- 更新日 : 2025年2月5日
バックオフィスとは?業務内容や課題、効率化するための方法などを解説
バックオフィスとは、経理や人事、法務、総務など、企業活動を後方から支える職種や業務を指します。
直接利益を生み出さない部門ではあるものの、企業活動を営むうえで不可欠な存在です。バックオフィスには専門性が求められる職種も多いため、業務の属人化や特定の担当者の業務量増加などが課題として挙げられます。本記事では、バックオフィスの概要や課題、重要性、バックオフィス業務を効率化するための方法・ステップ、ユースケースなどについて解説します。
目次
バックオフィスとは
はじめに、バックオフィスの概要やフロントオフィスとの違い、バックオフィスの具体例、一般事務との違いについて解説します。
バックオフィスの概要
バックオフィスとは、「Back Office(後方オフィス)」という言葉が意味するように、表立って顧客と対面せずに後方からサポートするオフィス業務や職種を総称した用語です。また、直接的な利益(=売上)を生み出さない間接部門などがバックオフィスと呼ばれることもあります。
バックオフィスの重要性
バックオフィスは、円滑な企業運営を支えるために不可欠な要素です。
バックオフィスでは、企業の経営資源である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を効果的に管理し、それによりフロントオフィスが本来の業務に専念できるよう支援します。
例えば、経理や労務管理が適切に行われない場合、税務上の問題や従業員の不満が発生し、企業の信用と利益に悪影響を及ぼす可能性があります。
バックオフィスの強化は、業務改善や生産性向上にも寄与し、経営判断の精度を高める要素となります。
逆に、バックオフィスの業務が不十分な場合はフロントオフィスの効率が低下し、重大なコンプライアンス違反や不祥事が発生するリスクが高まります。
近年では「戦略総務」や「バックオフィスDX」が注目され、企業の持続的な成長に向けた取り組みが進んでいます。
バックオフィスとフロントオフィスの違い
バックオフィスの対義語として「フロントオフィス」があります。
フロントオフィスは、顧客営業や販売担当といった顧客と直接対面する職種、および売上などの直接利益を生み出す部門などを指す用語です。
バックオフィスと一般事務の違い
バックオフィスと一般事務は混同される場合もありますが、両者の位置づけは異なります。前述のとおり、一般事務はバックオフィスの一部であり、バックオフィス業務は経理や法務などより幅広い業務を指しています。
直接利益を生み出す部門ではないものの、それぞれの部門が専門的な役割を果たしており、企業活動において不可欠な存在です。
バックオフィス業務の具体的な例
バックオフィス業務の具体的な職種や部門としては、以下が挙げられます。
財務・経理部門
企業活動で必要な資金管理を行います。たとえば、財務諸表の作成や決算作業、資金調達、税金の計算などです。
人事部門
社内の人材管理や労働環境の整備などを行います。たとえば、採用活動や労働時間の管理、人材配置、評価制度の整備、人材育成などです。
総務部門
社員が働きやすいようにオフィス環境の整備を行います。たとえば、備品管理やオフィスビルの防災に関する企画・主導、入退室ルールの整備などです。
法務部門
企業活動における法律面を管理します。たとえば、契約書の確認や知的財産権の管理、社内のコンプライアンス教育などです。
情報システム部門
社内のIT資産やネットワーク環境などを管理します。たとえば、パソコンやモバイル端末の管理、社内システムの保守・運用などです。
広報部門
社内活動の外部発信や自社のブランディング活動を行います。たとえば、取材対応や社外イベント企画、広報誌の作成などです。
一般事務など
特定の専門職種ではなく、各部門や担当者をサポートするための職種です。
たとえば、データ入力や電話対応、書類のファイリングなどが挙げられます。
バックオフィス業務における主な課題
ここでは、バックオフィス業務における主な課題を解説します。
業務が属人化しやすい
バックオフィス業務には、経理や法務、情報システムなど、専門性の高い職種が多く集まっています。そのため、特定の社員が長年担当しているケースもあり、業務が属人化しがちです。
業務の遂行を一部の担当者に依存してしまう属人的な状況を解消するためには、業務の可視化やマニュアル化が重要となるでしょう。
