• 更新日 : 2024年7月12日

「2025年の崖」とは?問題点やERPで解決できることをわかりやすく解説!

「2025年の崖」とは、経済産業省の「DXレポート」で提示されたキーワードです。経済産業省によると、2025年には現在多くの日本企業が抱えている諸問題が顕在化し、国際競争力を失って大きな経済的損失になると予測しています。この課題に対し、日本の企業はなにをすればよいのでしょうか。ここでは、経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」について、その問題と対策について解説します。

「2025年の崖」とは

「2025年の崖」とは、経済産業省が「DXレポート」にて提示した、日本の近い将来に対する警鐘です。2018年に発表された同レポートでは「日本企業がDXを推進しなければ、2025年以降の5年間で、最大で年間12兆円の経済損失が生じる」と記され、多くの企業に衝撃を与えました。
参考:DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~|経済産業省

これ以降、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に取り組む企業が増えましたが、多くの企業はまだDXの前段階といえる「デジタル化」にとどまっており、本格的にDXを推進できている企業は少ないようです。

DXとは、業務プロセスだけでなく企業活動の全体をデジタル化することで、企業のあり方そのものを変え、顧客に新しい価値を提供する大きな変革を意味します。DXの詳細は
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは? 定義とERPの活用で実現できることをわかりやすく解説」を参考にしてください。

「2025年の崖」に指摘される現状の問題点

なぜ「2025年問題」が話題になっているのでしょうか?2025年には次のような課題が一気に顕在化し、競争力を失った企業が生き残れなくなっていくとされています。これらの問題は日本企業の多くが抱えている問題です。

レガシーシステム化の進行

レガシーシステムとは、老朽化して非効率化したITシステムのことです。導入から20年程度経過して老朽化したシステムが、多くの企業でまだまだ使われています。とくに基幹システムなど大きなシステムが多く、これらは「レガシーシステム」と呼ばれています。

レガシーシステムは、長年にわたって部分的なメンテナンスを繰り返し行ったことで、システムがパッチワーク状になり、複雑化しています。さらに既存のシステムは、単独の業務を管理するものが多く、他のシステムとのデータ連携がスムーズに行えないものも少なくありません。これらのシステムは非効率的なだけでなく、機能も時代に合わなくなってきています。

現在でも、多くのシステムがレガシーシステムとして保守運用がしにくくなっています。しかし2025年になると、エンジニア不足とアプリケーションのサポート切れが加わり、ますます非効率で保守運用が難しいものになっていきます。このシステムを利用したままでは、企業競争力が低下し、生き残っていくのは難しくなっていきます。

エンジニア不足の激化

レガシーシステムを維持するには、古いシステムや、そこで使われている言語について高いスキルのあるエンジニアが必要です。しかし、どの業界でもエンジニアが足りていません。なかでも、レガシーシステムに対応できるようなエンジニアやDX人材不足は、深刻な問題となっています。

レガシーシステムを保守運用しているエンジニアの多くが、2025年には定年などで職場を離れてしまいます。それによって、レガシーシステムの維持管理はさらに難しくなり、さらにブラックボックス化してしまいます。そうなるとレガシーシステムの保守運用には、さらに高いコストがかかってしまうでしょう。

システム保守運用の予算高騰

レガシーシステムの保守運用を任せられるエンジニアが不足しているという状況ですが、レガシーシステムは老朽化しているため、保守の回数も多くなります。そのため、レガシーシステムを維持していくには、保守運用に大きなコストが必要です。

2025年以降は、エンジニアがさらに不足し、メンテナンス費用も上がっていくことが予想されています。その結果、コストの高騰によりメンテナンスできないシステムを抱える企業が出てくることが懸念されているのです。

新しい技術に対応できない

レガシーシステムは、古いハードウェアやOSにしか対応していません。そのままでは、AIやIoTなど新しい技術に対応できなくなります。新しいビジネスモデルや新商品の開発もできなくなり、競争力の低下につながります。

アプリケーションのサポート切れ

2025年には、SAP、Windows7など、これまで多くの企業が導入し、さまざまな業務を支えてきたシステムやアプリケーションのサポート期間が終了します。アプリケーションのサポートが切れることは、セキュリティ上大きなリスクとなります。サポートが切れると、セキュリティホールがあっても修正プログラムが提供されなくなるからです。それによってセキュリティリスクが増大するだけでなく、サイバー攻撃で狙われる可能性も高くなります。

