• 更新日 : 2023年5月16日

ERPとCRMの違いは?どちらを導入すべきかを徹底解説

ERPとCRMの違いは?どちらを導入すべきかを徹底解説

経営者や管理職、ビジネスマンなら、ERPやCRMという言葉を耳にしたことがあるでしょう。しかしこれらの違いがわからない方もいるかもしれません。本記事ではERPとCRMの違いについて解説します。ERPとCRMの概要も解説するので、違いを知って導入を検討したい方は参考にしてください。

ERPとCRMの違いとは?

ERPとCRMには共通する特徴があるため、違いがわかりにくいかもしれません。2つの主な違いは、導入する目的や対応する情報の範囲です。2つの違いを正しく把握することで、ERPとCRMの区別が容易になるでしょう。

導入する目的の違い

ビジネスシーンにコンピューターが用いられるようになったのは、1960年代後半です。当時の日本では、大企業を中心にメインフレームと呼ばれる基幹業務用の大型コンピューターが導入されていました。

財務会計や生産管理などの基幹業務にメインフレームが使われる一方で、部門ごとのシステムは分散して存在します。このような部門ごとのシステム同士で関連する業務データを統合する必要があったため、企業の情報管理に特化したシステムであるERPが注目されるようになったのです。

一方でCRMは、顧客の情報を一元管理することで業務の改善を目指すシステムです。ERPのように業務データの統合が目的ではなく、あくまで顧客の情報管理に特化し、営業活動の効率性を高めて売上を拡大することを目的としています。

対応範囲の違い

ERPとCRMは、部門ごとの情報を一元管理するという点は共通していますが、対応する情報の範囲が異なります。

例えば、ERPでは総務や人事、労務などの業務プロセスを効率化するために、従業員の情報を管理できます。具体的には、給与や残業時間、労務手続きの進捗状況などの情報です。

一方でCRMでは、商談情報や訪問先の地図、クレーム、名刺などの情報を管理できます。営業活動に必要な、顧客に関する情報が中心となっています。

「企業全体の情報を管理できるシステムがERP、顧客の情報管理に特化しているシステムがCRM」と覚えておけば、迷うことはないでしょう。

ERP(統合基幹業務システム)とは

ERPとCRMの違いを深く理解するためには、ERPとCRMの特徴をそれぞれ知っておく必要があります。まずは、統合基幹業務システムとも呼ばれるERPの概要や役割、機能、導入するメリットなどを解説します。

ERPの概要

ERPとはEnterprise Resource Planningの略称であり、企業の基幹業務を一元化するためのシステムのことです。

一般的に企業の主要業務では、業務の種類ごとに個別のデータベースで情報を処理します。しかし、主要業務は各部門の情報だけでは完結しないことも珍しくありません。
例えば、製造業の生産部門の場合、販売部門の予測をもとに生産計画を立てる必要があるため、生産部門だけで業務を最適化することは難しいでしょう。

ERPによって企業における各部門の情報を一元化することで、主要業務間における情報共有がスムーズになります。

ERPの役割

近年、過去の技術や仕組みで成り立つレガシーシステムの放置によって、企業の持つ情報の経営への活用が非効率になり、国際競争力が低下するリスクが問題視されています。

そこで重要になるのが、ビジネス環境の激しい変化に対応できるよう、デジタル技術を活用して企業の業務を効率化するDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進です。

情報の一元化によって経営状況を可視化するシステムであるERPは、企業の業務改善の糸口になり得ることから、DXを推進する存在として注目されています。

ERPの主な機能

ERPは、企業の基幹業務を一通りカバーできる機能を搭載しています。

ERPの主な機能に販売管理機能があります。販売管理機能により、製造・購買・営業などの各部門で分かれている入出荷の予定情報を一元管理できます。これによって出荷漏れを減らすことや、問い合わせに対する素早い対応が可能となります。

