- 更新日 : 2024年7月16日
CHO・CHROとは?人事部長との違いは?役割や必要な能力を解説
CHO・CHROとは、企業における経営幹部としての最高人事責任者のことです。経営幹部としての経営戦略と人事責任者としての人事戦略をつなぎ合わせて推進していく役割を担っています。
本記事では、CHO・CHROの役割や求められる能力を解説するとともに、人事部長との違いについても解説します。
目次
CHO・CHROとは?
CHO・CHROとは、経営幹部の一員として、企業における重要な人事に関するすべての戦略や施策を企画して実行する最高責任者のことです。
最近の労働環境の変化や価値観の多様化など、経営における環境の変化に対応していくためには、経営戦略と人事戦略を一体化していく必要があります。そのため、CHO・CHROという役職が、重要な役割を担っているのです。
CHOとCHROに違いはある?
CHOは、「Chief Human Officer」の略語です。一方、CHROは、「Chief Human Resource Officer」の略語です。どちらも訳すと「最高人事責任者」という意味であり、両者に明確な違いはなくほぼ同じ意味と考えてよいでしょう。
人事部長との違い
CHO・CHROと人事部長の違いは、経営幹部としての立場が有るか無いのかという点です。人事部長とは、採用活動、人材の教育、人事評価などの人事管理全般における実務的な責任者です。一方、CHO・CHROとは、人事管理全般の実務的なことだけでなく、経営的な視点から人事戦略や施策を企画し実行していきます。
日本のCHO・CHROの現状・割合
CHO・CHROの導入企業は、現状2割程度です。これから導入する予定の企業を含めても3割程度しかなく、まだまだ少ないといえます。ただし、従業員5,000人以上の大企業については約半数がCHO・CHROを導入しており、大企業にとってはメリットが大きいと考えられます。
CHO・CHROの役割
CHO・CHROには、最高人事責任者としての様々な役割があります。本項では、CHO・CHROにはどのような役割があるかについて解説します。
① 人事観点からの経営戦略および経営のサポート
CHO・CHROの役割は、今までの知識や経験を用いて経営戦略が計画通りに推進されるように、人事に関する観点から経営をサポートすることです。また、人事戦略の立案や実行を通して経営戦略への進言や提案などを行い、人事のプロとしての知識や経験を企業経営に生かしていくこともCHO・CHROの役割です。
➁ 人事施策の推進および進行管理
経営戦略や人事戦略に基づいた人事施策の進捗管理を行うことも、CHO・CHROの役割です。人事施策により企業の生産性向上に対する効果を上げられたかどうかを随時チェックして、課題があれば対策を考えて適切に処理をしていきます。
③ 評価制度の構築
企業の経営戦略に基づいた人事評価制度を構築することも、CHO・CHROの大切な役割です。しかし、経営戦略だけを強調する人事評価制度では、従業員側が適切な評価を受けられずに不満につながるケースもあります。このような課題があれば、人事評価制度を随時整備していきます。
④ MVVCの浸透を支援
MVVCとは、「Mission」「Vision」「Value」「Creed」の頭1文字を合わせた略語で、企業の経営方針、経営理念などを示した言葉です。このような企業のMVVCを社内に浸透させていくことも、CHO・CHROの役割です。
MVVCの浸透によって、企業全体が同じ方向に進んでいき、職場の働きやすい環境作りが行われることで、従業員のモチベーションアップにもつながります。
⑤ 社員の育成体制を構築
経営戦略に即した人材の育成体制を構築していくことも、CHO・CHROの重要な役割です。経営戦略を実行するために必要な人材育成を行い、将来の経営層になり得る人材を育てていきます。
経営戦略に沿った人材の採用や育成をしていくためには、そのための人材育成計画を立てて、キャリアアップの仕組みをつくることも必要です。
CHO・CHROになるためには資格は必要?
