• 更新日 : 2024年7月12日

レベニューシェアとは?メリット・デメリットや契約のポイントを解説

レベニューシェアとは、発注者側と受注者側で、事業の収益を分配する契約を結ぶ、成果報酬型の契約方式です。

発注者としてはコストやリスクを抑えたビジネス展開ができ、受注者としては継続的な収入の確保につながるという特徴があります。

本記事ではレベニューシェアの概要から他の契約方式との違い、メリット・デメリット、契約時のポイントを解説します。

レベニューシェアとは

レベニューシェアとは、ビジネスにおける成果報酬型契約の形態のひとつであり、事業収益を発注者と受注者が事前に定めた配分率で分け合う契約方式を指します。

この契約形態では、双方がリスクと報酬を共有し、成果や売上に応じて報酬が決定されます。

従来の固定報酬型契約と異なり、契約書に基づいて、事業の成功に伴う収益の増加が受注者にも利益として反映される点が特徴です。

このためIT業界を中心に相場に応じた柔軟なビジネス展開が可能となり、近年注目されています。

レベニューシェアと似た契約形態との違い

続いて、レベニューシェアと似た他の契約形態との違いを解説します。

プロフィットシェアとの違い

レベニューシェアとプロフィットシェアはどちらも成果報酬型の契約ですが、レベニューシェアは事業の「売上」を、プロフィットシェアは売上から経費を差し引いた「利益」を分配対象とします。

レベニューシェアでは、売上が発生すると経費の大小にかかわらず受注側に報酬が支払われますが、プロフィットシェアでは利益が出なければ報酬は発生しません。

つまり、レベニューシェアは受注側のリスクが低く、プロフィットシェアは発注側のリスクが低いということになります。

ロイヤリティとの違い

ロイヤリティは、特許権や商標権などの知的財産権の利用に対する報酬を指す点で、契約形態を示すレベニューシェアやプロフィットシェアとは異なります。

ロイヤリティは、ノウハウやブランド名などを利用する権利の対価として支払われます。支払い方式は、売上に基づくものや利益に基づくものなどがあります。

ロイヤリティは特定の権利の使用に対する対価として支払われるため、契約の性質が異なります。

レベニューシェアのメリット

ここからは、レベニューシェアのメリットを解説します。

発注者側

まずは発注者側のメリットを解説します。

コストを抑えて事業を開始できる

発注者にとってレベニューシェアは、初期投資を大きく抑えられるというメリットがあります。

契約に基づいた成功報酬型の枠組みを取り入れることで、固定報酬型の契約に比べて新規事業の立ち上げに必要な費用を低減できます。

資金が限られている中小企業でも新規事業の立ち上げに挑戦しやすくなり、ビジネスチャンスを広げることが可能です。

事業失敗時のリスク低減が可能

レベニューシェア契約では、事業が想定通りに進まなかった場合でも、発注者の負担は最小限に留まります。

契約によっては初期費用がほとんどかからない、または全くかからないケースもあるため、固定報酬契約で想定されるような大きなリスクを回避できます。

受注者側

続いて、受注者側のメリットを解説します。

継続的な収入源の確保

受注者にとって、レベニューシェア契約の最大のメリットは、ビジネスが成功すれば、長期にわたって安定した収入を得られることです。

一度の契約で継続的な報酬が見込めるため、従来の一回きりの報酬モデルと比較して受注者のモチベーションが高まります。

スムーズな成約が期待できる

レベニューシェアモデルは発注者にとって魅力的であるため、提案から成約に至るプロセスがスムーズになることが期待できます。

初期投資のリスクが低いため、発注者は新しいビジネスモデルや提携に対してより積極的に、より寛容になります。

これによって受注者は契約を獲得しやすくなり、新規ビジネスへの参入機会が増加します。

レベニューシェアのデメリット

続いて、レベニューシェアのデメリットを解説します。

発注者側

まずは発注者側のデメリットを解説します。

長期的に報酬を支払う必要がある

レベニューシェア型の契約では、ビジネスが成功し収益が上がるほど、開発側に支払う報酬も増加します。

契約期間が長期にわたる場合、従来型の契約と比較した際のコスト増加は、財務計画に大きな影響を与えることが予想されます。

意思決定スピードが遅くなる

レベニューシェア契約は、発注者と受注者が密接な協力関係にあり、ビジネス展開にあたっては双方の合意が必要です。

これはビジネスの意思決定のスピードが遅くなる原因となり、市場の変動が激しい業界では大きなデメリットとなります。

合意形成に時間がかかる場合、ビジネスの機動性が低下する懸念があります。

受注者側

一方で、受注者側のデメリットは以下のとおりです。

リターンがコストに見合わない可能性がある

レベニューシェア契約では、事業が成功して売上が伸びるまで受注者は報酬を得られません。

初期投資の回収に時間がかかるだけでなく、事業が期待通りに進まなかった場合は投じたコストに対して十分なリターンが得られないリスクがあります。

コストの回収には時間が必要

受注者側が初期投資を負担する場合、コスト回収はビジネスが軌道に乗るまで待たなければなりません。

レベニューシェア契約は予測不可能なビジネスの将来性に賭けることもあり、その成功は保証されていないため、コストの回収までの期間は受注者にとって大きな不確定要素となります。

レベニューシェア契約のポイント

本章では、レベニューシェア契約のポイントを紹介します。

発注者・受注者間で信頼関係を築く

レベニューシェア契約においては、双方が互いに信頼し、長期的な視点で協力することが重要です。

信頼関係を築く上では、透明性の高いコミュニケーションを心がけ、定期的な進捗報告の実施が効果的です。

また、互いのビジネスモデルを深く理解し、共に成長する意志を持つことが大切です。

契約内容を明確にする

契約書は、双方の権利と義務を明確に定めるために大切なものです。

契約内容には、業務範囲、報酬の分配比率、契約期間、解約条件など、具体的な内容を詳細に記載する必要があります。

また、市場の相場を踏まえた公正な条件で契約を結ぶことが双方の満足につながります。

これにより、将来的な誤解やトラブルを防ぎ、スムーズなビジネス運営を実現できます。

シナジーを生み出せる選択をする

レベニューシェア契約を結ぶ際には、相乗効果が期待できるパートナー選びが重要です。

相手が持つ技術やノウハウ、顧客基盤などが自社のビジネスとどのように結び付けられるかを慎重に検討した上で、共に成長できる関係を結ぶことが理想的です。

レベニューシェア契約の成功には、双方にとってプラスとなるシナジー効果の最大化が不可欠です。

レベニューシェアの事例紹介

あべのハルカスとパナソニックインフォメーションシステムズは、展望フロアや美術館の入退場管理システムの開発において、レベニューシェア契約を締結しました。

この契約では、チケットの発券枚数に応じて利益を分配する方式を採用しています。

あべのハルカス側にとっては初期投資を抑えられ、パナソニック側には来場者数に応じた収入が見込めるため、双方にとってメリットがあります。

また、来場者数が予測を下回った場合のリスクを考慮し、機器の転用や改善策の提案などの柔軟な対応が行われています。

まとめ

レベニューシェア契約は受注者・発注者双方にメリットとデメリットがあり、それらを考慮した上での契約締結が重要です。

従来型の契約とコストの支払い方式が大きく異なるため、キャッシュフローのシミュレーションも求められます。

本記事を参考に、契約時のポイントを押さえて、契約を成功させましょう。


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