その他、輸入発注処理ができる貿易管理機能や、原価シミュレーションができる原価管理機能、手形管理ができる会計管理機能など、実務をサポートする機能が搭載されています。

またERPでは企業のデータが一元管理されるので、セキュリティ対策強化のためユーザー認証機能やログ管理機能などが活用されます。さらに、集約した業務データのバックアップも重要な機能の1つです。

ERPの導入メリット

企業が主要業務を行うプロセスで蓄積した情報は、最終的に経営判断の材料になります。しかし、月ごと、四半期ごとに確定する情報のように陳腐化したデータを参考にしていては、正しい経営判断ができません。

ERPを導入すれば全部門のデータをリアルタイムで確認できるため、正確で迅速な経営判断ができます。

またERPには、経営情報を分析できる機能も搭載されています。例えば、総資本利益率自己資本利益率を指標として、収益性や効率性などをレポートするツールが挙げられます。

さらに、予算と実績を比較する予実分析を行ったり、資金の調達・運用を表で視覚化したりすることもできます。そのほか、損益分岐点の観点で売上や費用、販売量を分析する際にも役立つでしょう。

ERPについて、詳しくはこちらをご覧ください。

CRM(顧客関係管理)とは

CRMはビジネスをサポートするシステムという点ではERPと似ていますが、CRMの概要を知ると大きな違いがあることがわかります。ここからは、顧客関係管理とも呼ばれるCRMの概要や役割、主な機能、導入するメリットなどについて解説します。

CRMの概要

CRMとは、Customer Relationship Managementの略称であり、顧客管理システムのことです。企業がこれまでの顧客との関係を改善したり、新たな顧客をスムーズに獲得したりするための手法や考え方としても知られています。

CRMの市場規模は2027年に900億米ドルを超えると予測されており、今後も企業のビジネス活性化の手段として、ますます注目されるでしょう。

CRMの役割

CRMの役割は、顧客情報の管理によって企業の売上拡大を目指すことです。

「80:20の法則」や「パレートの法則」と呼ばれる考え方があります。これは、「20%の構成要素に成果が集中する」という考え方で、この法則を踏まえると、企業の売上も20%の顧客の満足度によって大きく左右されると考えられます。

顧客の満足度を高めるためには、顧客が求める製品やサービスを提供しなければなりません。そうした顧客の願望や顧客が抱える課題を知るカギは、情報管理が握っています。
顧客情報を合理的に管理できるCRMは、企業の売上を拡大するために不可欠な存在といえるでしょう。

CRMの主な機能

CRMの代表的な機能として挙げられるのが顧客管理機能です。顧客管理機能によって、顧客の年齢や性別、連絡先などの基本情報から、製品やサービスの購買日・購買頻度といった購買記録まで管理できます。

中には名刺を読み取って顧客情報をデータ化して管理できるツールや、社員間で顧客データを共有できるコメント機能を搭載したツールなどもあります。

また、問い合わせ管理もCRMの代表的な機能の1つです。顧客からの問い合わせをリアルタイムで閲覧し、回答できます。問い合わせ内容はデータベースに蓄積されるので、そのデータを製品やサービスの品質改善にも役立てられるでしょう。

そのほか、商談管理機能やメール配信機能、売上予測機能などもあります。このように、CRMを導入すればさまざまな機能によるビジネスのサポートを受けることが可能です。

CRMの導入メリット

CRMは各部門にまたがる顧客情報の共有を実現し、各部門にさまざまなメリットをもたらします。

例えば、マーケティング部門ではCRMによって優良顧客のデータを解析できます。自社と相性のよい顧客の特徴を把握すれば、今後のターゲットを絞りやすくなるでしょう。

営業部門であれば、マネージャーがCRMを通して各担当者の案件の受注確度(商品・製品を導入してもらえる可能性)や受注見込額などを把握できます。これにより、顧客へのアプローチに対して適切なフォローができるでしょう。

カスタマー部門では、問い合わせを受けたときにCRMで顧客情報を確認できるため、情報不足による誤った対応を防止することにつながります。

CRMとSFAの違い

CRMと類似する部分が多いシステムとしてSFAが挙げられます。SFAはSales Force Automationの略称で、営業支援システムとも呼ばれます。

CRMとSFAの違いは、データを共有する部門の範囲です。
CRMは、営業部門だけでなくカスタマー部門やマーケティング部門など、幅広い部門間で情報を共有します。一方でSFAは、あくまでセールスマンの営業情報を同じシステムに集約するためのものです。

ERPとCRMのどちらを導入すればいい?

