- 更新日 : 2024年12月20日
ローリングフォーキャストとは?意味やメリット、課題と解決策を解説
ローリングフォーキャストは、経営環境の変化に応じて予算や事業の計画を修正する手法です。柔軟に変化に対応することで、経営計画を達成しやすくなる点がメリットです。本記事では、ローリングフォーキャストの意味やメリット、課題とその解決策を解説します。
目次
ローリングフォーキャストとは
はじめに、ローリングフォーキャストの意味や重要性が高まっている背景、実施プロセスを紹介します。
ローリングフォーキャストの意味
ローリングフォーキャストとは、予算や業績を管理する手法の1つです。事業計画や予算計画を年間で固定せず、経営環境の変化に応じてフレキシブルに見直しや更新を行います。通常は四半期ごとや月ごとに見直しを行い、常に最新のデータに基づいて予測を修正していきます。
ローリングフォーキャストの重要性が高まっている背景
ローリングフォーキャストの重要性が高まっている背景には、ビジネス環境の急速な変化と不確実性の増大があります。
従来どおりに年間予算や事業計画を固定すると、急速な技術革新や法改正、競争激化などに対応できず、年度末に予算と実態がかけ離れてしまう事態になり得ます。
その結果、資金繰りが悪化したり、投資家などの利害関係者からの信用を損なったりする恐れがあります。また、計画と実態が乖離することが当たり前になり、最適な予算配分や事業運営が困難になることもあります。
こうした事情から、変化に対して柔軟に対応できるローリングフォーキャストを導入する重要性が高まっているのです。
ローリングフォーキャストの実施プロセス
ローリングフォーキャストは、一般的に以下のプロセスで実施されます。
- データの収集
- データ分析・予測
- 定期的な見直し・更新
はじめに、予算や事業の計画を策定する際に必要なデータの収集を行います。過去の業績データ、市場の動向、経済指標などが収集対象となります。
次に、収集したデータをもとに将来の収支を予測します。その内容を踏まえ、必要に応じて経営戦略や事業計画を修正します。
最後に、定期的(四半期ごとなど)に予算や事業の計画を見直し、最新情報に基づいた内容に修正します。
このプロセスを繰り返すことで、企業は迅速かつ柔軟に市場の変化に対応し、持続的な成長を目指すことができます。
ローリングフォーキャストのメリット
ローリングフォーキャストを導入すると、主に2つのメリットを期待できます。
メリット1:環境変化に対応しやすくなる
1つ目のメリットは、環境の変化に対応しやすくなる点です。従来の予算策定の場合、一度設定した予算は1年間にわたって固定化されます。環境の変化が生じた場合も過去データを基準に修正することがほとんどです。そのため、計画と実態が大きく乖離するリスクが高いです。
一方で、ローリングフォーキャストでは定期的に予測を更新するため、最新の市場動向や経済指標に基づいて、その都度最適な予算を策定できます。環境変化にフレキシブルに対応するため、実態との乖離を回避できます。
例えば、消費者のニーズ変化によってマーケティングに必要な予算が変動した場合、新しいニーズに応じた予算を用意し、適切な施策を行えるようになるでしょう。
メリット2:経営計画を達成しやすくなる
2つ目のメリットは、経営計画の目標を達成しやすくなる点です。前述のとおり、従来型の管理手法では計画を1年間固定し、過去データをもとに見直しを行うことが多いです。そのため、環境が大幅に変化しても対応できず、売上や利益などの目標を達成できないリスクがあります。
一方でローリングフォーキャストでは、四半期に1度などの短いスパンで、最新データをもとに見直しを行います。このため年間を通じて市場などの動向に基づいた最適な予算・事業計画になりやすく、結果として目標達成の可能性が高まります。
ローリングフォーキャストの課題
メリットばかりが注目されますが、ローリングフォーキャストにも2つの課題(デメリット)があります。
課題1:責任の所在が不明瞭になる
従来型の予算計画の場合、1年先を計画のゴールとして目標を設定します。基本的には途中で計画を変更しないため、目標の達成状況について誰がどのくらい責任を負うのかが明確です。
一方でローリングフォーキャストでは、頻繁にデータ分析や予算計画の変更などを行います。つまり、行うことが頻繁に変わるため、最終的に誰が責任を負うのかが不明確となる傾向があります。
例えば、年に4回計画を変更したとして、最終的に想定していた予算と実態に乖離が生じたとしましょう。この場合、1回目〜3回目の計画を策定した人や、それをもとに行動していた人に問題があったとしても、それが表面化されにくくなります。
責任の所在が見えにくくなることで、計画策定に対する責任感・コミットメントが薄れる懸念や、各人員間の対立が生じるリスクなどに注意が必要です。
課題2:担当部門の負担が増える
ローリングフォーキャストの導入は、担当部門に大きな負担をかける恐れがあります。予測を頻繁に更新するため、予算計画を年に1回のみ立てる場合と比べて、データの収集や分析、報告などの作業にかかる労力が大幅に増えます。つまり、上記業務の担当者の負担が大きくなります。
担当者の負担が増加することで、分析の質やモチベーションが低下する恐れがあります。最悪の場合、担当者が体調を崩したり離職したりすることによって、ローリングフォーキャストを円滑に実施できなくなる事態に陥ります。
ローリングフォーキャストの課題解決策
特に大きな課題としては、前述の2つ目の課題「担当部門の負担が増える」が挙げられます。この課題を解決するには、適切なITシステムの導入が効果的です。
ローリングフォーキャストにITシステムを導入するメリット
ITシステムを導入すると、以下のメリットが期待できます。
- データの管理や分析を自動的かつリアルタイムに行える
- 部門を横断して一元的にデータを管理できる
業務の大部分をシステムが代わりに行うため、担当者の業務負担が大幅に軽減されます。また、システムが処理することによってデータ分析や管理におけるヒューマンエラーも防げます。
どのようなITシステムの導入が効果的か
ローリングフォーキャストに関しては、一般的に以下のシステムが活用されます。
主なITシステム | 概要 |
---|---|
ERPシステム | 会計や財務、人事などの基幹業務システムを連携させ、一元的に経営資源を管理するシステム |
需要予測ソフトウェア | 過去データをもとに、商品・サービスの需要を予測するシステム |
データ分析ツール | 大量にあるデータを分析し、結果を見える化するシステム |
システムごとにできることが異なるため、状況や不足するリソースなどに応じて使い分ける・併用することが重要です。
なお、マネーフォワード クラウドERPであれば、仕訳などの会計処理に加えて、給与や経費などの管理を一括で行えます。IPOの準備を進めている企業や、リソース管理が複雑化している中堅企業の予算管理におすすめです。
まとめ
ローリングフォーキャストは、状況に応じて予算計画を修正する手法です。そのため、変化の激しい市場環境に適応する手段として効果的です。IPOや更なる事業の成長を目指している企業の方は、導入を検討してみることをオススメします。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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