• 更新日 : 2021年11月9日

ERPの歴史!日本に普及するまでの流れ

ERPの歴史!日本に普及するまでの流れ

企業経営に欠かせないERPは、コンピューター技術の進歩と共に普及し、近年ではクラウド型のERPへと進化しています。この記事では、ERP誕生までの歴史を振り返るとともに、日本にERPが普及した背景について解説します。

最初におさらい!「ERP」とは?

ERPは、Enterprise Resource Planning(企業資源計画)の略称であり、日本語では一般的に「統合基幹業務システム」と呼ばれます。事業を営む上では「ヒト・モノ・カネ」という資源をいかに効率的に管理するかが重要です。ERPは企業経営の要となる業務機能を網羅しており、製造・調達・物流・販売管理・在庫管理・財務会計・人事給与などの情報を一元的に管理します。業務の遂行と共に情報をシステムに登録するため、異なる部門が情報を共有できるのが利点です。また、タイムリーに情報を分析し、経営上の意思決定ができるよう支援します。

企業は、ERPを活用することで、経営資源にまつわる情報を集約し、企業経営の全体最適化を図ります。

ERPについては詳しくはこちらをご覧ください。

ERP誕生までの歴史

ドイツに本社を持つSAP社が、1973年に世界で初めてERPをリリースしました。その後ERPはコンピューター技術の発展と共に進化し、多くの企業で導入されています。ここでは、ERP誕生までの歴史について解説します。

メインフレーム主流の時代

1960年~1970年頃、メインフレームと呼ばれる大型コンピューターが企業に導入されるようになりました。メインフレームは、専用のコンピュータールームを必要とする大規模システムです。導入や管理にかかわるコストが大きいため、処理の負荷が高い業務から導入が進み、調達・販売管理・在庫管理といった部門ごとにシステムが構築されるようになりました。そのため、各部門での業務効率化を目的とした部分最適が特徴と言えます。

データの一元管理目的としてERPが登場

部門ごとのシステムは、企業経営全体を扱うのに課題がありました。例えば、販売と在庫のデータは連動しなければならないのに、システムを連携させる方法がなく、手作業でデータを再入力する必要がありました。そのため、情報のリアルタイム性に乏しく、経営資源をタイムリーに把握するのが困難でした。また、入力ミスが発生する、商品コード等が統一されておらず整合性がとれないといった問題も指摘されました。

そこで、全体最適を図るためのシステムとしてERPが登場します。製造業において普及した生産管理手法であるMRP(Material Requirements Planning)を発展させ、基幹業務全般をシステム化の対象とする考え方です。そして、SAP社がメインフレーム上で稼働する、世界最初のERP製品を開発・販売するにいたりました。

日本へもERPが登場

日本でも1990年代にERPの導入が積極的に行われるようになりました。その背景として、BPR(Business Process Re-engineering)ブームが挙げられます。BPRは既存の組織やプロセスを見直し、業務フローを再設計する企業改革です。標準化された業務プロセスを実現するには情報システムが必要になり、業務のベストプラクティスを実現する方法としてERPが導入されたのです。

また、社会のグローバル化に伴い、日本では企業会計を世界基準に合わせる、いわゆる会計ビッグバンの流れがありました。多くの日本企業が国際財務報告基準(IFRS)に対応するため、会計処理や業績報告の機能を盛り込んだERPを導入しています。

ERPの提供形態の歴史

ERPが生まれた当初は、ERPパッケージが少なかったため独自のシステムをゼロから構築するスクラッチ型開発を採用する企業が多く見られました。しかし、スクラッチ開発は企業独自の要件に合わせられる利点がある一方、開発に時間がかかり、初期費用が高額になってしまいます。

ERPの導入を容易にするようパッケージが開発されてからは、オンプレミス型ERPが主流になっていきました。パッケージに従うことで業務の標準化が可能であり、導入時の初期費用やコストを最適化できるのが利点です。また、業務に合わせてパッケージをカスタマイズする方法もあります。

2010年以降は、クラウド技術の進歩により、プライベートクラウド型のERPが登場しました。サーバーやネットワークを所有する必要がなく、運用の負荷が軽減されるのがメリットです。さらに近年では、月額数千円程度から利用できるパブリッククラウド型のERPも増えています。

ERPが日本で普及した背景

海外から日本へと展開されたERPは、当初、その商習慣の違いから導入には課題がありました。ERPのカスタマイズを重ねる必要があり、結果として導入や運用の負担が増してしまったのです。2010年以降に日本でERPの普及が進んだのは、国産ERPを含めて、日本の商習慣に合致した製品が増えたことが背景にあります。アドオンやテンプレートの充実により、カスタマイズを最小限に抑えられるようになりました。

また、クラウド化もERPの普及に影響しています。高い信頼性が求められる基幹系システムであってもクラウド環境で運用できる実績が増えたことでセキュリティの信頼性が高まり、ERPをクラウド上へ移す日本企業が増加したのです。

日本でのERPの今後

近年、システム環境の複雑化により、全体最適を図るのが困難になっています。例えば、テレワークの普及やモバイル機器の利用など、ERPへアクセスする端末が多様化してきました。また、IoTの進化により、センサーやデバイスから収集されたデータがERPへ集積されるようにもなってきました。さらに、蓄積されたデータはAIによって分析され、新たな知見を見出すことが期待されています。このような要件に対応するよう、最新のデジタル技術が活用できるERPが求められるようになりました。

国産ERPが増えたことで過去のERPではベストプラクティスへ対応しなかった日本企業も、今後のクラウド化には追従していくものと見られています。グローバル化が進み、あらゆる業界の変化が激しくなる中、IT基盤の柔軟性を保つよう、新たなERPが広まっていくでしょう。

当社では、お客様の状況に合わせて1つの機能から利用できるクラウド型ERP「マネーフォワード クラウドERP」を提供しています。マネーフォワード クラウドERPは、バックオフィス全体をカバーする機能を備えており、スモールスタートも可能なサービスです。

よくある質問

ERPが生まれた経緯とは?

製造・調達・物流・販売管理・在庫管理・財務会計・人事給与などの情報を一元的に管理し、企業経営全体を最適化することを目的に生まれました。詳しくはこちらをご覧ください。

ERPが日本で普及した背景は?

1990年代のBPRブームやグローバルな会計制度への対応が背景にあります。また、日本の商習慣に適したクラウド型のERPが登場し、労力やコストを抑えてERPを導入しやすくなったことも挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:野崎晋平

2008年 東証一部IT企業に入社しERPの設計や開発業務に従事。2013年 東証一部小売企業に入社し、ERPの運用保守やリプレイスの企画、各種システム導入プロジェクトのマネジメント業務などに従事。2015年 株式会社アイティベルを設立し、IT領域の執筆などを行う。生産管理システムや人事システム、POS、スマホアプリ、ECサイトなど幅広いシステム導入経験を持つ。株式会社アイティベル 野崎晋平

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