• 更新日 : 2024年2月21日

業務システムとは?基本から最新トレンドまでわかりやすく解説

業務システムは、企業の業務効率化とデータ管理の品質向上に欠かせないツールです。
利用することで得られる情報の一元化や業務の標準化のメリットにより、日々の業務をよりスムーズに進めることができるようになります。

近年は、AIやクラウドといった新しいトレンドが取り入れられ、業務システムの機能がさらに拡充されています。

本記事では、業務システムの基本から導入のポイント、最新のトレンドまで、わかりやすく詳しく解説します。これから業務システムを導入しようと考えている方にとって、有益な情報となるでしょう。

業務システムとは?

業務システムは、企業や組織の業務プロセスを効率化するために重要なツールです。
この章では、業務システムの主要な機能とその効果について詳しく解説します。

業務効率化のためのツール

業務システムは、企業の日常業務を効率化するためのツールとして機能します。
具体的には、注文管理、在庫管理、顧客情報管理などのさまざまな業務プロセスにおいて活用できます。これにより、作業時間の短縮や操作ミスの削減が可能となり、全体の業務品質が向上します。

データ管理と情報の一元化

業務システムの導入により、企業内の異なる部門やプロセスで生成されるデータを一元的に管理することができます。

情報の一元化により、必要なデータの迅速な取得や共有が可能となり、効率的な意思決定をサポートします。また、情報の整合性も保たれ、業務の進行がスムーズになります。

現代の企業における重要性

内閣府の発表している「令和5年版高齢社会白書」では、2030年には65歳以上の高齢者が人口比率の30%を超え、少子高齢化が今後一層加速するとシミュレーションされています。労働力人口の減少に伴う人的コストの上昇が見込まれる一方で、業務にかかわるコストはなるべく削減しなければならないため、業務の効率化や自動化が求められています。

先述の通り、業務システムは企業のさまざまな業務を効率化し、自動化するためのツールです。
業務システムを用いると、データの一元管理によって情報共有が容易になり、業務の可視化や、意思決定の速度・精度向上などの効果があります。
業務システムを活用することで、業務の可視化・自動化が可能であり、ヒューマンエラーの防止や時間・コストの削減といった業務効率化を目指せるのです。

業務システムの対象範囲

業務システムの対象範囲は、「顧客管理、販売管理、在庫管理、人事・労務管理、経理・財務管理」など、企業が行う業務について幅広く該当します。

上記の業務を管理する際、ERP(Enterprise Resource Planning)のような統合型のシステムを導入することで、全体の業務フローを一元管理することも可能です。
一方で、生産管理システムや人事管理システムなど、業務ごとにシステムを導入するケースもあります。

基幹システムとの違い

業務システムが企業の業務にかかわる作業を効率化するシステムであるのに対し、基幹システムは業務システムの一部です。
基幹システムとは、主に経理・財務管理や販売管理、生産管理など、企業の中心的な業務を管理するシステムを指します。

業務システムは、基幹システムで管理する内容に加え、顧客管理(CRM)や営業管理(SFA)など、企業の業務全般を管理対象とするシステムです。
業務システムは基幹システムよりも広いの意味を持ち、基幹システムを含む概念です。

主要な業務システムの種類と用途

業務システムはそれぞれ、企業のさまざまなニーズに対応するために特有の機能を持っています。
ここでは、主要な業務システムであるERP、CRM、HRMについて詳しく解説します。

ERP (Enterprise Resource Planning)

ERPは、企業の基幹業務全体の効率化を図るシステムです。
購買管理、在庫管理、販売管理、会計などの基幹業務から得られるデータを一元化し、リアルタイムでの情報共有を可能にします。
これにより、迅速な意思決定が可能となり、企業の業務効率や生産性が向上します。
またデータの一元管理により情報の整合性が保たれ、信頼性の高いデータをもとに業務を進めることができます。

具体的な機能

ERPの具体的な機能は、以下のとおりです。

機能概要効果
経理・財務管理会計処理、財務分析、予算管理などを行う。企業の財務状況を正確に把握し、適切な経営判断を下すことが可能となる
製造管理
(生産管理)
生産計画、在庫管理、品質管理などを行う。製造プロセス全体を一元管理することで、生産効率を向上させ、在庫を最適化する。
販売・営業管理見積作成、受注管理、出荷管理、請求管理などを行う。営業プロセスをスムーズに進め、売上を増加させることが可能となる。
人事・労務管理人材採用、人事評価、給与計算、勤怠管理などを行う。人事労務の業務効率化や、人材のマネジメント強化が可能となる。

運用例

ERPを利用することで、生産管理・販売管理・在庫管理・経理管理などを一元化でき、リアルタイムでの情報共有が可能です。
これにより、製品の在庫状況や販売状況、財務状況などを即座にチェックでき、迅速な意思決定を実現できます。

活用することで得られる効果

ERPを導入すると、企業全体の業務プロセスが最適化され、システムごとにデータを重複して入力するなどの無駄な作業を削減できます。
また、ヒューマンエラー防止や各部門間の連携の円滑化など、業務の効率化と品質向上が可能です。

