• 更新日 : 2024年7月12日

需要予測とは?概要や具体的な手法、成功事例などを解説

需要予測は、自社製品やサービスの売上など、将来の「需要」をさまざまな観点から「予測」することを指します。企業がコストを削減し利益を最大化するためには、需要予測が重要です。

本記事では、需要予測の概要から、種類や手法、事例、課題と対策について解説します。

需要予測とは

需要予測とは、自社製品の売上などから、将来の「需要」をさまざまな観点で「予測」することを指します。

需要予測の手法は数多くありますが、必ず予測どおりになるわけではありません。しかし需要予測を行わないと、売上の機会損失や在庫リスクが高まります。

不要なコストを極力削減して収益の最大化を実現するためにも、企業は需要予測に取り組むことが重要です。

需要予測の種類

ここでは、需要予測の種類を解説します。

過去データを用いた統計的予測

過去の販売情報、顧客行動、季節・天候などをもとに、将来の需要を予測します。

過去の条件と現在の条件が類似していれば、一定の精度を期待できるでしょう。
しかし、年々変わる要因や新たに発生した要因は過去データに含まれません。そのような要因の影響を受けやすい商品やサービスの場合は、需要予測の精度が低下しやすい点に注意が必要です。

専門家の意見や情報に基づく予測

専門家の豊富な知識や経験をもとに需要を予測します。

この場合、突発的な状況の変化や新たな要因などを加味した予測が可能です。
ただし、専門家によって予測の内容に差が生じやすい点には注意しましょう。また、複数人の専門家に意見を求める場合は、情報の集約に時間を要することがあります。

市場調査による予測

新商品・サービスなどの販売時に、ターゲット層に対してあらかじめ市場調査を行い、その結果をもとに需要予測を行う方法です。

製品の市場投入前に需要予測が可能なため、事前の検討材料として活用できます。一方で、市場調査は時間・人手などのコストがかかるため、費用対効果を考慮した上で実施する必要があります。

最先端技術(AI・機械学習)による予測

過去データをはじめとするさまざまな情報を活用し、AIや機械学習を用いて需要予測を行う方法です。

AIや機械学習を活用すれば、人間では気付けないパターンなどを特定することができます。なお、精度を高めるためにはAIモデルのチューニングが必要となりますが、この作業には専門的な知識が必要となる点に注意しましょう。

代表的な需要予測の手法

需要予測は、過去の実績をもとにした「定量的予測」と、人の意見などをもとにした「定性的予測」に分けられます。

定量的予測は精度の高さが特徴であり、人の目では気付かないパターンやトレンドを検出することができます。一方で定性的予測は、過去と現在で状況が変わっているケースなどで有効です。

ここでは上記を踏まえ、需要予測の具体的な手法を解説します。

【定量的予測】 算術平均法

過去データの平均を算出し、将来もその平均に沿って数値が推移するという前提のもと、需要予測を行う手法です。

シンプルであるためすぐに計算できる点がメリットですが、大きな誤差が出やすい点には注意が必要です。精緻な予測は難しいものの、大まかな傾向把握には向いている手法だといえます。

【定量的予測】 移動平均法

過去の一定期間を移動させながら平均を算出し、その平均値をもとに需要予測を行う手法です。

算術平均法は過去データをすべて足し合わせた結果から平均を算出しますが、移動平均法は「直近3ヶ月(3ヶ月移動平均)」など、特定期間の平均値を予測に利用します。

この手法は短期〜中期的な傾向把握に適していますが、長期的なトレンドなどを加味した予測では精度が低下しやすいといえます。

【定量的予測】 時系列分析法

時間の経過とともに整理されたデータ(時系列データ)を用いて、需要予測を行う手法です。

毎時、毎日、毎週、毎月などのように定期的な情報収集が必要となりますが、トレンド・季節性・周期的な変動を踏まえた予測が可能です。ただし、大きな変化が発生した場合、予測の精度が低下する点には注意が必要です。

