• 更新日 : 2023年12月18日

ERPの国内市場規模とシェアを解説

ERPの国内市場規模とシェアを解説

IT技術の進展によって企業のシステム化が進む近年は、個々の業務システムを個別に導入するのではなく、業務システムを統合的に管理でき、データ活用も容易なERPを導入する企業が増えています。
この流れを受けてERP市場は順調に発展しており、今後も拡大を続けると考えられています。今回は、ERPの国内市場規模とシェアについて詳しく解説します。

ERPの市場規模

ERPの市場規模は年々拡大しており、今後も発展が期待されています。「ITR Market View」によると、2021年度の売上金額は1,467億円で、前年度比16.3%増と大きな成長を遂げました。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、低調な伸びにとどまりましたが、2021年度は各種法制度の改定対応や老朽化したERPシステムのリニューアル案件が増加したことが要因と考えられます。

ERP市場では従来のオンプレミス型からクラウド型への移行が進んでおり、2021年にはERP市場におけるクラウド型ERPの占める割合がオンプレミス型を上回りました。株式会社矢野経済研究所が発表した「ERP市場動向に関する調査(2022年)」では、コロナ禍で加速したクラウド化はERP導入における継続的なトレンドとなり、クラウド型へのシフトはいっそう進展する見通しであると発表しています。

参考:ITR Market View:ERP市場2023|ITR
ERP市場動向に関する調査を実施(2022年)|株式会社矢野経済研究所

ERPのシェア

ERPの世界シェアと国内シェアは、どのようになっているのでしょうか。ここでは、それぞれのシェアについて解説します。

世界シェア

世界においては、「SAP社(ドイツ)」のシェアが6.8%となり、1位を記録しています。大手小売企業のウォルマートや、電子機器・ソフトウェア開発メーカーのApple社など、世界の著名な企業も同社の「SAP S/4 HANA」を利用しています。

世界シェア2位は「Oracle社(アメリカ)」、3位は「Intuit社(アメリカ)」となっています。世界中に数あるERPソフトウェアベンダーのうち、トップ10がERP市場の約32.1%を占めています。

参考:Top 10 ERP Software Vendors, Market Size and Market Forecast 2019-2024

ERPを比較する

ERPにはさまざまなパッケージが存在するため、自社に合ったものを選ぶ必要があります。ここでは、ERPの種類や選ぶ際のポイントをご紹介します。

ERPの種類

ERPには「クラウド型」「オンプレミス型」「ハイブリッド型」の3種類があります。それぞれの特徴について見ていきましょう。

クラウド型

クラウド型は、クラウド上にベンダーが構築したERPシステムにアクセスし、ERPを利用する方式です。クラウド型のサーバーはベンダー側が用意するため、利用者側の企業が自社内にサーバーを所有する必要がなく、メンテナンスの手間が省けるのがメリットです。また、自社でサーバーを用意する必要がないため、すぐに導入したい企業にとっては利便性が高いといえます。

サーバーを購入して自社にサーバー環境を構築する必要がない分、オンプレミス型に比べると初期コストを低く抑えられます。インターネット環境があれば、どこからでもシステムを利用できるため、BCPの観点でも有用です。

一方、すでにある程度形ができている状態から構築を始めるため、カスタマイズの自由度はオンプレミス型に比べると下がります。

オンプレミス型

オンプレミス型は自社でサーバーを所有し、サーバー内にERPシステムを構築します。クラウド型とは異なり、サーバー上に1からERP環境を構築するため、カスタマイズの自由度が高いのがメリットです。またオフラインでも動作するため、インターネット環境がなくても業務を行えます。

一方でオンプレミス型は最初にサーバーを自社内で構築する必要があるため、初期コストはクラウド型に比べて高額になりやすいといえます。また、サーバーのメンテナンスは自社で行わなければならないため、システム管理の知識が豊富な人材が不可欠です。社内にサーバーを設置するため、基本的に社内ネットワークに接続できる環境下でのみ利用可能であり、災害などが起こった時に復旧に時間がかかったり、利用できなくなったりする可能性が高いのは難点といえます。

ハイブリッド型

ハイブリッド型は、クラウド型とオンプレミス型のメリットを組み合わせてERP環境を構築する方式です。クラウド型とオンプレミス型にはどちらもメリットとデメリットがあるため、デメリットを最小限に抑えることを目的としてハイブリッド型が生まれました。

