• 作成日 : 2024年11月20日

BPOとBPRの違いとは?業務効率化のための最適アプローチを比較

ビジネス環境が急速に変化する中で企業の競争力を保ちつつ成長するためには、効率的な業務運営とコスト削減が求められるでしょう。その手法として代表的なものに、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)が挙げられます。

BPOとBPRでは、目的やアプローチがそれぞれ異なります。本記事では両者の違いと選択基準に加え、その他の業務効率化手法についても紹介し、どの方法が最適かを判断するための指針を提供します。

BPOとは

はじめに、BPOとBPRの特徴を解説します。本章では、まずBPOについて取り上げます。

BPOの目的と分類

BPOは、企業が特定の業務プロセスを外部に委託することで効率化を図る手法です。主にコア業務ではない部分を外部の専門業者に任せることで、社内のリソースをコア業務に集中させることが目的となります。

またBPOは、大きくフロントオフィスBPOとバックオフィスBPOに分類できます。

  • フロントオフィスBPO:カスタマーサポートやマーケティング、営業支援など、顧客に接する業務の効率化
  • バックオフィスBPO:経理、給与計算、IT管理、法務サポートなど、内部管理業務の効率化

BPOのメリット

BPOを導入するメリットには次の3点が挙げられます。

  1. コスト削減:人件費や設備投資の削減、特に、ITインフラの運用コストやバックオフィス業務の固定費変動費に移行可能
  2. 専門性の活用:外部業者は各分野のノウハウを持っており、内製化よりも効果的な業務推進が可能
  3. 柔軟性の向上:業務量に応じて委託範囲や規模を柔軟に調整できるため、成長期や市場変化への迅速な対応が可能

BPOの課題

一方でBPOにはデメリットも存在します。デメリットとしては、下記の2つが挙げられるでしょう。

  1. 品質管理やセキュリティの不安:外部業者への依存度が高まることで、品質管理やセキュリティ面での課題が生じる可能性
  2. ノウハウが蓄積されない:外部委託が進みすぎると、ノウハウが蓄積されにくくなる

BPOについての詳しい解説は、次の記事をご参照ください。

BPRとは

続いて、BPRの特徴について解説します。

BPRの目的とプロセス

BPRは、業務プロセスをゼロから見直し再設計することで、業務全体の効率を最大化する手法です。業務全体を根本的に変革することを目指し、特に競争優位性の確立や市場環境の変化に対応することに効果を発揮します。

BPRのプロセスは、主に次のステップで進められます。

  1. 業務分析:業務フローを分析し、無駄や重複しているプロセスを特定
  2. 再設計:プロセスの無駄を削ぎ落とし、必要なリソースやテクノロジーを取り入れて再設計
  3. テクノロジーの活用:AI・ビッグデータなどの最新技術を導入し、業務を自動化・効率化
  4. 変革管理:組織の抵抗を最小限に抑えながら、新プロセスを定着させるための管理と教育を実施

BPRのメリット

BPRを行うメリットには次の2点が挙げられます。

  1. 大幅な効率改善:従来のプロセスでは実現できなかった革新的な業務フローにより、業務スピードの向上やコスト削減が可能
  2. 競争力の強化:競合他社に対する差別化要因の創出に寄与

BPRの課題

その反面、BPRを行う際の課題も2つ存在します。

  1. 不確実性の高さ:大規模な変革を伴うため導入に時間がかかり、失敗のリスクも高い
  2. 従業員の反発:新プロセスに適応するまでに抵抗が生じることもあり、慎重な管理が必要

