- 更新日 : 2024年7月16日
インクルージョンとは?意味や近年推進されている背景を紹介
インクルージョンは包括性の意味で、誰しもが社会・組織の一員として包括されるべきことを指します。ダイバーシティ(多様性)やエクイティ(公平)とともにDE&Iとして、労働力不足解消や企業価値向上の必要性を背景に、企業に推進が求められています。DE&I推進は企業に従業員エンゲージメントを高めるメリットをもたらします。
目次
インクルージョンとは?
インクルージョンとは「包括性」や「包括的」を意味し、多様な人々がそれぞれの個性を尊重されて社会・組織の一員として属している状態を指して用いられます。障害を持っている人と持っていない人を分けずに混在させた状態で教育することを「インクルーシブ教育」と言うように、おのおの異なる人が互いに尊重している状態を指しています。
ビジネスの場でも近年よく用いられるようになった言葉で、企業内や組織内において、女性や外国人労働者、障害者、性的マイノリティなどの少数派であっても多数派から迫害などを受けることなく、おのおのがそれぞれの個性が尊重されている状態で働くことを目指して働けるような取り組みを指します。
ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DE&I)の3つはセットとして使用される
インクルージョンの言葉は、ダイバーシティやエクイティと一緒に用いられます。ダイバーシティは「多様性」と言う意味を持つ言葉です。ダイバーシティの頭文字から取った「D」と、インクルージョンの頭文字を取った「I」を組み合わせて「D&I」として、多様性を認めて、それぞれの個性が尊重される仕組みをつくる取り組みとして、広く用いられてきました。最近はエクイティの「E」を加え、「DE&I」と用いることが多くなっています。
それぞれの言葉の意味
「DE&I」は「D&I」にエクイティの「E」を加えた言葉です。エクイティは英単語の「Equity」を和訳し、公平を意味します。さまざまな特性を持つ人が公平な取り扱いを受けられるよう、それぞれに異なる必要な支援を行うべきだとする考えがエクイティに該当します。
エクイティと同様に「公平」と和訳される英単語にイクオリティがありますが、イクオリティは全員に対して同じ支援を行って公平を担保しようとする考え方であるのに対し、エクイティは個人の特性に応じた支援を行うことで公平を担保しようとする考え方である点で異なっています。
ダイバーシティ・多様性を意味する「D」、エクイティ・公平を意味する「E」、インクルージョン・包括性を意味する「I」から構成される「DE&I」は多様性を認めて、それぞれの個性が尊重され、公平が担保される仕組みが整っていること、または仕組みを整えるための取り組みを意味しています。
いまなぜDE&Iが注目されているのか?
近年、DE&Iは注目を集め、ほとんどの大企業ではすでに取り組みが進められています。DE&Iが社会的に注目され、企業が続々と取り組んでいる理由には以下の点が考えられます。
- 労働力不足解消につながるから我が国はさまざまな施策を行うも少子高齢化が進む状況は変わらず、将来は労働人口が減少して労働力不足になるという問題を抱えています。企業もあらゆる努力をして、事業活動を行う上で必要な労働力の確保を図らなければなりません。DE&Iの考え方を会社に取り入れ、有用な制度等を導入し社員教育を行って浸透を図ることは、多様な人材が働きやすい職場づくりに結びつきます。離職を防止し、採用においては他社よりも選ばれる効果が期待でき、労働力不足解消を図ることができます。
- 企業価値が向上するからDE&Iは全世界共通で求められている考え方で、グローバルに事業展開している企業がこぞって取り組みを進めています。世界的な社会問題に対する取り組みをいち早く行うことは、企業価値向上につながります。企業価値が向上すると競争力がつき、ビジネスを成功へと導きます。また企業価値が高い会社には優秀な人材も集まり、前述した労働力不足問題解決も図られます。
企業におけるインクルージョンの推進方法
企業においてインクルージョンを推進する方法の主だったものには、制度・体制の整備と社内の意識改革の2つがあります。制度・体制の整備は、さまざまな個性を持つ従業員が働きやすい職場とするために求められるもので、以下のようなことが考えられます。
- 育児や介護をする場合の休暇制度を手厚くする
- 女性管理職登用制度を設ける
- バリアフリーにする
- 人事評価制度を見直す
インクルージョンは管理職をはじめとする従業員全員が同じ意識を持たなければ、推進できません。このため必要とされるのが社内の意識改革で、具体的には以下のようなものが挙げられます。
- 管理職向けや従業員向けの研修を実施する
- チラシやパンフレットを配布する
インクルージョンを推進するメリット
企業はインクルージョンを推進することによって、従業員エンゲージメントを高めることができます。多様な人材のそれぞれの個性を尊重することは、労働環境の向上につながります。それぞれの従業員が伸び伸びと働け、さまざまに事情を抱える従業員でも自分の望む働き方ができることで、従業員エンゲージメントは高まります。良好な人間関係の構築、離職率の低下、作業能率の向上、業務改善などへとつながり、企業の発展や成長への寄与が期待されます。
従業員全員が働きやすい職場実現のため、インクルージョン推進に取り組もう
インクルージョンは誰もが同じ社会・組織の一員として包括されるべきだという考え方を示す言葉です。多様性が認められるようになる中で、それぞれの個性も尊重されなくてはならないことを意味しています。包括性や包括的と訳され、ダイバーシティ(多様性)やエクイティ(公平)の言葉とともに使われます。
企業がインクルージョン推進を進めると誰もが働きやすい職場環境とすることができます。人材の定着や離職の減少といった効果が期待でき、企業価値の向上や労働力不足解消も図られます。他の言葉とともに意味や求められる背景を理解し、推進に取り組みましょう。
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