業務量のコントロールが難しい
バックオフィス業務は、経理部門の決算作業や情報システム部門のシステムトラブル対応など、時期やタイミングによって業務量の差が大きい点も課題です。
システム面やコンプライアンス面などのトラブルを完全になくすことは難しく、トラブルが生じると突発的に業務負担が大きくなることもあります。
専門的な職種であるため人材の配置替えも容易ではなく、少数の担当者で対応しなければならない場合も考えられます。
非効率な業務プロセスとなっている
バックオフィス業務では請求書や契約書などを紙で作成・管理し、非効率な業務プロセスとなっているケースが依然として残っている点も課題です。
経済産業省の「DXレポート2 中間取りまとめ」によると、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進指標の診断に回答した企業のうち9割以上が、業務のデジタル化を含めたDX推進に未着手または散発的な実施に留まっていることが分かります。
新型コロナウイルスの影響でDX化が推し進められた後でも、書類や押印のデジタル化といった環境変化への対応ができていない企業が少なからず存在しているのです。
テレワークの推進が困難
多くのバックオフィス業務では、紙ベースの文書処理が依然として主流です。
例えば、経理部門では請求書や経費申請書、人事部門では採用稟議書や人事評価シートなどが紙で扱われており、これらの書類は印刷や回覧、ハンコによる承認など、物理的な作業が必要です。
こうした作業はオフィスにいなければ実施できないため、在宅勤務・テレワークができない原因となってしまいます。
多くの企業がテレワークを導入し働き方が多様化している一方で、バックオフィスだけがアナログな処理方法を続けている企業も少なくありません。
バックオフィス業務の最新動向
昨今におけるバックオフィス業務の動向は、以下のとおりです。
- DX推進による業務の効率化
- AIによるバックオフィス業務の自動化
- クラウド型システムの普及
- リモートワークの普及に際するバックオフィス業務の変化
DX推進による業務の効率化
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に伴い、バックオフィス業務に変化が起きています。
従来は、紙ベースや手作業の業務プロセスが中心でしたが、デジタル技術の導入により多くの業務が効率化・自動化され、作業スピードが飛躍的に向上しています。
また、ERPシステムを活用したデータの一元管理により、リアルタイムでの意思決定が可能になったり、業務の透明性が高まったりしたことで、企業全体の競争力が強化されています。
これにより、企業は従業員のリソースを戦略的な業務に割くことが可能となり、生産性の向上とコスト削減につながっています。
AIとバックオフィス業務の自動化
人工知能(AI)の活用により、バックオフィス業務の自動化が加速しています。
そのため、経理や人事、総務などの業務において、大量のデータ処理や分析を迅速かつ正確に行うことができるようになり、ヒューマンエラーリスクの大幅な低減に寄与しています。
さらに、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と組み合わせることで定型業務の自動化が可能となり、従業員はより創造的なタスクに集中できるようになります。
これにより、業務の効率化と品質向上が同時に実現されるだけでなく、業務の属人化を防ぎ、組織全体でのノウハウ共有が進む効果も期待できます。
クラウド型システムの普及
クラウド型システムの普及により、企業は場所やデバイスに依存せずに、いつでもどこでも業務を遂行できる環境を整えることが可能となりました。
特に、データの保存や共有がクラウド上で行えるため、物理的な書類管理の負担が軽減され、バックオフィス業務のスピードと効率が向上しています。
また、クラウドサービスのセキュリティ向上により、企業は安心してデータを扱うことができるため、セキュリティリスクの軽減にもつながります。
リモートワークの普及に際するバックオフィス業務の変化
リモートワークの普及に伴い、従来は出社前提の業務プロセスであった業務もオンライン環境での業務遂行を可能にしようと、デジタル化が進みました。
リモートワークを行うには、ペーパーレス化やクラウドシステムの導入が不可欠であり、これらのシステムがバックオフィス業務全体の効率化と生産性向上に寄与しています。
