- 更新日 : 2024年7月16日
サステナビリティとは?SDGsとの違い・事例や意義を解説!
サステナビリティ(sustainability)とは「持続可能性」と訳される言葉で、環境や経済などに配慮し、社会全体を持続性のあるものにしようとする考え方を指します。近年よく耳にする言葉ですが、実際どのようなことを指すのか、また、混同されがちなSDGsとの違いについて事例も含めて解説します。
目次
サステナビリティとは?
サステナビリティ(sustainability)とは、「持続可能性」を意味する英語です。しかし、日本で「サステナビリティ」というときは、環境や経済などに配慮し、社会全体を持続性のあるものにしようとする考え方を指すことが一般的です。
物を作っては壊す行為は、限りある資源を無駄にするだけでなく、発展・非発展の差や貧富の差が大きくなる行為といえます。サステナビリティを理解することで、持続可能なシステムや物を構築することの大切さに注目し、豊かな社会の実現を目指すことが大切です。
ESGとの違い
ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字をあわせた言葉です。企業が継続的に成長するためには、経営において環境と社会、ガバナンスの3つの視点を持つことが必要とされています。
世界には、温暖化や森林伐採などの環境問題や、紛争や差別などの社会問題、不正会計や過重労働などのガバナンス上の問題が数多くあります。持続可能な社会を目指すためにも、これらの問題に企業が積極的に取り組むことが求められているといえるでしょう。
CSRとの違い
CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業が果たすべき社会的な責任のことです。企業は営利を追及する団体ですが、それ以前に社会的な存在でもあります。環境に配慮し、従業員や顧客、株主、地域社会に対して責任のある行動を取ることが求められています。
SDGsとの違い
SDGs(Sustainable Development Goals)とは、「持続可能な開発目標」と訳され、安定して世界で暮らし続けるための目標を指します。2015年の国連総会で採択され、貧困や飢餓、教育、ジェンダー平等などを含む17の具体的な目標を2030年までに達成することを目指します。
サステナビリティ経営とは?
サステナビリティ経営とは、環境・社会・経済の3つの視点において持続可能な状態にする経営のことです。たとえば、廃棄物をなくして地球環境を守ることや、ジェンダーや国籍を問わず人材を採用することなど、長期的視点に基づく経営を実践することが含まれます。
サステナビリティにおける3つの柱
サステナビリティは、次の3つを柱として企業活動を進めていきます。
- 環境保護
- 社会開発
- 経済発展
各柱のポイントを説明します。
環境保護
経済活動を行うことが環境破壊につながるなら、持続可能な社会を実現できません。環境を良好な状態に保つためにも、環境保護につながる経済活動をすべきです。たとえば、森林保護のために社内でペーパーレス化を推進する、廃水を出す前に濾過してクリーンな状態にするなどの取り組みを実施できます。
社会開発
社会開発とは、人間の生活を向上させるための開発のことです。たとえば、適切な医療を受けられる環境、貧困や紛争の中でも子どもが学べる環境、仕事を必要とする人が雇用される環境などはすべての人にとって重要と考えられます。企業には、経済開発だけでなく、社会開発も担うことが求められます。
経済発展
経済発展とは、地域社会の生産性を拡大し、経済的に成長を遂げることを目的とした活動のことです。貧困問題に対応することや社会保障を拡充すること、適切な労働時間や清潔で居心地の良い職場などの労働環境を整えることが含まれます。
サステナビリティにおける指標
サステナビリティを実現しているかどうかは、客観的な指標で判別できます。一般的に用いられる指標としては、次のものが挙げられます。
- GRIスタンダード
- DJSI
それぞれの指標について見ていきましょう。
GRIスタンダード
GRIスタンダードとは、サステナビリティを具体的な指標として可視化するための国際基準です。企業がサステナビリティに対してどの程度貢献しているか、情報開示しているかを客観的に示します。GRIスタンダードは、自社で実践しているサステナビリティへの取り組みを外部に公表するときに、主に活用されます。
