- 作成日 : 2024年7月29日
M&A支援機関登録制度とは?M&Aで登録機関を利用するメリットを解説!
M&A支援機関登録制度とは、信頼できるM&Aの仲介業者やFAなどを中小企業庁が認定し登録する制度です。
さまざまな要件をクリアした支援機関のみが登録されるため、この制度に登録されている機関は信頼性が高い傾向があります。
本記事ではM&Aを検討している企業に向けて、M&A支援機関登録制度の概要や要件、メリットに加え、支援機関を利用するタイミングや選定方法を解説します。
目次
M&A支援機関登録制度とは
まずはM&A支援機関登録制度の概要や目的、メリットを解説します。
M&A支援機関登録制度の概要と目的
M&A支援機関登録制度は、中小企業が安心してM&Aに取り組めるようにするための制度です。
信頼性の高いM&A支援機関のみが登録されており、登録されたM&A支援機関からの支援に関連する費用は、事業承継・引継ぎ補助金の対象となります。
M&Aに伴うトラブルへの対処も考慮して情報提供窓口が設置されており、中小企業の事業承継やM&Aを促進します。
登録機関を利用するメリット
登録されたM&A支援機関を利用することで、安心して質の高いM&A支援を受けられます。支援機関の選定に迷うことがなく、公式ページで条件を指定して検索することで、対象機関を一覧で確認することが可能です。
参考:中小企業庁「登録機関データベース(M&A支援機関登録制度)」
また、登録機関による支援を受けた場合、費用の一部が事業承継・引継ぎ補助金の補助対象となります。
さらに、万が一トラブルに遭った際にも、設置された相談窓口を通じて支援を受けられるため安心できるでしょう。
M&A支援機関登録制度の要件
M&A支援機関として、中小企業庁の認定を受けるには、以下の要件を満たさなければなりません。
- 中小M&Aガイドラインの遵守を宣言する
- 中小M&Aガイドラインを遵守しているという宣言を自社のホームページに掲載する
- FA・仲介業者において定める料金表を提出する
- 登録後の遵守事項を履行することを誓約する
- 顧客による情報提供窓口への相談等の行動を制約しない
- 反社会的勢力に該当しない
- 経済産業省の所管補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止措置を受けていない
- 中小企業庁が必要と判断した情報について、委託先への提供・公表に同意する
- 上記に加え、登録申請の手続きの際の項目についても宣誓をする
引用元:中小企業庁「M&A支援機関登録制度について」
公正な取引を促進し利用者の権益を守るため、認定を受けるためには上記のようにさまざまな要件が設定されています。
例えば、料金表の提出が求められることで透明性の高い料金体系が確保され、利用者の高額請求に対する不安を軽減することができます。
M&A支援機関に登録されている企業は上記の要件を満たしている企業であるため、利用者は安心してM&Aの支援を受けることが可能です。
M&A支援機関を利用するタイミング
M&A支援機関は、M&Aを検討するタイミングから利用することがおすすめです。M&Aの流れは大まかに以下のフェーズに分けられます。
- M&Aの検討・準備
- 企業同士のマッチング・交渉
- 最終契約・クロージング
M&Aの検討・準備段階では、M&Aの目的・方向性の検討や、必要資料の準備、相手先企業の選定を行います。
続いて企業同士で面談し、M&Aの方針や売却価格などの条件交渉を行います。
そして双方で条件の合意が得られると、買い手側によるデューデリジェンス(買収監査)を経て、最終契約が締結されます。
M&Aにおいては、M&Aに関する法律・税務・財務などの専門知識や、適切な買い手・売り手企業とのマッチングできるネットワークが必要です。
M&Aを実施する際は、上記のような知識・ネットワークを豊富に持つ、M&A支援機関を利用することが一般的です。
M&A支援機関の選び方・注意点
M&Aを成功させるためには、最適な企業同士でのマッチングが必要であり、これを実現するには豊富な情報量とネットワークを持つ支援機関にM&Aの仲介をしてもらうことが大切です。
本章では、M&A支援機関の選び方と注意点を解説します。
M&Aの支援体制
M&A支援機関には、以下の2種類があります。
- M&A仲介業者
- FA(ファイナンシャル・アドバイザー)
M&A仲介会社は、買い手・売り手企業双方の利益を最大化させることを目的として、マッチングを行います。
一方でFA(ファイナンシャル・アドバイザー)は、買い手・売り手いずれかの企業の利益を最大化させることを目的とします。
M&Aにシナジーを求めるならM&A仲介業者を、M&Aによる利益の最大化を求めるならFAを選択するなど、自社のニーズに応じた支援体制の企業を選定することが重要です。
自社業種でのM&A支援実績の有無
自社業種に精通したM&A支援機関は、業界特有の課題やニーズを深く理解し、適切なアドバイスやサポートが期待できます。
また、支援実績が豊富な企業は、過去の事例をもとにした提案も可能です。
自社業種に強みを持つM&A支援機関を選ぶことで、マッチングの精度や、M&Aの成功率を高めることが期待できます。
手数料の料金体系
M&A支援機関の手数料には、M&A成立時の成功報酬に加え、着手金や中間報酬、月額報酬などが発生するケースがあります。
また、最低成功報酬額を設定している支援機関もあり、最終的な費用がどの程度になるか、最低額を含めて確認することが重要です。
昨今では、M&Aの成立時にのみ費用が発生し、それ以外のタイミングでは費用が発生しない「完全成功報酬制」を採用している企業もあります。
M&A支援機関に登録されている企業であれば、手数料体系がホームページで公開されているため、事前に料金体系が確認できるでしょう。
M&Aの支援範囲
M&Aの支援範囲もあらかじめ確認しておくことが重要です。
M&Aには準備やマッチング、契約以外にも、デューデリジェンス(DD:買収監査)やPMI(企業統合)などのプロセスがあります。
デューデリジェンスとPMIの概要は以下のとおりです。
| プロセス | 概要 |
|---|---|
| デューデリジェンス | 買い手企業が、売り手企業の財務、法務、税務などの状況を詳しく調査するプロセス |
| PMI | M&Aの成立後に、経営や人事・組織、財務、システムなどの統合をスムーズに進めるためのプロセス |
支援機関によっては、案件のマッチングから交渉・契約書類の作成に加え、デューデリジェンスやPMIまで一貫してサポートしているケースもあります。
各フェーズには法務や会計、税務の知識が必要となるため、これらの専門家が支援機関に在籍しているかどうかも確認しておきましょう。
まとめ
本記事では、M&A支援機関登録制度の概要やメリット、要件に加え、M&A支援機関の選び方や注意点を解説しました。
M&A支援機関登録制度は、中小企業庁に認定された企業のみが登録されており、M&Aを実施する際に信頼できる支援機関選びに役立ちます。
M&Aの実施は企業にとって非常に重要な決断であり、支援機関選びはM&Aの成功・失敗を大きく左右します。
M&Aの実施を考えている方は、本記事を参考にして、M&A支援機関登録制度に登録されている企業の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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