さらに、リモートワークによる通勤時間の削減や労働環境の多様化により従業員の満足度が高まることで、企業全体の競争力強化にもつながります。
バックオフィスを効率化するメリット
ここでは、バックオフィスを効率化するメリットについて説明します。
ミスの削減
バックオフィス業務の効率化は、主にデジタル化で行うことができます。例えば、手作業で受注票や納品書、請求書などを作成していたのであれば、デジタル化により人の手がかかる部分が最小限になります。宛名や日付の写し間違い、数字の入力ミスなどの人為的ミスも減り、より質の高い業務を行えるでしょう。
また、デジタル化された環境では記録やログが残るため、トランザクションやプロセスが追跡可能になり、誤りの発見や修正が容易になります。
業務のマニュアル化
バックオフィス業務を特定の担当者に頼らずデジタル化すれば、特別な技術がなくてもフローさえわかれば担当でなくても業務を行えるようになります。業務の属人化から脱却し、引き継ぎも簡単になるでしょう。
また、特定の従業員に業務が集中することが減り、作業量が適切に分担されることもメリットです。業務負担の少ない職場になり、従業員の満足度も高まります。
属人化の解消
バックオフィス業務には、専門的な知識やスキルが必要なケースがあり、特定の従業員に依存しやすい傾向があります。
業務が属人化すると、特定の個人にしか業務のノウハウが蓄積されず、万が一その従業員が休職・退職した場合に業務が滞るリスクが発生します。
バックオフィス業務を効率化し、誰でも簡単に業務を遂行できるよう標準化できれば、属人化を防ぐことが可能です。
例えば、業務フローの統一やシステム化などにより、誰が担当しても同じ品質で業務を遂行できる環境が整えば、特定の従業員への依存が軽減できるでしょう。
コスト削減
バックオフィス業務を一部自動化し、請求書や人事データなどの単純なデータ入力作業を効率化します。従業員の手作業を減らすことで、人件費などのコスト削減につながります。
また、単純作業の自動化と同時にプロセスを最適化することにより、無駄なステップや待ち時間を削減し、リソースをより有効に利用できるようになります。
生産性の向上
ERPなどのデジタルツールやクラウドベースのシステムを利用すると、リアルタイムで情報にアクセスすることが容易になり、生産性の向上につながります。
さらに、繰り返しの作業やルーチンとなっているタスクをRPAなどで自動化することにより、作業時間の短縮と効率化が実現できます。
競争力の強化
バックオフィス業務を効率化することで、データ収集および分析をする余地が生まれます。組織の過去のパフォーマンスや傾向を把握すれば、将来の戦略策定に役立てることができるでしょう。
またERPツールの導入などのデジタル化を行うことでリアルタイムなデータへのアクセスが可能となり、的確な意思決定を迅速に行うのに役立ちます。
バックオフィス業務を効率化する方法
バックオフィス業務を効率化するためには、以下のような方法が効果的です。
業務の標準化とマニュアル化を推進する
業務の標準化とマニュアル化を推進することで、バックオフィス業務の効率化を実現できます。
まず、現状の業務を洗い出し、標準化すべき業務の優先順位を付けます。続いて、業務内容を工数や実施頻度、難易度などの指標を用いて数値化し、生産性の低い業務や担当者が限られている業務を特定します。
現状の業務手順が複雑で実施できる担当者が限られる場合は業務標準化を推進して、なるべく多くの人が実施できるように調整しましょう。
また、業務フローやトラブル対応方法を含むマニュアルを作成することも大切です。マニュアル化によって業務の属人化を防ぎ、誰でも同じ品質で業務を遂行できるようになります。
定期的に業務の見直しと改善を行い、マニュアルをアップデートすることで、常に最適な状態を保つことが重要です。
業務の標準化については、以下の記事で説明しておりますので、参考にしてみてください。
業務をアウトソーシングする
バックオフィス業務を効率化する方法のひとつに、業務のアウトソーシングが挙げられます。バックオフィス業務の担当者が少ない場合や、業務量が多く困っている場合などに有効な方法です。
たとえば、単純なデータ入力作業や電話対応、書類のファイリング作業などであれば、専門性は不要であるためアウトソーシングしやすいでしょう。法務や経理、情報システムなどの専門的な職種に関しても、専門の業者に委託することで社内の業務を効率化できる場合があります。
