- 更新日 : 2024年7月12日
レガシーERPからの脱却 | 移行に失敗しないためのポイントを解説
「2025年の崖」問題ではレガシーシステムからの脱却が課題になっていますが、ERPでも「レガシーERP」という問題があります。「レガシーERP」は、長年使われてきた旧式のERPのことです。レガシーERPも、他のレガシーシステムと共通の課題を抱えています。現状でも大きな弊害がありますが、このまま放置すれば他のレガシーシステム同様に、「2025年の壁」で大きな問題となるでしょう。ここでは、レガシーERPから脱却する方法と、移行に失敗しないためのポイントを解説します。
目次
レガシーERPとは
レガシーERPとは、レガシーシステムの1つで、長年使われてきた古いERPのことです。具体的には、2000年頃に海外製のERPを導入し、カスタマイズを繰り返して運用してきたようなシステムを指します。他の古いシステムと同じようにレガシーシステムとしての課題を持ち、放置すれば「2025年の壁」問題に直面すると考えられています。
レガシーシステムとは、カスタマイズやメンテナンスを繰り返して肥大化・複雑化してブラックボックス化し、老朽化して経営の足かせとなるシステムのことです。
また「2025年の壁」とは、経済産業省の『DXレポート』で提唱された、多くの日本企業に共通する経営課題です。レガシーシステムを放置するとデジタル技術やデータを生かすことができず、新しい機能やニーズにも対応できずに競争力が低下します。それは大きな経済的損失につながると予測されているのです。
レガシーシステムや「2025年の崖」問題については、次の記事を参考にしてください。
【関連記事】「2025年の崖」とは?問題点やERPで解決できることをわかりやすく解説!
レガシーERPの抱える課題
レガシーERPには、他のレガシーシステムと同じように次のような課題があります。
過剰なカスタマイズによる複雑化
長年にわたり使用されてきたため、カスタマイズとメンテナンス、アドオンなどの部分的な追加・修正が繰り返されて肥大化・複雑化しています。
システムの全容をわかっている人材がおらず、ブラックボックス化しているものも多いため、メンテナンスには手間と時間がかかります。
周辺システムとのデータ連携機能の不足
古いシステムは古い技術を基にしているので、システム開発後に登場した新しい技術には対応できません。また他のシステムとのデータ連携機能も弱く、とくに新しい技術を使っている新しいシステムとの連携ができないこともあります。OSなど周辺アプリケーションはサポート切れになっているものも多いでしょう。
そのため、データを十分に活用できません。このままでは、データドリブンなど新しいビジネススタイルにも移行できないのです。
エンジニア不足と運用・保守費用の高騰
システムが古いと、対応できるエンジニアは少なくなります。若いエンジニアは古い技術には対応できないためです。また2025年頃には、古いシステムに対応できるベテランが定年退職していることも多く、数はどんどん減ると予測されています。
また、古いシステムは頻繁にメンテナンスが必要です。この2つの要因で、メンテナンスの費用が高騰します。企業によっては運用保守だけで予算を使い切ってしまい、戦略的なIT投資ができません。
レガシーERPにおける弊害
レガシーERPには、レガシーシステム同様に次のような弊害もあります。
ビジネスの変化に対応することができない
レガシーERPは古い技術で作られているため、機能も古く、新しい技術にも対応できません。そのため、新しい技術を多用するビジネスの変化に対応できないのです。そのままではデータ活用やデジタル活用が遅れ、企業が生き残っていけなくなることもあります。
システムパフォーマンスと生産性の低下
古いシステムは、使用しているハードウェアもシステム構築の考え方も古いため、現在のシステムよりパフォーマンスが低いです。しかも複雑化、ブラックボックス化していることが多く、改善もしにくい状態で、業務効率は大きく低下します。
また、利用できるインターフェースも古く、ユーザーにはストレスとなるでしょう。
クラウドERPとは
クラウド型ERPは、クラウドサービスとして提供されているERPです。現在の主流で、多くの種類が提供されています。インターネット経由で利用するため、バックオフィスのテレワークやDX推進の面でメリットが多く、導入する企業が増えています。
クラウドERPの特徴
クラウド型ERPは、クラウド上のシステムをインターネット経由で利用するため、利用する環境や場所を選びません。また、システムはベンダーが提供しているため、法令対応や運用保守の負担がなく、常に最新のシステムを利用できます。
クラウドERPのメリット・デメリット
