• 更新日 : 2023年10月31日

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは? 定義とERPの活用で実現できることをわかりやすく解説

ここ数年の間に、多くの企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されています。しかし、DXに着手しはじめたものの、“業務のデジタル化”で止まってしまい、本質的にDXを実現できている企業はあまり多くはありません。

ここでは、DXとはなにか、ビジネスのデジタル化とはどう異なるのか、実現するにはどのようなステップが必要なのかなど、DXの概要とクラウド型ERPの活用で実現できることを解説します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DX(デジタルトランスフォーメーション)には、さまざまな意味があります。もともとはIT技術を活用し、人々の生活をより良く改善・進化させていくことを指します。

ビジネスシーンにおけるDXは、経済産業省が日本におけるDXについて言及した「DXレポート」や、経営者向けにDXを推進するうえでのポイントが提示された「DX推進ガイドライン」に、企業活動に沿った内容が定義されています。

ビジネスにおけるDXの定義

経済産業省の「DX推進ガイドライン」によると、ビジネスにおけるDXは、次のように定義されています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

また、経済産業省の「DXレポート2」では、DXを次のように定義しています。
「組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化、“顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変革」

参考:DXレポート2(中間取りまとめ)|経済産業

この2つの定義から、ビジネスにおけるDXには次のようなポイントがあることがわかります。

  • 業務の一部や業務プロセスではなく、企業や組織全体をデジタル化すること
  • データや技術を活用して製品やサービスだけでなく、ビジネスモデルや企業文化まで変革すること
  • それらの変革をもとに、企業の競争力、優位性を維持・向上すること

DXの3段階

DXには、その達成度合いに応じた3つの段階があります。それぞれ、どのような段階を指すのか解説します。

  1. デジタイゼーション
    これまでアナログで行われてきた業務にITツールを導入し、業務の一部をデジタル化すること。これは、「ツールのデジタル化」とも言えます。
  2. デジタライゼーション
    特定の業務プロセスを整理して、プロセスをまるごとデジタル化すること。その結果、新しい価値やビジネスモデルを生み出すことができます。これは、「プロセスのデジタル化」とも言えます。
  3. デジタルトランスフォーメーション
    企業全体をデジタル化し、ビジネスモデルだけでなく組織や企業そのものを変革し、顧客や社会のニーズに合わせて新しい価値やビジネスモデルを生み出していきます。これは、「ビジネスのデジタル化」とも言えます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)化とデジタル化、IT化の違い

DXとデジタル化、IT化は似ていますが、厳密には異なるものです。

「IT化」とは、IT(Information Technology)技術を活用して業務をデジタル化し、業務効率化を実現することで、デジタイゼーションにあたります。

「デジタル化」とは、IT技術の進化により、データや技術を活用して業務プロセスの効率化を図り、新たな価値やビジネスモデルを生み出すことです。デジタル化には、アナログで行ってきた業務をデジタル化して効率化すること(デジタイゼーション)と、デジタル技術やデータを活用して新しい価値やビジネスモデルを生み出すこと(デジタライゼーション)の2つが含まれます。

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は、さらに次のステップで、業務やビジネスモデルだけでなく、企業全体を変革するものです。

IT化やデジタル化の主な目的は、自社の業務効率化です。しかし、DXの目的はさらに企業文化や企業のあり方全体を変革し、顧客視点から新しい価値を提供し、企業の競争力や優位性を維持・向上させることと言えます。

IT化やデジタル化は、DXを実現するためのひとつの手段にすぎないのです。

企業がDXに取り組むべき理由と現状

そもそもなぜ政府は、DXの推進を進めているのでしょうか?その理由は、大きく3つ挙げられます。日本の企業がDXに取り組むべき理由と現状について、詳しくみていきましょう。

DXの現状

まずは日本におけるDXの現状を押さえましょう。下図は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が毎年公開しているDX白書の2023年版から抜粋した「日米におけるDXの取組状況」です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは? 定義とERPの活用で実現できることをわかりやすく解説
画像出典:IPA DX白書2023

