• 更新日 : 2024年7月12日

付加価値とは?概要とビジネスにおける付加価値向上の戦略を紹介!

付加価値とは、商品やサービスの本来の価値に加え、新たに独自の価値を付与することを指します。

ビジネスにおいては、付加価値を高めることで顧客満足度の増加が期待できるため、市場価値を高めることにつながります。

本記事では、付加価値の概要や計算方法に加え付加価値を高める戦略を業界別に解説します。

付加価値とは

付加価値とは、商品やサービスの本来の価値に何らかの特別な価値を加えることで、顧客にとって魅力的な製品に変えることを指します。

これによって製品やサービスの差別化ができ、顧客の購買意欲を高めることが可能です。

また付加価値を高めることにより、企業は高い価格設定が可能となり、利益率の向上や顧客満足度の向上、リピート購入や新規顧客の獲得につながります。

付加価値の創出は、市場での競争力強化と持続可能な成長を実現するための戦略的アプローチだといえます。

付加価値の計算方法

付加価値の計算方法は、主に以下の2つがあります。

  • 控除法
  • 加算法

本章では、それぞれの詳細と使い分けについて解説します。

控除法

控除法は、売上高から外部購入価値を差し引くことで付加価値を算出する計算方式です。計算式は、「付加価値=売上高-外部購入価値」となります。

ここでの外部購入価値とは、材料費や人件費、外注費など、製品やサービスを顧客に提供するまでにかかった費用全般を指します。

例えば、あるサービスを提供する際、売上が100万円で、外部購入価値が60万円だった場合、付加価値は40万円と計算できます。

この方法は、特に中小企業において採用されることが多く、そのシンプルさから広く使われています。

加算法

加算法は、企業が提供する付加価値を、人件費や金融費用、減価償却費などの経費項目を合算して算出する計算方式です。

計算式は、「付加価値=人件費+金融費用+減価償却費+賃借料租税公課経常利益」となります。

例えば、あるビジネスの運営において、人件費が30万円、金融費用が5万円、その他の経費が15万円で、経常利益が50万円だった場合、付加価値は100万円と計算されます。

この方法は、商品やサービスの生産・提供過程の各段階で生じる価値を積み上げていく考え方に基づいています。

控除法と加算法の使い分け

控除法と加算法、それぞれの方法を適切に使い分けることで、企業の収益性向上につながります。

控除法は、生産活動の最終産出と中間消費のデータが手に入りやすい場合や、経済全体の付加価値を測定するマクロ経済を分析する場合に適しています。

一方で加算法は、企業の会計情報から資本に対する利益など、生産過程に投入された要素への報酬を詳細に把握できる場合(企業レベルでの分析が可能な場合)に適しています。

付加価値を計算することで、企業は自社のビジネスがどれだけの価値を顧客に提供しているかを定量的に把握したり、効率的な経営戦略を立案したりすることが可能となります。

付加価値向上の戦略

続いて、自社の付加価値を向上させる戦略として、以下の4つを紹介します。

  • 業務効率化の推進
  • 外注費の削減
  • 新商品の開発
  • 新規市場の開拓

自社が取り組めるものから実践し、付加価値の向上を目指しましょう。

業務効率化の推進

システム化やデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進して無駄な業務を削減することで、従業員が本来の業務に集中できる環境を整えられます。
例えば、クラウドサービスを活用したデータ管理や、AIを用いた顧客管理システムの導入などが挙げられます。

これらのサービスの活用によって企業全体の生産性が向上し、サービスの質が高まります。

外注費の削減

外注費の削減も、コスト削減と付加価値の向上に直結します。

例えば、内製化できる業務はないか検討して外注費を見直すことで、品質管理を徹底しつつコストを抑えることが可能になります。

また長期的な視点で見れば、内製化は自社の知見や技術の蓄積を促すため、新たなビジネスチャンスを生み出すことにもつながります。

新商品の開発

新商品を開発することで顧客に新たな価値を提供し、市場での差別化を図れます。

この際、他社との比較を通じて、自社にしかできないサービスや機能を持った商品を開発することが重要です。

新商品の開発にはリスクも伴いますが、綿密な市場調査と戦略的な計画のもと開発を進めることで、成功の可能性を高められます。

新規市場の開拓

新規市場の開拓は、既存のビジネスモデルで培った強みを活かし、新たな顧客層を獲得することにつながります。

新規市場の開拓には、地域のニーズを理解するための丁寧な市場調査が必要不可欠です。

また、国内外を問わず未開拓の市場に目を向け、その地域や文化に合わせたサービスを提供することが求められます。

業界別事例と付加価値の高め方

最後に、以下4つの業界別事例を紹介します。

  • 飲食業
  • 不動産業
  • 宿泊業
  • 製造業
  • 農業

これらの事例を参考に、付加価値の高め方のイメージをつかみましょう。

飲食業

飲食業では、顧客体験(CX:Customer experience)の向上が重要です。
例えば、地元の新鮮な食材を使用することや、独自の調理法で料理を提供することで、他店との差別化を図ることが可能です。

さらに、店内の雰囲気作りや顧客へのサービスを工夫することで、顧客に良質な体験を提供し、付加価値を高められます。

不動産業

不動産業では、物件そのものに付加価値をつけることが大切です。

例えば、インターネット無料の物件や、ペット可、DIY可の物件を提供することで、特定の顧客層にアピールできます。

また、物件をリノベーションすることで古い物件にも新しい価値を生み出すことができるため、高い賃貸料を設定できます。

宿泊業

宿泊業では、顧客に非日常な体験を提供することで付加価値を高められます。

例えば、特別なルームサービスや、その地域ならではのアクティビティを提供することで顧客の記憶に残る体験を提供し、再訪を促すことが可能です。

製造業

製造業では、労働生産性の向上や外注費の見直しを通じたコスト削減によって価格競争力を高めることが、付加価値の向上につながります。

また、独自の技術やデザインを活用して、他社と差別化できる製品を開発することも重要です。

農業

農業では、希少性の高い作物の生産や、鮮度を保つための工夫、加工品としての販売などを通じて付加価値を高められます。

また、スマート農業を活用することで生産効率を向上させ、品質の高い作物を安定して提供できます。

まとめ

本記事では、付加価値の概要や計算方法、向上させる戦略について解説しました。

商品やサービスに独自の価値を付与し、顧客満足度を高めることで、企業の市場価値向上につながります。

付加価値を向上させる取り組みを実施する上では、業務効率化を推進して業務フローを最適化し、、従業員がクリエイティブな作業に従事できる環境づくりが大切です。

業界別の事例をもとに付加価値の向上戦略を立案・実行し、企業の競争力強化と持続可能な成長を目指しましょう。


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