新しいシステムに入れ替えることで対処することができますが、それには大きな費用がかかります。

市場のデジタル化の進行

市場のデジタル化だけでなく、あらゆる場面へのIT導入は避けられない流れになっており、その流れはこれからもさらに加速することが予想されます。そのため、レガシーシステムを使用し続ける企業では、新しい技術に対応できず、新しい商品やサービスを提供することもできません。そのままでは、競争力を失って取り残されてしまうでしょう。

クラウド型ERPの導入で「2025年の崖」問題を解決

このような「2025年の崖」問題も、クラウド型ERPを導入することで解決できます。クラウド型ERPには、次のようなメリットがあります。

常に最新のシステムを利用可能

クラウド型ERPは、常に最新の機能を持つシステムを利用できます。

クラウドサービスは、毎回サーバー上のシステムにアクセスして使用するものです。機能追加などは、ベンダーがサーバー上のシステムを自動的にアップデートしてくれるので、ユーザーは自動的に常に新しいシステムを利用できます。バグの修正や脆弱性をカバーするセキュリティパッチの適用も自動的に行われるので、セキュリティ上も安心です。

業務の標準化と業務効率の向上

ERPを導入すれば、ERPの操作に合わせて業務が標準化されます。複数の部署にわたる業務でデータの受け渡しを行う場合でも、データが自動連携機能されるためデータを加工する必要がありません。これにより、大きな業務効率化につながります。

また、クラウド型ERPを導入することで、時間や場所にかかわらず業務を行うことができます。外出先や出張でも、テレワークでもオフィスと同じように仕事をすることが可能です。これも、大きな業務効率化につながります。

情報の一元管理が可能

ERPは、すべての基幹業務に関わる業務システムを統合したものです。ERPが保存しているデータは、すべて1つのデータベース上で一元的に管理されます。一箇所でデータを入力・修正すると、関係するすべての場所で反映されるので、常に正しいデータを確認することができます。

経営状況の可視化

クラウド型ERPは、すべてのデータをリアルタイムで共有するので、常に最新のデータを利用できます。最新の経営状況を可視化することができ、データ分析やシミュレーションの高速化が実現できます。

低コスト・短期間で導入可能

クラウド型ERPは、他のクラウドサービスと同じように、初期費用が安く、導入準備にかかる期間が短いという特徴があります。また、使う容量や人数も現状に合わせて柔軟に変化させることができるので、コストを最適化することが可能です。

まとめ

「2025年の崖」とは、経済産業省が「DXレポート」で提示した、日本企業が近い将来に直面しようとしている危機的状況を表したキーワードです。

日本企業の多くがこのまま非効率的な古いITシステム、つまりレガシーシステムを使い続けることで、保守運用に大きな費用と手間がかかります。また新しい技術に対応することや新しいビジネスモデルを開発することができず、企業競争力が低下し、国全体でも大きな経済的損失が発生してしまいます。これが「2025年の崖」です。

この問題を克服するためには、各企業がレガシーシステムを刷新し、業務プロセスを見直して業務効率化を行うだけでなく、企業全体を根本的に改革するDXに取り組んでいくことが必要です。DXを推進することで、デジタル化が加速するグローバルな市場でも企業競争力を維持し、成長していくことができるのです。

そこで、有効な方法の1つがクラウド型ERPの導入です。クラウド型ERPなら、比較的低コストかつ短時間で最新のシステムを導入できます。レガシーシステムからの脱却を目指し、クラウド型ERPの導入を検討しましょう。

よくある質問

「2025年の崖」とは?

「2025年の崖」とは、経済産業省が「DXレポート」にて提示した、日本の近い将来に対する警鐘です。

「2025年の崖」に指摘される現状の問題点とは?

レガシーシステム化の進行やエンジニア不足の激化などの課題が一気に顕在化し、競争力を失った企業が生き残れなくなっていくとされています。

クラウド型ERPで解決できることとは?

業務の標準化と効率化や、情報の一元管理、経営情報の可視化が可能となり、レガシーシステムからの脱却に貢献します。


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