• 更新日 : 2023年5月31日

今話題のコンポーザブルERPとは? | 特徴やメリットを解説

従来、ERPと言えば「統合型」や「コンポーネント型」が主に使われていました。最近はそれに加えて「コンポーザブルERP」という選択肢も出てきています。「コンポーザブルERP」とは、コンポーネント型と同様に部品に分かれたERPです。しかしアドオンなどで多彩な機能を追加できて、より柔軟性が高く、自社に合わせて必要な機能を導入できる新しい形のERPです。
ここでは、これまでのERPの歴史とコンポーザブルERPの概要、さらに自社に合ったERPの選び方をご紹介します。

ERPとは

ERP(Enterprise Resources Planning)は、統合基幹業務システムと呼ばれています。企業全体の基幹システムを統合したものです。システムと同様にデータベースも統合しており、企業全体の情報や経営資源を一括管理できます。

ERPの概要

ERPでは、システムとデータを統合して企業全体のデータを一元管理することで、強力なデータ連携機能を実現しています。そのため、常に最新のデータを参照することが可能です。
また、ERPを導入することで必要な処理の多くを自動化でき、業務の効率化・標準化につながります。さらにデータを一元管理することで、不正防止やガバナンス強化も可能です。

ERP市場の変化の歴史

これまでERP市場に登場してきたERPには、次のようなものがあります

  • モノリシックERP(1998〜2014年)
    モノリシックERP(monolithic ERP)は、ごく初期のERPです。現在で言う統合型のERPがほとんどで、すべての機能を持つ大規模なパッケージソフトでした。
    クラウドサービスが普及する前に登場しているシステムなので、基本的にオンプレミス型で提供されています。そのため、一度導入すればランニングコストは低いですが、メンテナンスに手間がかかって更新しにくいものでした。
  • ポストモダンERP(2015〜2019年)
    ポストモダンERP(postmodern ERP)では、複数のアプリケーションが連携して全体でERPとして動作するタイプの「コンポーネント型ERP」が提供されるようになりました。単機能のシステムを連携する「業務システム型」「アプリケーション型」のERPも提供されています。
    またこの頃、オンプレミス型だけでなくクラウド型のERPも出現しました。この2つの要素により、導入コストが大きく低下し、大企業以外でも導入しやすくなっています。
    大企業の本部では統合型のERP、支社や小さな拠点ではコンポーネント型のERPを導入して連携するという「2層型ERP」という使い方も生まれました。
  • コンポーザブルERP(2020年以降)
    コンポーザブルERP(Composable ERP)が出現しました。コンポーネント型ERPと同じように部品に分かれており、さらに細かな機能を追加してさまざまな組み合わせが可能なERPです。

コンポーザブルERPとは

コンポーザブルERPとは、コンポーネント型ERPと同じようにERPを機能ごとに分けたものです。必要なコンポーネントを組み合わせ、さらにアドオンなどの形で他の機能を追加して、より自社に合わせたシステムを構築できます。
またERPシステムであると同時に、システムの基盤としての役割もあります。他のアプリケーションを部品として組み合わせ、組み換えて安定した動作を維持することが可能です。

コンポーザブルERPの特徴

コンポーザブルERPには、次のような特徴があります。

  • システムや追加機能から必要なものを選んで組み合わせてシステムを構築し、連携したERPとして利用できます。
  • 柔軟性が高く、業務をシステムに合わせるのではなく、ERPを業務に合わせることが可能です。
    システム上でアプリケーションの組み換えや再構築を安全、迅速、効率的に行うことができ、再構築しても安定して稼働します。
  • 統合型のERPやコンポーネント型のERPよりも柔軟性や拡張性が高く、ニーズやビジネス環境の変化にスピーディーに対応できます。
  • テレワークの普及やスマートフォンの進化に伴い、クラウド型が前提になっています。

コンポーザブルERPのメリット

コンポーザブルERPには、「高い柔軟性と拡張性」「スモールスタートが可能」というメリットがあります。

柔軟性と拡張性の高さ

コンポーザブルERPは柔軟性と拡張性が高く、容易に機能を追加したり、仕様を変更したりすることが可能です。それによってビジネスの変化にスピーディーかつ柔軟に対応でき、ビジネスリスクの軽減にもつながります。また、自社で必要な機能を選ぶことで、より自社に合ったERPを構築することが可能です。

スモールスタートが可能

いきなり大がかりなシステムを導入するのではなく、最初は必要な部分だけを選んでシステムを構築して導入できます。いわゆる「スモールスタート(最初は最小限のシステムで始めること)です。導入後にシステムを再構築したり、機能を追加したりすることもできます。

自社に合ったERPを選定するためのポイント

一般的に、導入するERPを選定する場合は導入形態やカバーする範囲などをポイントに選択することが可能です。
コンポーザブルERPは、基本的にクラウド型で提供され、導入範囲は自社で決めることができます。コンポーザブルERP選定におけるポイントを解説します。

目的の明確化

何のためにERPを導入するのか、ERPを導入することで企業をどのように変化させたいのかを明確にし、そこから、どのERPが合っているのか、どのような機能が必要なのかを絞り込んでいきましょう。システムを導入することが目的になってしまうと、導入してから社内に浸透しなかったなどの失敗が起きてしまう可能性があるため、目的を明確化すると同時に、関係者と認識をそろえておくことも重要です。

適用範囲の明確化

一度にすべてのシステムを移行しようとすると負担が大きく、現場の混乱を招いてしまう可能性もあるため、現在の業務フローや各業務にかかっている工数を洗い出し、優先度の高い業務から適用範囲を広げていきましょう。

コストと機能のバランス

ERPに限らず、新しいシステムを導入するときにはコストと機能のバランスが重要になります。とくに重要なのが次の2点です。

  • 自社の規模感に合ったコストか
    自社の企業規模から、必要なシステムの規模を検討します。グローバル対応が可能な大型システムが必要なのか、必要最小限のコンポーザブルERPでも十分なのかを考えましょう。
  • 自社の規模感に合った機能か
    自社が必要とする機能を満たすためには、どの部品を組み合わせて導入すればよいのかを検討します。業界により特定の機能が必要な場合は、その機能があるかも確認しましょう。

使いやすさやサポート体制

ERPは、多くの社員が操作するシステムです。操作性やインターフェースが現行のシステムと比べてどうかなど、使いやすさもポイントになります。試用期間で使いやすさを確認し、つまずきやすい部分を集めておきましょう。
導入後の運用保守には何が必要か、自社の人員だけで運用できるか、ベンダーのサポートは必要か、ベンダーのサポート体制はどうかなども確認します。

まとめ

ひとことでERPと言っても、統合型やコンポーネント型などカバーする範囲が異なっていたり、提供する形態が異なっていたりと、さまざまなサービスが提供されています。そのため、どのERPを選べばよいのかわからなくなるかもしれません。
その際は、アドオンなどで多彩な機能を追加できて、より柔軟性が高く、自社に合わせて必要な機能を導入できるコンポーザブルERPがおすすめです。
自社に合ったERPを選ぶためには、まず自社の課題やニーズを整理したうえで、導入目的や優先順位を明確にしましょう。

よくある質問

コンポーザブルERPとは?

機能を部品に分け、アドオンなども組み合わせて構築できるERPです。

コンポーザブルERPのメリットとは?

柔軟性と拡張性の高さ、スモールスタートが可能なことが挙げられます。

自社に合ったERPの選び方とは?

導入目的の明確化、適用範囲の明確化、コストと機能、使いやすさやサポートを重視して選びます。


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