• 更新日 : 2024年7月16日

カンパニー制とは?仕組みやメリット・デメリットを解説!

カンパニー制とは、社内の事業を、それぞれ独立した会社としてみなす組織形態のことです。各カンパニーに権限を委譲し、収益力の向上や事業の効率化を図ります。今回は、カンパニー制の仕組みやメリット・デメリット、成功させるポイントを解説します。カンパニー制の導入を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。

カンパニー制とは?

カンパニー制とは、社内の事業を独立した1つの会社のように扱う組織形態のことです。人事や予算などに関する権限と責任を与え、収益力の向上や事業の効率化を図ります。日本では1994年にソニーではじめて導入され、多角経営を行う大企業に広く普及しました。

ここでは、カンパニー制と事業部制や持株会社(ホールディングス制)との違いを解説します。

カンパニー制と事業部制との違い

カンパニー制と事業部制の主な違いとしては、委譲された権限の大きさと、会計上の独立性が挙げられます。

カンパニー制は通常、各事業部門が法人のように扱われ、人事権や業務に関する大きな判断をする権限が付与されており、実質的な経営が可能です。一方で大企業における一般的な組織形態である事業部制では、人事や経営判断に関する権限は本社が持っています。

また、カンパニー制は会計上独立した組織として扱われますが、事業部制は会計上、独立しているわけではありません。

カンパニー制と持株会社(ホールディングス制)との違い

カンパニー制と持株会社(ホールディングス制)では、法律上の取扱いが異なります。

カンパニー制では、事業部門を1つの会社のように扱います。しかし、それはあくまでも社内の取扱いのことであり、法的に別法人となるわけではありません。一方、持株会社では、事業部門を法的に完全に分社化します。

カンパニー制のメリット

カンパニー制のメリットは、主に以下の5点です。

  • 意思決定のスピードが上がる
  • カンパニーごとの結束力が高まる
  • 経営人材の育成に役立つ・役員レベルの委任選択肢が増える
  • 損益計算書貸借対照表が独立し資源活用が可視化されやすい

各メリットを解説します。

意思決定のスピードが上がる

カンパニー制の導入によって、会社としての意思決定のスピードが上がる可能性が高まります。

大企業における一般的な組織形態である事業部制と比べて与えられる裁量が大きいため、最終的な判断を本社に委ねる必要がなく、よりスピーディーに意思決定が可能です。

市場環境の変化が速い状況下において、意思決定を迅速に行えることは大きな競争優位性といえるでしょう。

カンパニーごとの結束力が高まる

カンパニーごとの結束力が高まることも、カンパニー制のメリットです。

カンパニー制では事業部門の独立性が高まることによって、カンパニーへの帰属意識が強くなると考えられます。また事業部制と比べて、業績への責任も重くなるでしょう。それにより、カンパニーに属する従業員同士の結びつきの強化や、組織力の向上が期待できます。

経営人材の育成に役立つ・役員レベルの委任選択肢が増える

カンパニー制の導入は、経営人材の育成や役員レベルの委任選択肢の増加にも寄与します。

カンパニー制は、各事業部門に人材や予算などの経営資源や意思決定の権限を委譲することにより、役員レベルの委任選択肢が増えることが特徴です。次世代の経営者候補の人材をカンパニーの責任者のポジションに配置すれば、実際の会社経営にかなり近い経験をさせることが可能です。

独立採算制のため結果が分かりやすい

独立採算制のため、結果が分かりやすく、責任を明確化しやすいこともカンパニー制のメリットといえるでしょう。

カンパニーごとに売上や利益、コストなどの数値が算出され、業績が不調な場合の原因も特定しやすくなります。その結果、速やかに原因分析を行い軌道修正や対策を行えます。

損益計算書・貸借対照表が独立し資源活用が可視化されやすい

損益計算書・貸借対照表などをそれぞれのカンパニーが管理するため、会計上の独立性が確保される点もカンパニー制のメリットの1つです。資源の活用状況が可視化しやすくなることから、利益だけでなく資産効率の改善も期待でき、組織全体の収益性も期待できます。

カンパニー制のデメリット

メリットの多いカンパニー制ですが、以下のようなデメリットも存在します。

  • カンパニー間の連携が薄れる
  • 結果至上主義の危険性
  • 部門重複によるコスト増加

それぞれの内容を確認しましょう。

カンパニー間の連携が薄れる

カンパニー制を導入すると、カンパニー間の連携が薄れる点に注意しましょう。事業部門ごとに縦割りの組織となるため、会社内の別のカンパニーとの交流や情報共有の機会が減る傾向にあるためです。

