまう前に対策しておくことが非常に重要です。これは収支管理についても同様ですので、あらかじめ想定されるリスクを洗い出し、対策の計画を練っておきましょう。

例えば、新規ビジネスの場合、一見価値がありそうでも実際に始めてみるとニーズが少ないということはよくあります。そのため、大きな赤字を出さないような対策が必要です。一般的な方法としては、ビジネスをスモールスタートで始める方法が挙げられます。それに加え、適切なプロジェクト収支管理の仕組みを作り、方針を調整しながらプロジェクトを推進できる環境を作ることも有効な手段の一つです。

正確なコストの見積り

プロジェクト収支管理を行う上では、コストを正確に見積ることも非常に重要です。
想定外のコストが大きくなればなるほどプロジェクト失敗の可能性は高くなります。
大規模なプロジェクトや前例がない場合など、正確な見積が困難であっても、何らかの手段でできるだけ正確な数字を出す必要があります。

専門家の知識を借りる、過去の類似プロジェクトを参考にする、計画を細分化して個別に見積りを行うなど、正確性を高める手段はいくつもあります。適切な手段を選択しましょう。ただし、このように万全を期したとしても、想定外のコストが発生する場合があることも理解しましょう。最初から見積りにバッファを持たせておくことも大切です。

リアルタイムでの実績確認

プロジェクトの収支管理には、リアルタイムに情報を反映する即時性が求められます。予算や実績と常に連動し、それを確認できる仕組みを作っておきましょう。

実際にプロジェクトを開始してみると、想定よりコストがかかることはよくあります。このギャップが大きいと、方針転換が必要になることがあります。その際は、コストを削減する方法を検討する、優先度の低い要件を除外してプロジェクトスコープを縮小する、などの対応を講じましょう。

プロジェクト収支管理に効果的なツールの活用

プロジェクト収支管理に利用される手段は、現場によって異なります。
業界、目的、規模などによって適切なものが異なることがその理由です。
ツールを選ぶ際は、参考として他のプロジェクトで採用された方法も検討し、適切な手段を選択するようにしましょう。

プロジェクト収支管理にはITツールが有効

収支管理はエクセルでも実現可能です。実際にエクセルを使っている企業もあります。
しかしエクセルを用いる場合、プロジェクトの規模が大きくなればなるほど、運用が困難になります。作業が煩雑になる、複数人での作業が困難である、ヒューマンエラー防止の仕組みが作りづらい、などのデメリットがその原因として挙げられます。

そのため、基本的には収支管理の機能を持つITツールを利用している企業が多く、クラウドベースの会計ソフトウェアやプロジェクト管理ツールなどがよく使われます。

ITツールに実装されている機能

では、プロジェクト収支管理用のITツールには、具体的にどのような機能が実装されているのでしょうか。
非常に多機能な製品が多く全ての機能を解説することは難しいですが、基本的なものとしては、以下のような機能が実装されています。

  1. 予算や実績の可視化機能
    プロジェクトの収支をリアルタイムで把握できる機能です。あらかじめ予算を設定し、売上や経費などを都度入力することで結果を表示します。
    グラフなどで視覚的に確認しやすい点がメリットです。
    即時性を活かして、さまざまな施策を試しながらその効果を確認したい場合などにも有効です。
  2. 工数管理機能
    プロジェクトメンバーの工数を効率的に管理できます。極端にコストがかかっている業務の把握や人件費の管理に利用されます。コスト削減などの目的でも有効な機能です。
  3. ワークフロー機能
    稟議書の作成や承認手続きなどの業務をシステム上で実施します。
    手続きが完了すると自動的に予算データなどに反映されるため、収支管理の効率化につながります。

プロジェクト収支管理を支援する製品は非常に多く、特殊な要件があったとしても対応できることが多くなっています。また、機能の豊富さに加え、直感的に操作できるようUI/UXが工夫された製品などもあります。
ITツールを選定する際は複数の製品を比較して、自社に適した製品を選びましょう。

ERPシステムは最も効果的

プロジェクト収支管理を実現するツールはいくつもありますが、最も適しているのはERPシステムです。会社全体で推進するような難易度の高いプロジェクトであっても対応できる点がメリットになります。

ERPシステムでは、企業のあらゆるリソース(ヒト、モノ、カネ、情報)が一元管理されており、部署間の業務連携を最適化できます。プロジェクトに導入することで、収支管理はもちろん業務効率化にも役立ちます。

詳しくは「ERP導入の目的とメリット・デメリットを解説」や「プロジェクト管理型のビジネス企業に向けたERPについて」の記事をご確認下さい。


まとめ

プロジェクトの収支を管理する仕組みはどのような企業でも必要です。目的、業界、企業規模などによって導入すべきツールは異なるため、どんな要件があるのかを見極めて選定する必要があります。
プロジェクト別に収支を管理する場合は、関係者間で検討を重ね、適切な仕組みを構築しましょう。


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