ただし、業務ノウハウが属人化している場合はアウトソーシングが難しくなる点や、社内にノウハウが蓄積されにくくなる点には注意が必要です。
プロセスの自動化を行う
プロセスの自動化には、ワークフロー自動化ツールの導入が効果的です。重複作業や定型業務などを効果的に自動化することができ、スムーズな業務の進行が可能になります。
同時にルールベースも見直すことで、ワークフロー自動化ツールを導入する効果が上がります。たとえば、ワークフロー自動化ツールの導入に伴ってプロセスを検討する際、ルーチンワーク全体のルールを整理し、決められたルールに基づいて自動的に判断や処理を行うことで、意思決定の効率を向上させることができます。
業務プロセスを再構築する
企業の業務を根本から変革し、効率化と生産性向上を図るべく、業務プロセスを再構築すること(BPR:Business Process Re-Engineering)も非常に有効です。
BPRは以下のステップで実施します。
- 検討
- 分析
- 設計
- 実施
- モニタリングと評価
従業員や経営層へのヒアリングを通じて課題や改善点を洗い出し、改革する業務のターゲットを複数選定します。
その後現行の業務プロセスを分析して、発生している課題を特定し、課題に優先順位付けをします。
分析で明らかになった改善すべき点について、ゼロベースで新たな業務プロセスを設計します。これをもとに業務の標準化やアウトソーシングの検討など、具体的な戦略を策定しましょう。
戦略の策定が完了したら、設計されたプロセスに基づき、アクションを実行します。
実施後は効果測定を行い、達成度を評価します。継続的にプロセスを監視し、必要に応じて改善サイクルを実施することで効果を最大化することが可能です。
BPRについては、以下の記事で説明しておりますので、参考にしてください。
ペーパーレス化などのデジタル化を進める
ペーパーレス化では電子文書管理システムの導入をすることが多く、その際、紙の文書を電子形式に変換し、電子文書管理システムに格納します。これにより、文書の検索・共有・保存が容易になります。
バージョン管理やアクセス制御などのセキュリティ機能も組み込まれていることが一般的なため、単純な業務効率化以外の効果も見込めます。
併せてデジタル署名の導入をすれば、さらにペーパーレス化が進みます。署名が必要な文書に対して物理的な印鑑や手書きによる署名を廃止し、デジタル署名を導入することで、紙の署名プロセスが省略できます。これにより、承認プロセスが飛躍的にスムーズになります。
これらのさまざまな手法を組み合わせて導入することで、バックオフィスの生産性が上がり、業務プロセスの効率が向上します。ただし、デジタル化の導入にはセキュリティ対策や従業員のトレーニングなども考慮する必要があります。
クラウド型(SaaS型)ERPを導入する
会計や人事など基幹業務に関わるバックオフィス業務については、ERPを導入して効率化を図ることも有効な手段です。ERPを導入することで、社内データをシステム上で一元管理でき、業務の属人化や非効率性の解消につながります。
ERPの詳細については、以下の関連記事も併せてご確認ください。
また、ERPの中でもSaaS型ERPであれば契約後すぐに使うことができるため、バックオフィス業務が滞るリスクを軽減しつつ、業務の効率化が図れます。
SaaS型ERPの詳細については、以下の関連記事も参照することでより一層理解が深まるでしょう。
バックオフィス業務を効率化する前に確認すべきこと
バックオフィス業務の効率化は、コスト削減やミス削減などの多くのメリットを生みます。しかし、効率化の基準や必要な対策は、企業によって異なります。業務効率化に取り組む前に、具体的にどのような課題を抱えているのか特定しておくことが必要です。
特に次のポイントについては、確認しておくようにしましょう。
- ペーパーレス化できる業務を特定する
- デジタル化できる業務を特定する
- 外注できる業務を特定する
それぞれのポイントについて説明します。
ペーパーレス化できる業務を特定する
バックオフィス業務の効率化は、ペーパーレス化(データ化)とデジタル化、外注サービスの利用の3つの方法で進めていきます。まずはペーパーレス化できる業務について考えていきましょう。
例えば、有給休暇の申請書などはペーパーレス化するほうが好ましいです。特にテレワークに対応している企業であれば、有給休暇の申請だけのために出社するのは業務効率が良いとはいえません。
