- 更新日 : 2024年7月12日
自動仕訳とは?自動仕訳で経理業務の効率化を実現 | 仕組みやメリットを解説
現在では、業務の多くが電子化・自動化していますが、経理業務の基本である仕訳も同様です。
最近は多くの会計システムで自動仕訳が導入され、それにより経理業務の効率化が進んでいます。
また自動仕訳には、業務効率化以外にもメリットが数多くあります。
ここでは、自動仕訳とはどのようなものなのか、その仕組みやルール、メリットやデメリットについてご紹介します。
自動仕訳とは?
自動仕訳とは、会計システムの基本的な機能の1つです。
取引について入力するときに、自動的に適切な勘定科目を判別して分類し、仕訳伝票を作成してくれます。
立替金や仮払金なども適切に処理できます。
最近は、自動仕訳機能にAIが搭載されているものも数多く開発されています。
自動仕訳と訂正を繰り返すなかで、AIが学習を繰り返し、どんどん的確な仕訳ができるようになっていくため、経理担当者は自動仕訳の結果を確認し、登録するだけで仕訳を完了することができます。
自動仕訳の仕組みとルール
自動仕訳では、あらかじめ決められた仕訳方法や、これまで登録した区分や科目などを記憶しており、それをもとに入力された取引を自動的に仕訳していきます。
この機能を「自動仕訳ルール」といいます。
具体的には、次のような仕組みになっています。
- 仕訳をする
- 経理担当者が内容を確認、問題がなければ登録
- 次に似た取引が発生すると、AIが前回と同じように処理する
- 仕訳内容に誤りがあった場合は、訂正すればそれを学習する
- この作業を繰り返し、会計システムのAIが仕訳ルールを学習する
こうしてAIによる自動仕訳の精度が上がっていくのです。
日本語入力の学習機能とも似ていて、AIに学習させて自動仕訳の精度を向上させるためには、経理担当者の確認作業も欠かせません。
自動仕訳のメリット・デメリット
自動仕訳には、業務効率化以外にもいくつかのメリットがありますが、システムならではのデメリットもあります。
その特徴を理解しておきましょう。
メリット
自動仕訳には、次のようなメリットがあります。
入力の手間が省ける
仕訳は自動的に行われるため、経理担当者の入力作業は伝票の内容を取り込むだけで、手間を大幅に省くことができます。
システムによっては、データ連携機能によって伝票の取り込みも自動化され、入力作業を最小限に抑えることができます。
ミスを削減できる
手作業による入力作業が最小限に抑えられるので、入力に関する人的ミス、記入漏れなども大きく削減できます。
また、不慣れな経理担当者による仕訳のミスなどを減らすことも可能です。
使えば使うほど精度が高くなる
自動仕訳にはAIが組み込まれており、複雑な仕訳でも適切な仕訳が可能です。さらに学習機能によって、使っていくうちに精度が上がっていきます。
AIによる不正検知がある
自動仕訳のAIは、不正や虚偽のパターンも学習しています。
そのため、不正な処理が発生したらすぐに検知することが可能です。
人間が経理業務を行っているときよりもずっと早く検知できるのは、自動仕訳による大きなメリットといえるでしょう。
ペーパーレス化につながる
会計システムを使うことで、経理処理で使われる紙を必要最小限に抑えることができます。
データ連携機能を使えば、取引伝票も不要です。
さらにデータ入力後は紙の伝票は不要になるため、経理作業のペーパーレス化を実現でき、これまで出社が必要だった経理業務でも、テレワークを導入できるようになります。
デメリット
自動仕訳には、次のようなデメリットもあります。
初期設定項目が多くて面倒に感じる
システムを導入するときには、取引先のデータやオリジナルの勘定科目など、自社独自の項目や内容を設定しなければなりません。
企業によっては、細かい作業が多く、量も多いので非常に面倒なものです。
Excelによるデータ一括入力など、効率的に入力できる方法を探しましょう。
セキュリティ対策は厳重に行う必要がある
会計システムの内容は、外部に漏えいしてはいけないものです。
関係部署以外の経理担当者からのアクセスは、細かく制限しておかなければなりません。
また、多くの会計システムは、クラウドサービスで提供されています。
クラウドサービスはインターネット経由で利用するため、セキュリティ対策は重要です。
自動化できない仕訳もある
紙の伝票でなければならない取引先や特殊な仕訳など、自動化できない部分はどうしても残ります。
その部分は手作業で処理しなければなりません。
最後の確認は必要になる
自動仕訳は大変便利な機能ですが、100%正確な処理を行えるわけではありません。
自動仕訳で処理を行った後は、必ず経理担当者が確認しましょう。
自動仕訳で経理業務の効率化を実現
上記のようなメリットにより、自動仕訳機能を活用することで、経理業務を大きく効率化することができます。
どのような効率化が可能なのかみていきましょう。
手作業による業務負担の軽減
自動仕訳機能によって、データを自動的に入力したり、自動的に仕訳を行ったりすることができます。
そのため、経理担当者が伝票を手作業で入力し、仕訳を行い、総勘定元帳に転記するといった作業は大幅に削減されるでしょう。
日常的な経理業務では、それらの単純作業はほとんどなくなるかもしれません。
その結果、業務負担の軽減や労働時間の削減など大きな業務効率化を実現できます。
これは、業務プロセス全体のデジタル化にもつながります。
人的ミスの防止
自動仕訳機能によってデータ入力や仕訳が自動化され、手作業がなくなることで、入力ミスや記入漏れ、勘定科目の選択ミス、計算ミスなどのヒューマンエラーは大幅に削減できます。
自動仕訳機能を使えば、正確な作業が素早く容易にできるのです。
その結果、ミスの発生をチェックしたり、それを修正したりする作業や、それに要する時間も削減することができ、大きな業務効率化につながります。
会計作業の不正を防止
自動仕訳機能のAIは、仕訳ルールだけでなく、不正な処理の特徴を学習し「不正につながるリスクのある仕訳パターン」として記憶します。
そのため、不正な処理を行おうとすればすぐに検知して防ぐことが可能です。この不正検知機能も、仕訳同様に学習を繰り返し、精度を上げていきます。
それによって、不正のない会計と、会計面での内部統制を実現することが可能です。
また、日常の経理業務と同時に不正のチェックを行うことができ、監査業務の確認作業の軽減にもつながります。
まとめ
自動仕訳は、会計システムの主要な機能の1つです。
データ連携によって取引の情報を自動的に入力したり、入力された取引を内容に応じて自動的に適切な勘定科目に仕訳したりすることができます。
また、自動仕訳機能にはAIが搭載されており、学習を繰り返してどんどん精度が上がっていきます。
こうした自動仕訳機能によって入力作業が大幅に簡略化されるため、ミスや不正も防ぎながら経理業務を大きく効率化することができるのです。
また、自動仕訳機能は経理業務を効率化するだけでなく、基本的な作業を自動化して経理担当者の業務そのものを変化させます。
経理担当者は、自動仕訳の結果をチェックしたり、AIに学習させたり、レポートや決算書の分析を行ったりするなど、より高度で人間にしかできない業務に集中できるようになるからです。
それは業務プロセスの変化であり、DXの第一歩となります。
よくある質問
自動仕訳とは?
会計システムの機能の1つで、取引の情報を自動的に適切な勘定科目に仕訳する機能のことです。
自動仕訳の仕組みとは?
1つの仕訳について経理担当者が確認し、もしくは修正を行います。それを繰り返すことでルールを学習します。
自動仕訳のメリットとは?
入力作業の削減、ミスの削減などによる業務効率化、経理の知識がない社員でも業務が可能になることなどがあります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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