- 更新日 : 2024年7月16日
4Rとは?3Rとの違いや企業が取り組むメリット、事例を解説
4R(よんあーる、ふぉーあーる)とは、ごみを減らすための取り組みのことです。従来は3Rと呼んでいましたが、「Refuse(リフューズ)」が増えて、4Rになりました。なぜ4Rに取り組むべきか、企業が4Rに取り組むことにはどのようなメリットがあるのか、また、実際にどのように取り組みを推進できるのか解説します。
目次
4Rとは?
4Rとは、ごみを減らすための以下の取り組みの総称です。なお、読み方は「よんあーる」もしくは「ふぉーあーる」です。
- リフューズ(Refuse)
- リデュース(Reduce)
- リユース(Reuse)
- リサイクル(Recycle)
ごみを処理する際には、大量の二酸化炭素が排出されます。二酸化炭素が増加すると地球温暖化が加速されるだけでなく、異常気象を招くこともあり、暮らしにくさも増加します。
また、ごみが増えると従来のごみ処理施設では対応しきれなくなり、施設を増やす、稼働率を上げるなどの対応も必要です。自治体の財政を圧迫する可能性も想定されるでしょう。
地球環境を守るためにも、そしてごみ処理に使われる税金を削減するためにも、ごみを減らすことは至急対応すべき課題です。4Rについての知識を深め、一人ひとりがごみ削減に取り組んでいきましょう。
リフューズ(Refuse)
リフューズ(Refuse)とは、断ることです。ごみとなるものは断り、家庭に持ち込まないようにします。次のようにリフューズを実践できます。
- マイバッグを持ち歩き、レジ袋を断る
- 箸やスプーンを持ち歩き、割り箸や使い捨てのスプーンを断る
- 自分や家族で利用するものは包装を断る
- プレゼントを買ったときは、過剰包装を断る
- びんやペットボトル、缶の飲料の購入を控える
リデュース(Reduce)
リデュース(Reduce)とは、少なくすることや減らすことです。ものを長く大切に使い、できるだけごみが出ない暮らしを目指します。
- ばら売りの食品を買い、トレイやパックの使用を減らす
- シャンプーや洗剤は詰め替え用を買い、容器の使用を減らす
- 食材は必要な分だけ買い、フードロスを減らす
- 料理を作りすぎないように注意し、フードロスを減らす
- 布巾や雑巾を使い、ティッシュペーパーやウェットティッシュの使用を減らす
リユース(Reuse)
リユース(Reuse)とは、再使用することです。繰り返し使用したり、壊れても修理したりすることでごみを減らします。
- 壊れたものを修理して、再使用する
- 使わないものをフリーマーケットに出して、再使用してもらえるようにする
リサイクル(Recycle)
リサイクル(Recycle)とは、再生利用することです。そのままでは再使用が難しいものでも、資源ごみとして正しく出すことで再生利用できます。
- 飲料用の紙パックや白色発泡トレイは専用の回収箱に入れる
- びんやペットボトル、缶を正しく分別して出す
- ダンボールや新聞紙などは、廃品回収や資源ごみに出す
- リサイクル品を購入する
自治体によって分別方法やリサイクル方法が異なります。お住まいの地域のルールを確認し、正しく分別・リサイクルしてください。
「3R」から「4R」が世界に広まった背景
ごみを減らし、限りある資源を守るためにも、3Rを実践することが必要です。しかし、リデュースとリユース、リサイクルだけでは十分とはいえません。ごみになるとわかっているものを受け取ると、確実にごみが増え、二酸化炭素の排出量の増加を招いてしまいます。
例えば、コンビニなどの小売店で受け取るレジ袋は、家庭内で再使用することもありますが、いつかはごみとなるものです。受け取りを断ることで、ごみを元から断ち、ごみ削減を実現していくことが求められています。
4Rに企業が取り組むメリット
4Rに取り組むことで、自治体がごみに使うコストを削減でき、税金の有効活用にもつながります。
また、企業にとっても、4Rへの取り組みは意義のある活動です。企業が4Rに取り組む主なメリットとしては、次のポイントが挙げられます。
- 経費やコストの削減につながる
- イメージアップにつながる
- 業務内容の見直しにつながる
それぞれのメリットについて解説します。
経費やコストの削減につながる
ごみになるものを買わないことで、購入費用や分別費用、廃棄費用が減り、コスト削減を実現できます。また、廃油や紙などの再利用できるものを有償で売却することも検討できます。
イメージアップにつながる
4Rを実践することで、環境問題に取り組む企業と認識されるようになります。企業のイメージアップにつながり、社会的評価の向上や就職希望者の増加も見込めます。
業務内容の見直しにつながる
ごみを減らすためには、資料や書類のペーパーレス化は欠かせません。データ化・オンライン化を進める中で、業務内容の見直しも必要になり、より一層の業務効率化も実現できます。
4Rの活動を企業で実践するには?
