• 更新日 : 2024年7月12日

IT企業での原価計算とは?目的やプロジェクトベースでの計算方法について解説

IT業界は、急速な技術進化による競争激化が続いています。このような状況下で成功し続けるためには、適切な原価計算によるコスト管理がひとつのポイントとなります。

しかし多くのIT企業では、原価計算の適切な方法やその重要性が十分に理解されていないのが現状です。

本記事ではIT企業での原価計算について、目的やメリットなどをご紹介します。
また、プロジェクトベースでの原価計算のポイントや最新ツールの活用方法についても解説していきます。

IT業界における原価計算とは

IT業界における原価計算の主な目的は、効果的なコスト管理と効率性の向上にあります。
コスト管理を効果的に行うためには、まず適切な原価計算を行い、費用を正確に把握することが不可欠です。
特に、システム開発プロジェクトや新技術の研究にかかるコストを正確に把握し、必要に応じて改善を行うことは、事業の成功に不可欠です。無駄な支出を削減し、資源を最も重要な部分に集中させることが、企業成長のカギとなります。

IT企業での原価

労務費・人件費

IT企業の原価において大きな割合を占めるのが、労務費や人件費です。
これには、システム開発やプロジェクト遂行に関わる従業員の給与、賞与、社会保険料などが含まれます。
高度な技能を持つ技術者や開発者、プロジェクトマネージャーなど、人材を確保すればするほど、この費用が膨らんでいきます。
また、研修費用などのスキル習得にかかる費用もこのカテゴリーに含まれることがあります。

外注費

システム開発や導入、システム統合など、特定のプロジェクトに関連する外部ベンダーやコンサルタントへの支払いは、外注費に含まれます。
また、一時的なリソース確保のためにフリーランスや契約社員を活用する際の費用も、本費目に含まれます。

経費

プロジェクトに紐づく経費だけでなく、オフィスの賃貸料、通信費、オフィス用品購入費など、企業の運営に必要な経費も含まれます。
IT関連の経費としては、システムのライセンス料、クラウドサービスの使用料、サーバーの維持管理費、新技術の研究開発費などが挙げられます。
さらに、データセンターの運用費やセキュリティ対策費もこの費目に含まれます。

直接費・間接費の区分について

IT企業における直接費は、特定のプロジェクトや製品に直接関連する費用、例えば開発者の労務費やハードウェアの購入費などです。
一方間接費は、企業運営に必要な経費や経営管理費、マーケティング費用などです。
特にIT業界では間接費が高い割合を占め、これらの適切な管理が重要です。

IT企業が原価計算を行うメリット

本章では、IT企業が原価計算を適切に行うメリットについて解説していきます。

コストの透明性向上

原価計算により、IT企業は自社のコストを詳細に把握できます。
これにより、無駄なコストの削減や資産の有効利用が可能となり、企業全体・プロジェクト全体の財務状況の改善に寄与します。

適切なリソース管理の実現

リソースの効果的な配分を可能にし、プロジェクトや事業部間・部門間での資源配分の最適化に役立ちます。さらに、予算計画の精度が向上し、コストパフォーマンスの高い運営が実現されます。

戦略的意思決定のサポート

正確な原価データは、企業の戦略的な意思決定に役立ちます。原価を正確に把握することで市場の変動に即した迅速かつ柔軟な対応を可能にし、長期的な競争優位を築くための戦略立案に貢献するでしょう。

プロジェクトベースの原価計算アプローチ

本章では、プロジェクト毎に原価計算を行う重要性やポイントについて解説していきます。

プロジェクト管理と原価計算の統合の重要性

プロジェクトごとに原価計算を行うことは、効率的なコスト管理のために不可欠です。
特に、複数のプロジェクトを同時に管理する際には、各プロジェクトのコストを正確に把握し、予算やリソースを適切に配分することが重要となります。
また、プロジェクト管理と原価計算の統合は、予算超過の防止につながります。
プロジェクトの進捗と予算の状況を常に監視することで、予算超過のリスクを最小限に抑えることができます。

IT業界における直接費の把握と割り当て

各プロジェクトに直接関連する費用、例えば労務費、外注費、材料費などの直接費は、それぞれについて把握した上で、各プロジェクトに適切に割り当てることが求められます。
具体的には、プロジェクトに関連する作業を行った時間やコストを適時把握していくことが必要となります。

間接費の適切な分配(配賦)

全社的なコスト、例えば管理費、施設維持費、または一般的なITサポート費などの間接費も、適切な基準に基づいて各プロジェクトに分配します。分配の基準が不明瞭な場合は、まず基準を定める必要があります。

プロジェクトの進捗との連携、予算と実績の比較分析

原価計算は、プロジェクトの進捗と連動して行う必要があります。プロジェクトの進捗に伴って予算配分を再評価し、必要に応じた調整を行うためです。
また、各プロジェクトの予算計画を設定し、実績と比較することも重要です。
これにより、コストの過不足の兆候を早期に察知し、適切な調整を行うことが可能になります。

IT業界における原価計算のためのツール

原価計算の正確性と効率を高めるためには、最新のツールやシステムの導入が不可欠です。
これらのツールは、コストの追跡、分析、予測を自動化し、時間とリソースの節約に大きく寄与します。

AIやビッグデータ、クラウドコンピューティングの活用

AIやビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの技術を原価計算に活用することで、IT企業はより精度の高いコスト管理を行うことが可能になります。
AIによる予測分析は将来のコストトレンドを予測し、ビジネス戦略の形成に役立ちます。
ビッグデータの分析はコストのパターンを明らかにし、無駄な支出の特定に貢献します。また、クラウドコンピューティングを利用することで、リアルタイムのデータアクセスと処理が可能となり、組織全体のコスト管理が効率化されます。
これらの技術は、複雑な原価計算を容易にし、より迅速な意思決定をサポートします。

IT企業の原価計算に役立つ「マネーフォワード クラウド個別原価」

このように、最新のツール・先進技術の活用は、IT企業の原価計算を劇的に改善します。
一例として、バックオフィスの効率化を実現する「マネーフォワード クラウドERP」が挙げられます。
マネーフォワード クラウドERPは、企業に合わせてさまざまなコンポーネントを組み合わせることが可能です。
そのうちのひとつである「マネーフォワード クラウド個別原価」は、個別原価管理に特化したシステムで、正確なコスト管理と透明性を実現します。

詳細については以下をご参照ください。

※参考:マネーフォワード クラウドERP
※参考:マネーフォワード クラウド個別原価 – 個別原価管理システム

まとめ

IT企業における原価計算は、コストの透明性の向上、効率的なリソース管理、そして戦略的意思決定のサポートという点で、非常に重要です。
また、プロジェクトベースでの細かな原価計算アプローチは、複数のプロジェクトを同時に効率よく管理し、企業運営を成功に導くためのカギとなります。
原価管理においてはマネーフォワー ドクラウド個別原価といった最新のテクノロジーを活用したツールの活用が最も効果的なアプローチとなります。


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