CRM (Customer Relationship Management)

CRMは、顧客との関係を強化し、ビジネスの成果を向上させるためのシステムです。
顧客情報、購買履歴、問い合わせ履歴などのデータを一元管理し、これらのデータをもとに顧客に対するマーケティング活動やサービスの提供を行います。また、顧客からのフィードバックや市場の動向を迅速にキャッチし、ビジネス戦略の最適化に役立てることもできます。

具体的な機能

CRMの具体的な機能は、以下のとおりです。

機能概要効果
顧客情報管理顧客の基本情報、購入履歴などを一元管理する。顧客へのきめ細やかな対応が可能となる。
営業管理見込み客や商談の管理、営業活動の予定管理などを行う。営業の効率化や成果の可視化が可能。
マーケティング管理キャンペーンの設計、実施、結果分析などを行う。マーケティング活動の効果を把握し、最適化することが可能になる。
サービス管理顧客からの問い合わせやクレームの受付、対応、解決までを管理する。顧客対応の迅速化と品質向上が可能。

運用例

顧客の購入履歴や問い合わせ履歴などの情報を一元管理することで、顧客ごとに最適化されたサービス・サポートの提供が可能です。
また、顧客からの問い合わせ・クレームを蓄積することで、高品質なカスタマーサービスをスムーズに提供できます。

活用することで得られる効果

顧客ごとに最適化したサービスが提供できることで、顧客満足度が向上し、顧客の維持・拡大や売上の増加が期待できます。
また、営業やマーケティングの活動が効率化され、その効果の可視化が可能です。

HRM (Human Resource Management)

HRMは、人事業務の効率化を目的としたシステムです。採用、評価、給与、勤怠などの人事に関わるさまざまなデータを一元管理します。
これにより、人事戦略の策定や従業員の管理が効率的に行えます。また、従業員一人ひとりのスキルや経歴、評価データを詳細に管理し、適材適所な人材配置や育成プログラムの設計に活用することができます。

具体的な機能

HRMの具体的な機能は、以下のとおりです。

機能概要効果
採用管理求人情報の公開、応募者情報の管理、選考状況の追跡などを行う。採用プロセスを効率化し、適切な人材を採用することが可能。
勤怠管理出勤・退勤時間の管理、休暇・休日の管理などを行う。労働時間の適切な管理と労働法令の遵守が可能となる。
給与計算給与の計算、賞与の管理、社会保険の手続きなどを行う。給与計算の効率化と正確性の確保が可能。
人材育成研修プログラムの管理、社員のスキル管理、キャリア開発の支援などを行う。従業員の成長を支援し、組織のパフォーマンスを向上することにつながる。

運用例

HRMシステムを用いることで、社員のスキルを一元的に管理でき、プロジェクトごとに最適な人員配置ができます。
また、研修プログラムの管理や社員のキャリア開発支援によって社員のスキルアップを促進でき、企業の競争力を強化することが可能です。

活用することで得られる効果

HRMシステムを活用すると、人事業務の効率化や人材の最適な配置ができ、従業員満足度の向上が期待できます。
また、従業員が自身のキャリアをイメージしやすくなり、モチベーション向上にもつながります。

業務システムを活用するメリット

業務システムの活用は、企業の業務プロセスを劇的に改善する多くのメリットをもたらします。

業務プロセスの標準化

システムの導入により、業務手順やルールが統一され、業務の質が均一化されます。
これにより、企業全体の作業効率が向上します。

自動化によるエラー削減

業務システムの自動化機能は、人為的なミスの削減に大きく寄与します。特定の作業をシステムが自動で行うことで、入力ミスや計算ミスなどの基本的なエラーを減らすことができます。具体的には、店舗やECの売上などを業務システムに自動で取り込んだり、在庫が一定数を下回った際に自動発注を行うといったことができます。

業績の可視化

業務システムは業績の可視化もサポートします。ダッシュボードやレポート機能を通じて、業務の進捗や成果をリアルタイムで確認することができ、迅速な意思決定や改善施策に役立てることができます。

データの一元管理

必要なデータを一か所で管理することで、情報のアクセス性が向上し、各部門が必要なデータをリアルタイムに共有できるようになります。
これにより、企業全体のコミュニケーション効率が向上し、業務プロセスをよりスムーズに進行することができます。

業務システムの選定ポイント

業務システムの選定と導入は、企業の業務効率化やデータ管理の最適化に向けた重要なステップです。ここでは、選定のポイントを解説します。

システム要件への適合度

業務システムを選定する上では、自社の目標を達成するために必要な機能が備わっているか否かが大切なポイントです。
例えばIT企業では、プロジェクト管理や開発作業の効率化が重要なため、これらの機能を持つERPシステムがおすすめです。
また、顧客対応や営業活動の効率化を目標とする場合、CRMシステムの導入検討が求められます。
製造業では、生産管理や在庫管理、販売管理などを一元的に管理するERPシステムが適しています。人材管理も重要な課題であるため、HRMシステムの導入もおすすめです。