4R活動を企業で実践するためにも、まずは次のような身近なことから着手できます。
- 4Rの社内啓発
- リサイクルボックスの設置
- 3R行動見える化ツール
それぞれについて解説します。
4Rの社内啓発
社員が能動的に4R活動に取り組むためにも、4Rとは何か、なぜ必要かという点を周知することが必要です。4Rについての社内啓発を実施することで、社員一人ひとりが「ごみ削減は大切だ」と意識し、ごみ問題を自分の問題として捉えるようになります。
リサイクルボックスの設置
資源ごみを入れるリサイクルボックスを設置することも必要です。ごみの分別は手間がかかるだけでなく、人件費もかかるため、資源ごみが適切に処理されない可能性もあります。リサイクルボックスを設置しておけば、分別の手間が省け、資源ごみのリサイクルがしやすくなります。
また、社員や顧客などが不用品を入れるためのリサイクルボックスを設けることもおすすめです。フリーマーケットを開催したり、適切な場に送付したりすれば、コミュニケーションが活性化されるだけでなく、リサイクルや社会貢献にもつながります。
3R行動見える化ツール
環境省では、3R行動による環境負荷削減効果を定量的に計算できる「3R行動見える化ツール」を開発しています。簡単な計算で、環境貢献度を数値として確認できるため、3R・4R活動への意欲を高められます。
4Rに取り組む企業事例
4Rに取り組む企業は増えています。いくつかの事例を紹介します。
リサイクル:日本マクドナルド株式会社
日本マクドナルド株式会社では、おもちゃ付きの食事セット「ハッピーセット」のおもちゃをリサイクルする取り組みを実施しています。ハッピーセットのおもちゃの中でも、リサイクル可能なプラスチックでできたおもちゃだけを回収し、トレイやリサイクルボックスなどの店内で使用するものへと再生利用しています。
リデュース:キッコーマン株式会社
キッコーマン株式会社では、企業内で使用する電力を再生可能エネルギー由来のものに切り替えました。2022年時点では国内18の事業所や工場などの関連施設で使われる電力が、100%再生可能エネルギー由来になっています。また、2023年には海外の3つの事業所・工場の使用電力が、100%再生可能エネルギー由来に切り替わりました。
リサイクル・リユース:株式会社ユニクロ
株式会社ユニクロでは、不要になった衣類を回収し、難民キャンプや被災地で暮らす方へ送っています。リユースが難しい衣類は、燃料やリサイクル素材として活用し、ごみを削減する取り組みを実施しています。
参考:RE.UNIQLO:あなたのユニクロ、次に生かそう|株式会社ユニクロ
4R:花王株式会社
花王株式会社では、自然環境を損なうことなく豊かな暮らしを実現するために、プラスチック容器の廃棄量を減らす取り組みを実施してきました。詰め替え用製品の販売や使用感の向上などの取り組みにより、79%のプラスチックの削減を実現しています。
3R:ダスキン株式会社
ダスキン株式会社では、ものを大切に繰り返し使うことに注目し、レンタルシステムや再商品化、廃棄物削減に取り組んできました。例えば、モップやマットのレンタル事業では、再商品率97%の高い数字を維持しています。
また、従来は使用済みのプラスチックは「油化」と「原料化」の2つの工程を経て再資源化していましたが、「油化」の工程なしに再資源化する仕組みを開発し、さらなる省エネルギーも実現しています。
5Rとは?
4Rに「リペア(Repair)」を加えて、5Rとするケースも増えてきました。リペアとは修理・修繕を意味し、壊れたものを捨てるのではなく、修理してから使うことを指しています。
なお、3Rの「リユース(Reuse)」にも修理・修繕の概念は含まれていますが、あえてもう1つのRとして「リペア(Repair)」を打ち出すことで、修理・修繕への意識が高まります。衣類や靴、ぬいぐるみなどのさまざまなものは修理・修繕が可能です。「飽きた」「壊れた」とすぐに捨てるのではなく、修理・修繕して、長く大切に使っていきましょう。
日々の行動からごみを削減していこう
ごみを削減することは、私たちの地球を守るためにも必要な行為です。4Rについての理解を深め、一人ひとりが日々の行動からごみ削減を実施していきましょう。
また、企業としての取り組みも大切です。ごみを廃棄・処分するコストを削減できるだけでなく、ペーパーレス化や業務効率化につながることもあります。
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