- 更新日 : 2024年7月12日
経理アウトソーシングの基礎知識 | メリット・デメリットや委託先選定のポイントを解説
企業にとって、経理業務はビジネスの根幹を支える重要な部分であり、専門性や効率化が求められる領域となっています。では、そんな経理業務を外部に委託する「経理アウトソーシング」とは具体的にどのようなものでしょうか?また、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
本記事では、経理アウトソーシングの基礎やメリット・デメリット、サービス選定のポイントまでを詳しく解説します。経理業務の効率化や品質向上を目指す際に参考としていただければ幸いです。
目次
経理アウトソーシングとは
経理アウトソーシングとは、企業が自社の経理業務を外部の専門業者に委託することを指します。
これにより、決算申告や税務申告、請求書の処理、給与計算、各種データの作成・管理など、多岐にわたる業務の支援を受けることができます。
コスト削減や業務効率の向上、業務の高品質化を目指す企業にとって、有効な選択肢といえるでしょう。
また、各アウトソーシングサービス提供企業は、多様なニーズに応えるためにそれぞれ異なる特長のサービスを展開しています。
導入を検討する際は、業務規模やニーズに合ったパートナー・サービスを選定することが大切です。
経理業務の効率化については以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ本記事と併せて参考にしてみてください。
経理アウトソーシングのメリット・デメリット
本章では、経理アウトソーシングを活用するメリットとデメリットを解説していきます。
メリット1.コスト削減
経理業務を外部の専門業者に委託することで、人件費や研修コスト、経理部門の設置・維持コストなど、関連する負担を大幅に軽減できます。これにより、会社の財務健全性が向上し、資源を他の投資領域に投下することも可能になります。
メリット2. 業務品質の向上、効率化
経理業務をアウトソーシング業者に委託すれば、その専門知識や経験等を活用して経理業務の品質を向上させることができます。また、アウトソーシング先が持つ適切なシステムやツール、業務プロセスを活用することで、経理業務の効率的な運用が可能となります。
メリット3.内部リソースの確保
アウトソーシングにより空いた内部のリソースを、他の戦略的業務や重要な業務に集中させることができます。これにより、企業の成長を加速させることにもつながります。
メリット4.コンプライアンスの強化
経理は厳格な法令遵守が必要とされる領域です。アウトソーシング業者はその専門性の高さで最新の法規制や業界の動向にも精通しているため、適切なコンプライアンス対応を維持しつつ業務を遂行することができます。
デメリット1.コミュニケーション面でのリスク
アウトソーシング先に重要な業務を依頼する場合、コミュニケーションが不足すると誤解やミスが生じ、予期せぬトラブルにつながることがあります。これを避けるためには、定期的な報告や連絡、そして相互理解を形成する体制の構築が必須です。
デメリット2.サービス品質の安定性確保
アウトソーシング先の担当者によって、サービスの品質が異なる場合があります。
安定した品質を保つためには、明確な品質基準と評価指標、委託先の管理体制の確認などを事前に行うことが必要です。
デメリット3.自社内でのナレッジ蓄積ができない
業務を外部に委託することで、自社内に経理業務のスキルや知見が蓄積しにくくなり、将来的に内部で業務を回すという選択が難しくなる可能性もあります。
デメリット4.情報セキュリティのリスク
経理情報は企業の機密に直結する重要なデータです。事故を防ぐためには、アウトソーシング先のセキュリティ対策を確認した上で継続的なモニタリングを行い、リスクを最小限に抑えることが求められます。
委託する業務範囲における注意点
経理アウトソーシングをスムーズに進めるためには、委託する業務範囲に注意したほうがよいでしょう。以下では、特に注意すべきポイントを解説していきます。
依頼業務と責任範囲の明確化
経理アウトソーシングを行う際は、依頼業務と責任範囲の明確化が必要となります。
具体的な業務内容やスケジュール、品質基準などを明文化し、アウトソーシング先との間でしっかりと合意形成しておくことで、後々のトラブルを防ぎ、業務を効率的に進めることができます。
カスタマイズ性やスケールの可能性
カスタマイズ性やスケールの可能性も考慮すべきポイントです。
自社の成長やビジネス環境の変化に柔軟に対応できるアウトソーシング先を選ぶことで、将来的なニーズの変化にも対応可能な、長期的なパートナーシップを築くことができるでしょう。
経理アウトソーシングサービスの選定ポイント
以下では、経理アウトソーシングサービスを選定する際の重要なポイント5点について解説していきます。
ポイント1.提供サービスの内容と品質、拡張性、グローバル対応
サービスの選定を行う際は、検討しているサービスの詳細な内容確認や品質精査が必須となります。
また、企業の成長や変化に合わせてサービスを柔軟に拡張できるかどうかや、グローバルレベルでの対応能力はどうかなども、必要に応じて確認を行うとよいでしょう。
ポイント2.コストパフォーマンス
単純な価格だけでなく、提供されるサービスの内容とその内容に見合った価格となっているかのバランスを見ることが大切です。候補を複数出し、相見積もりによる比較を行うことも有効な確認方法となるでしょう。
ポイント3.セキュリティとプライバシー対策
経理情報は企業の重要なデータですので、情報セキュリティ対策やプライバシーの保護が十分にされているかを確認しましょう。
