- 更新日 : 2024年7月16日
イノベーションとは?意味や定義をわかりやすく解説
イノベーションとは、モノやサービス、仕組みなどに新しい考え方や技術を採り入れ、新しい価値を生み出して社会に変革を与えることを意味します。社会にとって必要な理由や定義について、具体例を挙げてまとめました。また、チェスブロウやクリステンセンによって系統化された種類や、企業事例を通して、現状を簡単に説明します。
目次
イノベーションとは?
イノベーションとは、モノやサービス、仕組みなどに新しい考え方や技術を採り入れ、新しい価値を生み出して社会を変革することです。従来、イノベーションは「技術革新」と同義とされていましたが、現在は技術に限定せず、サービスやビジネスモデルなどの幅広い事柄の革新に用いられています。
イノベーションを成功させることは、どの企業にも求められる要素です。次世代につなげる企業価値を創出するためにも、イノベーションにチャレンジしていくことが必要です。
イノベーションはなぜ必要?
イノベーションは、すべての企業にとって必要な変化です。イノベーションが必要な理由としては、次のポイントが挙げられます。
- 経済成長を実現できる
- 企業課題を解決できる
- 新しい市場を独占できる
- 市場競争において優位に立てる
イノベーションにより生産性が向上すれば、利益増を期待できます。経済成長を実現し、企業としても大きな成長を実現できるでしょう。また、イノベーションにより、人材不足や勤務時間の超過などの企業課題を解決できることもあります。企業存続のためにも、イノベーションを生み出し、働き方や業務に変化を与えることが必要です。
イノベーションにより新しい製品・サービスが誕生すると、競合製品・競合サービスのない新しい市場を生み出せるかもしれません。独占状態になれば、より大きな利益増と企業成長を実現できます。
既存の市場においてイノベーションを生み出すことでも、利益増・企業成長を実現できるでしょう。革新的な製品・サービスなら競合と比べて優位性を持つと期待されるため、国内市場だけでなく海外市場においても有利な立場に立てます。
日本におけるイノベーションの現状
イノベーションを図る指針の1つであるOECDのOslo Manualに沿った国際比較によると、日本のイノベーション活動は大企業では67%、中小企業では47%でした。欧州の主要国では大企業が80~90%台、中小企業では60~70%台であることと比較すると、日本のイノベーション実現率は低いといえるでしょう。
イノベーションの内訳を見ると、日本の大企業では、技術的なイノベーションと非技術的イノベーションの両方を実現しているケースが高い割合を示しています。しかし、中小企業では非技術的イノベーションのみの割合がもっとも高く、技術的なイノベーションが後回しになっていることがわかります。
また世界的に、製造業がサービス業よりもイノベーション実現率は高い傾向が見られました。日本でも例外ではなく、イノベーションを実現する製造業は50%であるのに対し、サービス業は47%と幾分低くなっています。
イノベーションの種類
イノベーションは多岐にわたる変革を指します。そのため、単に「イノベーション」と呼ぶと、どのような変革を指しているのかわかりにくくなることがあるため、注意が必要です。経済学者によって提唱されたイノベーション理論と、各理論に基づいた種類について見ていきましょう。
シュンペーターの理論
オーストリアの経済学者ヨーゼフ・シュンペーターは、経済の発展にはイノベーションが重要だと唱え、イノベーションを核とした経済発展理論を展開しました。その中で、イノベーションは次の5つの種類に分けて説明しています。
- プロダクトイノベーション
- プロセスイノベーション
- マーケットイノベーション
- サプライチェーンイノベーション
- オルガニゼーションイノベーション
それぞれのイノベーションの違いを紹介します。
プロダクトイノベーション
プロダクトイノベーションとは、新しく革新的な新製品・新サービスを開発することです。開発した製品・サービスによっては、新しいマーケットの開拓も可能になります。
プロセスイノベーション
プロセスイノベーションとは、生産工程や流通過程を開発することです。製品・サービスを変化させるのではなく、製造方法や販売までの過程を見直すことでイノベーションを実現します。
マーケットイノベーション
マーケットイノベーションとは、新しい市場に参入することです。新しい顧客や新しいニーズを開拓し、新しい土俵でビジネスを開始します。
サプライチェーンイノベーション