別会社に近い関係性となり、事業部を横断するような新規事業が生まれにくい、多角経営に期待されるシナジー効果が生じないといった弊害を考慮する必要があります。

結果至上主義の危険性

結果至上主義の風潮を生み出す危険性があることも、カンパニー制のデメリットです。

重要な権限が委譲されることにより独立性が高まり、各カンパニーのトップが明確な責任を負うため、結果至上主義を招きやすくなります。それぞれのカンパニーが主体性を持ち、競争力強化につながることはメリットですが、結果のみを追い求めてしまうという表裏一体のデメリットもあることを認識する必要があるでしょう。

またカンパニー制は事業部制と比較して、本社による監視が弱まるため、カンパニーにとって不都合な情報を隠蔽したり、不正会計を行ったりするリスクも生じやすくなります。社外取締役や監査役を配置し、不正が起きにくい仕組みを構築することを検討しましょう。

部門重複によるコスト増加

カンパニー制のデメリットとして、部門重複によるコストの増加も挙げられるでしょう。それぞれのカンパニーに、本来であれば本社に集約される人事や経理などの部門が存在することが多く、人件費をはじめとしてコストが重複してかかる可能性があります。

カンパニー制を成功させるポイント

カンパニー制を成功させるためのポイントは、主に以下の5点です。

  • 各カンパニーに対しては独立性を尊重する
  • カンパニー間の連携が生まれる体制を整える
  • 評価基準を統一化する
  • コストカットの観点を意識する
  • 導入の際には従業員にも説明を丁寧に行う

各ポイントを解説します。

各カンパニーに対しては独立性を尊重する

カンパニー制を成功させるためには、各カンパニーに対する独立性を尊重することが求められます。

カンパニー制のメリットは、権限の付与により意思決定のスピードが上がることです。しかし、本社がカンパニーの独立性を軽視し業務に干渉してしまうと、そのメリットを享受しにくくなります。カンパニー制の形だけ取り入れても、本質的には事業部制と同様であれば、事務に関する業務や部門重複によるコストが増える分、会社としては損失が出てしまうでしょう。

カンパニー間の連携が生まれる体制を整える

カンパニー制の導入によって想定される、カンパニー間の連携の希薄化を防ぐための体制づくりも求められます。

カンパニー制であっても、もとは1つの会社であるため、全体の業績と価値向上を目指すのがあるべき姿です。それぞれのカンパニーの行動理念や方針にこれらの概念を反映させ、本社としてもカンパニー間の交流の機会を設ける必要があります。

評価基準を統一化する

カンパニー間の評価基準を統一化することは、従業員のモチベーションの維持のためには不可欠です。評価制度や評価基準がカンパニーごとに異なると、不公平感を招き従業員の不満の要因となるでしょう。業績に対する評価基準などの設定については、本社が関与することをおすすめします。

コストカットの観点を意識する

コストカットの観点も、カンパニー制を成功させるために欠かせない要素です。

カンパニー制では、通常は本社に集約されている人事や経理などの管理部門を各事業部に設置することにより、管理費用が増大してしまいます。各カンパニーに管理部門を配置することが理想的ではあるものの、まずはカンパニーに人事権のみを与え、段階的にカンパニー制を取り入れていくことも1つの方法です。

導入の際には従業員にも説明を丁寧に行う

カンパニー制を導入する際には、従業員に対しても丁寧な説明が必須です。多くの従業員が従来の事業部制との違いを十分に理解していない状態でカンパニー制を導入してしまうと、混乱や不満を招き、期待するような効果は得られないでしょう。すべての従業員に導入目的や新しい組織図、変更点などを正しく周知してから導入することが望ましいと考えられます。

カンパニー制の導入事例

ここからは、「株式会社みずほ銀行」と「トヨタ自動車株式会社」のカンパニー制の導入事例をご紹介します。

株式会社みずほ銀行では2016年にカンパニー制を導入し、それまでの10ユニット体制から、5カンパニーと2ユニットの体制に変更しました。収益性の追求や本部のスリム化による現場への人員配置、意思決定の迅速化を目的とし、現場力と営業力の強化につながりました。

また、トヨタ自動車株式会社でも、2016年にカンパニー制を導入しています。狙いは、「もっといいクルマづくり」と「人材育成」です。製品群別にカンパニー体制を設置し、責任や権限を各カンパニーのプレジデントに委譲することで、企画から生産までの一貫したオペレーションを実現しました。

参考:カンパニー・ユニット別事業戦略|株式会社みずほ銀行
トヨタ自動車、新体制を公表|トヨタ自動車株式会社

カンパニー制の導入は自社の状況を踏まえて判断しよう

カンパニー制は、意思決定の迅速化や経営人材の育成、資源活用の効率化などの効果が見込めます。一方で、会社全体の連帯感の希薄化やコストの増加が懸念されるほか、結果至上主義に陥るリスクも考慮しなければなりません。

カンパニーの導入を検討する際は、メリットとデメリットの両方を理解し、自社に適しているかどうかを判断することをおすすめします。


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