• 更新日 : 2024年7月12日

月次処理とは?概要や目的、進め方、実施のポイントなどを解説

月次処理とは、1ヶ月単位で実施する財務状況の整理や決算書の作成などの決算業務のことです。
月次処理は、年度ごとに実施する決算業務の負荷低減や経営判断の迅速化などに役立ちます。本記事では、月次処理の概要や目的、進め方、実施のポイントなどについて解説します。

月次処理とは

はじめに、月次処理の概要や目的について解説します。

月次処理の概要

月次処理とは、月単位で会社の財務状況の取りまとめや会計処理を行う作業のことです。1ヶ月ごとに処理する決算業務であるため、月次決算と呼ばれることもあります。年次処理(年次決算)との大きな違いは、法律上の義務の有無にあります。

年次処理は、1年ごとに実施する決算業務であり、会社法などの法律で義務付けられています。それに対し、月次処理に関しては法的な義務がないため、企業の判断で任意に実施する作業であるといえるでしょう。

月次処理の目的

企業が月次処理を行う場合、実施目的としては主に以下が挙げられます。

  • 適切な経営判断を行うため
  • 年次処理の負担を軽減するため
  • データの不備や誤りをこまめに確認・修正するため
  • 金融機関から融資を受けやすくするため

月次処理を行うことで、財務状況のタイムリーな把握ができ、速やかな事業戦略の見直しなどにつなげることが可能です。また、月単位で決算業務を行っていくため、年次処理にかかる大きな業務負担の分散を図れます。

他にも、金融機関から融資を受けたい場合に月次処理で作成した月次決算書などがあれば、スムーズに融資判断が行われるでしょう。

月次処理の進め方

ここでは、月次処理の進め方について、以下のステップごとに解説します。

  • 現預金の残高を確認する
  • 月次棚卸高を確定する
  • 仮勘定を整理する
  • 経過勘定を計上する
  • 減価償却費や退職金などを計上する
  • 月次決算書を作成する
  • 月次業績として報告する

現預金の残高を確認する

まずは通帳の預金および金庫内の現金と帳簿上の現預金残高を照合し、金額が合っているかを確認します。もし金額にズレがある場合、ズレが発生している金額の大きさや発生時期などを調査し、原因を見つけて修正することが必要です。

月次棚卸高を確定する

月末時点での実際の商品在庫の数量・金額と帳簿上の数値が合っているかを確認します。社外の倉庫などにも保管している商品在庫がある場合は、それらも合わせて確認しましょう。

仮勘定を整理する

仮勘定である仮払金や仮受金は、一時的に使用する勘定科目であるため、決算処理時には整理が必要です。仮払金や仮受金の精算漏れがないかを確認しつつ、正しい勘定科目に振り替えていきます。

経過勘定を計上する

対象月における費用の支払いや入金が未完了の場合は、未払費用前払費用として経過勘定を計上します。あらかじめ対象項目や計上基準を決めておくことで、円滑に計上を進めることが可能です。

減価償却費や退職金などを計上する

減価償却費や退職金など期末に確定する費用は、年間にかかる費用を見積もり、その金額を12で割って月換算した金額を計上します。

月次決算書を作成する

1ヶ月ごとに仕訳を行った内容を総勘定元帳に転記し、月次決算書を作成します。月次決算書として作成されるものには、損益計算書貸借対照表、経費推移表などがあります。

月次業績として報告する

月次決算書を作成したら、経営層に対して月次業績の報告を行います。適切な経営判断につなげられるよう、同月の前年実績や月別予算との比較結果をグラフなどで可視化しておくとよいでしょう。

月次処理を実施する上でのポイント

本章では、月次処理を実施する上でのポイントとして、以下の点を解説します。

  • スケジュールや締め日を社内でしっかりと共有する
  • 月末に慌てないように早めに着手する

スケジュールや締め日を社内でしっかりと共有する

月次処理のスケジュールや毎月の締め日について、あらかじめ社内全体に共有しておくことが大事なポイントです。各部門からの請求書納品書、経費精算伝票などの提出が遅れると、月次処理の遅延につながり、会社の決算業務に支障を来すことになります。

したがって、スケジュールや締め日を遵守するよう会社全体へアナウンスを行い、各部門の責任者からも現場への落とし込みを徹底してもらうことが重要です。また、本来の期日よりも1~2日程度前倒しで締め日を設定し、万が一の際に備えて予備日を設けておくことも効果的です。

月末に慌てないように早めに着手する

月末に作業負荷が集中しないように、月中から月次処理を進めていくこともポイントとなります。月次処理は月末に各種情報が確定するものの、すべての作業を月末付近に集中させた場合、経理担当の負荷が月末に偏ることになってしまいます。

月末に他の緊急タスクが入った場合、スケジュール通りに処理ができなくなってしまうため、できる部分から早めに着手していくことが大切です。

月次処理の効率化に役立つツール・システム

月次処理を効率化する上では、以下のツール・システムを活用していくことが効果的です。

経費精算システム

月次処理をすべて手作業で完遂しようとすると、多くの手間と時間がかかってしまいます。一方、経費精算システムを活用すれば、スマホなどで撮影した領収書やクレジットカードなどの取引データの自動連携が可能になります。

また、紙の領収書などをデジタルデータとして保存することで、電子帳簿保存法への対応も行えます。また月次処理の効率化に加え、ペーパーレス化やテレワーク対応といった副次的な効果も得られるでしょう。

ERP

ERPを活用することで、経費精算に加えて財務会計や給与計算、予実管理などの各社内業務の一元管理が実現可能となります。社内の各種データを効率的に集約して月次処理を進めたい場合は、ERPの導入が効果的です。

またERPを導入すれば、経費精算だけでなく企業の財務会計の効率化などにも役立ちます。財務会計業務においてERPを導入するメリットなどについては、以下の関連記事も併せてご確認ください。

まとめ

月次処理とは、1ヶ月ごとに決算書の作成や月次業績の報告などを行う決算業務のことです。月次処理の主な目的としては、年度決算業務の負担軽減や経営判断の迅速化などが挙げられます。

月次処理を進める際は、まず現預金の残高を確認し、月次の棚卸高を確定させます。そして勘定項目の整理などを行った上で月次決算書を作成し、経営層に対して月次業績報告を行うことが一連の流れとなります。

月次処理を実施する際は、処理スケジュールや締め日を社内で徹底し、遅延を防ぐことが重要です。また、月末に作業負荷が集中しないよう、月中から早めに着手することもポイントとなります。月次処理の効率化を図る上では、経費精算システムやERPの活用が効果的です。


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