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  • 更新日 : 2021年11月9日

クラウド型ERPとは?選び方のポイントを解説

クラウド型ERPとは?選び方のポイントを解説

以前は大企業を中心として普及が進んでいたERPですが、クラウド型ERPの登場で、より安価に利用可能となり、中小企業でも需要が高まっています。それでは、クラウド型ERPを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。この記事では、クラウド型ERPの概要に加え、主な種類やオンプレミスERPとの違い、クラウド型ERPを選定する際の比較ポイントについて解説していきます。

クラウド型ERPとは?

クラウド型ERPとは、製造・調達・物流・販売管理・在庫管理・財務会計・人事給与などの機能を持つERPシステムのうち、クラウド環境下で動作するシステムのことです。
近年では、社内サーバーの設置が不要であり、かつ拡張性や柔軟性に優れたクラウドのメリットが知られるようになり、ERP導入においてもクラウド型のシステムを選択するケースが増えています。また、コロナ禍に伴いテレワークが浸透したこともあり、遠隔からでも利用しやすいクラウドの活用が進んでいます。
マネーフォワード クラウド型ERP
クラウド型ERPでは、下図のようにERPを構成する機能がクラウド上に存在し、ユーザーは社内・社外を問わずシステムを利用することができます。クラウド型ERPは導入しやすく、初期コストも低いことが大きな特徴です。また、クラウドの特性上、ストレージやCPU、メモリといったリソースの柔軟な変更や、バージョンアップなどの保守対応がしやすいというメリットもあります。
ただし、種類にもよりますが、オンプレミスERPと比べてカスタマイズ性が低いという側面も存在します。
クラウドERP

クラウド型ERPの種類

クラウド型ERPには、その導入形態に応じて「パブリックタイプ」「プライベートタイプ」「ハイブリットタイプ」の3種類に分けられます。以下では、それぞれの特徴について解説します。

パブリックタイプ

パブリックタイプのクラウド型ERPとは、クラウドベンダーが提供するERPサービスをインターネット経由で利用する形態のことです。一般的にSaaSと呼ばれる形式で提供されることが多く、利用料を支払ってクラウドベンダーが提供するサービスを利用する形となります。
SaaSであるため、カスタマイズ性などの自由度は低いです。しかし一方で、システム監視やバックアップ、バージョンアップなどの運用保守に関する作業が不要なので、手軽に利用できるのがメリットと言えます。

プライベートタイプ

プライベートタイプのクラウド型ERPとは、IaaSやPaaSを用いた自社専用の環境にERPを構築する形態のことです。ハードウェアリソースを柔軟に変更できるというクラウドのメリットを享受しつつ、カスタマイズ性などの自由度も高いことがメリットです。
一方で、自社専用環境であるがために、ERPのインストール作業やその後の運用保守、セキュリティ対策なども自社で行う必要があります。

ハイブリッドタイプ

ハイブリットタイプのクラウド型ERPとは、上述したパブリックタイプとプライベートタイプを組み合わせた形態、もしくはクラウド環境とオンプレミス環境を組み合わせた形態のことを指します。例えば自社業務のうち、独自性が高い業務などカスタマイズが必要な範囲についてはプライベートタイプやオンプレミス環境を利用し、一般的な業務についてはコスト削減の観点からパブリックタイプを利用するといった方法がとられます。
ハイブリットタイプは、パブリックタイプとプライベートタイプの良いとこ取りができる、メリットの多い手法です。しかし、2つの環境を用意しなければならないため、業務フローが複雑化しやすく、また運用保守などの管理作業が煩雑になるという側面もあります。

クラウド型ERPとオンプレミスERPの違い

 
クラウド型ERP
オンプレミスERP
拡張性


柔軟に拡張可能
×

ハードウェアの入れ替えが
必要で拡張ハードルが高い
カスタマイズ性

サービスによっては
カスタマイズに制約がある

柔軟にカスタマイズ可能
運用・保守性

運用・保守が不要
×

運用・保守リソースが必要
コスト

初期費用を抑えて導入可能
×

大きな初期費用が必要

従来では、ERPを導入する場合には自社でサーバーを設置するオンプレミス型が一般的でした。しかし、近年ではクラウドのメリットが知られるようになったことから、クラウド型ERPの採用も増えています。
クラウド型ERPとオンプレミスERPにはどのような違いがあるのか、以下で解説します。

