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  • 作成日 : 2021年10月8日

ERPとは?ゼロからわかりやすく解説

ERPとは?ゼロからわかりやすく解説

ERPとは、従来の基幹システムと違い、企業の抱えるすべての業務を統合・可視化して効率化を図る手法のことです。本記事ではERPとは何かに加え、ERPの種類やメリット・デメリットを詳説します。ERPとはどのようなものかを知り、導入の検討に役立ててください。

ERPとは?

そもそも、ERPとはどういったことを指すのでしょうか。

ERPとは、エンタープライズ・リソース・プランニング (enterprise resource planning)の略称で、企業のさまざまな部門の人的資源や資産などのリソースを統合的に管理することにより、業務や経営全般の効率化・最適化を図る手法のことです。

これまで部門ごとに区切られていた資源や情報を横断的に連携して有効活用でき、包括的な企業戦略を策定することにも寄与します。

ERPと基幹システムの違い

では、なぜ今ERPが求められているのでしょうか。ここでは、ERPと基幹システムの違いという観点で解説します。

基幹システムとは、企業活動の中核となる基本的な情報システムのことです。例として、生産管理や販売管理、在庫管理など、役割に合わせて個々に独立したシステムが挙げられます。
それぞれのシステムは重要な役割を担っているものの、各システムに要求されるデータの種別や情報処理の手法が異なり、個々にデータベースを管理する必要がありました。

しかし、業務負担の改善や収益の向上といった観点で考えれば、これらの業務は統合して包括的に管理するほうが効率的といえます。

このような背景から、企業の資源を総合的に管理する仕組みであるERPが多くの企業から求められるようになったのです。

ERPのメリット・デメリット

ERPの導入は企業にとって多くのメリットをもたらしますが、少なからずデメリットも存在します。順番に見ていきましょう。

メリット

ERPを導入するメリットとはどのようなものでしょうか。詳しく見ていきます。

情報の一元管理

ERPを導入することで、自社が持つ情報の一元管理が容易になります。

前述のとおり、個別の基幹システムはそれぞれの業務に特化したデータを扱っており、そのフォーマットや単位もさまざまです。そのため、部門やシステムをまたいでデータを送受信する場合、フォーマットやデータの単位を合わせる作業が必要でした。

ERPシステムを導入して情報を一元管理することで、そのような作業が不要になります。またデータの送受信の時間も大幅に短縮され、業務の効率化につながるでしょう。

さらに、ERPでは各システムから統合されたデータベースにリアルタイムでアクセス可能です。データベースの更新も即時に実施されるため、情報の活用も促進されます。

業務効率の向上

ERPを導入することで、一元管理した情報を部門間で共有することが容易になり、業務効率の向上が期待できるでしょう。データベースのフォーマットが同じであれば、部門間の情報共有やデータのやり取りがスムーズになります。

例として、ERP導入済みの場合に商品を受注するケースで考えてみましょう。
商品を受注すると販売管理システムに販売履歴が登録され、出荷と同時に在庫管理システム上で当該商品の在庫数が1減ります。在庫を補充するため生産管理システムと連携し、生産数を調整します。後日その商品に不具合があった場合は、品質管理システムに不良情報を登録し、品質を改善することもあるでしょう。

このように各基幹システムを連携して管理することで、受注からアフターフォローまでスムーズに進行でき、業務効率が向上します。

経営状況の可視化

ERPの中には、経営状況の分析機能が搭載されているものがあります。
分析機能が搭載されたERPは、売上や在庫状況、生産情報などから経営の状況を見える化し、経営者がタイムリーかつ迅速に経営判断ができるようアシストしてくれます。

分析機能を利用しない場合も、経営方針を策定する際は、必要な情報を素早く正確に取り出すことが重要です。そのためには、インプットされる情報が一元管理されていることや、誰にでも見やすく理解しやすいことが求められるでしょう。

このように、ERPは現場の業務改善だけでなく、経営判断にも役立てられます。

デメリット

次に、ERPを導入することのデメリットを見てみましょう。企業における個々の業務改善から経営のアシストまで可能なERPですが、より自社に合うものを導入するためにデメリットも把握して検討することをおすすめします。

イニシャルコストが高額になることがある

ERPを導入する場合、導入するシステムの規模によってはイニシャルコストが高額になることがあります。

例えば、個別の基幹システムをフルスペックで導入しようとすると想像以上に費用がかさむため、導入を躊躇する経営者や工場管理者もいるでしょう。
イニシャルコストの問題は、自社に必要な機能を見極めて取捨選択したり、機能を段階的に拡充することを見越し少ない機能で導入したりすることでクリアできます。
ERPの導入は長期的なビジョンを持ち、計画的に行いましょう。