BPO・BPR以外の業務効率化・コスト削減手法

次に、BPOやBPR以外の業務効率化・コスト削減の手法を紹介します。

シックス・シグマ

シックス・シグマは、業務プロセスの欠陥を極限まで減らし、効率を最大化する手法です。

統計分析を活用し、データに基づいて業務改善を行う点が特徴です。主に製造業で活用されますが、近年ではサービス業やIT業界でも導入が進んでいます。

LEAN(リーン)方式

LEAN方式は、無駄を徹底的に排除し、資源を効率的に活用するための手法です。

業務プロセスを可視化し、価値を生まない活動(無駄)を排除することが中心的なアプローチで、製造業のみならず、小売業やサービス業でも広く活用されています。

PDCAサイクル

PDCAサイクルは、継続的な改善を目指す手法です。業務の計画、実行、評価、改善を繰り返すことで、プロセスの効率化を図ります。

特に小規模な改善を継続的に行う際に有効であり、組織全体の柔軟な改善が可能です。

ゼロベース予算

ゼロベース予算は、各年度やプロジェクト開始時に全ての費用をゼロから再評価する手法です。これにより、固定費や無駄な支出を排除し、コスト削減を達成できます。

特に無駄なリソースの利用や非効率な施策を整理し、最も効果的な資源配分を可能にします。

BPOとBPRの違いと選択のポイント

最後に、BPOとBPRの違いと、適切な手法を選択するための判断基準を解説します。

BPOとBPRの違い

BPOとBPRの違いをまとめると、次の表のとおりになります。

項目BPOBPR
目的ノンコア業務の外部委託による効率化業務プロセスの根本的な再設計による効率化
適用業務例経理、人事、ITサポート、カスタマーサポート製造、マーケティング、製品開発、サービス提供
アプローチ外部の専門業者に業務を委託業務フロー全体をゼロから再設計
実現スピード短期間で導入可能長期間の計画と導入が必要
コスト委託範囲に応じた大小の委託費用が発生初期投資やコンサル費用が高い
課題品質管理やセキュリティの不安、ノウハウが蓄積されない不確実性の高さ、従業員の反発
効果の期間短期的な効果が得やすい長期的な業務効率化と競争力強化が狙える

選択基準

上記の比較を踏まえた上で、BPOとBPRのどちらが適切かを検討するためのポイントとして、主に5点が挙げられます。

業務の戦略的重要性

BPOはノンコア業務に適しており、企業の中核的な戦略に直接関わらない業務で導入することが有効です。

これに対してBPRは、戦略的に重要な業務、例えば製造プロセスやマーケティング戦略の再設計など、企業の競争力に直結するプロセスに適用すべきといえます。

コストとROI

BPOは比較的低コストで導入可能で、即時的なコスト削減効果が得られることが多いです。

一方BPRは、初期投資やコンサルティング費用が生じ、投資回収までに時間がかかります。しかし成功すればBPRの効果は長期的に続くため、最終的なROIは高くなりやすいです。

導入スピード

BPOは外部業者との契約さえ整えば、短期間で導入が可能です。急な業務量の増加やリソース不足に対応するための短期的な解決策として有効でしょう。

BPRは長期的な施策であり、導入には時間を要するため、短期的な成果よりも根本的な業務プロセスの改善が必要な場合に適切です。

リソースの活用

BPOは社内リソースを節約し、よりコア業務に集中するための手法です。リソースが限られている企業では、外部の専門知識を活用することでコア業務に集中できるようになります。

BPRは社内リソースを最大限に活用し、業務プロセスを再設計して効率化を図るため、企業内部の能力やスキルが求められます。

リスク許容度

BPOは、業務の処理を外部業者に依存するというリスクがあるため、品質管理やセキュリティリスクを十分に管理できる仕組みが必要となるでしょう。

BPRは、変革自体がリスクを伴いますが、計画的な実施と管理が成功を左右します。特に、従業員の抵抗や適応に対する対応策が不可欠です。

まとめ

BPOとBPRは、企業の業務効率化とコスト削減を目指す際に強力なツールですが、そのアプローチと適用範囲は異なります。

BPOは、企業がノンコア業務を外部委託し、迅速に効果を得たい場合に適している一方で、BPRは業務プロセスの抜本的な見直しを通じて、長期的な競争力向上を目指すための手法となります。

これらの手法を適切に選択し、場合によっては両者を組み合わせることで、企業は効率的で柔軟な運営を実現できるでしょう。


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