ERPとCRMのどちらを導入すべきか、迷っている方もいるでしょう。ここまでで紹介したERPとCRMの特徴を踏まえて、導入すべきシステムを解説します。
自社の状況や課題を把握した上で、最適なシステムの導入を検討してください。

「情報の一元化」「経営分析」にはERP

システム間や部門間の連携が非効率になっている場合、企業全体の情報を一元化できるERPが適しています。

例えば、ある部署でデータが変更されたとき、それに関連するデータの修正に時間がかかっていたとします。ERPを導入すれば、データベースを統合できるので、元のデータを変更すると、関連データもリアルタイムで更新されます。

また、ERPには統合データベースを活かして経営判断を進められるという特徴もあります。予実分析や損益分岐点分析などが行える機能もあるので、経営分析を効率化したい場合にもERPは優れています。

「顧客管理」「営業活動」にはCRM

市場に競合がひしめく業界では、いつ他社に顧客を奪われるかわかりません。したがって、契約関係にある顧客との良好な関係を維持し、できる限り取引を継続できるような仕組みが求められます。

CRMは、顧客情報を有効活用することで顧客満足度を高められるシステムです。例えば、顧客情報をもとにその顧客に適したメールを配信することで、顧客が関心を持つ情報を適切なタイミングで届けられます。

また顧客満足度を高めるためには、効率的な営業活動も不可欠です。CRMでは顧客への訪問履歴が確認できるため、訪問すべき企業の優先順位を可視化し、営業活動の効率を高めることも可能です。
このように、顧客管理や営業活動を最適化したい場合にはCRMが適しています。

ERPとCRMは連携できる!

CRMと基幹システムを別々に導入していて、顧客情報や受注データなどを一元管理できていないケースもあるでしょう。そういった場合はERPを導入し、ERPとCRMを連携させることを検討すべきです。

例えば、CRMとERPの連携により、CRMに入力した見積もりデータをERPと共有するといった操作が可能です。これによって、見込み客の獲得から商談、見積もり、受注、請求までの流れを効率化できるでしょう。

また、ERPの管理画面からCRMの見積もりや営業活動記録を参照できるので、営業チームだけでなく経営者も現場の状況を把握できます。

顧客管理に優れるCRMと経営全般に活用できるERPの連携に成功すれば、それぞれの情報を統合して顧客情報をベースとした経営戦略を実行することも不可能ではありません。

ERPとCRMを理解して自社の状況に最適な方を選択しましょう

ERPとCRMはどちらも情報を一元管理できるシステムですが、導入の目的や対象とする情報の範囲などが異なります。自社のビジネスを効率化するためには、それぞれの特徴や違いを理解した上で、自社の状況に最適なシステムを選択する必要があります。

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よくある質問

CRMとERPの違いは?

ERPとCRMの大きな違いは、導入する目的です。ERPの目的は「部門ごとに分散しているシステムを連携すること」、CRMの目的は「顧客情報を有効活用して売上を伸ばすこと」です。 詳しくはこちらをご覧ください。

CRMとERPはどちらを導入すべき?

CRMとERPどちらを導入するかは、企業の目的によって変わります。「情報の一元化や経営分析を目的とする場合」はERPが適しています。一方、「顧客管理や営業活動を最適化したい場合」はCRMがおすすめです。詳しくはこちらをご覧ください。


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