自社のセキュリティ基準や要求に対してアウトソーシング先がしっかりと対応しているか、自社のセキュリティ関連部門などと連携して見極める必要があります。
ポイント4.サポートとアフターサービス
問い合わせやトラブル発生時の対応体制がしっかりと整っているか、迅速かつ適切なサポートが提供されるかをチェックすることも重要となります。
追加費用が発生する場合もあるので、事前に条件や内容を確認しておきましょう。
ポイント5.サービスの評判・実績
他のクライアントからのフィードバックや評判を参考に、アウトソーシング先の信頼性と実績を評価することも重要です。具体的な実績やユースケースなどと自社がやりたいこととを照らし合わせてみることも、有効な確認方法となります。
マネーフォワード クラウドで業務効率化を実現した事例
マネーフォワード クラウドでは、バックオフィス業務におけるさまざまな悩みを解決し、効率化をサポートします。
こちらでは、マネーフォワード クラウドを導入して業務効率化に成功した事例をご紹介します。
SMBC GMO PAYMENT株式会社様の事例
EC領域での決済代行サービスを提供するSMBC GMO PAYMENT株式会社様は、事業の規模拡大に伴い、業務効率化を目的としてマネーフォワード クラウド会計Plusとマネーフォワード クラウド経費を導入。
これにより、紙伝票の業務をほぼゼロにし、業務効率化とペーパーレス化を実現しました。リモートワークにも対応可能な業務体制を整えることができています。
導入前は紙の伝票を用いた非効率な業務フローであり、出社が必要でリモートワークに対応できない状況でした。
マネーフォワード クラウドを導入してからは、属人的になっていた業務が改善されたことで、ミスの発生回数が大幅に減少し、業務時間の約30%削減を実現しました。
業務効率化により、チーム内に余裕が生まれたことで、マニュアルの作成・更新など本来やるべき業務に時間を使えるようになりました。
追われるように業務をしていた導入前と比べ、現在はお互いに積極的にサポートしあうチーム体制を実現しています。
今後は、さらなる業務効率化を目指し、会社の成長に耐えうるバックオフィス体制の構築を進めていく予定です。
まとめ
経理アウトソーシングは、コストの削減、業務品質の向上、リソースの確保、コンプライアンスの強化などのさまざまなメリットが期待できます。
一方で、委託先とのコミュニケーション不足によるミスの誘発や、サービス品質のばらつきといったリスクもしっかりと考慮する必要があります。
経理アウトソーシングが自社ビジネスにもたらす効果を最大限に引き出すためにも、今回解説してきたポイントを参考に、計画的かつ慎重に導入を進めていくとよいでしょう。
なお、経理アウトソーシングだけでなく、クラウド型ERPの活用も会計業務の効率化につながるひとつの手段となります。主な特長は以下のとおりです。
クラウドERPの特長
・経費精算、請求書処理、給与計算などの業務の自動化をサポート。
・会計データと他の業務データを統合し、一元管理することが可能。
・情報が一元管理されるため、迅速な意思決定につながる。
クラウドERPについては以下で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
参考サイト:クラウドERP マネーフォワード クラウドERP – バックオフィス業務を効率化
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
テレワークのセキュリティリスクと対策とは?よくあるリスクと運用のポイントを解説
コロナ禍による変化で、従来の会社に出社する働き方からテレワークへの移行が増えています。情報セキュリティ10大脅威2023にも掲載があるように、昨今はテレワークに関連するセキュリティ事故が多く発生しており、企業は既存の仕組みを再確認する必要が…
詳しくみる広告業におけるプロジェクト管理方法を詳しく解説!リスクと解決策も紹介
広告業では、さまざまなメンバーが複数のプロジェクトを同時に進めていくのが一般的です。そのため、進捗管理が複雑になりやすい点が課題となっています。 インターネット広告の台頭によって競争が激化している広告業界では、厳格な進捗管理や原価管理、収支…
詳しくみる経理部門をIT化する方法!IT化のメリットや具体的なステップを解説
経理部門のIT化とは、ITツールを導入してして経理業務をシステム化したり、それによって効率化することを指します。 コスト削減や正確なデータ管理・分析、ヒューマンエラーの防止が可能となるため、正確さを求められる経理・会計業務にとって、IT化は…
詳しくみる業務標準化とは?メリットやデメリット、進め方について詳しく解説
昨今の働き方改革によって勤務時間の短縮や生産性向上が求められている中、業務標準化に取り組む企業が増えています。業務標準化に取り組めば、企業全体の生産性向上や業務の効率化など、多くのメリットを得ることが可能です。 本記事では、業務標準化のメリ…
詳しくみるITAC(IT業務処理統制)とは?内部統制との関係や効果を解説
「内部統制」は、企業が適切かつ透明性の高い経営を行うために必要な仕組みやプロセスです。ITACは、この内部統制を推進するために重要な要素といえます。ITACに取り組めば、業務効率化やコンプライアンスの強化など、さまざまな効果を期待できます。…
詳しくみる部門別原価計算とは?実施手順やメリット、課題などを解説
部門別原価計算とは、製造間接費を、製品ごとではなく部門ごとに集計して配賦を行う会計プロセスを指します。 部門別原価計算を行うことで、部門ごとのより正確な原価管理を実施できるようになるとともに、予算策定の精度向上を図ることが可能です。 本記事…
詳しくみる