• 作成日 : 2023年3月14日

ERPコンサルタントとは? | 役割や活用することのメリットをわかりやすく解説

ERPを導入するときに、「ERPコンサルタント」に依頼する企業が増えています。ERPコンサルタントの仕事は、導入するERPを選択するだけではなく、企業の解決すべき課題の発見、現場でのヒアリングなどから導入後のサポートまで、幅広くコンサルティングを行います。
ERPを導入する場合、業務を見直して効率化したり、さまざまな経営課題の解消を図ったり、その上でシステムを導入したりする必要があります。そのため、専門的な知見と第三者の目線を持つERPコンサルタントが必要なのです。

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ERPとは

ERP(Enterprise Resources Planning)は統合基幹業務システムと呼ばれ、文字通り企業全体の業務システムを統合したものです。システムを統合することで企業内のすべての情報や経営資源を一括管理でき、それによって業務効率化などを実現します。

ERPの特徴

ERPには次のような特徴があります。

  • 基幹システムとデータベースを統合することで、企業内のすべての情報を一元管理できます。それによって強力な連携機能を実現します。
  • 複数の部署にわたる処理も1つのERP上で処理できます。さらにデータ連携機能により、処理の多くを自動化し、大きな業務効率化や業務の標準化につながります。
  • データを一元管理することで、不正がしにくくなります。また不正を行ってもすぐに発覚するので、ガバナンス強化につながります。

ERPの種類

ERPシステムは、システムを提供する形態や、システムがカバーする業務範囲などで分類できます。

システムの提供形態には、クラウド型とオンプレミス型の2種類があります。

  • クラウド型
    クラウドサービスとして提供されているERPで、サーバーや回線などのインフラとOSやアプリケーションなどのソフトウェアはベンダー側が用意します。ユーザーはインターネット経由でアクセスするため、時間や場所、端末の種類を問わずに利用することができます。
  • オンプレミス型
    社内に設置したサーバーにシステムをインストールして利用するERPです。サーバー、回線、端末、接続機器などすべてのハードウェアやインフラと、OSやアプリケーションなどのソフトウェアを自社で用意しなければなりません。
    社内ネットワークに接続して利用するため、社外からのアクセスには制限があることもあります。

カバーする業務範囲ではいくつかの種類に分かれますが、次の2種類が多く使われています。

  • 統合型
    企業に必要なすべての基幹システムを統合したERPで、大型で高機能な、大企業向けのシステムになります。
  • コンポーネント型
    必要な部品だけを組み合わせて構築できるERPで、自社の規模やニーズに合わせてスモールスタートし、段階的に拡張していくことが可能になります。そのため、企業の規模に関わらず、導入しやすいと言えます。

ERPのメリット・デメリット

ERPにはさまざまなメリットがありますが、デメリットもあります。導入前にはデメリットも理解しておかなくてはなりません。

ERPのメリット

ERPには、次のようなメリットがあります。

  • 企業全体の情報の一元管理
    システムとデータベースを統合するので、企業全体の情報を1つのデータベースで一元管理できます。これは情報共有やデータ連携の強化を実現し、業務効率化につながります。
  • 経営状態の可視化と経営判断の高速化
    すべての情報を一元管理できるため、常に経営状態の現状を可視化できます。スピーディーかつ正確に現状を把握することで、迅速な意思決定も可能になり、経営判断の高速化にもつながります。
  • 業務の標準化と効率化
    企業全体で同じデータベースを利用し、データ形式や業務フローも統一されます。それによって業務の標準化が進みます。
    データベースは統合されているので、連動するデータは自動的に入力されます。異なる部署や業務フローでもデータを入力し直す必要はないので、大きな業務効率化につながります。
    また他の部署のデータを容易に参照できるので、連絡や調整の作業も削減可能です。それは企業全体の経営資源の最適化につながります。
  • ガバナンスの強化
    データを一元管理することで、データの改ざんや破棄などの内部不正を防止し、ガバナンスの強化につながります。

ERPのデメリット

ERPには、次のようなデメリットがあります。

  • 導入前にはワークフローの整理と再構築が必要
    ERPを導入する前には業務を見直し、ワークフローを整理するという手間がかかります。しかし、それはERPの導入効果を最大にするためには必要なことです。
  • 導入コストやランニングコストがかかる
    ERPを導入するには、初期費用や運用保守のコストなど、さまざまなコストがかかります。導入形態や人数にもよりますが、ハードウェアから用意すると数千万円になることもあります。
  • 導入教育が必要
    ERPに限らず、これまでになかったシステムを導入するためには、現場の社員が必要です。ERPの操作に限らず、セキュリティやITリテラシーなどの教育も必要です。
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ERPコンサルタントの役割

