- 更新日 : 2024年7月12日
グループ経営における数値管理を最適化する方法とは?
グループ経営を進めるなかで直面する数値管理の課題として、経営状況の可視化やデータ収集のための労力、データのばらつきなどが挙げられます。これらの課題を解決し、経営をより効率的にするためには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。
本記事では、グループ経営における数値管理を効率化する方法や、二層ERP、クラウドERPの特徴などを詳しく解説していきます。
グループ経営における数値管理の3つの課題
グループ経営においては、さまざまな課題が発生します。特に、経営層や関係者の頭を悩ませるのが数値管理です。ここでは、グループ経営で発生しやすい数値管理に関する課題を解説します。
課題1:グループ全体の経営状況の可視化に時間がかかる
グループ内には会社が複数存在しており、各子会社が異なるタイミングで親会社に情報を報告します。そのため、グループ全体の経営状況をリアルタイムに把握しにくいという問題があります。
課題2:経営状況に関する数値の収集・集約に多大な労力がかかる
グループ会社ごとに使っているシステムや運用ルールが異なる場合、数値・情報を集約する手間が発生するため、レポーティングに多大な時間と手間がかかります。
課題3:データのばらつきにより分析や比較が困難
子会社によって管理しているデータの粒度や内容が異なるため、データにばらつきが生じることがあります。統一されていないデータでは、グループ全体の経営分析や比較にうまく活用できません。
グループ経営における数値管理を効率化する3つのポイント
本章では、グループ経営における数値管理を最適化するための方法を、3つのポイントに分けて解説します。
ポイント1:経営情報を迅速に収集する仕組みの構築
経営情報の迅速な取得可否は、グループ全体での経営判断の質に大きく影響します。情報をタイムリーに集約して分析できる仕組みを構築することは、グループ全体の戦略的判断の迅速化・グループ全体のさらなる成長につながります。
ポイント2:数値に関するデータの標準化
データの迅速な収集の仕組みづくりと同じくらい重要なのが、扱うデータの標準化です。
グループ全体での数値基準や管理・運用ルール策定を行い、数値の一貫性と正確性を確保することが求められます。また、親会社は監査やコンプライアンスの観点からもルールを策定する必要があります。
ポイント3:KPIの明確化と統一
グループ全体で共有するKPI(業績評価指標)を明確に設定し、KPIに基づいた数値管理を行うことで、目標達成の進捗を速やかに把握できるようになります。
これらのポイントを押さえて適切に数値管理を行うためには、二層ERPの概念を用いたり、クラウドERPを導入したりすることが有効です。
二層ERPとは
ここでは、二層ERPの概念や課題について詳しく解説します。
二層ERPの概要
二層ERPとは、企業がグループ展開やグローバル展開を進めるなかで、親会社と子会社、あるいは地域ごとの組織で異なるERPを採用・運用する「アプローチ」を指します。
二層ERPのメリットは、各組織の要件に合わせて最適なERPシステムを選べる点です。親会社および子会社それぞれに合ったERPを有効に利用することで、子会社の個別決算や親会社の連結決算の作業をスムーズに行えます。また、親会社に合わせることで生じるオーバースペック・費用増大・管理複雑化のリスクを回避できます。
二層ERPの課題
柔軟性の高いシステム構築が可能な二層ERPには、課題も存在します。親会社と子会社の間でERPを連携させるためには、インターフェース、中間データベース、APIなどの技術を用いて最適なシステム構成・連携を構築することが不可欠です。
さらに、会社の規模が大きくなるほどデータ量の増加や管理複雑化が生じるため、システム間連携やデータの一貫性維持に多くの労力が発生します。
二層ERPについてはこちらの記事でより詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
グループ経営に役立つクラウドERPの機能とは
クラウドERPは、グループ経営を効率的に行うために有効なツールです。以下では、クラウドERPが提供する、グループ経営に役立つ主な機能を解説します。
リアルタイムの経営状況の可視化
クラウドERPでは、リアルタイムでの数値把握が可能です。子会社からの報告を待つことなく、グループ全体の経営状況を即座に確認できます。これにより、データに基づいた迅速な意思決定がグループ単位で可能となります。
データ収集・集約の自動化
クラウドERPの機能を活用することで、手動でのデータ入力や集約の負荷が大幅に軽減されます。自動的にデータを収集・集約できるため、より迅速なレポーティングが可能となり、経営効率の向上につながるでしょう。
データの標準化
すべての子会社が同じ基準でデータを管理するため、データのばらつきがなくなり、分析や比較を容易に行えるようになります。
アクセス制御とセキュリティ
クラウドERPでは、アクセス権限を詳細に設定できます。適切な権限を持つ人のみがデータにアクセスできるよう制御することも可能で、グループにおけるコンプライアンス遵守に貢献します。さらに、最新のセキュリティ対策により、データの安全性も高まります。
スケーラビリティ
グループの規模が変わった場合でも、クラウドERPは柔軟にスケールアップ・ダウンが可能です。ビジネス環境などの変化に素早く対応できるため、グループ経営のパフォーマンスをより高められます。
導入事例
日本全国・海外3カ国に飲食事業を展開するコズミックホールディングス様のクラウドERP導入事例を紹介します。
導入前の課題
コズミックホールディングス様は、クラウドERP導入前に以下の課題を抱えていました。
・内部統制に向けた効率性向上やリモートワーク推進が不十分。
・グループ会社ごとに異なる会計ソフトを使用。全社の財務状況を把握しにくい。
・データ共有はExcelファイルや共有フォルダを使用。円滑なデータ共有が困難。
導入後の効果
上記の課題を解決するために、機能と価格のバランスを考慮してマネーフォワード クラウドERPをグループ全体に導入。その結果、以下のような成果を得られました。
・リモートワークの促進や最新情報の管理が可能に。
・外部連携とCSV出力によって作業時間が大幅に短縮。
・自動仕訳機能で無駄な作業工数の削減に成功。
詳細は以下の記事で解説していますので、ぜひご参照ください。
まとめ
グループ経営において数値管理は、経営の効率性や透明性を高めるために不可欠な要素です。グループ全体の経営状況の迅速な可視化や、データ収集・集約の効率化を図る手段として、二層ERPのアプローチやクラウドERPの導入は非常に効果的です。
特に、リアルタイムでの情報把握やデータの標準化、安全性やスケーラビリティを兼ね備えたクラウドERPの活用は、グループ経営のさらなる推進につながるでしょう。
グループ経営の数値管理に関する課題がある方は、ぜひクラウドERPの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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