- 更新日 : 2024年7月12日
工数削減とは?手順と成功するためのポイントを解説
工数削減とは、作業を完了させるために必要となる時間や人数について見直しを実施し、削減を図るプロセスのことを指します。
具体的には、不要な作業の特定や、優先順位の見直し、時間がかかっている作業の改善などが重要なものとして挙げられます。
また、工数削減は機械的に実現できるものではなく、関係者とのコミュニケーションや業務プロセス全体の見直しが求められます。
本記事では、工数削減の方法や留意すべきポイント、成功事例について解説します。
目次
工数削減の基本
ここでは、工数削減を実施する前に確認すべき点について解説します。
目的を明確にする重要性
工数削減は、明確な目標に直結していなければいけません。企業にとって業務改善や工数削減は、終わりのない連続的なプロセスといえます。そのため、工数削減に取り組む前に、目標の達成に直結しているかどうかを確認します。
削減の目的を明確にして、従業員や関係者などチーム全体で共有することによって、工数削減に対するモチベーションを保つ必要があります。
工数管理の重要性
企業が成長を続けるためには、創造的で生産性の高い作業を実施する必要があります。
そのためには、組織やプロジェクト全体の工数を効率的に管理することが重要です。
- 経営視点における重要性
経営者にとって企業全体の工数を管理することは、収益性や各プロジェクトの進捗状況、プロジェクト間の関係性などを確認することができるという意義があります。 - プロジェクトマネージャー視点における重要性
プロジェクトマネージャーとって最も重要なのは、プロジェクトのQCD(品質、コスト、納期)を達成することであり、工数管理はその一助になります。また、他のプロジェクトの状況も確認できるとなおよいでしょう。
工数削減の役割
工数削減には、大きく分けて2つの重要な役割があります。
- 生産性の向上
工数を効率的に削減することは、コストを抑えつつ大きな利益を得るための経営基盤を築く上で欠かせない要素になります。手作業や重複するタスクの排除、プロセスの自動化を通じて、作業にかかる時間を減らし、従業員がより価値の高い業務に集中できるようになるため、全体の生産性が向上します。 - 業務品質の向上
生産性の高い業務プロセスの実行には、業務品質の向上が欠かせません。業務品質が向上すれば、課題の解消だけではなく、業務プロセスの標準化や従業員が安全で業務に集中できる作業環境の確保につながります。
工数削減の手順と成功するためのポイント
ここでは、工数削減の具体的な手順を解説します。
- タスクの整理
- 時間がかかっている作業の見直し、および時間管理
- プロセスの自動化
- 不要な作業の特定・削減
- 優先順位付け
- デリゲーション(権限移譲)の実施
- 状況の定期的な整理と発信
タスクの整理
工数削減の対象となるタスクを洗い出します。この段階で、全体のタスクやそれぞれのタスクの重要度、関係性などを整理するとよいでしょう。
時間がかかっている作業の見直し、および時間管理
整理したタスクの中から、特に時間がかかっている作業を見つけ出し、そのタスクを実行する際の時間の使い方や、作業内容そのものの見直しを行います。これにより、より効果的に時間を使うことができます。
プロセスの自動化
工数削減において最も効果があるのは、プロセス自体を自動化することです。具体的には、RPAを使って定型的な業務を自動化してしまうことなどが挙げられます。
不要な作業の特定・削減
長年業務をしていると、定期的な見直しを行っていない限り、目的や成果のないプロセスが発生してしまうものです。やめてしまっても問題がないプロセスはないかを探すことも、重要な作業になります。
優先順位付け
工数削減の対象が決まったら、優先順位をつけましょう。難易度が高いものはそれだけ実行するのが難しく、削減作業が進まなくなってしまう可能性もありますので、アサインするメンバーのスキルや稼働状況にも注意して予定を立てましょう。
デリゲーション(権限移譲)の実施
工数削減を通じて人を育てることも、企業にとっては重要です。
削減作業をする中で、どうしてもメンバーが持っているスキルや権限では行えないことが出てくるかもしれません。その際はプロジェクトマネージャーやリーダーが思い切って、自分の権限をメンバーに移譲することも求められます。
