- 更新日 : 2024年7月16日
SDGsとは?17の目標や事例を簡単に解説!
SDGsとは、2015年に国連で採択され、2030年までの達成を目指す17の目標が掲げられた「持続可能な開発目標」のことです。貧困や教育、気候変動など広範な課題の解決に向け、持続可能な経済成長と「誰一人取り残さない」目標の達成を目指しています。
本記事ではSDGsの概要や歴史的背景、具体的事例などを解説します。
目次
SDGsとは?
SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、持続可能な開発目標のことです。2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択され、国連加盟193ヵ国が2030年までに、よりよい世界を目指す目標です。
17のゴールと169のターゲットで構成され、貧困や飢餓、環境問題など幅広い課題が網羅されています。
SDGsの歴史的背景や概要を詳しくみていきましょう。
SDGsの歴史的背景
SDGsの原点は、1972年に遡ります。世界各国の有識者を集めた民間団体ローマクラブは、「成長の限界」という研究報告書を発表しました。報告では、「このまま人口増加や環境汚染が続けば、あと100年で地球の成長は限界に達する」ことを警告しています。
物質的な豊かさを求めて成長と繁栄を続ける世界が、地球環境の危機や人口問題へと目を向けるきっかけとなりました。
さらに1980年には、国際自然保護連合(IUCN)が作成した「世界自然資源保全戦略」の中で、初めて公式的に「持続可能性」という考え方が登場しました。
1989年には、ベルリンの壁の崩壊をきっかけに東西冷戦が終結します。経済が急激にグローバル化するなかで指導者層には、世界の長期的な安定と平和のために地球環境問題が不可欠であるとの共通認識が生まれました。
1992年にブラジル・リオデジャネイロで開催された国連環境開発会議「地球サミット」は、持続可能な開発の歴史的転換となります。 会議では持続可能な開発に関する国際的な取り組み計画である「アジェンダ21」が採択され、サスティナビリティ(持続可能性)の概念が世界中に普及するきっかけになりました。
1997年には、京都で気候変動枠組条約締約国会議(COP3)が開催され、地球温暖化への取り組みが議論されました。ここで採択された文書が京都議定書です。
2000年に入ると持続可能性への取り組みは加速し、SDGsの前身となるミレニアム開発目標・MDGsが国連で採択されました。2015年までに開発途上国の貧困・教育・環境などを改善するため、8つのゴールと21のターゲットを掲げています。
このMDGsの後継として、2015年9月に誕生したのがSDGsです。
SDGsは誰が作った?
SDGsは、2015年に国連サミットにおいて、加盟国である193ヵ国の全会一致で採択されています。 つまり、SDGsは国連に加盟しているすべての国が作り上げたものです。
また、SDGsは国連サミットのみで議論され、作られたわけではありません。世界各国の企業やNGOなど数多くの人々が約2年にわたる議論を行い、「誰ひとり取り残さない」というコンセプトのもとに17の目標が作り上げられました。
SDGsにおける17の目標
SDGsは17の大きな目標が設定され、それらを達成するための169のターゲットで構成されています。
ここでは、17の目標の内容をみていきましょう。
1から6までは、貧困や飢餓、健康、教育、ジェンダーなどに関する目標を掲げています。これらの内容は開発途上国だけではなく、先進国でも取り組むべき課題が含まれています。
- 貧困をなくそうあらゆる場所におけるあらゆる形態の貧困をなくすということです。
- 飢饉をゼロにする食料の安定確保と栄養状態の改善を達成し、持続可能な農業を推進することを目指しています。
- すべての人の健康と福祉を推進するあらゆる世代のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を進めていくという目標です。
- すべての人が質の高い教育を受けるすべての人々に公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を与えることを目指しています。
- ジェンダー平等を実現する男女平等を実現し、すべての女性と女児の可能性を広げることを目標としています。