サプライチェーンイノベーションとは、材料の供給ルートや材料そのものを新規開拓することです。より環境問題に配慮した材料を選ぶ、社会貢献性の高い企業から仕入れるなどの変化も含まれます。
オルガニゼーションイノベーション
オルガニゼーションイノベーションとは、組織変革を指します。組織を大きく変えることで、企業内だけでなく業界にインパクトを与えます。
クリステンセンの理論
ハーバードビジネススクールのクレイトン・クリステンセンは、その著書の中でイノベーションの手法について述べました。クリステンセンによれば、イノベーションは持続的と破壊的の2つの手法に分けられます。
持続的イノベーション
持続的イノベーションとは、顧客の意見やニーズを採り入れながら進めていくイノベーションのことです。創造的イノベーションとも呼ばれます。
破壊的イノベーション
破壊的イノベーションとは、新しいアイデアを積極的に採り入れることで、新商品や新サービスを生み出すことです。破壊型イノベーションとも呼ばれます。
イノベーションのジレンマ
イノベーションを開発や生産などに取り込む過程において何かが起こり、イノベーションを起こせない状況に陥ることがあるでしょう。イノベーションを起こせずに停滞しているときに、競合企業などでイノベーションが実現して追い越されてしまうことを、クリステンセンは「イノベーションのジレンマ」と表現しました。
ヘンリー・チェスブロウの理論
ハーバード大学の教授ヘンリー・チェスブロウは、イノベーションを次の2つのパターンに分けて説明しました。
- オープンイノベーション
- クローズドイノベーション
それぞれのパターンについて解説します。
オープンイノベーション
オープンイノベーションとは、外部資源や他業種のノウハウや技術を組み合わせて、イノベーションを生み出す手法です。市場競争の激化により、自社資源や技術だけでイノベーションを起こすことが難しくなっています。オープンイノベーションは、既存の資源や技術をうまく活用し、効率よくイノベーションを起こす方法といえるでしょう。
クローズドイノベーション
クローズドイノベーションとは、研究から開発までをすべて自社の資源や技術のみで行うイノベーションです。「自前主義」とも呼ばれ、1990年代以前はクローズドイノベーションが主流とされていました。
イノベーションを起こすための姿勢・環境
イノベーションを起こすためには、企業内で次の姿勢や環境を整える必要があります。
- 経営においてリスクを恐れない
- 従業員の発想を促進できる環境
- 変革を推進できる力および体制
いずれもイノベーションを起こすための重要な要素です。詳しく解説します。
経営においてリスクを恐れない
イノベーションは必ずしも成功するとは限りません。莫大な研究費を投入したにもかかわらず、失敗に終わることも想定されるでしょう。
経営においてリスクを恐れる姿勢を持つと、従業員もリスクに対して消極的な姿勢を持ち、イノベーションが生まれにくい環境になってしまいます。イノベーションは常にリスクが隣り合わせであることを理解し、リスクを恐れずチャレンジすることを経営陣自ら率先して示すことが大切です。
従業員の発想を促進できる環境
従業員が発想しやすい環境を構築することも、イノベーションを起こすために必要な要素です。イノベーションを起こす人材を支援する体制をつくり、顧客ニーズを検知し、技術革新につなげていかなくてはいけません。
また、イノベーションを担う人材が、適切に他の部署や顧客とコミュニケーションを取れる環境も必要です。コミュニケーション環境が整うと、他の部署の従業員や顧客との会話からアイデアを得たり、生まれたばかりのアイデアをテストマーケティングしたりできるようになります。
変革を推進できる力および体制
イノベーションはアイデアだけで誕生するのではありません。新製品や新サービスとして形にするのも、バリューチェーンやビジネスモデルとして変革するのも、いずれもアイデアを丁寧に育て、変革を推進することによってのみ実現できます。
イノベーションが継続的に生まれる環境を整えるためにも、変革を推進できる体制を作り上げることが必要です。企業全体が一丸となり、イノベーションを形にできる社内体制を構築しましょう。
イノベーションに対してポジティブな姿勢を持ち続けよう
イノベーションは特別なことではありません。しかし、イノベーションが生まれないと、企業は競争力を失い、存続が難しくなるのも事実です。常にイノベーションを生み出し続けるためにも、リスクを恐れず、変革を推進する力を養いましょう。
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