クラウド型ERPには、クラウドサービス特有のメリットとデメリットがあります。
メリット
クラウド型ERPには、次のようなメリットがあります。
- 初期コストが低い
システムの代金は毎月(もしくは毎年)、少しずつ利用料金を支払います。また、ハードウェアや回線を用意する必要もありません。そのため、初期コストは低く抑えられます。 - 運用保守を自社で行う必要がない
運用管理や保守作業はベンダーが行うので、自社で行う必要はありません。 - 常に最新のシステムを利用できる
自動的にシステムが更新されるので、ユーザーは意識せずに、常に最新のシステムを利用できます。 - 導入に時間がかからない
カスタマイズできる部分が少なく、ハードウェアや回線を用意する必要もないため、スピーディーに導入できます。 - 時間や場所を問わずに利用でき、テレワークの推進にもなる
時間や場所、端末のOSを問わずに利用できるので、テレワークでも利用しやすい環境です。 - BCP対策にもなる
クラウドサービスのデータセンターは企業とは離れているため、企業が災害や事故にあってもシステムやデータに影響することはなく、通常通り利用できます。 - 拡張性が高い
ユーザー数やアクセス量の増減にも、柔軟かつ迅速に対応できます。
デメリット
クラウド型ERPには、次のようなデメリットがあります。
- カスタマイズの自由度が低い
ベンダー側が提供するシステムを利用するため、自由なカスタマイズはできません。 - 運用保守がベンダー任せになる
運用管理や保守作業はベンダー側で行うため、、自社に合わせた運用はできません。 - セキュリティ上のリスクがある
インターネット経由で利用するため、リスクをゼロにすることはできません。 - インターネット環境のないところでは利用することができない
クラウド型ERPは、クラウド上のシステムをインターネット経由で利用するため、インターネット環境のないところで利用することができません。
レガシーERPからの脱却!クラウドERPの導入で実現できること
レガシーERPから脱却するためには、クラウド型ERPへの移行がおすすめです。次のようなメリットがあるからです。
企業全体の情報の一元管理
ERPによってシステムだけでなくデータベースも統合することで、企業全体の情報を一元管理できます。これによって強力な連携機能を実現し、作業の大幅な自動化が可能です。そこから大きな業務効率化と業務標準化、ミスの削減などにつながります。
経営状態の可視化と経営判断の高速化
ERPでは情報を一元管理しているので、複数の部署にわたる情報も統合し、共有できます。それを活用すれば、企業の状況をリアルタイムに可視化でき、経営判断の高速化が可能です。
さらにERPの多くにはデータ分析ツールも搭載されているため、適切な経営判断をサポートします。
業務の標準化と効率化
ERPシステムを導入するときには、既存の業務を見直して業務フローを再構築し、業務の無駄を排除します。それだけでも業務効率化の効果があります。
ムラや無駄のない業務フローや業務スタイルを全社に適用し、ERPシステムに合わせて伝票やデータ形式を統一することで、業務標準化につながります。
さらにERPの強力なデータ連係機能により作業の多くを自動化することで、大きな業務効率化につながります。
ガバナンスの強化
データベースの統合により、不正なデータを作成しにくくなります。また、不正なデータや修正があれば、直ちに発見可能です。
アクセス権限の設定強化やログ管理機能もあるため、大きなガバナンス強化につながります。
現行のシステムからERPへの移行については、次の記事を参考にしてください。
【関連記事】ERPへの移行に失敗しないための5つのポイント
まとめ
レガシーERPと言える古いERPを利用したままでは、他のレガシーシステム同様に「2025年の壁」問題に直面するため、大きな損失が予測されます。それを防ぐためにも、新しいERPシステムへの移行が必要です。これから移行するなら、常に新しいシステムを使えて陳腐化しにくく、運用保守の負担の少ないクラウド型ERPがおすすめです。
よくある質問
レガシーERPとは?
長年使われてきた古いERPで、2000年頃に輸入され、カスタマイズを繰り返して運用してきたようなシステムを指します。
レガシーERPの課題とは?
過剰なカスタマイズによる肥大化・複雑化、データ連携機能の不足、エンジニア不足と運用・保守費用の高騰などがあります。
レガシーERPから脱却するためにはどうすればよいか?
常に新しい技術や機能を導入し、陳腐化しにくいクラウド型ERPへの移行が効果的です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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