ランニングコストが発生する

ERPを導入すると、イニシャルコストだけでなく維持・管理していくための運営費(ランニングコスト)もかかります。
ERPを導入する場合、顧客に提供するサービスの品質・費用・納期がそれぞれどの程度改善されるか、またランニングコストを上回る収益を達成できるかどうかを試算する必要があります。その際は、ライセンス費用や保守費用、追加カスタマイズ費用なども十分検討しなければなりません。

ERPのランニングコストを抑えるためには、月額費用の負担のみで利用できるクラウド型を導入するのがおすすめです。クラウド型のERPについては後述します。

導入のための業務が発生する

データベースやデータの流れが変われば、当然業務フローにも影響が出ます。そのためERPを導入する際には、必然的に業務フローを見直すことになるでしょう。

ERPに限らず新たなシステムの導入を検討している企業では、いつの間にか「そのシステムを導入すること」が目的になってしまっていることがあります。しかし、ERPを導入する目的は社内の情報を統合して業務を効率化することであり、ERPの導入自体は業務改善の手段の1つでしかありません。
そのため、まずは改善後の最適化された業務フローを明確に定義し、それを達成するために必要なERPの導入を検討することが大切です。

また、導入したERPを実際に利用する従業員ために、マニュアル・手順書を整備することも忘れてはなりません。ERPの導入と併せてマニュアル・手順書を整備し、それを用いて従業員教育を実施しましょう。

その際は、ERPの必要性を従業員に周知することも忘れずに行います。これは「導入によって企業や工場が何を目指すか」「ERPを導入することで課題がどのように解決するか」「業務がどのように変わるのか」「企業の最終的な経営目標は何か」を従業員に説明することが目的です。

現場の従業員がERPの利用方法に加え、ERPによってどのような業務改善が期待されるのかを十分に理解していれば、ERPの導入やその後の運用、業務フローの変革がスムーズに進むでしょう。

ERPの種類1~導入形態で分類~

ERPには多くの種類がありますが、それぞれいくつかの基準によって分類できます。
まずは、ERPを導入形態で分類してみましょう。導入形態にはクラウド型とオンプレミス型があり、それぞれの特徴は以下のとおりです。

クラウド型

クラウド型は、ERPサービス提供企業がインターネット上で構築したシステムに利用企業がアクセスして利用する形態です。サーバーやシステムはクラウド上にあるので、社内でのシステム構築はほとんど不要なのが特徴です。また、汎用的なシステムであるため、保守を担当する人材を速やかに確保できるでしょう。

また初期投資が少なく、短期間で導入できる点もメリットです。オンプレミス型と比較すると、特に費用面で中小企業に向いているといえるでしょう。

オンプレミス型

オンプレミス型は、自社にサーバーを構築するタイプのERPです。自社内でシステムを構築するため、システムを自由にカスタマイズできるというメリットがある反面、導入時にサーバー構築やライセンス費用、教育費など多額の費用がかかるというデメリットがあります。

またオンプレミス型は独自のシステムであるため、メンテナンスに関しても自社内で行う必要があり、そのための人員を確保しなければなりません。中小企業で大規模な自社サーバーを設置することは費用面で厳しいかもしれませんが、大企業で多くの人が利用する場合にはオンプレミス型が向いています。

ERPの種類2~全体か業務特化かで分類~

次に、ERPによって統合する業務の範囲で分類してみましょう。範囲は大きく分けると3種類です。

統合型

統合型のERPは、業務に関するさまざまな情報や基幹システムを1つに統合して管理するものです。統合することでデータの一元管理が実現し、さらに自動化によって業務効率が向上します。

統合型のERPは、データベースが1つなので、各システムからデータを更新できる点が特徴です。そのため最新の情報をリアルタイムで利用できるというメリットもあります。
経営者は企業全体のデータを把握した上で、俯瞰的に経営判断を下せるようになるでしょう。

その反面、全システムを統合することは容易ではなく、多くのコストと時間がかかることがデメリットとして挙げられます。

コンポーネント型

コンポーネント型のERPは、必要な基幹システムのみを選択して統合することで、業務の最適化を目指すものです。状況によっては、すでに利用している複数のシステムと新規で開発したシステムを組み合わせてコンポーネントを構築することもあります。