こちらの図をみると、2022年に「DXに取り組んでいる」と回答した企業は69.3%で、前年からおおよそ15%程度増加しています。一方で、米国の2021〜2022年の取り組み状況はほぼ横ばいであることがわかります。

この調査結果からは、日本でのDXが急速に加速していることが読み取れます。

もう1つの調査結果をみてみましょう。下図は「従業員規模別にみたDXへの取組状況」です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは? 定義とERPの活用で実現できることをわかりやすく解説
画像出典:IPA DX白書2023

米国の場合と違い、日本では従業員規模が小さくなるにつれてDXへの取組も減少していることがわかります。

この2つの調査結果から、日本のDXを牽引しているのは大企業であり、100人以下の中小および零細企業ではわずか40%程度しかDXに着手できていない状況であると解釈できます。

このような状況を改善するためには、日本に存在する全企業の中で99.7%%を占めるといわれている中小企業のDXが喫緊の課題となります。

参考:IPA DX白書2023

「2025年の崖」への対策

日本企業の多くは「2025年の崖」と言われる問題に直面しています。これは「複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025 年までに予想される IT 人材の引退やサポート終了等によるリスクの高まり等に伴う経済損失は、2025 年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)にのぼる可能性がある」という問題です。

参考:DXレポート ~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~|経済産業省

変革することなく、現在の既存システム(レガシーシステム)を使い続ければ、急速にデジタル化が進む環境に対し新しい機能や技術に対応できない、あるいは維持管理に必要な人材が確保できないなどの理由から企業の競争力は失われ、大きな経済損失につながると政府では予想しています。また、いずれは使用しているアプリケーションなどのサポートは終了し、セキュリティの面でも大きなリスクにさらされることになります。

こうした問題に対処するには、DXの推進が不可欠です。2025年の壁を乗り越えるためにも、できるだけ早い対応が求められているのです。

働き方改革の実現

ビジネス環境が大きく変化した今、テレワークや時短勤務など、多様な働き方が求められています。政府はこれを働き改革として推進し、企業は働き改革に柔軟に対応し実現することで、人材不足を解決したり優秀な人材を獲得したりすることができるようになります。そのためには、業務のデジタル化やDXの推進が有効だと考えられているのです。

働き改革におけるDXを推進するメリットには、次のような点があります。

  • 業務をデジタル化することで、時間や場所を問わず業務用のファイルやシステムにアクセスし、仕事をすることが可能になる
  • 業務効率化により作業時間を削減でき、時短勤務が可能になる
  • レガシーシステムを刷新し、新しい技術や機能に対応できるようになる

企業の競争力、優位性の維持・向上

DXにより、大幅な業務効率化や生産性の向上が期待できます。例えばデータやデジタル技術を活用することで社員をシンプルな単純作業から解放させ、本来やるべき業務に集中させたり、よりクリエイティブな作業へ転換させたりすることができるようになります。

その結果、社会や顧客のニーズをもとにした新しいビジネスモデルを創造することが可能になり、企業は高い競争力や優位性を維持、向上させることができるのです。

クラウド型ERPの活用でDXを実現

速やかに「2025年の崖」問題への対策を行い、DXを推進していくには、クラウド型ERPの導入をおすすめします。クラウド型ERPは、次のようなメリットがあり、よりDXを加速することが可能です。

一般的なERPのDXへのメリットについては「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進ガイドラインとは? ポイントとERPが担う役割をわかりやすく解説」を参考にしてください。

経理部門のテレワーク化

クラウド型ERPを導入することで、紙の書類が多いバックオフィス業務もペーパーレス化を進めることが可能になります。ペーパーレス化が進むことで、これまでオフィスに出勤しなければできない業務もテレワークで対応が可能になり、バックオフィスのテレワーク化につながります。

業務の標準化と効率化

ERPを導入するためにはシステムに合わせて業務フローを見直す必要があり、それにより属人的になってしまっていた業務や無駄な業務を削減することで業務の標準化と効率化が可能になります。
また、ERPはデータが自動連携されるため、データの転記など人的ミスの発生しやすい業務を廃止することができます。