【定量的予測】 回帰分析法

収集したさまざまなデータから、因果関係のある数値の関係性をもとに需要予測を行う手法です。

この手法を利用すれば、「売上」というデータに対して、顧客数、購買単価、人口、天候、季節などの複数要素の影響を把握できます。対象データに「上昇」あるいは「下降」といった一定の傾向がみられる場合に活用できる手法です。

【定量的予測】 指数平滑法

過去データに対して「重み付け」をしながら、需要予測を行う手法です。

重み付けを、過去になるほど軽く、現在に近くなるほど重く設定することにより、新しい情報を重視した需要予測が可能です。季節性やトレンドなどは加味されないため、時期によって需要にばらつきがないケースに適しています。

【定性的予測】 マーケットリサーチ

アンケートやインタビューなどにより、特定の市場状況や顧客行動などを調査、予測する方法です。人手による作業となるためミスが発生しやすい点、コストがかかる点には注意が必要です。

【定性的予測】デルファイ法

複数の専門家の意見を集約し、需要予測を行う手法です。

この手法では、以下のサイクルを繰り返しながら需要予測の精度を高めていきます。

  1. 同一質問の回答を集約
  2. 集約結果を全員に配布
  3. 他者の予測を加味して自身の予測を更新

結論を出すまでに時間を要しますが、不確実性が高い予測や市場動向の予測に向いています。

その他の手法

これらの他にも、次のような手法があります。

手法概要
加重移動平均法過去の特定データに対して重要度別に重み付けを行い、算出した平均値を需要予測に利用する。
ホルト・ウィンタース法指数平滑法の時系列変動に、季節変動(一定周期の時系列変化)やトレンド(過去の上昇・下降傾向)を反映する。
多変量解析複数データの関連性を分析し、需要予測を行う。

需要予測の成功事例

ここでは、需要予測の成功事例に加えて、どのようにして予測精度を高めたかを解説します。

サッポロビール株式会社

サッポロビール株式会社が利用していた需給計画システムは、過去実績から統計学的に予測を行っていました。しかし、新商品は営業担当者の勘と経験で需要を予測するため、精度のブレに課題を感じていました。

この課題を改善するため、需要予測AIの導入に加えて、AIが算出した予測値をもとに需給調整担当者が判断するという「人とAIの協働モデル」を導入し、予測精度の20%アップを実現しました。

参考:サッポロビール株式会社「ニュースリリース AI需要予測システムの本格運用開始

森永製菓株式会社

森永製菓株式会社は、アイス事業の需要予測に、過去売上をもとに平均値を算出する方法を採用していました。

しかし昨今は、異常気象による猛暑や豪雨などの影響もあり、需要が読みづらいという課題を抱えていました。この課題を解消するために、日本気象協会から提供されるデータをもとにした需要予測を行い、約10%の作業効率向上に成功したのです。

参考:日本気象協会「Case(導入事例) 森永製菓株式会社様

需要予測の課題と対策

需要予測にはさまざまな課題があります。それぞれの課題と対策は下記のとおりです。

課題対策
精度が低い
  • 過去データを精緻に管理し、活用可能にする
  • 複数の手法を併用する
  • コストが高い
  • AI/機械学習や需要予測サービスを利用する
  • 属人化
  • 人材育成や手法の共有を日頃から徹底する
  • デジタル化を推進し、人に頼る作業を減らす
  • まとめ

    需要予測は、自社製品やサービスの売上など、将来の「需要」をさまざまな観点から「予測」することを指します。

    企業にとって需要予測は、利益を最大化するために重要な要素です。
    需要予測にはさまざまな方法がありますが、それぞれ特徴が異なります。
    なお、需要予測の精度向上やコスト削減にはAIの活用を含むデジタル化が有効です。

    マネーフォワードクラウドERPを導入すれば、過去の売上データなどを精緻に管理できます。需要予測の精度に課題を感じている方は、ぜひ導入をご検討ください。


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