• 更新日 : 2023年12月28日

ベンダーロックインとは?リスクと対策方法を解説

ベンダーロックインとは?リスクと対策方法を解説

ソフトウェアの機能改修やバージョンアップなどを、導入を実施してもらったベンダーに依存してしまっていませんか?
ベンダーロックインとは、コストや工数などのさまざまな要因によって、導入時のベンダーから他社への移行が難しくなる状態をいいます。
ベンダーロックイン状態になると機能改修やバージョンアップの適正な価格が把握できず、ベンダーの提示された条件や金額で実施せざるを得ない状況に陥ってしまいます。
この記事では、ベンダーロックインとは何か?脱却したい場合はどうすればいいのか?について、ベンダーロックインのリスクを確認しながら、その対策も含めて詳しく解説します。

ベンダーロックインの基本

はじめに、ベンダーロックインの概要や、そこに潜むリスクについて解説します。

ベンダーロックインとは

ベンダーロックインとは、企業内で使用するソフトウェアやシステムの導入・更新をする際に、特定のベンダーの製品やサービスに強く依存してしまう状態をいいます。
特定のベンターを継続的に利用しなければ正常な運用が困難な状況になり、コストや工数などのさまざまな観点から、導入時のベンダーから他社ベンダーへ切り替えることが難しくなっている場合が多いです。
ベンダーロックインには大きく2種類あり、コーポレートロックイン(システムが特定のベンダーに依存)と、テクノロジーロックイン(サービスやシステムの仕様、開発手法に依存)があります。

ベンダーロックインのリスク

ベンダーロックインにはいくつかのリスクが伴います。代表的なリスクは以下のとおりです。

  • 運用やサービス条件への依存
    特定のベンダーに依存してしまうことで、他のサービスや製品への移行が困難になります。これを理由にベンダー側の意見や方針を聞き入れなければならなくなり、企業に最適な運用が難しくなることがあります。
  • 価格交渉が難しい
    他社を検討するのが難しい場合は、価格交渉が難しくなります。ベンダー側の提示価格で応じなければならなくなり、長期的に見るとコストが高くなるリスクがあります。
  • 製品更新に依存する
    現在は製品やサービスの性能の向上が急速に進んでいますが、それらの機能追加や更新についてもベンダーに依存することになります。ベンダーがそれらに対応していない場合、最新技術を取り入れることができない恐れがあります。

ベンダーロックインを避けるための方法やポイント

ベンダーロックインを回避するためには、以下のポイントを抑えておくとよいでしょう。

ベンダー固有の技術の回避

導入をベンダー固有の技術や手法で進めてしまうと、自社内でシステム設計の内容を把握することが難しくなり、また他社も改修などでの介入が難しくなるケースが多いです。
オープンソースを活用したアプリケーションやクラウドサービスを検討することで、幅広いベンダーでの改修が可能となり、特定のベンダーへの依存度が低くなるでしょう。

システム仕様書の取得と最新化

システム導入時には、システム設計を明示する設計書やテスト結果報告書などのドキュメントを受け取ることができるように、必ず納品物として契約に盛り込んでおきましょう。
また、これらは改修時などに更新し、常に最新の状態にしておくことが重要です。
もしドキュメントが存在しない、最新の状態でない場合は、導入ベンダーやシステムの運用保守を担当するベンダーに整備を依頼し、第三者が確認しても理解できる状態にしておきましょう。

契約内容の精査

システム導入の検討時や契約締結前には、評価基準を設定することが重要になります。
契約内容に不利益な条件がないかを確認することで、ベンダーロックイン状態を事前に回避しましょう。
また、すでに契約済みの場合は早めにベンダーへ問い合わせし、契約内容の見直しを行いましょう。

長期的な柔軟性

長期的にシステムを利用する場合、必ずシステムの機能追加や改修が発生します。
開発の初期段階から、標準化された技術や互換性のある技術を活用することで将来の移行が容易になり、ベンダーロックインのリスク低減につながります。

コスト管理の徹底

導入時の費用が他社より安価であったとしても、継続的に運用していく中で、提案されるシステム改修や保守にかかる費用が高額になってしまう場合があります。
初期費用だけでなく、長期的な運用や今後の改修も見据えた検討を行うことで、ベンダーロックインのリスクを効果的に低減できるのではないでしょうか。

移行計画の策定

ここでは、ベンダーロックインからの脱却に向けた効果的な移行計画の策定方法についてご紹介します。

社内に専任担当者を配備

まず、社内に専任の担当者を置くことが有効です。自社の業務や既存システムの状況と課題などを理解し、一貫性を担保しながら進めることが可能となります。

移行計画書の策定

ベンダーロックイン状態からの脱却には、既存システムから新しいシステムに移行する必要があります。これをマイグレーションと言います。
マイグレーションの際には、移行計画書に沿ってシステム移行を進めていきます。
その際は、移行のノウハウを多く保有しているベンダーに移行計画の策定を依頼することも検討するとよいでしょう。

これらのプロセスは時間とコストを要しますが、長期的な視点で見ると、柔軟性の向上や最新技術の活用、ベンダー間の比較による適正価格でのシステム構築などにつながります。
また、ERPシステムなどを導入し組織全体の見直しや業務のスリム化を行うことで、既存システムからの移行をより促進する効果が期待できます。

リスク管理とモニタリングの重要性

ベンダーロックインを防止するためには、リスク管理とモニタリングが不可欠です。

ベンダーロックインを防止するリスク管理

ベンダーロックインを回避するためには、リスク管理を行うことが重要です。
リスク管理には、システムのブラックボックスを防ぐためのドキュメントの整備、業務の属人化防止や運用保守をベンダーに全て任せてしまわないようにすることなどが含まれます。
契約前から導入、運用フェーズに入っても定期的にリスク管理を行うことで、ベンダーロックインの防止に努めるべきです。

ベンダーロックインを防止するためのモニタリング

ベンダーロックインのリスクを最小限に抑えるためには、継続的なモニタリングが重要となります。
ベンダーマネジメント管理として、VMO(Vendor Management Office)と呼ばれるベンダーマネジメントを専任で行うための組織を設立し、半期や年ごとに定期的なベンダー評価を行うことが有効です。

まとめ

ベンダーロックインの概要から、脱却したい場合の対処法、リスクとその対策についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
ベンダーロックインを回避することが重要ですが、もし既に陥ってしまっている場合は現状の把握からしっかりと行い、計画立てて脱却に向けたアクションを進めてみてください。
企業活動の一端を担うシステムを柔軟に継続的に活用していけるよう、リスク管理と継続的なモニタリングを行いましょう。


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