拡張性

オンプレミス環境でERPを稼働させるためには、サーバーやストレージ等のハードウェアを自社で用意する必要があります。よって、ERPで利用するCPUやメモリ、ディスク量などのハードウェアリソースは、導入時点のものから変更することは難しいでしょう。
一方で、クラウド型ERPはパブリックタイプ・プライベートタイプのいずれであっても、ハードウェアリソースを増減しやすいのがメリットです。特にパブリックタイプは、ユーザー数の増加や利用機能などを変更した場合でも、追加費用を支払うだけで拡張ができるサービスも多いです。

カスタマイズ性

オンプレミスERPの場合、自社で環境を用意するため、カスタマイズ性は担保されています。一方でクラウド型ERPの場合、プライベートタイプであればカスタマイズ性は担保されますが、パブリックタイプの場合はカスタマイズが難しいケースが多いです。しかしながら、そもそもERPの導入にあたっては、カスタマイズを最小限にすべきという原則が存在します。これは、カスタマイズを行うことで、開発コストの増加やシステム品質の低下、また将来的なバージョンアップの際の足かせとなるといったデメリットが生じるためで、業務を標準化するために導入するはずのERPの目的にもそぐいません。
よって、いずれの環境においてもカスタマイズは原則として行わない、もしくは最小限とすることを意識するべきでしょう。

運用・保守性

オンプレミスERPでは、システムの運用・保守作業は自社ですべて行わなければなりません。そのため、一定の人的なリソースの確保や運用・保守費用の支払いが必要です。
一方で、特にパブリックタイプのクラウド型ERPの場合は、運用・保守についてはほとんど気にすることなくシステムを利用できます。特に、ERPシステムのバージョンアップは大きな手間となることが多いですが、パブリックタイプの場合はクラウドベンダー側でバージョンアップを実施するため、負担が軽減されるというメリットがあります。

コスト

オンプレミスERPにおいては、ERPのライセンスやハードウェアは原則として買い切りとなるため、高額な初期費用がかかります。また、システム導入費用は資産化し、減価償却を行うことになります。一方でクラウド型ERPは、利用した分を利用料として月次等で支払うのが一般的です。
オンプレミスERP、クラウド型ERPのどちらにコストメリットがあるかは、利用期間や利用するサービスの料金形態などにもよるため一概には言えませんが、コストの発生タイミングの違いや会計上の取り扱いの違いが存在することを理解しておきましょう。

クラウド型ERPを比較するポイント

クラウド型ERPは、製品によっても特徴が異なるため、自社の目的や業務内容に合ったものを選ぶことが重要です。ここでは、クラウド型ERPの選定において際、どのような観点で比較するべきかについて解説します。

導入コスト

クラウド型ERPは、導入時の初期費用がかからない製品も多いですが、なかには費用が発生するものもあります。また、初期データ設定やマスタ登録の作業費用が発生する場合もあるでしょう。利用を検討するクラウド型ERPにおいて、どのような導入コストが発生するのかを押さえておくことが必要です。

運用コスト

クラウド型ERPの利用において発生する費用は、主に月次等で発生する運用コストとなります。運用コストには、ERPのライセンス費用や、利用方法の問い合わせや不具合対応などのサポート費用も含まれます。

ライセンス・プランの形式

クラウド型ERPは、ライセンス費用などの基本費用に加え、ユーザー数や利用する機能、利用するデータ量やCPU等のハードウェアリソースに応じて料金が加算される形式が多いです。利用を検討するクラウド型ERPが、どのような料金体系を採用しており、それが自社にとってメリットがあるのかどうかを確認することが大切です。

業務への適応性

クラウド型ERPを選ぶにあたっては、自社の業務に適応しているかをチェックすることが大切です。一般的に、財務会計や人事給与などのバックオフィス業務は企業間で大きな差は発生しにくいですが、自社のビジネスモデルに応じたコア業務などについては、クラウド型ERPの機能ではカバーできない範囲が存在することもあります。
まずは、自社業務の一覧と業務フローを作成し、必要なシステム機能を洗い出しましょう。そのうえで、検討中のクラウド型ERPが備える機能で業務が十分に遂行可能なのか、不足する範囲がある場合は運用対応や業務の見直しが可能なのかを検討するとよいでしょう。