ERPコンサルタントの役割とは、狙った効果を上げられるようにERPの導入を支援し、さまざまなサポートやアドバイス、提案を行うことです。
ERPコンサルタントはERPやIT、さらに業務に対する幅広い知見を持ち、現場、管理職、ベンダーなどとコミュニケーションを行い、ERPの導入と運用をサポートします。具体的には、次のような業務を行います。

解決すべき課題やシステム導入目的の明確化

担当する企業の現状を把握・分析し、ERPの導入で解決するべき課題、つまり何のためにERPを導入するかを可視化します。それによって、必要なERPの機能や仕様が決まるからです。
またERPを導入する前には、業務を見直して無駄を省く必要があります。そのため、ERPの導入効果を最大にするためにはどのように業務を最適化するかを提案します。

要件定義とRFPの作成

ERPの要件定義とRFPの作成を行います。
企業の課題やERPの導入目的から、必要な機能や仕様を決めていくのが要件定義です。要件定義によりERP製品やベンダーを絞り込みます。
次にRFPを作成してベンダーへの要望を明確化し、さらにベンダーを絞り込みましょう。同時に、ベンダーから企業への理解を促進します。

システム導入のコンサルティング

ERPの導入前のカスタマイズと導入、さらに導入後の運用をサポートします。
導入前には、要件定義をもとにどのようにERPをカスタマイズするかを提案します。導入時のプロジェクトマネジメントもERPコンサルタントの役割です。とくに現場でERPの活用方法を提示し、ERPの導入によりどのようなメリットがあるかを説明して、スムーズな導入をサポートします。
導入直後の導入教育や運用のサポートもERPコンサルタントの役割です。さらに運用中にトラブルが発生したときのベンダーとのコミュニケーション、ERPやOSアップデートがあったときのサポートなど、さまざまなサポートを行います。

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ERPコンサルタントを活用するメリット

なぜわざわざERPコンサルタントに依頼するのでしょうか。企業が直接ベンダーと話し合う場合に比べて、次のようなメリットがあるからです。

経営資源の客観的な把握

ERPコンサルタントは、企業の関係者ではありません。第三者として、社内の人間とは異なる視点を持っています。そのため、客観的な立場から企業全体を見ることが可能です。
ERPコンサルタントを通せば、企業全体を俯瞰して経営課題を分析し、企業の経営資源を客観的に把握して効率よく活用するための経営戦略を立てることができます。

ITシステムに関する専門知識

ERPコンサルタントは、ERPや企業でよく使われるITシステムについての知識やノウハウを豊富に持っています。そこで、ERPコンサルタントが企業とベンダーとの間に入れば、コミュニケーション不足や知識不足による誤解を避けることが可能です。
また、ERPコンサルタントにはERPやITシステムだけでなく業務についての知見もあります。そこで、第三者の立場からERPを導入する前の業務見直しもサポートします。

コミュニケーション負荷の軽減

ERPコンサルタントは、ベンダー、現場、管理職など、多くの相手とコミュニケーションします。第三者という立場から、直接話をしにくい相手同士との間に入って本音を聞き出したり、当事者では言いにくいことを伝えたりすることができるからです。それによって、当事者たちのコミュニケーション負荷を減らし、よりスムーズな導入をサポートします。

まとめ

ベンダーと企業が直接話をすれば、ERPコンサルタントは不要と思われるかもしれません。しかしERPコンサルタントがいれば、客観的な視点をベースに、業務やERP、ITに関する幅広い知識から、その企業に合ったERPの活用方法をアドバイスしてもらえます。また、第三者の立場からコミュニケーションをサポートし、当事者たちの負担を減らすことも可能です。スムーズに導入できれば、運用もしやすくなるでしょう。
これからERPを導入する、または既存のERPの入れ替えを計画するなら、ERPコンサルタントの導入も検討してみてはいかがでしょうか。

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株式会社藤井大丸 会計課 上杉様

マネーフォワード クラウドERPをご利用のお客様の声

マネーフォワード クラウドを導入し、業務改善の積み重ねたことにより、紙の使用量を半分以上削減し、ペーパーレス化に成功しました。また、業務効率化にも成功し、人的リソースを削減しながら月次締めにかかる日数を3営業日短縮することができました。

株式会社藤井大丸 会計課 上杉様


よくある質問

ERPコンサルタントとは?

専門的な知見と第三者の目線を持って、ERPの導入と運用をサポートする外部スタッフです。

ERPコンサルタントの役割とは?

ERPの導入が効果を最大限に発揮できるように、さまざまなサポートやアドバイス、提案を行います。

ERPコンサルタントを導入するメリットとは?

企業全体のリソースを客観的に把握できる、ITシステムに関する専門知識を生かせる、コミュニケーションの負担を減らせるなどのメリットがあります。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:成瀬恭子

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