- 作成日 : 2024年10月7日
BPOとは?メリット、デメリット、アウトソーシングとの違いも踏まえて解説
業務効率化やコスト削減のためにBPOの導入を検討している方の中には、「そもそもBPOって何?」「アウトソーシングと何が違うの?」「自社に適しているのはどっち?」といった疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、BPOの基礎知識からメリット・デメリット、アウトソーシングとの違い、そして、どんな業務がBPOに適しているかがわかるチェックリストも紹介します。
目次
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは
BPOとは、ビジネス・プロセス・アウトソーシングの略で、企業活動における業務プロセス全体、またはその一部を外部の専門業者に委託することを指します。
アウトソーシングでは特定の業務やタスクを委託するのに対し、BPOは業務プロセス全体を委託できる点が特徴です。
業務プロセス全体を委託することで、より戦略的な業務改善や効率化を図ることが可能となります。
BPOのメリット
BPOの最大のメリットは、コア業務へ集中するためのリソースが確保できるようになることです。ノンコア業務を外部へ委託することで経営資源をコア業務に集中投下でき、競争優位性の強化や新規事業の加速に寄与します。
また、専門業者へ委託することによって、業務効率化やコスト削減も期待できるでしょう。
BPOは業務プロセス全体を最適化するため、アウトソーシングよりも大きな効果が見込めます。さらに、専門知識やノウハウを持つ業者に委託することで、業務品質の向上にもつながるのです。
BPOのデメリット
BPOのデメリットは、機密情報が絡む業務を外部に委託した場合、情報漏えいのリスクがある点です。
アウトソーシングよりも広範囲な情報を取り扱うBPOでは、特に厳重なセキュリティ対策とリスク管理が必要になります。
また、業務プロセスを外部に依存することで社内にノウハウが蓄積されにくく、将来的に委託していた業務を内製化したい場合に支障が生じる可能性もあります。
BPOとアウトソーシングの主な違い
BPOとアウトソーシングは、どちらも外部の専門知識やリソースを活用して業務効率化やコスト削減を目指す手法ですが、以下の点に違いがあります。
- 委託範囲
- コスト構造
- 管理・統制の方法
これらの違いを理解することで、自社に最適な選択肢を選ぶことができるでしょう。
委託範囲
BPOとアウトソーシングの大きな違いは、委託範囲の広さです。
アウトソーシングでは、データ入力やWebサイト制作など、特定の業務やタスクを外部に委託します。
一方、BPOは経理業務全般、人事管理、カスタマーサポートなど、ある業務プロセスの全体、またはその一部を外部に委託します。
アウトソーシングが部分的な業務委託であるのに対し、BPOは、より広範囲かつコア業務を含む業務プロセス全体を委託する点が特徴です。
コスト構造
アウトソーシングは、作業量や成果物に応じて費用が変動する変動費制が一般的です。そのため、スポット的な業務や業務量が予測しにくい業務に適しています。
一方、BPOは一定期間で費用を区切る固定費制となるケースが多く、業務量が変動してもコストは一定です。そのため、継続的な業務や業務量が安定している業務に向いています。
固定費制のBPOは、初期費用こそ高額に感じられるかもしれませんが、業務効率化や品質向上による長期的なコスト削減効果が期待できます。
管理・統制の方法
アウトソーシングでは委託範囲が限定的なため、管理・統制が比較的容易です。そのため、自社である程度ノウハウがあり、進捗や品質を細かく管理したい業務に向いています。
一方、BPOは業務プロセス全体を委託するため、管理・統制が複雑になります。そのため、委託先との密な連携やコミュニケーション、明確な成果指標やサービスレベルの設定が重要です。
BPOは専門知識やノウハウが必要な業務、または自社では管理が難しい複雑な業務プロセスを委託する際に適しています。
自社に合った選択肢を見つけるためのポイント
BPOとアウトソーシング、どちらを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。
ここからは、自社に最適な選択をするための具体的なポイントとチェックリスト、委託先選定の基準を紹介します。
委託したい業務がどちらに適しているかを判断するためのチェックリスト
以下のチェックリストを使って、委託したい業務の特徴と、BPO・アウトソーシングのどちらがより適しているかを照らし合わせてみましょう。
項目 | BPO | アウトソーシング |
---|---|---|
委託したい業務の専門性が高い | ● | |
委託したい業務がコア業務である | ● | |
委託したい業務が機密情報を含む | ● | |
委託したい業務が一時的である | ● | |
委託したい業務が継続的である | ● | |
長期的なコスト削減効果を期待している | ● | |
初期費用を抑えたい | ● | |
社内にノウハウを蓄積したい | ● | |
外部の専門知識やノウハウを活用したい | ● | |
コア業務に集中し、事業拡大を目指したい | ● | |
特定業務の効率化を図りたい | ● |
チェックリストを参考に、自社の状況に合わせて、BPOとアウトソーシングを比較検討してみてください。
委託先の選定基準とその評価方法
BPOの委託先を選ぶ際は、実績、専門性、費用、セキュリティ、コミュニケーション、信頼性などが重要となります。
具体的には、委託業務の関連実績や専門知識、費用対効果、情報セキュリティ対策、担当者との円滑なコミュニケーション、企業としての信頼性などを評価しましょう。
これらの基準をもとに複数の候補を比較検討し、自社に最適なパートナーを選定してください。
BPOの成功事例
某損害保険会社は、保険契約の事務処理や保険料の精算といったバックオフィス業務に長年アウトソーシングを活用していました。
しかし、属人的な業務運営や、社員と委託スタッフの役割分担が曖昧なことが課題となっていました。
そこで、BPOに切り替えて業務分担を見直し、マニュアル整備やマルチタスク化を推進。これにより属人的な業務運営から脱却し、社員がコア業務に集中できるようになりました。さらに、業務量に応じた柔軟な人員配置も可能になり、繁忙期の残業時間削減も実現できました。
結果として、業務効率化と品質向上を同時に実現し、顧客満足度向上も達成しています。
まとめ
BPOは、業務プロセス全体を外部委託することで戦略的な業務改善や効率化を図れる点がアウトソーシングとの大きな違いです。
BPO導入のメリットは、コア業務への集中、コスト削減、業務品質向上などがあります。一方、情報漏えいリスクや社内ノウハウ蓄積の難しさといったデメリットも考慮する必要があります。
BPOとアウトソーシングのどちらを選択するかについては、委託業務の性質、コスト、企業文化や戦略によって異なるため、自社の状況に合わせて慎重に判断しましょう。
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