- 作成日 : 2023年6月30日
予算管理とは?基本情報や管理手順、効率的な管理方法などを解説

予算管理とは、企業活動における予算の計画や実績把握、改善などの予算にまつわる管理活動のことです。
主な目的は企業利益の確保であり、そのためには定期的に予算の進捗状況を確認することが重要となります。本記事では、予算管理の基本情報や管理手順、効率的な管理方法などについて解説します。
目次
予算管理とは
予算管理とは、企業活動において必要な予算の編成や各事業への配分、執行状況の把握などを行う管理活動のことです。本章では、予算管理の目的や種類、経営管理・予算統制との違いについて解説します。
予算管理の目的
予算管理の主な目的は、企業の利益目標を達成することです。
利益目標の達成に向けて期初に予算計画を立て、期中および期末で予算の実績確認や計画との差分確認などを行います。
もし予算の計画と実績が大きくかけ離れている場合は、関係者間で原因の究明をしたり、対策を検討したりすることも重要となります。
予算管理の種類
企業の予算には、大きく分けて以下の種類があります。
- 売上予算
- 原価予算
- 経費予算
- 利益予算
売上予算
売上予算は、企業の売上目標となる数値です。
前年の売上実績をもとに算出するケースや、商品単価と目標販売数を掛けて算出するケースなどがあります。
原価予算
原価予算とは、材料費などをはじめ製品・サービスを生み出すために必要な原価を見積もった予算です。
売上予算や原材料価格などによって変動するため、市場動向に合わせて定期的な見直しと調整を行うことが重要となります。
経費予算
経費予算とは、企業活動の維持に必要な経費を見積もった予算です。
たとえば、オフィスの賃料や光熱費、広告宣伝費などが挙げられます。
利益予算
利益予算は企業の利益目標を表す数値です。
売上予算から原価予算や経費予算を差し引いて算出します。そのため、売上・原価・経費、それぞれの予算目標を達成することで、利益予算も達成されます。
ただし、いずれかの予算において目標未達となった場合でも、他の予算で利益目標をカバーできることもあります。
たとえば、売上予算の目標を達成できなくても、原価予算や経費予算で未達分をカバーすれば、利益予算を達成することが可能です。
経営管理との違い
経営管理は、予算だけでなくヒトやモノ、情報といった経営上のリソース全体を管理する活動を指します。
そのため、予算管理よりも幅広い視野での管理が求められます。また、予算管理は経営管理の一部に位置づけられます。
予算統制との違い
予算管理と類似する用語として予算統制が挙げられますが、予算管理のほうがより広い意味合いを持ちます。予算管理は予算計画や執行管理を含めた一連の管理活動であるのに対し、予算統制は計画後の進捗状況の管理や差分の原因分析などを指すことが多いです。
予算管理の手順
予算管理の手順は、PDCAサイクルに基づいて説明することができます。
ここでは、予算管理の各手順について、以下の流れで解説します。
- 予算編成を行う(Plan)
- 予算に基づいて事業活動を行う(Do)
- 予算の計画値と実績値の差分を確認する(Check)
- 計画と実績に差分がある場合は、原因分析と対策検討を行う(Action)
予算編成を行う(Plan)
まずは計画(Plan)として、期初に各事業の予算編成を行います。予算編成の主な方法として、「トップダウン方式」と「ボトムアップ方式」があります。
トップダウン方式
社長や執行役員などの経営層が全社の予算計画を立て、各現場に落とし込む方法です。経営層による意思決定・通達となるため、全体最適の視点で予算編成を行い、各現場にスムーズに浸透させられるという利点があります。
一方で、現場の実情を十分にくみ取れていない場合もあり、現場の管理者や担当者の業務負荷が大きくなる可能性も考えられます。
ボトムアップ方式
各部門の現場が予算を積み上げて、最終的な全社予算を組み立てる方法です。現場をよく知る担当者による予算編成のため、実態に即した目標設定が行えるという利点があります。
その反面、全社の予算編成完了までに時間がかかる点や、全社視点での予算の整合・調整が難しくなる点などがデメリットであるといえるでしょう。
予算に基づいて事業活動を行う(Do)
予算編成ができたら、実際の事業活動を行っていきます。
売上や経費、原価、利益などの各項目において、月次や四半期など、各事業に適したスパンで予算実績を確認することが重要となります。
予算の計画値と実績値の差分を確認する(Check)
予算実績を集計できたら、月次や四半期などの単位で期初に立てた計画値との差分を確認します。
原材料の価格変動による原価のズレなどによって、計画値と実績値に差が生じるケースがあるため、各現場において許容できる誤差範囲をあらかじめ検討しておきましょう。
計画と実績に差分がある場合は、原因分析と対策検討を行う(Action)
計画値と実績値に有意な差が生じている場合は、原因分析を行います。
たとえば、計画以上に経費を使っている場合は、オフィスの省エネ対策や出張要否の見極めといった対策を実施します。
また、市場のトレンドなどのマクロ要因によって売上が大きく下がっている場合は、次年度以降の事業撤退なども視野に入れた検討を行うとよいでしょう。
予算管理を効率的に行う方法
予算管理の効率化にあたっては、主に以下の方法が挙げられます。
- エクセルを活用する
- 予算管理システムを活用する
- ERPを活用する
エクセルを活用する
エクセルを使って売上や原価、経費などの予算を管理する方法です。
小規模事業の場合や取り扱う商材がシンプルな場合であれば、エクセルでも問題なく予算管理ができることもあるでしょう。
ただし、エクセルで管理する場合は、特定の担当者による属人的な管理となったり、計算ミスや恣意的な予算変更が生じたりするリスクがあるため、注意が必要です。また、実績との突き合わせを行う際も労力が高くなります。
予算管理システムを活用する
より効率的な予算管理を行いたい場合は、予算管理システムを活用することが有効です。予算管理システムを活用することで、予算編成の自動化や人的ミスの防止、予算管理状況のスムーズな共有ができます。それにより、透明性や持続性の高い予算管理を実現できるでしょう。
ERPを活用する
前述した予算管理システムは、予算管理の効率化においては有効であるものの、基本的には予算管理に特化したシステムとなっています。
予算管理の効率化を実現しつつ、全体最適の視点でデータの一元管理や意思決定の迅速化も図りたい場合は、ERPを導入することが効果的です。
ERPでは、販売や発注、会計など、社内の各種データを一元管理することができ、予算管理システムの役割も内包しています。予算管理と関連する管理会計などにおいても、ERP導入による業務効率化などのメリットがあります。
管理会計においてERPを導入するメリットについては、以下の関連記事も併せてご確認ください。
まとめ
予算管理とは、企業における予算編成や予算実績の確認、改善検討などを行う一連の管理活動のことです。
予算管理の主な目的は、企業の利益目標を達成することであり、そのために売上や原価、経費などの各項目を管理します。
予算管理はPDCAサイクルに沿った手順で実施することが一般的であり、期初に予算編成を行った上で、期中および期末に予算の計画値と実績値の差分を確認します。もし計画と実績に大きな差がある場合は、関係者間で原因分析および対策検討を行うことが重要です。
予算管理を効率化するためには、エクセルや予算管理システム、ERPを活用することが有効な手段となります。中でもERPは、全社最適の視点で社内の各種データを一元管理できるため、予算管理に加えて管理会計の効率化にもつながるでしょう。

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