- 更新日 : 2024年12月5日
APIとは?APIを活用してバックオフィス業務を効率化 | メリット・デメリットを解説
近年、バックオフィスシステムのクラウド化が進み、「API」という言葉を耳にする機会も増えたのではないでしょうか。
日常生活でも、会計や決済の場面でショップとクレジット会社や決済サービス会社が連携しているというのは当たり前になってきていると思います。
ここではAPIの概要と、バックオフィスにおけるAPIの仕組みを活用した業務効率化についてご紹介します。
APIとは?
API(Application Programming Interface)とは、アプリケーション、システム、Webサービスなど、ソフトウェアの間をつなぐインターフェースとなるものです。
アプリケーションやWebサービスなどのソフトウェア同士をつなぐ役割を持っています。
APIを利用することで、アプリケーションやWebサービスの間で認証機能を共有したり、データを連携したりすることができ、開発側にもユーザー側にも大きなメリットがあります。
私たちが日常的に使用しているサービスにもAPIの仕組みが利用されています。
例えば、Googleのアカウントで他のサービスにログインできる「ソーシャルログイン」機能は、APIの代表的な利用例です。
また、他のアプリからGoogleカレンダーに予定を追加したり、ネットニュースの記事にツイートが引用されていたり、ネットショッピングで電子マネーやクレジットカードの決済ができるというのも、APIの仕組みが使われています。
APIのメリット・デメリット
APIを利用することで、利便性向上や業務効率化など、さまざまなメリットがあります。一方で、急な停止やトラブルなど注意事項もあります。
メリット
APIを利用することで、次のようなメリットがあります。
開発の効率化
アプリケーション同士をAPIで連携することで、データ連携による自動入力が可能になり、手作業で入力する必要がなくなります。
また、開発しているアプリケーションに必要な機能が他のプログラムのAPIとして公開されていれば、そのプログラムと連携して必要な機能を利用することができます。
それにより、その部分をゼロから開発する必要がなくなり、開発にかかる時間やコストの削減など、開発作業を効率化できます。
データの二次利用
APIを通して、他のサービスのデータを使うことができます。しかも、常に最新のデータを自動的に取得できるので、毎回更新作業を行う必要はありません。
例えば、GoogleのAPIを利用してWebサービス上に地図を表示したり、ニュースやブログの記事にTwitterやInstagramの記事を引用したりすることができます。
セキュリティの向上
APIを利用すれば、他のシステムの認証機能を利用できます。
APIを通してGoogleやTwitter、Facebookなど、セキュリティ対策に配慮した安全性の高い認証機能を利用することができ、ユーザーに安心してサービスを利用してもらうことができます。
利便性の向上
APIを利用し、Googleなどすでに登録済みのユーザー情報と連携することで、自社のサービスにユーザー登録してもらう手間や時間が必要なくなり、気軽に利用するユーザーを増やすことができます。
また、APIを活用することにより、新しい機能やサービスが生まれ、ユーザーに新しい価値を提供できることもあります。
上記の点はユーザー側の視点でも利便性が向上すると言えます。
アプリケーションに多様な機能が提供されることで、より便利になるだけでなく、ソーシャルログインを使うことで、会員登録の手間をかけずにサービスにログインしたり、個人情報を登録するサービスを減らしたりすることもできます。
デメリット
上記の通り、APIには多くのメリットがありますが、デメリットもあります。
デメリットについても確認しておきましょう。
サービス停止や仕様変更のリスク
APIを提供しているサービスの経営状況によっては、予告なしにサービスを停止したり、仕様を変更したりすることがあります。
そうすると、これまでのAPIは使えなくなってしまいます。
その場合、他のAPIを利用するか、自前で開発するか、その部分の機能提供を取りやめるかなど、自社がどのように対応するのかを考えておきましょう。
サービス提供側の不具合やネットワークトラブル
APIを提供している側のサービスが不具合を起こしたり、ネットワークトラブルが発生したりして、APIが停止することもあります。そうすると、自社のサービスでもその機能は使えません。
トラブルが発生した場合、すぐにユーザーに通知し、復旧までの間、最新情報を提供するなどユーザーへのフォローが必要になります。