CHO・CHROになるために、必ずしも特定の資格は必要ではありません。ただし、最高人事責任者として、人事・労務の専門知識、人事マネジメントのスキルは必要です。また、CHO・CHROは経営幹部としての側面もあるため、経営スキル・コミュニケーションスキルも必要になります。
CHO・CHROに求められる能力
CHO・CHROとしての任務を遂行していくには、人事の最高責任者としての能力とともに、経営幹部としての能力も必要です。本項では、CHO・CHROとしてどのような能力を求められるかについて解説します。
経営の知識・戦略立案のスキル
CHO・CHROは、人事の最高責任者として経営にも関与するため、経営の知識や戦略立案のスキルが必要です。
自社の経営方針や事業方針をよく理解して適切な経営戦略を立案するには、経営の知識に加えて実践的な戦略立案のスキルが求められます。そのため、自社内部だけではなく市場や業界動向などの周辺状況を把握して、情報収集や関連知識のインプットは常に行わなければなりません。
人間関係構築・コミュニケーションスキル
CHO・CHROは、人事の最高責任者として従業員を含めた全社的な管理や指導をしなければなりません。そのため、経営側と従業員の調整役として、両方との人間関係を構築するために、コミュニケーションスキルを高める必要があります。
コミュニケーション能力の高さが、従業員の本音や気持ちを引き出して経営戦略に活かすことにつながるのです。
人事労務に関する幅広い知識
CHO・CHROは人事の最高責任者であるため、人事労務に関する幅広い知識や経験が必要です。労働法などの法的な内容も熟知しておく必要があり、法改正や最近の人事に関わる状況も把握しておかなければなりません。人材育成に関しても、様々な手法や知識を知っておく必要があります。
マネジメントスキル
CHO・CHROは人事の最高責任者であるとともに、経営幹部でもあります。そのため、人事だけでなくすべての部署についても精通していなければなりません。すべての部署についての役割、必要なスキル、課題も把握する必要があり、豊富なマネジメントスキルが必要です。
課題解決能力
CHO・CHROは、企業の経営幹部や人事の最高責任者として課題を解決する能力が必要です。特に人事においては、専門家として客観的に課題を見つけて分析し、効果的な解決策を立案して実行するスキルが求められます。
CHO・CHROを育てる方法
CHO・CHROには、人事労務に関する知識、経営の知識、戦略策定能力などの能力が必要です。これらの能力を持ったCHO・CHROを育成していくためには、長期間の育成計画が必要になります。本項では、CHO・CHROを育てる方法について解説します。
複数部門を経験させる
CHO・CHROには、人事労務だけでなく経営に関する知識や戦略策定能力が必要です。これらの能力を身につけるためには、人事だけでなく様々な部門の経験を積んでいく必要があります。様々な部門でのマネジメント経験をすることで、CHO・CHROとして活躍する人材を育てることができます。
トライ&エラー思考を習得させる
CHO・CHROは、様々な場面で迅速に適切な対応をしなければなりません。迅速で適切な対応力を身につけるためには、トライ&エラー思考を習得する必要があります。
トライ&エラー思考とは、とにかく行動をしていき失敗することで、改善を繰り返してクオリティーを上げていく方法です。トライ&エラー思考により、様々な場面で迅速に適切な対応ができるようになります。
CHO・CHROの導入事例企業
CHOを比較的早期に導入した企業として、株式会社サイバーエージェントが挙げられます。株式会社サイバーエージェントでは、CHOの導入により従業員と職務とのミスマッチを早く見つけられる制度を構築しました。
社員を大切にする会社を目指して「実力主義型の終身雇用」を提唱。自社の現部署での勤務1年以上で、希望する他部署やグループ会社に異動できる「キャリチャレ」なども導入しています。このような取り組みにより、離職率がCHRO導入前の30%前後から10%前後にまで改善しています。
参考:3分でわかるサイバーエージェント~組織戦略編|サイバーエージェント
CHO・CHROの導入により人事戦略、経営戦略の構築が図れる
現状日本では、CHO・CHROを導入している企業は多くありません。しかし、CHO・CHROの導入により人事戦略、経営戦略が構築されて、企業成長や企業満足度が高くなります。経営戦略と人事戦略を構築して成果を上げたい企業は、CHO・CHROの導入を検討するのもよいでしょう。
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