• 更新日 : 2023年12月21日

配賦とは?按分・割賦との違いやメリット、注意点、効果的な方法を解説

配賦とは、全社共通的に発生するオフィス賃料や光熱費などの経費を一定の基準に従って各部門へ振り分ける処理のことです。配賦を行うことで、より正確な原価の把握やコスト意識の醸成などにつながります。

本記事では、配賦の概要やメリット、注意点、効果的な方法などについて解説します。

配賦とは

はじめに、配賦の概要や按分・割賦との違いについて解説します。

配賦の概要

配賦(はいふ)とは、複数の部門にまたがって共通してかかるオフィス賃料や光熱費などの費用を、一定の基準に従って各部門へ振り分ける処理を指します。
光熱費などの経費は会社全体に対して発生するため、部門単位で正確な費用を割り出すことは困難です。

そこで配賦の考え方を使って、一定の基準を設けて間接費を振り分ける方法が用いられています。

配賦を行う目的

主な目的は、企業の限られた資源(人材や資材、時間など)を効果的に活用し、業務の効率性・生産性を最大限まで高めることです。
企業で掲げている売上目標を達成するためには、適切な資源配分を行い、各部門でどれくらいの費用がかかっているのかを明確にする必要があります。また、各部門の責任者が売上に対する費用を把握しておけば、生産性や利益率を高めるために必要な方法をより検討しやすくなるでしょう。

按分との違い

按分(あんぶん)とは、モノやお金などを一定の基準に従って分けることを指します。
「一定の基準に従って分ける」という点は配賦も按分も同様ですが、配賦は分けた後に各部門に割り当てる処理までを指す点が異なります。

割賦との違い

割賦(かっぷ)とは、商品代金や税金などを分割で支払うことです。
割賦は、第三者に対して支払い義務があるという点で配賦とは異なります。

配賦は、一定の基準に従って社内の各部門に費用を振り分ける処理であるため、第三者に対する支払い義務はありません。

配賦を行うメリット

配賦を行うメリットとしては、主に以下の点が挙げられます。

    • 原価を正確に把握できるようになる
    • コストに対する意識が全社的に高まる
    • 利益管理を行いやすくなる
    • 企業全体の収益性向上につながる
    • 市場の変化に対して柔軟に対応できる

原価を正確に把握できるようになる

配賦を行うメリットのひとつは、原価を正確に把握できるようになる点です。
製品の製造やシステム開発プロジェクトなどでは、労務費材料費、外注費といった直接的な費用だけでなく、電気代などの経費も発生しています。

製品やプロジェクトに直接紐づかない経費でも一定の基準をもとに各部門へ割り当てることで、製品やプロジェクトにかかった原価をより正確に把握できます。

コストに対する意識が全社的に高まる

配賦を行うことで、コストに対する意識が全社的に高まる点もメリットです。
全社共通的にかかるオフィス賃料や光熱費などの経費を各部門に配賦することにより、各部門は事業の運営にどれくらいの費用がかかっているのかを具体的に把握できるようになります。

それにより、コストに対する意識が高まり、無駄な電気代や不必要な残業などを削減する取り組みにもつながるでしょう。

利益管理を行いやすくなる

配賦を行うメリットには、利益管理を行いやすくなる点も挙げられます。
経費を各部門に割り当てることで、各部門は割り当てられた経費分も踏まえた利益計画を立案することになります。

事業活動に必要な共通費用も含めてコストを考えることで、よりに実態に即した利益管理を行うことが可能です。

企業全体の収益性向上につながる

配賦を行う際には、経営目標や企業の戦略に基づき、利益を最大化できる部門に優先して資源を配分する必要があります。限られた資源を効果的に運用できるようになることで、企業全体の収益性向上につながります。企業で立案した事業計画を円滑に進めていくためには、まずは適切な部署に資源を配分することが重要です。

市場の変化に対して柔軟に対応できる

事業の拡大を検討する場合、新しい技術の導入や、新製品の開発などに多くの資源が必要です。配賦を適切に行えば、事業拡大に必要な資源を各部門へ割り当てられるようになります。刻々と変化する市場に対して柔軟に対応するためには、企業の限られた資源をどのように使うかが重要です。適切な配賦を行うことで、企業は競争力を維持でき、市場の変化に柔軟に対応しながら成長し続けることができるでしょう。

また、市場や事業のリスクを考慮し、リスク管理のための資源を確保しておくことも大切です。配賦を行う際には、企業の将来的な成長とリスク管理の2つを考慮する必要があります。