コンポーネント型のメリットは、必要なシステムを選択して連携できるので、統合型よりも導入に費用や時間がかからないことです。また、さまざまな機能を部品(コンポーネント)として必要に応じて拡張できるので、社会情勢や市場の流れに沿った最適なシステムを構築できます。

一方、デメリットとしては、必要なシステムのみを統合するため機能が限定的になることや、部分的に統合した時点では全システムを俯瞰できていない場合が多いことが挙げられます。特に後者は、あとになって抜本的なシステム改修が必要になることもあります。

業務システム型

業務システム型のERPは、生産管理システムや顧客管理システムなど、特定のシステムの一元管理を行うものです。

特定の業務に特化しているため、他のERPと比較してイニシャルコストを低く抑えられ、短期間で導入できるというメリットがあります。予算が限られており、特定の業務にフォーカスして改善したい小規模企業に向いているといえるでしょう。

デメリットとしては、企業の全業務をカバーしているわけではないので、収益の向上や業務効率の改善といった点では効果が限定的になることが挙げられます。

ERPの種類3~パッケージかオーダーメイドかで分類~

最後に、ERPを汎用性のあるタイプか、個々の企業の業務内容に特化したタイプかで分類してみましょう。

パッケージ型

パッケージ型ERPとは、一般的な企業活動に必要とされる機能をあらかじめ備えたERPのことです。すでに構築された汎用性の高いシステムの中から、企業に合ったものを選択して導入します。イニシャルコストを抑えやすく、すでに実績のあるシステムなので短期間で導入が可能な点がメリットとして挙げられます。

また導入後の従業員教育やメンテナンスに関しても、パッケージ型ERPを提供する企業がオプションとして安価で提供しているケースが多いため、手軽に導入できるでしょう。

デメリットは、導入するパッケージ型ERPが自社の業務やデータ構造に完全にマッチしているわけではないということです。そのため、業務やデータベースをシステムに合わせて改良する必要が生じることもあり、結果的に従業員が新たな業務フローに慣れるまで時間がかかるケースも見られます。

また、システムのライセンスやメンテナンスフィーなどの運営コスト(ランニングコスト)が高額になることもあります。

フルスクラッチ型

フルスクラッチ型ERPは、個々の企業の状態に応じてオリジナルのシステムを構築して導入するタイプのERPです。コンサルタントやERPを構築する企業と打ち合わせを重ねることで、その企業にとって最適なERPを導入できます。

独自性の高い業務が多い企業では、汎用のパッケージ型ERPをうまく適用できないケースが少なくありません。フルスクラッチ型の場合は、その企業に合ったERPを構築・導入するため、適用はスムーズに進むでしょう。

フルスクラッチ型ERPは自社内ですべてを完結できるので、「セキュリティーの確保やコンプライアンス順守を徹底したい」という企業に最適です。

しかし、オーダーメイドとなるのでイニシャルコストが高額になることがデメリットとして挙げられます。
特定の業種・業務の場合、要件を1つずつ丁寧に確認して開発することになるため、費用が数百万円、場合によっては数千万円になることもあります。

また機能を1つずつ確認しながら進めなければ手戻りが発生するおそれがあるため、システム開発に数年かかってしまうこともあります。

まとめ

ERPとは、企業の生産・販売・在庫などをトータルで管理できる、まさに企業活動の土台となるシステムのことです。ERPの導入は、企業の業務効率の向上や利益の拡大に大きく寄与するでしょう。

ERPの導入にはメリット・デメリットがあるため、どのようなERPであればコストパフォーマンスが高く、自社の業務改善に有効活用できるか見極める必要があります。そのために、まずは自社の業務内容を洗い出し、解決すべき課題を明確にすることが大切です。
また、ERPには複数の種類があるため、自社の方針や業務内容に沿って慎重に選びましょう。

本記事を参考にして自社に最適なERPシステムを導入し、コスト削減や利益拡大につなげてください。

よくある質問

ERPとは何?

ERPとは、企業のさまざまな部門の人的資源や資産などのリソースを統合的に管理することで、業務や経営全般の効率化・最適化を図る手法のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

ERPのメリットは?

ERPを導入すると情報の一元管理とリアルタイム更新が実現し、業務効率が向上します。また、経営状況が可視化されることで経営判断が行いやすくなります。 詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

masa2929

主に大手生命保険会社向けに業務・システム提案を行うコンサルタントとして勤務した後、大手製造メーカーに転職。現在は、開発した製造・インフラ設備のHardwareおよびSoftwareの海外への出荷業務を担当。海外へのシステム導入、および導入後の品質管理・品質保証を品質コンサルタントの立場で従事しています。