また、取引先に渡す納品書や請求書もデータ化が望ましい書類です。データ化すればすぐに共有できるだけでなく、検索が可能になるため、書類探しの時間を削減できます。
デジタル化できる業務を特定する
次はデジタル化できる業務の特定です。次の特徴がある業務は、デジタル化に適しています。
- 単純な業務
- 定型的な業務
単純な業務とは、数字や文字をそのまま記入するなどの業務です。例えば、データの入力や数字の照合などは単純作業のため、デジタル化しやすいといえます。
また、定型的な業務とは、決められた手順通りに行う業務のことです。タイムカードから労働時間を計算して勤怠管理表に書き込む仕事などが挙げられます。このような業務もデジタル化がおススメです。
単純な業務も定型的な業務も、いずれも臨機応変な対応を必要としないため、簡単といえば簡単です。しかし繰り返しの作業になることや数字を扱うことが多いことから、ヒューマンエラーなどのミスが生じやすい業務でもあります。ミスがあると取引先からの信用を落とすことになりかねません。まだデジタル化していない場合は、早急なシステム導入が必要といえるでしょう。
外注できる業務を特定する
バックオフィス業務は企業運営にとって欠かせない業務ですが、必ずしも企業内で対応しなくてはいけないものだけではありません。業務内容や仕事量によっては、外注することで効率化を実現できることもあります。
例えば、経理部門において毎月請求日前後だけが忙しいのであれば、請求関連業務の外注を検討できるかもしれません。外注できる業務を特定すれば、営業や企画、マーケティングなどの外注が難しい業務へ戦力を増やすことができ、売上増や事業拡大につなげられるでしょう。
バックオフィス業務を効率化するステップ
バックオフィス業務を効率化するためには、以下のステップを検討し、段階的に進めることが重要です。適用する業務や組織の状況によってステップの順序は変わることがありますが、一般的な手順は以下の通りです。
ペーパーレス化できる業務を特定する
現行の業務プロセスを詳細に分析・整理し、どのプロセスが最も時間とリソースを消費しているかを特定します。ボトルネックや非効率なステップを明確にし、改善の余地があるかどうかを分析します。
解決策の検討
業務の棚卸し・分析を終えたら、効率化のインパクトが大きい業務から優先して検討を進めましょう。主に以下の3点を検討する必要があります。
- ERPの適用などで自動化できる業務はないか
- 外部に委託できないか
- ペーパーレス化できる業務はないか
実装・評価・モニタリング
対象業務と施策が決まったら、実行に移すためのスケジュールを決定します。施策の実行には、システムの変更に加えて従業員のトレーニングの実施なども含まれます。
ただし、従業員や部門によっては、業務プロセスが変更となることに抵抗を示したり、繁忙期などによりうまく定着しなかったりする場合があります。そのため、新しいシステムやプロセスを導入する際には、従業員への丁寧で適切なトレーニングとサポートが不可欠です。
そして、効率化の施策を実施した後も、定期的な評価と改善を行うことが重要です。また、従業員や利害関係者からのフィードバックを積極的に取り入れ、継続的な改善を図りましょう。これにより、新しいツールの有効活用とスムーズな移行が促進されるでしょう。
ユースケースの紹介
最後に、効率的なバックオフィス導入のユースケースを紹介します。
バルス株式会社
バルス株式会社は会社設立に伴い、連携が強化されたバックオフィスシステムを模索しており、併せて内部統制の強化や、業務の属人化・情報の分散が起こらないバックオフィスの構築を目指していました。
そこで、マネーフォワード クラウドを導入し、必要なシステムを段階的に拡張してIPO時に必要とされる内部統制の構造にも耐えうる体制構築に成功しています。
当初は会計を中心とした人事などの各種コーポレートに関するシステムの導入を検討していたのですが、途中でマネーフォワード クラウド会計Plusに移行し、承認機能やログの管理を図って内部統制の強化を実現したそうです。
また社内システムでは、給与システムと年末調整システムの間を連携させることでミスが無くなり、入力工数の削減につながった例などもありました。
外部とはAPI連携を用い、銀行・クレジットカードのデータとの接続を行い、計上に関するミスを防げるようになったとのこと。今では、一部のCSV加工や、入退社に伴う個人情報部分の手作業以外、ほぼすべての業務を自動化することができています。