状況の定期的な整理と発信
工数削減の取り組みは、一度きりではありません。定期的に状況を整理することで、新たに生じた課題の早期発見や、取り組みの有効性の確認が可能になります。
また、チームメンバーや関係者からのフィードバックとサポートを得るためには、進捗状況や成果などの情報を周囲へ発信し、共有することが大切です。
工数削減における課題と対策
ここでは、工数削減の際によくある課題とそれを解決する方法について解説します。
工数削減における一般的な課題
工数削減を実施する際には、以下のような課題が発生します。
- 作業の重複や非効率なプロセスによる時間の無駄
- 不明瞭なタスク管理や優先順位付けによる作業の遅延
- コミュニケーションの不足による誤解や情報の遅れ
これらの課題を解決する方法としては、以下が挙げられます。
ツールを利用した工数削減
代表的なツールには、工数(タスク)管理ツール、ERPなどがあります。
ツールを利用することで、作業の効率化や自動化、情報共有の促進などを実現することができます。
工数管理ツール
タスクの進捗状況やタスクの割り当てなど、効率的な工数管理に役立ちます。
ERP
財務、人事、製造、販売などの各業務領域をカバーする広範な機能を持ち、データの一元管理を実現します。
ここでは、ERPを活用して工数削減を実現した例を紹介します。
モトヤユナイテッド株式会社
以前はオンプレミス型の会計システムを使用していましたが、拠点の増加やリモートワークの必要性など、環境の変化に柔軟に対応するのが難しいという問題がありました。
この課題を解決するために、「マネーフォワード クラウド会計Plus」を採用しました。自動仕訳機能により、仕訳に必要な工数を約30%削減することに成功しました。さらに、原価計算や工数管理などの細かいデータ集計と管理が効率化され、他のシステムとの連携によって情報の一元管理も実現しました。業務が効率化できたことで、グループ会社が増えても、月次決算にかかる日数はそのままで対応することができています。
マネーフォワードクラウドの導入は、バックオフィスの業務効率化と工数削減につながっています。
引用元 : グループ9社の経理業務を6名で対応。システム移行で業務工数30%削減
マネーフォワード クラウドで業務効率化を実現した事例
マネーフォワード クラウドでは、バックオフィス業務におけるさまざまな悩みを解決し、効率化をサポートします。
こちらでは、マネーフォワード クラウドを導入して業務効率化に成功した事例をご紹介します。
SMBC GMO PAYMENT株式会社様の事例
EC領域での決済代行サービスを提供するSMBC GMO PAYMENT株式会社様は、事業の規模拡大に伴い、業務効率化を目的としてマネーフォワード クラウド会計Plusとマネーフォワード クラウド経費を導入。
これにより、紙伝票の業務をほぼゼロにし、業務効率化とペーパーレス化を実現しました。リモートワークにも対応可能な業務体制を整えることができています。
導入前は紙の伝票を用いた非効率な業務フローであり、出社が必要でリモートワークに対応できない状況でした。
マネーフォワード クラウドを導入してからは、属人的になっていた業務が改善されたことで、ミスの発生回数が大幅に減少し、業務時間の約30%削減を実現しました。
業務効率化により、チーム内に余裕が生まれたことで、マニュアルの作成・更新など本来やるべき業務に時間を使えるようになりました。
追われるように業務をしていた導入前と比べ、現在はお互いに積極的にサポートしあうチーム体制を実現しています。
今後は、さらなる業務効率化を目指し、会社の成長に耐えうるバックオフィス体制の構築を進めていく予定です。
まとめ
工数削減を通じて効率や生産性を高めることは、最終的に企業の利益向上につながります。工数削減を成功させるためには、まず具体的な目的を明確にしたうえで、適切な手法を理解し、実行することが重要です。
適切な方法やツールを用いて、工数削減を図ってみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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