- 安全な水とトイレを世界にすべての人が安全で安価な水を使えるようにするとともに、下水処理やごみ処理などの衛生設備が整った環境で暮らせることを目指す目標です。
7から12まではエネルギーや経済成長、技術革新などの目標であり、先進国である日本も密接に関わる目標です。
- エネルギーをみんなに クリーンにすべての人が電気やガスなどのエネルギーを、安定的に安価で使えることを目指します。
- 働きがいも経済成長も働きがいのある仕事をして、環境を守りながら持続可能な経済成長を進めることを目指します。
- 産業と技術革新の基盤を作る経済成長と人々の健康で安全な暮らしを実現するため、社会の基盤となるインフラを強化するための目標です。
- 人や国の不平等をなくす国家間や国内での不平等を減らすための目標です。社会・経済・政治的な機会の不平等をなくし、特定のグループを差別する法律や慣習をなくすことを目指します。
- 住み続けられるまちづくりをすべての人が安全で安い価格の家に住むことができ、基本的なサービスが使えるようにする目標です。
- つくる責任 つかう責任すべての国が、一人当たりの食品廃棄量を半分に減らし、化学物質や廃棄物の排出を食い止めること、ゴミを減らすことを促進する目標です。
13から17までは、開発途上国・先進国の問題を越え、気候変動や海・陸に関する目標になっています。
- 気候変動に具体的な対策を気候変動による自然災害に備え、災害からの回復力を高めることを目指す目標です。
- 海の豊かさを守ろう海の汚染の原因となる人間の活動を改善しながら海洋汚染を防ぎ、海の生態系に悪影響を与えないことを目指す目標です。
- 陸の豊かさも守ろう森林や山地など陸の生態系を守り、砂漠化に対処し、森林破壊を防ぐことなどを目指します。
- 平和と公正をすべての人に平和な社会を作るため、世界中からあらゆる暴力をなくし、すべての人が法や制度で守られる社会を目指す目標です。
- パートナーシップで目標を達成しよう16の目標を達成するために具体的な方法を考え、世界のすべての人が協力しあって目標を達成することを目指します。
SDGsにおける169のターゲット
SDGsの掲げる17の目標には、それぞれに10個程度のターゲットがあり、合計で169個あるため169のターゲットと呼ばれています。ターゲットには具体的な数値を示すものも多く、各国が取り組むべき内容を示すものです。
例えば、1の「貧困をなくそう」という目標のひとつには、「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」というターゲットがあります。
また、8の「働きがいも経済成長も」には、「各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ。」というターゲットが設定されています。
どちらも、具体的な数値で目標を設定しているのが特徴です。
SDGsに取り組む各国は、これらの具体的なターゲットについて、2030年までの実現を目指して活動しています。
日本におけるSGDsの現状
国連と連携する国際的なネットワークであるSDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)は毎年、各国のSDGsの達成状況を示した「Sustainable Development Report」(持続可能な開発報告書)を発表しています。
2023年度版によると、日本の達成度は166ヵ国中21位という結果になり、前年の19位から2ランク下がりました。
報告書は、各国の取り組みの進捗状況について4段階で評価しており、日本が最高ランクの「達成済み」と評価されのは「4.質の高い教育をみんなに」と「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」の2項目のみです。
他の目標はそれ以下の評価がつけられており、特に「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」など5つの目標が「最低評価」となっています。
世界におけるSGDsの現状
SDSNの報告書における2023年のランキング1位はフィンランドで、3年連続のトップを維持しています。2位がスウェーデン、3位がデンマークと続いています。
20位まではヨーロッパ諸国が占めているのが特徴で、日本は21位と前年よりダウンはしたものの、ヨーロッパ以外の国ではトップの位置にあります。同じアジアの韓国は31位で、アメリカは39位という結果です。