監査対応のデジタル化

ERPは各システムを統合したデータベースにアクセスするため、正確性が保証されています。

ERPの機能を活用することで、人的ミスや内部不正の防止、アクセス管理、操作ログの保存などが可能で、内部統制を強化することができます。また、監査の際にもERPに保存されている証憑を確認することができるため、これまでのように紙の書類を集めて用意するということも不要になります。

生産管理の効率化

多くのクラウド型ERPには、次のような生産業務を効率的かつ正確に行える機能が包含されています。

  • 生産計画
  • 在庫/購買管理および販売管理との連携
  • 生産管理

そのため、企業のデジタイゼーションやデジタライゼーションなどのDXを実現できるだけでなく、生産リードタイムの短縮も期待できます。

購買・在庫管理の最適化

適正な購買・在庫管理により、企業はコスト削減および利益増加を実現可能です。

クラウド型ERPの購買・在庫管理を活用すれば、常に適切な在庫レベルを維持しつつ、購買発注を行えます。その結果、過剰在庫によるコスト増大や欠品・品切れによる機会損失リスクを軽減できるのです。

顧客関係管理 (CRM) の統合

クラウド型ERPを導入すれば、顧客情報や取引および問い合わせ履歴などを一元管理できます。その結果、下記のような業務について連動性を持った対応が可能になります。

  • 営業
  • マーケティング
  • アフターサービス など

これにより、顧客接点全般の業務効率化および顧客満足度向上が期待できるでしょう。

人事・給与計算の自動化

人事情報管理、給与計算あるいは勤怠管理などは、企業によって業務に差が発生しない「非競争領域」と呼ばれています。そのため、可能な限り省力化して所轄部門の効率化を推進する必要があります。

クラウド型ERPでは、人事情報や給与計算などの省力化および自動化ができます。その結果、コストセンターの効率化につながるのです。

意思決定の高速化

昨今、ビジネスに求められるスピードは加速度的に上昇しています。このような中で、高速かつ正確な意思決定を行うためには、判断するための材料(経営データなど)を迅速に確認できる環境が必要となります。

ERPは組織全体のさまざまなデータを統合的に管理できます。それらのデータをBI(Business Intelligence)ツールと連携させれば、リアルタイムな情報を参照することもできます。企業経営者やマネージャーは、それらの情報を元に迅速な意思決定が可能となるでしょう。

業務プロセスの標準化

業務プロセスの標準化は、企業にとって重要な課題の1つです。社員ごとに異なる手順で業務を行うと業務品質の低下を招くだけではなく、業務の属人化が進んでしまうこともあります。

クラウド型ERP導入時に業務プロセスを標準化しておけば、さまざまな部門・拠点で業務の質および速度の向上を実現できるでしょう。

DXに伴ってERPを選定する際のポイント

DXに伴ってERPの導入を検討するとき、いくつかの選定ポイントを把握しておくことが重要です。ここでは、DXに伴ってERPを選定する際のポイントとして次の6つを解説します。

必要な機能について話し合い、優先順位をつける

ERPの導入は企業の各部門に影響を及ぼす重要なプロジェクトです。そのため、各部門の意見やビジネスニーズなどをヒアリングする必要があります。

一方でERP導入にかけられる予算や期間は有限であり、多くの場合すべてを実現することは難しいのが現実です。そのため、必要な機能について話し合い、優先順位をつけた上でフェーズを分けて対応するようにしましょう。

アフターサポートの内容を確認する

一口にアフターサポートといっても、具体的なサポート内容や期間などは全く異なります。
そのため、アフターサポートの内容として下記のような点を事前に確認した上でERPを選定することが重要です。

  • 具体的なサポート内容および体制
  • サポート費用
  • 契約形態(契約期間やリース契約であるかどうかなど)
  • 解約時の違約金
  • その他サポートの条件 など

トライアルの有無

どんなに充実した機能を有しているクラウド型ERPでも、直感的に使いやすいかどうかなどは、実際にシステムを体験してみなければ判断できません。
ERPベンダーによっては、無料でERPを利用できるトライアル期間を提供しているところもあります。