株式会社KOLテクノロジーズ
株式会社KOLテクノロジーズは、企業規模の拡大に伴い、バックオフィスで扱う情報を一元管理したいと考えていました。同時にデジタル化によって内部統制も強化できると考え、バックオフィスの一元化を図りました。
はじめは、会社の規模に合わせてマネーフォワード クラウド会計とマネーフォワード クラウド経費を導入し、スモールスタートをしました。その後は、マネーフォワードのシステム間連携も含めて段階的に拡張していけるという特徴に合わせて、マネーフォワード クラウド会計Plusへの移行へと至りました。
このように2段階の導入を経て、バックオフィスのデータをすべて連携することができ、月次決算が従来の半分の期間で完了できるようになるなど、大きな効果が出ています。
マネーフォワード クラウドで業務効率化を実現した事例
マネーフォワード クラウドでは、バックオフィス業務におけるさまざまな悩みを解決し、効率化をサポートします。こちらでは、マネーフォワード クラウドを導入して業務効率化に成功した事例をご紹介します。
SMBC GMO PAYMENT株式会社様の事例
EC領域での決済代行サービスを提供するSMBC GMO PAYMENT株式会社様は、事業の規模拡大に伴い、業務効率化を目的としてマネーフォワード クラウド会計Plusとマネーフォワード クラウド経費を導入。これにより、紙伝票の業務をほぼゼロにし、業務効率化とペーパーレス化を実現しました。リモートワークにも対応可能な業務体制を整えることができています。
導入前は紙の伝票を用いた非効率な業務フローであり、出社が必要でリモートワークに対応できない状況でした。マネーフォワード クラウドを導入してからは、属人的になっていた業務が改善されたことで、ミスの発生回数が大幅に減少し、業務時間の約30%削減を実現しました。
業務効率化により、チーム内に余裕が生まれたことで、マニュアルの作成・更新など本来やるべき業務に時間を使えるようになりました。追われるように業務をしていた導入前と比べ、現在はお互いに積極的にサポートしあうチーム体制を実現しています。
今後は、さらなる業務効率化を目指し、会社の成長に耐えうるバックオフィス体制の構築を進めていく予定です。
株式会社TENTIAL様の事例
株式会社TENTIAL様は、上場を見据えたバックオフィス体制の強化を目的に、マネーフォワード クラウドを導入しました。
導入サービスは、会計Plus、経費、給与、勤怠、請求書、年末調整、固定資産などで、会計事務所に外注していた業務を内製化し、業務効率化による月次決算の早期化と経営判断の迅速化を目指しました。
マネーフォワード クラウドの導入によって業務のクラウド化が実現し、月次決算の期間が6営業日まで短縮され、業務の効率化が進みました。
特に、マネーフォワード クラウド固定資産の導入により、減価償却費の計算と管理が自動化されたことが、月次決算早期化に寄与したそうです。
また、給与計算は社労士に作業を委託していましたが、マネーフォワード クラウド給与の導入により、給与計算の内製化が進みました。
勤怠データを取り込むことで自動的に給与が計算できるようになり、経営判断の迅速化も実現しています。
さらに、マネーフォワード クラウド年末調整を導入することで、複雑な計算も人の手を介さずにシステム上で完結できるようになり、業務の効率化が一層進みました。
バックオフィス業務をスムーズに効率化しましょう
バックオフィスとは、営業などとは異なり顧客と直接対面せず、後方から企業活動を支える業務や職種を指します。たとえば、経理や総務、人事、法務、情報システム、一般事務などが挙げられます。
バックオフィス業務は専門的な職種も多く含むため、業務が属人化しがちな点が課題です。また、業務量をコントロールしにくい点や非効率なアナログ管理なども課題であるといえます。
バックオフィス業務を効率化するためには、業務のアウトソーシングやERPの活用が効果的です。特にSaaS型ERPであれば、契約後すぐに使うことができるため、バックオフィス業務が滞るリスクを抑えつつ業務を効率化できるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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