- 更新日 : 2024年7月12日
テレワークのセキュリティリスクと対策とは?よくあるリスクと運用のポイントを解説
コロナ禍による変化で、従来の会社に出社する働き方からテレワークへの移行が増えています。情報セキュリティ10大脅威2023にも掲載があるように、昨今はテレワークに関連するセキュリティ事故が多く発生しており、企業は既存の仕組みを再確認する必要があります。
またテレワークの導入が進んでいる企業もあれば、まだ実現できてない企業も多いのが現状ですが、テレワークのメリットを考えると、今後導入を検討する企業も多くあるのではないでしょうか。
本記事では、セキュリティリスクについて、既にテレワークを導入している企業での再確認のポイントと、これからテレワークの導入を考えている企業での必要な準備について解説します。
目次
テレワークを実施した際によくあるセキュリティリスク
出社を主とする働き方のもとでは、企業が準備した端末や社内ネットワークの利用など確実なセキュリティ対策のもとで業務を行いますが、テレワークによって外部から企業の環境へアクセスする機会が増えると、セキュリティリスクが高まります。
テレワークを導入する上で意識しなければならないセキュリティリスクの代表的なものには以下があります。
- 機密情報の漏えい
- 端末の紛失、盗難
- のぞき見、盗聴
- なりすまし
他にも、情報セキュリティ10大脅威2023では、テレワークで使われる端末にウィルスを感染させ、感染した端末から社内システムへ不正アクセスリスクが挙げられています。
対策としては、導入したソフトウェアの機能を活用して情報の持ち出しを制限することなどが挙げられますが、従業員が機能を理解しておらず、効果的な制限が実現できていないことも考えられます。
実際に起きている事故事例
実際に発生したセキュリティインシデントを知ることで、セキュリティを意識する重要性を理解していきましょう。
具体的な事故事例として以下が挙げられます。
- ウィルス感染や不正なプロラムによる情報流出
- 悪意のあるサイトへアクセスを誘導されること乗っ取り
- 端末の紛失・盗難による情報流出
例えば、受信した標的型メールを開けてしまい、ウィルス感染することで外部からのアクセスを受け、情報が流出した事例が報告されています。
また、テレワークの増加に伴なって社用端末の持ち運びが増えたことが紛失や盗難につながり、情報漏えいが起こる被害も多く見られました。
このような事故は個人の問題には留まらず、企業の信頼性に関わる深刻な事態に発展します。多くの事故は基本的なセキュリティ対策の不足によって引き起こされているため、利用者が基本的な対策を実施できるように、アクセス権の見直しや教育などを講じる必要があります。
参考:令和4年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について (警視庁)
参考:個人情報漏洩事件・被害事例一覧(2次)
テレワークを開始するにあたり準備すること
ここからは総務省のガイドラインを参考に、企業がテレワークを安全に導入し活用するためのポイントを解説します。
テレワーク導入に向けたガイドライン
このガイドラインでは企業がテレワークを安全に導入するための包括的な指針が提供されており、2021年5月に発行された第5版は、特に実用的な情報が盛り込まれています。
ガイドラインでは、ガバナンス・リスク管理、データ保護、アカウント・認証管理、マルウェア対策、教育などの13のカテゴリーにわたって検討すべき事項が紹介されています。
情報量は多いですが、具体的な対策を練る上で重要なポイントが紹介されているため、押さえておくとよいでしょう。
セキュリティリスクへの対策
テレワークのセキュリティについては、以下のような対策をとれるとよいでしょう。
- アクセス権の見直し
その情報にアクセスが必要な従業員にのみ使用が許可されているかどうか、アクセス権限の付与状況を確認します。 - 多要素認証の導入
生体認証や本人が所持するデバイス認証などを組み合わせることで利用者が本人であることを確認し、システムへのセキュアなアクセスを実現します。 - モバイルデバイス管理(MDM)の導入
テレワークで利用するデバイスを管理することで、機能制限や監視を実施します。 - インシデント対応手順の策定
セキュリティ事故が発生した際の対応手順を確立し、有事にはすぐに対処できるようにしておきます。 - 従業員への継続的な教育
導入した仕組みやルールが正しく利用されていないと、事故が発生する原因となり得ます。そのため、定期的に研修を実施することで理解を促し、正しく利用されるようにします。
ガイドラインの活用方法
ガイドラインはあくまで一般的な指針であり、企業によって実現したいことは異なるため、それぞれの企業に合わせてガイドラインを活用することが大切です。
特に、社内にセキュリティの専任担当者がいない場合、ガイドラインに示されたルールや体制の確立、実施に必要な技術など、必要な項目のバランスを取りながら方針として組み込むことが重要です。
具体的なアプローチとしては、以下が考えられます。
- 適切な役割設定と分担
テレワークにおいては、従業員の役割設定と分担を適切に行い、業務の効率性とセキュリティを確保します。 - 実現可能な対策の検討
必要に応じて、クラウド移行や外部の運用サービスを活用するなど、セキュリティ強化のために新たなサービスやテクノロジーを導入し、実現可能な対策を検討します。
テレワーク導入後、セキュリティレベルを維持していくための運用
テレワーク導入後もセキュリティレベルを維持するためには、運用について定期的に再確認することが有効です。
本章では、不測の事態にもしっかりと対応ができるような運用を実現する方法について解説します。
なぜ運用の再確認が必要なのか
昨今のサイバー攻撃は巧妙化、高度化しており、導入時に設計した運用プロセスだけでは新たな脅威に対処できなくなる懸念があります。
またDXの流れに伴い、企業が利用しているシステムも日々変化しているため、新たなセキュリティの弱点が生まれることも考えられます。
そのため、テレワーク特有の課題を特定し、改善を織り込んだ運用フローを構築していく必要があります。
事故が起きてから失った信頼を回復するには、長い時間とコストがかかります。そのため、定期的なチェックと運用の見直しを行う体制を構築しておくことが求められます。
具体的に何を準備するのか
テレワーク環境において効果的なセキュリティ管理を行うには、以下の対策が有効です。
- 利用状況の確認
定期的なアンケートを通じて、テレワーク時におけるセキュリティ対策の実施状況を把握し、評価します。 - 課題管理と改善のスキームづくり
管理者やユーザが投稿する課題入力フォームを導入し、BIツールによって可視化・分析をします。 - 定期的な教育やテストの実施
定期的な研修・テストを実施して、ルールやセキュリティに対する理解を深めます。 - 第三者による監査
監査計画の策定とセキュリティ対策チームの体制を検討します。
導入したルールや仕組みが正しく利用されていないと、期待した効果が得られないおそれがあります。
テレワークは管理者の目が届かない状況であり、実際に事故が起きてからでは遅いため、日々やるべきことが確実になされ、正しく運用されるために必要な教育を継続的に実施することが不可欠でしょう。
まとめ
安全なテレワークのためのセキュリティリスク対策には、総務省のガイドラインを活用して基本的な対策を実施し、定期的に見直していくことが重要です。それを実現する方法の一つとして、クラウドERPを活用してみることをお勧めします。
クラウドERPは、リモートアクセスが容易であり、リアルタイムでのデータ処理や分析を可能にします。また、クラウドベースで常に最新のセキュリティ対策が施されており、企業の重要な情報を守る上で有効です。
クラウドERPを利用することで、テレワーク環境でも業務効率を維持しつつ、セキュリティを確保することができます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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