- 更新日 : 2024年7月12日
会計システムにおけるアカウントアグリゲーションとAPI連携のメリットとは?
ここ数年で、ビジネス分野におけるDXの取り組みが日本国内で急速に進んでいます。
なかでも会計システムへの注目が集まっており、その核となる技術が「アカウントアグリゲーション」と「API連携」です。
アカウントグリゲーションは、複数の金融機関やサービスの情報を一元的に保持・表示するサービスを指します。これにより、会計業務の効率化など、さまざまなメリットを得ることができます。
この記事では、会計システムにおけるアカウントアグリゲーションとAPI連携の概要、業務におけるメリットなどをご紹介します。
目次
アカウントアグリゲーションとは?
アカウントアグリゲーションとは、ユーザーが利用する複数の金融サービス(銀行、クレジットカード、投資口座など)の情報を、金融機関から一元的に集約・表示するサービスです。
アカウントアグリゲーションは、10年以上前から存在する技術であり、全国銀行協会から2002年にガイドライン資料が開示されています。
複数の金融サービスの取引情報を自動的に取得できるため、会計業務における手動でのデータ入力や確認作業を削減でき、業務効率が向上します。
アカウントアグリゲーションを利用することで金融機関から得られる情報
アカウントアグリゲーション技術を用いて、金融サービス別に得られる代表的な情報は以下とです。
銀行口座
- 残高情報
- 入金・出金の詳細(日付、金額、取引相手、用途など)
- 定期預金の詳細(期間、金利、金額など)
- 通帳情報や取引履歴
クレジットカード
- 利用明細(利用日、利用店舗・業者、金額、商品・サービスの内容など)
- 未払い金額
- 利用可能額
- キャッシングの利用明細
- ポイントの獲得・利用状況
証券・投資信託
- 保有銘柄の詳細(数量、取得価格、現在の価格・評価額など)
- 取引履歴(売買日、金額、数量など)
- 配当金・分配金の情報
保険
- 保険契約の詳細(契約内容、保険料、特約など)
- 未払い保険料
- 現在の総合収益・保障内容
ローン(借入)
- 借入金額
- 未払い金額・返済額
- 利息や手数料の詳細
- 返済スケジュール
アカウントアグリゲーションの手法
アカウントアグリゲーションによるアカウント情報の取得手法は、次の2つです。
- API連携
- スクリーンスクレイピング技術
API連携
API連携とは、外部サービスや他システムとデータ連携をおこなう技術です。
近年、多くの金融機関がAPIを提供しており、会計システムと連携できるようになっています。
スクリーンスクレイピング
スクリーンスクレイピングとは、画面表示された情報をテキストや画像として取得する技術です。金融機関からAPIが提供されていない場合に、この技術で情報取得を行います。
アカウントアグリゲーションにより得られる業務メリット
ここでは、アカウントアグリゲーションにより得られる代表的な業務メリットを解説します。
データ入力作業の削減
金融機関における、さまざまな金融サービス情報を一元管理し、自動仕訳が可能です。
また、データの手入力や確認工数を大幅に削減できます。
データの正確性の向上
アカウントアグリゲーションの利用でデータが自動連携されます。その結果、誤入力のリスクがなくなり、データの正確性が向上します。
財務諸表の作成時間の短縮
APIを介してリアルタイムに金融サービスの取引情報を取得できるため、財務諸表の作成に必要な時間が大幅に短縮されます。
監査対応の効率化
恣意性を排除した正確な情報が会計システムに蓄積されるため、監査対応時にスムーズな情報提出が可能です。
マネーフォワード クラウド会計のアカウントアグリゲーションとAPI連携機能とは?
ここでは、当社が提供するサービスの1つである「マネーフォワード クラウド会計」の、アカウントアグリゲーションとAPI連携について紹介します。
マネーフォワード クラウド会計の、アカウントアグリゲーションとAPI連携機能は、会計業務の効率化と自動化を実現するための強力なツールです。
マネーフォワードのアカウントアグリゲーションとは
当社のアカウントアグリゲーションは、次の特徴があります。
多種多様な金融サービスとセキュアに連携
当社のアカウントアグリゲーションは多種多様な金融サービスとセキュアな連携を実現しています。また、日本最大を誇る2,590種を超える金融サービスに対応しています。
自動入力・自動仕訳で会計業務を効率化
当社のアカウントアグリゲーションを活用いただくことで、会計業務を効率化できます。
具体的には次のとおりです。
・アカウントアグリゲーションで取得した情報を、自動仕訳で会計システムへ登録
・会計業務の負担を削減しながら人為的ミスを削減
マネーフォワード クラウド会計では、アカウントアグリゲーション機能により、銀行やクレジットカードなどの金融サービスの取引情報を自動的に取得し、仕訳データを会計システム上に自動作成することができます。この機能により、会計処理に関する業務効率が大幅に向上します。
また、マネーフォワード クラウドERPとも連携が可能なため、会計データと業務データをERPで一元管理でき、経営的な意思決定に必要なデータをスムーズに取得することが可能になります。
マネーフォワードのAPI連携機能
当社のAPI連携機能には、次の特徴があります。
・金融サービス以外のサービス連携が可能
・次のサービスにおけるデータをAPI連携で取得し、仕訳情報を自動入力する
【連携可能サービス例】
・経費精算ソフト
・給与計算ソフト
・請求書
・POS
・ネットショップ管理ツール
マネーフォワード クラウド会計は、さまざまな外部サービスやアプリケーションとのAPI連携が可能です。具体的には、経費精算ソフトや給与計算システム、ECサイトなど、多岐にわたるサービスが対象となります。
API連携による二重入力などの人為的ミスも低減でき、円滑な業務推進が可能です。
特に膨大な売上データ量を持つPOSやECでは、当社のAPI連携機能で、会計業務の自社負担を大幅に削減できます。
まとめ
現在の会計システムは、デジタルトランスフォーメーションの波に乗り、進化を続けています。その中でも、アカウントアグリゲーションとAPIの連携は注目の技術です。
アカウントアグリゲーションは、複数の金融機関のデータを一元的に管理可能とする技術です。これにより、取引の確認や会計データの入力ミスが減り、効率的管理が可能となります。
一方、APIの連携は、異なるシステムやアプリケーションをスムーズに繋ぐためのカギとなります。
給与計算や経費精算、外部の取引システムなどとの連携を容易にします。
また、データの信頼性確保と業務自動化の実現で、二重入力リスクの低減や、全体的な業務フローの円滑化が可能です。。
アカウントアグリゲーションとAPI連携は、現在の会計業務において、効率化・正確性の向上、および自動化を実現するための重要な技術です。
当社のマネーフォワード クラウド会計をはじめとするサービスの活用で、自社ビジネスの競争力の強化につながることでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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