配賦を行う際に必要な配賦基準について

配賦を行う際に重要な要素の一つが「配賦基準」です。配賦基準は大きく分けて「部門別配賦」と「製品別配賦」の2種類があります。
ここでは、それぞれの方法について詳しく解説します。

部門別配賦とは

部門別配賦は、社内の部門を直接部門・間接部門の2つに分け、配賦率に従って間接部門の費用を直接部門に配賦する方法です。
たとえば、バックオフィスで発生した費用を製造部や販売部などに配賦する方法などが部門別配賦になります。

また部門別配賦は、直接配賦法・階梯(かいてい)式配賦法・相互配賦法の3つに分類できます。それぞれの方法について、下記で詳しく解説します。

  • 直接配賦法
    直接配賦法とは、間接部門の間接費を直接部門に一度で配賦する配賦方法のことです。
    シンプルで分かりやすい配賦方法となっており、製造部門などをサポートする補助部門同士のやり取りを考慮しないのが特徴となっています。配賦先が複数ある場合は、売上や工数などに基準を設けた上で配賦額を算出します。
    直接配賦法は計算がシンプルであり、複雑な計算を行う必要がない点がメリットです。ただし、補助部門同士のやり取りが含まれていないため、製造の実態を把握しにくいというデメリットがあります。
  • 階梯式配賦法
    階梯(かいてい)式配賦法とは、優先度の高い部門から低い部門へと配賦を行う方法のことです。優先順位の高い費用から順番に割り当てる形であり、間接部門同士のやりとりを考慮した上で計算します。階梯式配賦法は、経費の優先順位が分かりやすいときに適しており、コストの優先順位が明確になっている企業におすすめです。ただし、階梯式配賦法は、直接配賦法よりも計算が複雑になります。
  • 相互配賦法
    相互配賦法(簡便法)とは、間接部門の費用を配賦し、その後に担当部署にのみ二次配賦する方法のことです。間接部門の費用を「一次配賦」「二次配賦」という形で割り当てるため、直接部門と間接部門が分かれている会社に適した方法となっています。相互配賦法は、補助部門同士のやりとりも考慮する必要があり、補助部門で発生した費用を他の補助部門に配賦する形となっています。

製品別配賦とは

製品別配賦とは、製品を製造する過程で発生する費用を直接費と間接費の2つに分けて、配賦率に基づいて各製品に間接費を配賦する手法のことです。社員数や稼働時間、工数などを基準にし、一定の基準でそれぞれの製品に配賦します。

製品別配賦は、製品ごとに割合を決めた上で配賦するため、部門ごとに費用を割り当てる必要がありません。

配賦でよく見られる課題

昨今、ビジネス環境の変化は著しく、デジタル化・グローバル化が急速に進んでいます。配賦を適切に行うためには、デジタル化やグローバル化によって生まれた課題を理解しておくことが重要です。ここでは、配賦でよく見られる課題について詳しく解説します。

デジタル化による課題

昨今のデジタル化に伴い、データセキュリティやプライバシーの重要性が高まっています。
デジタル化が進んだことで業務の生産性は向上しましたが、その分サイバー攻撃の標的とされる可能性が生まれ、情報漏えいなどのリスクが高まったともいえるでしょう。企業はこのようなセキュリティリスクを考慮した上で、情報技術関連のリソースを適切な部署に配分しなければなりません。

たとえば、情報システム部門などのセキュリティに関する専門知識を有している部門にリソースを分配することで、企業全体のセキュリティレベルをより効率的に高められるでしょう。また、デジタル技術の進化や市場の動向に合わせて、配賦を柔軟に行える体制を構築することも重要です。

グローバル化による課題

グローバル化によってサプライチェーンが複雑になっていることで、配賦の難易度が高くなっています。
グローバル化が進んでいる現代で配賦を適切に行うためには、サプライチェーン全体で配賦の効率性・透明性を向上させる取り組みが必須です。さらに、異なる地域での規制や文化、市場の要求に対応するために、どのような形で配賦を行っていくのかを戦略的に考えておく必要があるでしょう。

配賦を行う際の注意点

配賦には前述のようなメリットがある一方で、注意点も存在します。主な注意点は以下のとおりです。

  • 自社の事業規模などを踏まえ、配賦が効果的であるかを見定める
  • 社内でしっかりと合意形成を図る

自社の事業規模などを踏まえ、配賦が効果的であるかを見定める

配賦を行う際は、自社の事業規模などを踏まえ、自社にとって有効であるのかを考えておく必要があります。そもそも配賦は第三者から強制されている処理ではないため、実施するかどうかは自社の裁量で判断できます。