DJSI
DJSIとは、金融市場指標を提供している米国のS&P Dow Jones Indices社と、サステナビリティ投資に特化したスイスの投資会社・RobecoSAM社が共同開発した指数です。DJSIでは世界の主要企業のサステナビリティを評価し、優れた企業をDJSI銘柄として選定しています。
なぜサステナビリティが注目されているのか
環境問題や人権問題などに対する意識が社会的に高まる中、国連が掲げたSDGsに対する関心も高まっています。SDGsはサステナビリティを実現するための具体的な目標であり、SDGsを理解することは、すなわちサステナビリティを理解することに他なりません。
サステナビリティに注目した経済活動に取り組む企業なら、環境問題や社会問題に対する積極的な関わりが期待されるだけでなく、利益を長期的に創出することも期待でき、投資対象としても優れていると判断できます。サステナビリティに注目することは、不安定な社会において生き残ることにもつながるため、企業にとっても個人にとっても重要なことだといえるでしょう。
サステナビリティを経営で進めるメリット
サステナビリティを経営において実践することには、次のメリットがあります。
- 投資・資金調達面で有利
- 企業価値の向上・採用面でのメリット
- 従業員のエンゲージメント向上
- SDGs事業への拡大の余地が広まる
それぞれのメリットについて説明します。
① 投資・資金調達面で有利
サステナビリティは、持続性のある企業を目指す行為です。投資価値が高い企業と認識されるようになり、資金調達しやすくなると期待できます。また、社会的な責任を果たしている企業としても認識されるため、不祥事などの社会問題を引き起こす可能性が低いと考えられる点も、資金調達面で有利に働きます。
➁ 企業価値の向上・採用面でのメリット
社会的な責任を果たしている企業としての評価が高まると、企業価値も向上します。また、取引を希望する企業も増え、事業拡大や利益増につながり、さらに企業価値が向上するでしょう。
社会的な信頼性も高まり、入社を希望する人が増える可能性もあります。労働人口の減少が進み、人材確保はどの企業にとっても重要な課題です。採用面で優位に立つためにも、サステナビリティ経営は重要な要素といえます。
③ 従業員のエンゲージメント向上
サステナビリティを意識した経営を行う企業は、社会的にも高い評価を受ける企業です。従業員は会社に属していることに対して誇りを感じるようになり、エンゲージメントが向上します。
従業員のエンゲージメントが向上すると、離職者が減り、人材流出を回避しやすくなります。また、働きがいを感じている従業員は生産性が高まるため、会社全体の生産性の向上と利益増にもつながるでしょう。
④ SDGs事業への拡大の余地が広まる
サステナビリティを意識すると、SDGs関連の事業にも目を向けるようになります。今まで取り組んでこなかった分野に関わるようになるだけでなく、新しい取引先も生まれるかもしれません。事業拡大のチャンスを広げるためにも、サステナビリティを意識した経営は有用といえるでしょう。
日本におけるサステナビリティの事例
日本でもサステナビリティを意識した経営を実践する企業は多くあります。たとえば、ある食品メーカーでは、食の安全や安心を確保することや女性管理職の割合を引き上げることなどの取り組みを、積極的に実施しています。他にも、温室効果ガスの排出量やフードロスを削減するなど、環境問題において優れた成果を上げてきました。
また、ある電気機器メーカーでは、社会的なニーズの高い製品開発を通して、サステナビリティを意識した経営を実践しています。サステナビリティ推進本部を設置し、資源循環や資源消費の抑制などにおいて目覚ましい成果を出してきました。
企業活動を通して持続可能な社会を実現しよう
サステナビリティを意識した経営を実践することは、どの企業にとっても必要なことです。限りある資源を大切に活用し、美しい地球を次の世代に委ねるためにも、社会活動を通して持続可能な社会を実現していきましょう。
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