セキュリティ

クラウド型ERPを利用する場合、社外のクラウド環境に自社の機密データを保管することになります。そのため、クラウドベンダーが実施しているセキュリティ対策レベルについては、必ず確認すべきポイントといえるでしょう。
具体的には、ISMSなどのセキュリティに関する各種認証の取得状況や、提供しているユーザー認証方式、サービスが備えているセキュリティオプションなどを確認することをおすすめします。

災害時の対応

クラウド型ERPは、オンプレミスERPと比較すると災害に強いとされていますが、それでもクラウドベンダーのデータセンターが被災した場合などのBCP対応については考慮しておくべきです。
クラウド型ERPのオプションとして、遠隔地へのバックアップなどのBCP対応が利用できる場合は、自社のBCP方針により利用を検討するとよいでしょう。また、いざという時に対応しやすいように、クラウド型ERPが設置されているデータセンターの所在地を確認しておくことも重要です。

カスタマイズ性

特にパブリックタイプのクラウド型ERPにおいては、カスタマイズの余地は少ない傾向にあります。どうしてもカスタマイズが必要な場合には、プライベートタイプのクラウド型ERPの採用や、カスタマイズの余地があるパブリックタイプのクラウド型ERPを採用するとよいでしょう。
とはいえ、前述した通り、ERPの導入目的は業務の標準化であり、カスタマイズには様々なデメリットもありますので、カスタマイズの範囲は最小限に留めることをおすすめします。

アップデートの頻度

クラウド型ERPがどのくらいの頻度でアップデートを実施しているかということも重要なポイントです。特に、法改正などの影響を受けやすい財務会計などの機能については、アップデートの遅れが自社業務のスケジュール圧迫につながります。また、当然ながらアップデートによる機能改善はユーザー側のメリットも大きいため、アップデートが定期的に実施されるサービスを選択すべきでしょう。

ベンダーの信頼性

クラウド型ERPに限らず、クラウドサービス全般を利用する上で重要なのがベンダーの信頼性です。クラウドは仕組み上、社外に自社の機密情報を預けることになり、情報流出リスクが潜在的に存在します。また、システムは自社の資産ではないため、ベンダーの急なサービス終了や倒産などにより、利用が継続できなくなるケースも考えられます。
クラウド型ERPを選定する際には、導入実績が豊富であることや、可能であればクラウドベンダーの財務諸表などから企業の健全性を確認したうえで、最終決定を行うとよいでしょう。

マネーフォワード クラウドERPならスモールスタートが可能

当社では、お客様の状況に合わせて1つの機能から利用できるクラウド型ERP「マネーフォワード クラウドERP」を提供しています。マネーフォワード クラウドERPは、バックオフィス全体をカバーする機能を備えており、以下のような特徴からスモールスタートも可能なサービスです。

<主な特徴>

  • 経理財務、人事労務、BPOといった幅広い機能を搭載。そのうち、利用する機能を最小1つから自由に選択可能
  • 最短1か月という短期間で導入可能
  • 自動でアップデート。かつ、費用は無料
  • 外部サービスとの連携機能も豊富

クラウド型ERPは比較して自社にぴったりなものを選ぼう

この記事では、クラウド型ERPの概要や種類、オンプレミスERPとの違い、選び方のポイントについて解説しました。いまやクラウドサービスの活用は広く浸透し、企業においてもシステムを導入する際にはまずクラウドサービスから選択すべき時代となりました。ぜひ、クラウド型ERPの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

よくある質問

クラウド型ERPとは?

クラウド環境下に設置されたERPのことです。導入がしやすく、拡張性や保守性に優れていることがメリットです。詳しくはこちらをご覧ください。

クラウド型ERPを比較するポイントは?

コスト、業務への適合性、セキュリティ、ベンダーの信頼性などの観点から検討を行うとよいでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:野崎晋平

2008年 東証一部IT企業に入社しERPの設計や開発業務に従事。2013年 東証一部小売企業に入社し、ERPの運用保守やリプレイスの企画、各種システム導入プロジェクトのマネジメント業務などに従事。2015年 株式会社アイティベルを設立し、IT領域の執筆などを行う。生産管理システムや人事システム、POS、スマホアプリ、ECサイトなど幅広いシステム導入経験を持つ。株式会社アイティベル 野崎晋平