• 作成日 : 2024年9月2日

オーガニックグロースとは?メリット・デメリットや成功に導くポイントを解説

オーガニックグロースとは、自社の経営リソースを活用して成長を目指す戦略のことです。オーガニックグロースには、さまざまなメリットやデメリットが存在します。

本記事ではオーガニックグロースの概要やメリット・デメリットをはじめ、成功に導くポイントや事例を解説します。

オーガニックグロースとは

はじめに、 オーガニックグロースの概要や他の成長戦略との違いについて解説します。

オーガニックグロースの概要

オーガニックグロースとは、企業が内部で保有するさまざまな経営リソース(ヒト・モノ・カネ・情報・時間・知的財産など)を活用しながら、収益拡大や成長を目指すこと、あるいはその戦略を指します。

大企業と比較すると資金が限られる中小企業やスタートアップ企業が成長するためには、オーガニックグロースが重要です。

他の成長戦略

オーガニックグロース以外の成長戦略としては「レバレッジグロース」や「M&Aグロース」があげられます。

レバレッジグロースとは、株式上場やM&Aをはじめ、アライアンスなど外部のリソースを活用した成長戦略です。この戦略は「インオーガニックグロース」などと呼ばれることがあります。

また、M&Aグロースは企業合併・買収などにより、他社の経営リソースを自社に取り込みながら成長する戦略です。

オーガニックグロースのメリット

ここではオーガニックグロースのメリットを解説します。

リスクが低い

オーガニックグロースは自社の経営リソースを元に成長を目指す方法ですが、M&Aグロースと比較するとリスクを抑えて行うことが可能です。

一般的にM&A(企業買収や合併)には莫大な費用が必要となりますが、必ずしもM&Aで良い成果を創出できるという保証はありません。期待するシナジー効果が出なかったり、買収した企業の不祥事や想定外の問題により失敗といわざるを得ないM&Aも数多く存在します。このような状況に陥ると、M&Aに要した多額の費用が無駄になりかねません。

オーガニックグロースであれば、そのようなリスクを負うことなく成長を目指せる点がメリットです。

経営の自由度が高い

レバレッジグロースやM&Aグロースでは、金融機関やベンチャーキャピタルをはじめ、投資家などから資金調達を行う必要があります。その結果、少なからず経営面で干渉を受けることも少なくありません。

特に事業内容の大幅な変更などは、自社の判断のみでの実現が難しくなります。さらに経営成績が芳しくない場合は責任を追及されることもあるでしょう。

その点、オーガニックグロースであれば、外部からの資金に頼らないため、自由度が高い経営を維持することができます。

組織文化や社風などを醸成しやすい

企業にとって組織文化や社風は重要な要素の1つです。組織文化や社風などは無形ではあるものの、仕事に対するモチベーションやパフォーマンスに大きな影響を及ぼします。

オーガニックグロースでは、雇用する人材を自らの採用基準で選択できるため、一貫性がある組織文化や社風を醸成しやすい点がメリットです。

オーガニックグロースのデメリット

ここではオーガニックグロースのデメリットを解説します。

成長に時間を要する

一般的に、M&Aは「時間を買う戦略」だといわれています。M&Aを行えば、多額の資金と引き換えに、短期間で事業や人材を獲得可能です。

一方でオーガニックグロースでは、さまざまな経営リソースを時間をかけて成長させる必要があります。そのため、成長を待つ間に機会損失が発生したり、競合他社に対する優位性を失ってしまうリスクがある点はデメリットだといえます。

経営リソースが枯渇しやすい

オーガニックグロースでは、経営リソースを成長させる原資として、早期に売上・利益を創出しなければなりません。また、ビジネスの成長スピードを見越して人材を確保する必要がありますが、採用計画が予定通りに進まないこともあります。

結果として、資金や人材などが枯渇しやすくなってしまう点は、オーガニックグロースのデメリットの1つです。

事業拡大が難しい

オーガニックグロースでは、新規事業への取り組みや事業拡大が難しい点もデメリットです。

M&Aやアライアンスは、これまで自社が取り組んでこなかった、あるいは弱みであったビジネス領域・業界の知識やノウハウ、さらには顧客を一気に獲得できます。

一方でオーガニックグロースは、ゼロから地道に新規事業や事業拡大に取り組むことになります。

オーガニックグロースを成功に導くポイント

オーガニックグロースを成功に導くためには、いくつかのポイントを抑えることが重要です。ここではオーガニックグロースを成功に導くポイントを解説します。

事業の選択と集中を行う

オーガニックグロースでは、限られた経営リソースをどの事業にどの程度振り分けるかを判断する「選択と集中」が求められます。

特に中小企業やスタートアップ企業の場合、多角的な事業展開は難しいため、自社の強みを最大限活かせる事業へ経営リソースを集中的に投資することが重要です。

人材育成・定着に注力する

数ある経営リソースの中でも、育成によって価値が向上するのは「ヒト(人材)」だけです。またどのような企業も、人材なくして経営は成り立たちません。さらに、時間をかけて育成した社員が退職することも、企業にとっては大きな損失となります。

オーガニックグロースでは、人材育成をはじめ社員が定着する仕組みや制度を整えることが重要です。

オーガニックグロースと他の成長戦略を使い分ける

オーガニックグロースとレバレッジグロース・M&Aグロースは、相反する戦略として紹介されることも多くあります。しかし、オーガニックグロースだけで持続的な成長を遂げることが難しいのは事実です。

自社の成長段階や事業の状況などによって、オーガニックグロース以外の成長戦略もそれぞれのメリット・デメリットを踏まえて使い分けるようにしましょう。

オーガニックグロースの事例

ここではオーガニックグロースの事例を2つ紹介します。

株式会社モンスターラボホールディングス

DXやデジタルコンサルティングを事業とする株式会社モンスターラボグループは、世界20か国に33の拠点を有しています。

同社は積極的にM&Aを行っていますが、オーガニックでの採用にも力を入れているのが特徴です。例えば2016年から2022年までにオーガニックグロースだけで300%の人員増を実現しました。

こちらは多様な業種の優秀な人材を採用することにより、さまざまな業務ノウハウや業界知見の獲得に成功した事例だといえます。

参考:株式会社モンスターラボホールディングス「会社紹介と成長戦略

ネスレ日本株式会社

世界最大の食品・飲料会社であるネスレ日本株式会社は、基本戦略の1つとして「一桁台半ばのオーガニックグロースを維持」を設定しています。事実として、2023年に同社は7.2%のオーガニックグロースを達成しました。

これはどのような企業規模であっても、オーガニックグロースが企業の成長に有効な戦略であることを示す事例だといえます。

参考:ネスレ「基本戦略」「ネスレS.A. 2023年の業績を発表

まとめ

今回はオーガニックグロースについて解説しました。

オーガニックグロースとは、自社で保有するさまざまな経営リソースを活用しながら、収益拡大や成長を目指す戦略のことです。特に経営リソースが限られる中小企業やベンチャー企業にとっては、重要かつ現実的な成長戦略の1つだといえます。

自社の成長戦略を模索している方は、オーガニックグロースのメリットやデメリットを踏まえた上で、効果的な活用を目指しましょう。


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