各場面でのSDGsのあり方
SDGsは、ビジネスや地方創生、ジェンダー・次世代という各場面ごとに取り組みが行われています。
それぞれのあり方をみていきましょう。
① ビジネスにおけるSDGs
2015年にSDGsが採択されて以降、多くの企業がSDGsへの取り組みを行っています。SDGsに掲げられた17の目標には社会が抱える課題が包括的に網羅されており、その解決を考えることは、ビジネスにおけるイノベーションの創造につながります。
また、SDGsの掲げる社会課題は市場規模と密接に関連しており、SDGsを知ることは新しいビジネスの創出にもつながると考えられるでしょう。
さらに、SDGsに取り組むことは企業イメージアップにもつながります。SDGsへの社会的関心が高まっていることから、SDGsに取り組んでいることが企業の信頼獲得になり、商品・サービスの売上アップや優秀な人材確保にもつながる可能性があるでしょう。
➁ 地方創生の一環におけるSDGs
SDGsは、地方創生の一環として取り組みが行われています。持続可能なまちづくりや地域活性化をSDGsの理念に沿って進めることにより、政策の推進や地域課題解決の加速という相乗効果が期待されている状況です。
SDGsの17の目標や169のターゲットを活用することで、行政や民間事業者、市民などが地方創生の内容を共有でき、政策目標の理解が進みます。その結果、自治体業務の連携がスムーズに運ぶ点がメリットです。
地方公共団体におけるSDGsの達成への取り組みを推進するため、内閣府では「地方創生に向けた自治体SDGs」に関する動画と冊子を作成するなど、サポートに努めています。
③ ジェンダー・次世代へのSDGs
SDGsの5つ目の目標である「ジェンダー平等を実現しよう」は、次世代を担う子どもたちの将来にも関係してきます。
ジェンダーとは、社会的・文化的に形成される性別のことです。例えば、「男性は外に出て働き、家庭を守るのは女性」といった性別による区別は、ジェンダー不平等にあたります。近年、企業においても多様性が推進されるなかで、ジェンダーは注目される言葉です。
先述したSDGsの達成度に関する報告において、日本は「ジェンダー平等を実現しよう」の目標について「深刻な課題がある」という評価を受けています。具体的には、国会議員(衆院議員)の女性比率の低さと男女の賃金格差が問題とされました。
次世代を担う若者にとって明るい未来になるためにも、ジェンダー平等の取り組みが求められています。
SDGsの具体例・企業の取り組み
SDGsを推進する企業は数多く、大企業を中心にさまざまな取り組みが行われています。いくつかの事例をみてみましょう。
住宅総合メーカーのD社では、「住み続けられるまちづくり」を最重要の責任と考え、SDGsの目標につながる「まちづくりの推進」に取り組んでいます。さらに、同社は住宅メーカーとしての「まちをつくってきた責任」を考え、過去に開発した郊外型住宅団地等を再耕(再生)するなどの取り組みも開始しました。
学習塾をフランチャイズ展開しているK社では、教育が世界を変えると信じ、個人別教育による人材の育成を通じて社会や世界平和に貢献することを目指しています。さらに、発展途上国の貧しい子どもたちが無償で教育を受けられるよう、持続可能な教育支援も行う計画です。
引越サービス事業を営むA社では、引越しの際に紙資源を使用しない梱包材を使用し、資源ごみの削減を推進しています。さらに、従業員一人ひとりがSDGsについて意識を持って行動し、積極的に地球環境に配慮した活動に取り組んでもらうよう、エコバッグを配布する取り組みも行っています。
SDGsの取り組みで持続可能な未来に
「持続可能な開発目標」であるSDGsは2015年に採択されて以降、17の目標と169のターゲットに基づき、各国で積極的な取り組みが行われています。
地球環境や経済、人々の暮らしなど世界のさまざまな課題を解決し、誰ひとり取り残さずに豊かな未来を実現するための取り組みです。すべての人が尊厳を持って生きることができる世界を目指しています。
SDGsへの積極的な取り組みを始める企業は多く、今後も2030年に向けた目標の実現は加速していくでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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