自社の部門数や取り扱う製品数などを考慮しながら、配賦を行う必要性を検討していきましょう。

社内でしっかりと合意形成を図る

配賦を行う場合は、あらかじめ社内の関係者で配賦の基準について話し合い、合意形成をしておくことも重要です。
配賦の基準は必ずしもすべての部門にとって好都合ではなく、場合によってはこれまで黒字だった部門が赤字になる可能性なども考えられます。

全体最適の視点に立ち、各部門から理解を得られるように丁寧に説明を行っていくことが求められます。

配賦の主な流れ

ここでは、配賦の主な流れについて、以下の手順に沿って解説していきます。

  • 配賦基準の設定
  • 配賦率の計算
  • 配賦額の計算

配賦基準の設定

はじめに、社内で配賦を行う際の基準を設定します。配賦の基準としては、例えば以下のようなものが考えられるでしょう。

  • 売上高
  • 作業工数
  • 稼働時間
  • 生産量
  • 材料費など

適切な基準は企業によって異なるため、自社に合った基準を選ぶことが大切です。
また、計算の手間が増え過ぎないように、なるべくシンプルで分かりやすい基準にすることもポイントとなります。

配賦率の計算

配賦基準を設定できたら、各部門への配賦率を計算し、それぞれの部門が具体的に負担する費用の割合を決めていきます。
例えば売上高を配賦基準とし、製造部門が3部門あった場合、各製造部門への配賦率は以下のようになります。

製造部門1製造部門2製造部門3合計
売上高600万円400万円1,000万円2,000万円
配賦率30%20%50%100%

配賦額の計算

配賦率の計算までできたら、各部門が実際に負担する費用額である配賦額の計算を行っていきます。配賦額は、間接費の総額に各部門の配賦率を掛けることで算出することができます。

例えば前述の例において、間接費の総額が600万円だった場合、各部門の配賦額は以下のようになります。

製造部門1製造部門2製造部門3合計
配賦率30%20%50%100%
配賦額180万円120万円300万円600万円

配賦を効果的に行う方法

配賦を行う際は、以下のツールや最新のテクノロジーを活用しながら取り組むことが効果的です。

  • エクセル
  • ERP
  • AI
  • ビッグデータ

エクセルを活用する

配賦を効果的に行う方法として、エクセルの活用が挙げられます。
エクセルであればすでにインストール済の企業も多いため、ツールの利用環境を整備する手間などを省けます。

部門数や取り扱う製品数などが少ない場合は、エクセルでも配賦率や配賦額の計算・管理を十分に行える場合もあるでしょう。

ERPを活用する

部門数や取り扱う製品数などがそれなりに多い場合は、エクセルの管理では限界があるため、ERPを活用する方法がより効果的です。

ERPであれば、配賦において必要な各部門の売上高や作業工数などの情報を一元的に集約・管理できるため、効率的な配賦を実現できます。

ERPの導入については、以下の関連記事も併せてご確認ください。

AIを活用する

AIを活用すれば、過去のデータから資源の需要や変動などを予測することができます。
たとえば、現在ある資源で最大の利益を得るための配賦配分を即座に計算したり、提案したりするといったことが可能になります。また、市場状況の変化に基づいてリソースを再配分するなど、高度な提案も可能になるでしょう。

AIの活用は、配賦を行う担当者の負担軽減にもつながります。
自社に適した配賦の方法を考えるには手間と時間がかかるものです。AIを活用すれば、少ない負担でデータに基づいた配賦の方法を立案できるでしょう。

ビッグデータを活用する

大量のビッグデータを抽出・分析することによって、業界や市場のトレンドに合わせた形で企業の資源を配分できるようになります。配賦を効果的に行うためには、まずは様々なデータを活用できる環境を構築することが大切です。

また、ビッグデータとAIを併用すれば、データに基づいた予測によってより高度な配賦を実現できます。企業は戦略的かつ効果的に配賦を行うことができ、競争優位性の確保にもつながるでしょう。

まとめ

配賦とは、複数の部門で横断的に発生する光熱費などの経費を一定の基準に従って各部門へ振り分ける処理を指します。配賦を行うメリットとしては、原価を正確に把握できる点やコストに対する意識が全社的に高まる点、利益管理を行いやすくなる点などが挙げられます。

ただし、配賦を行う際は、自社にとっての必要性を判断した上で、特定の部門から不満が生じないように配賦基準について社内でしっかりと合意形成を図ることが必要です。配賦の主な流れとしては、まず配賦基準を設定し、その後に各部門の配賦率や配賦額を計算するというものになります。

簡易的な計算であればエクセルの活用も有効ですが、ある程度の事業規模がある場合はERPの活用がより効果的な手段となるでしょう。


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