- 作成日 : 2023年2月3日
ERPの連携機能を活用した業務改善 | システム間の自動連携や外部とのAPI連携について解説

ERPの特徴の1つが、強力な連携機能です。業務システムのデータを統合してリアルタイムに連携できます。また、ERPの内部だけでなく外部のサービスともAPI連携が可能です。この2つの連携機能を活用することで、業務の効率化と自動化を実現し、大きな業務改善につながります。ここでは、ERPの連携機能とその活用方法についてご紹介します。
目次
ERPとは
ERP(Enterprise Resource Planning)は、「統合基幹業務システム」とも言います。企業内のすべての業務システムを連携し、従来は業務システム別に運用していたデータベースも統合したものです。
データベースの統合により、すべてのデータを一元管理できるようになり、強力なデータ連携機能を実現します。それによって、業務効率化や自動化、経営資源の運用の最適化、リアルタイムな現状把握などが可能になります。
クラウド型とオンプレミス型
ERPは提供形態でクラウド型とオンプレミス型に分けることができます。
クラウド型ERP
クラウド型ERPは、クラウドサービスとして提供されるERPです。イニシャルコストが低く、導入にかかる時間も少ないため、手軽に導入できます。ただし、カスタマイズの余地はあまりありません。
クラウドサービス上でデータベースを一元化しているため、システム内部のデータ連携も十分に活用できます。外部サービスとのAPI連携機能も豊富に用意されています。クラウド型ERPはアップデートが頻繁に行われるので、API連携できる外部サービスの追加も容易です。
オンプレミス型ERP
オンプレミス型ERPは、社内にサーバーを設置し、システムをインストールして利用するERPです。サーバーや回線、接続機器などのハードウェア、またOSやミドルウェア、アプリケーションなどのソフトウェアも社内で用意しなければなりません。そのため大きな初期費用がかかりますが、カスタマイズは自由に行うことができます。
社内サーバー上でデータベースを一元化しているため、システム内部のデータ連携も十分に活用できます。また強固なセキュリティも確保することが可能です。
外部サービスとの連携機能は、システムによりますが、クラウド型同様、豊富に用意されています。ただしクラウド型ERPよりもアップデートの回数は少ないため、連携できる外部サービスの追加はしにくくなります。
統合型とコンポーネント型
ERPは、カバーする業務システムの範囲によって、統合型、コンポーネント型、業務システム型などに分類できます。ここでは、よく使われている統合型ERPとコンポーネント型ERPをご紹介します。
統合型ERP
統合型ERPは、会計・販売・人事・給与など、企業に必要なすべての業務をカバーしたERPです。すべての業務システムを統合したものとも言えます。必要な部分のみを選んで使うことはできません。
すべての業務システムを統合することで、すべてのデータを一元管理でき、強力でリアルタイムなデータ連携が可能です。ただし、いくつもの業務システムの範囲をカバーしているので、大規模なシステムになります。そのため、多くの支社や海外拠点のある大企業に向いており、導入のコストや時間もかかるのがデメリットです。
コンポーネント型ERP
コンポーネント型ERPは、コンポーネント(部品)と呼ばれる単品の業務システムを組み合わせて使うERPです。コンポーネントは、営業、生産、会計など単品の業務システムのような形になっています。
自社に必要な最小限の機能だけを選んで利用することができるので、導入のコストや時間を節約することができます。最小限のシステムで導入し(スモールスタート)、後から他のコンポーネントを追加することも可能です。
しかし、管理できるのはコンポーネントを導入している業務だけとなるため、すべてのデータベースを一元管理することはできません。データ連携もコンポーネントを導入した部分に限られるため、他の業務システムを利用している業務については外部サービスとの連携として扱うことになります。
ERPの連携機能とは
ERPの連携機能には、システム間の自動連携機能と、外部サービスとのAPI連携機能の2種類があります。
システム間の自動連携
ERP内部で行われる自動連携機能です。ERP内部ではデータベースが統一されているため、リアルタイムに自動連携されています。
例えば、勤怠管理システムのデータはリアルタイムに給与計算システムに取り込まれ、自動的に毎月の給与計算を行うことができます。また、販売管理システムと会計システムが連動し、売上を自動的に記帳することも可能です。
外部とのAPI連携
API(Application Programming Interface)を利用して、必要なタイミングで外部サービスとデータをやり取りできる機能です。ERPの外部、他のサービスやソフトウェアとの連携を行うことができます。APIは、アプリケーションやサービス間で互いの機能やデータを利用するためのインターフェースです。API連携が可能なソフトウェアや外部サービスは、ERPにより異なります。
例えば、社内でERP以外のシステムを利用している検収データをERPの在庫管理システムと連携させてデータを自動的に入力することができます。また、銀行やクレジットカード会社のサービスと連携して、データを会計システムに取り込むことも可能です。
「API連携」については、次の記事を参考にしてください。
ERPの連携機能を活用することで実現できること
ERPの連携機能には、さまざまなメリットがあります。うまく活用すれば次のようなことも実現できます。
業務プロセスの自動化
ERPを導入すれば、カバーしている範囲の業務システムを連携させて、さまざまな処理を自動化できます。
例えば、受注・生産・販売・在庫管理の業務システムを連携させることで、製品の受注から生産、販売、納品までのデータが連動して自動的に入力され、そのプロセスに伴う伝票処理も自動化されます。
こうしたデータ連携機能は、従業員がデータ入力する手間を最小限に抑え、作業時間を短縮することができます。また、転記によるヒューマンエラーの防止にもつながり、大きな業務効率化が実現できます。
業務の標準化
ERPをできるだけ多くの業務で利用することで、導入した業務に関しては共通のシステムを利用することになります。従来は、業務ごとに異なるシステムを利用しているところも多く、異なる伝票処理を行っていたり、データの形式が違ったりしていたところも多かったでしょう。しかしERPを導入することで、データ形式や業務フローを統一することができます。これは、業務の標準化につながります。
業務の標準化により、業務プロセスは可視化され、業務の属人化を防ぐことができます。作業レベルが均質化され、ミスや抜け漏れを発見しやすくなるほか、無駄な作業を発見しやすくなり、業務改善につながるという効果もあります。
情報の一元管理
ERPを導入することでデータベースを統合し、情報を一元管理してリアルタイムに情報共有ができるようになります。この結果、大きな業務効率化が実現するだけでなく、リアルタイムに企業の現状を可視化することもできるようになり、スピーディな意思決定やガバナンスの強化にもつながります。
まとめ
ERPには、大きな特徴として、2つの強力な連携機能があります。ERP内部で行われるシステム間の自動連携と、ERPと他のソフトウェアや外部サービスとの間で行われる外部とのAPI連携です。
ERPの連携機能を利用することで、多くの業務を効率化できるだけでなく、業務プロセスの自動化、業務の標準化、情報の一元管理などを実現できます。それによって、大きな業務改善につながります。

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株式会社藤井大丸 会計課 上杉様
よくある質問
①ERPの連携機能とは?
ERP内部でのデータ連携や外部サービスとのデータのやり取りを行います。
②ERPの連携機能にはどんな種類があるか?
ERP内部で行われる「システム間の自動連携」と、外部サービスとの間で行われる「外部とのAPI連携」があります。
③ERPの連携機能でなにができるのか?
業務効率化、業務プロセスの自動化、業務の標準化、情報の一元管理などが可能です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。