導入・運用コスト

業務システムを選定する際は、予算とコストパフォーマンスを重視する必要があります。

システムの刷新に際する一般的な導入・運用コストには、以下のような費用があります。

区分詳細
導入コスト・システム購入費用
・ライセンス費用
・初期設定・カスタマイズ費用
・スタッフの研修費用

オンプレミスの場合のみ
・ハードウェアの購入費用
運用コスト・メンテナンス費用
・サポート費用
・システムアップデート費用

オンプレミスの場合のみ
・ハードウェアの維持費用

初期費用やランニングコストを抑えつつ、最も効果的なシステムを選ぶことを意識しましょう。

柔軟性と拡張性

また、システムの拡張性やカスタマイズ性も評価基準となります。企業の成長や変化に対応できる柔軟なシステムを選ぶことが、長期的な運用において有利です。

既存機能に無い業務プロセスを追加したい場合や、レポートのフォーマットを変更したい場合など、要望に対して柔軟に対応できるかどうかも必ず確認しておきましょう。
また、変化するビジネスニーズに対応して新たな機能を追加できるかや、大量のデータを扱えるか、ユーザー数を増やせるかといった拡張性も考慮することが求められます。

業務システムの導入ステップ

昨今の業務システムは、クラウド型を利用するケースが一般的です。ここでは、クラウド型の業務システムにおける導入ステップを紹介します。

ステップ①:市場調査

自社のニーズに合う業務システムを調査します

検討対象のシステムごとに、「機能性、価格、使いやすさ、サポート体制、他社での評価・導入実績」などを調査しましょう。
市場には多種多様な業務システムが存在しているため、どのベンダーのシステムを選べば良いか迷う可能性があります。
自社のビジネスニーズを明確に定義し、その基準に基づいてシステムを比較・選定しましょう。

ステップ②:トライアルと評価

無料トライアルやデモ版を使用してサービスをテストし、必要な要件を満たしているか確認します。
昨今のクラウド型システムは、無料トライアルやデモ版が提供されていることが多く、本契約前に実際に使って評価できる点もメリットです。

また、通常業務が多忙の場合やトライアル期間が短い場合、トライアル期間中に全ての機能を試し切れない可能性もあります。

その場合、業務を遂行する上で最も重要な機能からテストしたり、テスト期間の延長を交渉するなどして、トライアルの評価方法を工夫しましょう。

ステップ③:購入と初期設定

クラウド型システムの利用体系(月額、年額、ユーザー数に応じてなど)に基づいて料金を支払います。
ユーザーアカウントの作成、設定のカスタマイズ、データの移行などの初期設定を行います。

特に既存システムからのデータ移行は複雑で、専門的な知識が必要なケースがあります。
システム提供企業のサポートを活用したり、外部の専門家に一連の作業を委託することで、データ移行を効率よく実施しましょう。

ステップ④:トレーニング&運用開始

利用者にサポートやヘルプサービスを利用して使用方法を教育します。
教育後、実運用を開始します。

教育を実施したとしても、利用者が新しいシステムに慣れるまでには時間がかかります。
ユーザーマニュアルやFAQなどを作成した上で、初期段階で十分な教育時間を確保しておきましょう。

押さえておくべき業務システムのトレンド

最後に、業務システムのトレンドについて解説します。
業務システムの進化は止まらず、特にAIとクラウドの活用が業界のトレンドとして注目されています。これらの最新技術を適切に取り入れることで、業務効率の向上や新たなイノベーションが期待できるでしょう。

AIの可能性

AIの進化は業務システムの可能性を大きく広げています。データ解析において、AIは業務データから有益なインサイトを引き出し、将来の売上や需要の予測をサポートします。
また、業務の優先順位付けもAIの力を借りることで効率化できます。AIが業務の緊急度や重要度を自動で評価し、優先度を設定することも可能です。
さらにRPA(Robotic Process Automation)と連携させることで、AIが判断し、RPAが自動で作業を実行する流れを確立することもできます。

クラウドの重要性

「クラウドファースト」の考え方が広がる中、クラウド技術の導入は業務システム選定の重要なポイントです。クラウド型の業務システムは物理的なサーバーの制約から解放されます。これにより、システムの運用が効率化され、企業のアジリティが向上します。

まとめ

業務システムは、企業の業務効率化やデータ管理の最適化を実現するための強力なツールです。選定の際には、予算、システムの拡張性、カスタマイズ性などを考慮し、企業のニーズに最適なシステムを選ぶ必要があります。

近年では、AIやクラウドの活用が注目されているため、これらの技術を活用することで、業務プロセスの自動化や効率化、企業の競争力向上に寄与します。
特に、会計から人事労務まで、企業の幅広い業務を一元管理するERPは企業の競争力の源泉となりますので、ぜひ以下の記事もあわせてご覧ください。


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