例えば、クラウド型では機密情報が社外のサーバーに保存されるため、情報セキュリティの観点からの問題が生じやすいといえます。そこで、機密情報に限り社内のサーバー上に保管するオンプレミス型を採用し、機密性が重視されないデータはクラウドを利用するといった運用方法をとるのが、ハイブリッド型の特徴です。

ERPを選ぶ時のポイント

ここからは、ERPを選ぶ際のポイントについて解説します。

自社の目的に合致しているか

どれだけ機能が豊富なERPであっても、自社の目的を達成できないシステムを選んでしまうと、期待どおりの成果を上げることができません。そのため、ERPを選ぶ前に「自社がERPを導入する目的は何か?」を明確にしておくことが大切です。

ERPを導入する目的は、「データを活用して生産性を向上したい」「需要予測の精度を高めたい」「経営判断を迅速に行える環境を整えたい」など、企業によってさまざまです。目的に応じて必要な機能やデータが異なるため、勢いでERPを導入するのではなく、「自社がERPを導入する目的は何で、その目的を達成するためにはどのシステムを選ぶべきか」を見極める必要があります。

カスタマイズの柔軟性

ERPの選定時は、カスタマイズの柔軟性も勘案する必要があります。ERPは基本的な業務パッケージが網羅されていますが、どのような業種・業態であっても対応しやすいように、あくまでも基本機能のみが搭載されているものが多いです。業界ごとの特殊な商慣習や業務内容に対応するためには、カスタマイズが必要になることもあるでしょう。

ERPの中には、最初からすべての機能が確立されていて、ほとんどカスタマイズができないものもあります。カスタマイズが不要であれば問題ありませんが、自社の業務に合わせて大幅なシステム改修が必要になる可能性がある場合は、カスタマイズの自由度が高いものを選びましょう。

操作のしやすさ

せっかくERPを導入しても、操作しにくく使い勝手が悪いと、現場に浸透しないままお蔵入りになってしまいます。ERPは機能性も重要ですが、「現場に導入した時に従業員がスムーズに使えるかどうか」も選定ポイントに含めるべきです。

もちろん、導入後にできるだけ早く現場に浸透させるために社内研修を開催したり、マニュアルを整備したりするといった取り組みも不可欠です。

サポートは充実しているか

サポートが充実しているERPを選ぶことは、トラブルを速やかに解決するためには非常に重要です。ERPを利用していると、使い方がわからなかったり、不慮のトラブルが起こったりすることがあります。そのような場面ですぐにサポートしてもらえないと、業務を再開するまでに時間がかかり、機会損失や顧客からの信用失墜につながるおそれがあります。

ERPを選定するタイミングで、「サポートの面でも信頼できる業者かどうか?」をしっかり見極めることが大切です。

機能とコストのバランス

機能性が充実しているERPほど良いシステムに見えますが、機能が多いシステムが良いとは限りません。

大切なのは、「機能とコストのバランスが適切かどうか」です。自社の目的を達成するために必要な機能が備わっており、なおかつコストをできるだけ抑えられるERPを選ぶことをおすすめします。ERPを導入するための予算が限られている場合は、自社がERPの導入によって達成したいことの優先順位を決めておき、予算の中で優先順位の高い機能が備わっているERPを選びましょう。

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マネーフォワード クラウドERPは、部分的なシステム導入によってスモールスタートが可能なクラウド型ERPパッケージです。お客様の成長段階に合わせてシステムを柔軟に組み替えながらお使いいただけますので、「まずは限定的に始めて、少しずつ規模を拡大していきたい」という方にもぴったりです。

クラウドだからこその低コストを実現しており、従来のERPと比べて大幅なコスト削減に成功しました。ご契約から最短1ヶ月と短期間で導入できるため、できるだけ早くERPパッケージの利用をスタートしたい方にもおすすめです。

よくある質問

ERPの市場規模は?

2019年のERP市場の売上金額は1,128億円(前年度比12.4%増)。2020年度以降は、主にクラウド型ERPの市場が拡大すると予測されています。 詳しくはこちらをご覧ください。

ERPのシェアは?

ERPの世界トップシェアは、ドイツの「SAPジャパン 」(6.8%)。国内では2016年時点で富士通「GLOVIA smart」のシェアが高いが、「SAPジャパン」も多く利用されています。詳しくはこちらをご覧ください。


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