トライアル期間があれば最低限のコストで試験的に導入できるため、現場のリアルな意見を回収する機会が得られます。そのような意見は、ERP選定において重要な判断要素となるでしょう。

導入にかかる手間

前述したとおり、ERPの導入は相応の手間とコストがかかります。さらに場合によっては、業務PCのOS一括更新などの付随的なコストが発生することもあります。

そのため、ERP導入に関する金銭的あるいは時間的コストはもちろん、関連作業などの負担も踏まえて選定を行う必要があります。

許容できるコストを明確にしておく

ERPはプランによって、費用が大きく異なります。企業のニーズによって、必要な機能や拡張性、ERP導入時や運用に必要となるサポートが異なるため、自社の要件に最適なプランを選択する必要があります。

標準プランで十分な機能を持つERPを導入することはコスト削減につながります。一方で、高度な機能や拡張性が必要な場合は、高いコストを投資しても十分にペイできるケースもあります。

そのため、自社がERP導入にどこまで費用をかけられるのか、許容できるコストを明確にしておきましょう。

社内でスムーズに運用できる体制を整える

ERPは、従業員が実務で使ってこそ価値を発揮します。そのため、ERP導入直後より従業員が機能をフル活用できるようにすべきです。

これを実現するためには、マニュアルの準備はもちろん、既存システムとの変更点などを周知したり、トレーニングの実施体制を整えておいたりすることが重要です。

ERPの導入手順

ERPの導入を成功させるためには、手順の把握が必要不可欠です。ERPの導入手順に沿えば、DXの達成に向けた大きな1歩となるでしょう。

一般的なERP導入手順は次のとおりです。

  1. 社内の体制を構築する
  2. ERPを導入、更新する目的を明確にする
  3. ERPの選定
  4. 導入
  5. 運用

なお、「手順3.ERPの選定」においては、提供形態(クラウドorオンプレ)の違いも意識する必要があります。両者のメリットやデメリットは次のとおりです。

メリットデメリット
クラウド型ERP・初期コストが低め

・運用保守はクラウドベンダーの責任

・カスタマイズの自由度が低め

・運用保守がベンダー任せになってしまう

オンプレ型ERP・基本的には買い切り型のため追加コストが不要

・カスタマイズの自由度が高め

・初期コストが高め

・導入に時間がかかる

・自社で運用保守を行う必要がある

また、「手順4.導入」の際に業務プロセスを見直した場合、データを活用した効果的かつ迅速な意思決定を行えるようになります。これによりデータ駆動のビジネスが促進され、企業の競争力向上にも寄与するでしょう。

まとめ

DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略で、企業全体またはビジネスそのものを変革させることを意味します。

DXは、単なる業務をデジタル化することではありません。企業活動全体をデジタル化し変革することで新しい価値を生み出し、企業の競争力や優位性を維持、向上させることを目指します。DXの目的は、これらの変革そのものなのです。

このDXの推進において、現在、日本の企業は世界から遅れをとっているのが現状です。「2025年の崖」に記されているように、IT人材の不足をはじめ、世界的に大きな変化が進むビジネス環境への対応の遅れが競争力の低下を招くなど、多くの問題を抱えています。世界的にデジタル化が急速に進み、進化し続けるビジネスシーンのなかで生き残っていくためには、できるだけ早いDXの推進が不可欠なのです。

そのためには、社内のデジタライゼーションを進め、DXを推進できるような基盤を作る必要があります。業務の標準化と効率化を実現し、バックオフィスのテレワーク化を進めるにはクラウド型ERPの導入がおすすめです。

よくある質問

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することです。

企業がDXに取り組むべき理由とは?

「2025年の崖」への対策と働き方改革の実現、企業の競争力、優位性の維持・向上のためです。

クラウド型ERPの活用で実現できることとは?

経理部門のテレワーク化や業務の標準化と効率化、監査対応のデジタル化を実現します。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

お役立ち資料

関連記事