APIを活用してバックオフィスの業務を効率化
APIの用途は、BtoCのサービスだけではありません。企業内で使われる業務システムでも、APIは効果を発揮します。
特に総務・会計(経理)・受注管理・販売管理・在庫管理などではAPIの効果は大きく、バックオフィス部門での業務効率化に大きく貢献します。
クラウドサービスで提供されている業務システムの多くが、API連携を提供しているからです。
現在は、多くの業務システムがクラウドサービスで提供されています。
そこでAPIによってさまざまなデータ連携が可能になり、入力作業がなくなることで、業務を大きく効率化できます。
また、データ連携を利用すれば人的ミスを防ぐことも可能です。
これも業務効率化には大きな効果を発揮します。
業務プロセスの自動化
APIを使うことで、自社で利用している業務システム間でさまざまなデータ連携が可能になります。
これにより、業務プロセスを自動化することができ、業務効率化の実現が可能になります。
APIがなければ、毎回データを入力し、入力内容をチェックしてから他の部署に文書や帳票を回さなければなりません。
データ連携を利用することで、手入力を最小限にし、そのまま後処理を実行することができます。
手入力の作業を省くだけでなく、ミスの削減、処理のスピードアップにもつながります。
APIによるデータ連携は、バックオフィス部門のさまざまな場所で行われています。
例えば、次のような例があります。
- 販売管理システム→売上管理システム→会計システム
- POSレジ→販売管理システム
- MAツール→CRMやSFA
- チャットツール→ワークフローシステム→他の業務システム
利便性の向上
業界・業種を超えてAPI連携を行うことで、バックオフィス部門の業務でもより利便性が向上します。
例えば、クラウド会計サービスでは金融機関の口座情報やクレジットカード情報と連携しています。
それによって、取引があれば自動的にデータが入力されて自動的に仕訳が行われ、総勘定元帳に転記されます。
また、社員に法人用クレジットカードや業務用の交通系ICカードを渡しておけば、経費精算の処理が非常に楽になります。
社員の伝票作成・チェックや仮払金の処理などの手間をすべて省くことができるからです。
ログも保存・閲覧できるので、不正利用を防ぐこともできます。
さらに取引銀行の口座とデータ連携することで、売上金の入金があれば自動的にデータ入力から仕訳、総勘定元帳への転記が行われます。
手続きの電子化
行政手続きも、さまざまな場面で電子化しつつあります。
e-Gov(電子政府)やe-Tax(電子申告)をはじめとして保険・税金関係の申請や手続きは、オンライン化が進んできました。
e-Govやe-TaxのAPIも公開されているので、対応したシステムがあれば、申請や手続きも社内で済ませることができます。
社員が紙の書類を持って役所に行く必要はありません。これは大きな業務効率化につながります。
書類作成や移動などの時間を短縮し、書類作成・用紙・印刷・移動の交通費・人件費などの費用を大きく削減できるからです。
マイナンバーカードの導入にともない、行政の電子化・ワンストップ化は他の分野でも進行すると考えられます。
今から対応を検討しておきましょう。
まとめ
APIは、ソフトウェアの間をつないで他のソフトウェアの機能やデータを利用できるようにするものです。
APIを使えば、元のソフトウェアにはない多様な機能を利用できたり、業務プロセスを自動化できるなど、バックオフィス部門の業務効率化やユーザーの利便性向上にも効果的です。
業務プロセスを自動化することは、ビジネスモデルの変革から企業全体の変革につながります。
つまり、APIを利用した業務の自動化・効率化は、単なるデジタル化ではなく、DXの第一歩なのです。
よくある質問
APIとは?
ソフトウェア同士をつなぐインターフェースです。APIを通して他のシステムの機能やデータを利用できるようになります。
APIにはどんなものがある?
データ連携して他のサービスのデータを表示するもの、ログイン情報や決済情報など他のシステムの機能を利用するもの、業務システムの入力を自動化するものなどがあります。
APIを使うメリットは?
開発の効率化、データの二次利用、最新データの引用、セキュリティの向上などがあります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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