- 更新日 : 2024年12月5日
エグゼキューションとは?ビジネスにおける意味や手続き、成功させるためのポイントを解説
エグゼキューションとは、M&Aなどの取引実行を意味する用語です。エグゼキューションの実施は、関係する企業の合意形成やリスク把握に役立ちます。
本記事では、ビジネスにおけるエグゼキューションの意味やプロセス、成功のポイントを解説します。また、M&A以外におけるエグゼキューションの意味も簡潔にお伝えします。
エグゼキューションとは
はじめに、エグゼキューションの意味やオリジネーションとの違いを解説します。
M&Aにおけるエグゼキューションの意味
Execution(エグゼキューション)とは、英語で計画の「実行」や「実施」などを表します。M&Aにおいても、M&Aプロセス全体のうち、計画に基づいた手続きを実行する一連の流れを意味します。
ビジネスにおけるその他の意味
M&A以外では、経営・マーケティング戦略や広告などの分野でエグゼキューションという用語が用いられています。具体的な意味は以下のとおりです。
- 企画に基づいて実施する施策のこと
- 経営戦略やマーケティング計画を行動に移し、結果を生み出すための実行力のこと
- 消費者ニーズに基づいて、製品やサービス、パッケージなどを具体化すること
なお、一般的にエグゼキューションは、M&Aのプロセスの用語として浸透しています。したがって本記事では、M&Aにおけるエグゼキューションについて解説していきます。
オリジネーションとの違い
M&Aのプロセスは、大きく「オリジネーション」と「エグゼキューション」の2つに分けられます。オリジネーションとは、案件を生み出すことを意味します。
つまり、M&Aの検討・戦略策定〜仲介会社選定およびマッチングまでの部分が「オリジネーション」に該当し、その後のプロセス(M&A手法の検討〜クロージング)が「エグゼキューション」に該当します。
エグゼキューションの手続き・プロセス
エグゼキューションの手続きを、プロセスに沿って解説します。
手順1:M&A手法の検討
はじめに、M&A手法を検討します。株式譲渡や事業譲渡、合併などの手法があり、それぞれメリットやデメリットは異なります。各手法の特徴を踏まえた上で、自社の目的達成や相手企業の意向などに適うものを選択しましょう。
手順2:バリュエーションの実施
次に、バリュエーションを実施します。バリュエーションとは、売り手企業の企業価値を評価するプロセスであり、「必要となる買収資金の把握」や「買収価格に関する交渉基準の明確化」などを目的に実施します。
バリュエーションの方法は、以下3つのアプローチに大別されます。
- インカムアプローチ:将来的に生み出すキャッシュや利益をもとに評価する方法
- マーケットアプローチ:市場評価(株価や類似会社など)をもとに評価する方法
- コストアプローチ:純資産をもとに評価する方法
こちらも、評価対象企業の特性に基づいた方法選択が重要です。
手順3:条件交渉
売り手・買い手それぞれの経営者が対面によるトップ面談を行い、経営ビジョンや価値観などを確認します。その後、売買価格や従業員の処遇、今後のスケジュールといった条件面の交渉を実施します。
手順4:基本合意書の締結
売り手と買い手双方が大枠の条件に合意したら、その内容を基本合意書にまとめます。基本合意書の締結は必須のプロセスではないものの、認識のすり合わせを目的に行われるケースが大半です。
基本合意書には、合意した内容に加えて独占交渉権やデューデリジェンスに対する協力義務などについても盛り込まれます。原則として法的拘束力を持たない書面ですが、必要に応じて一部の内容に持たせられる場合もあります。
手順5:デューデリジェンスの実行
デューデリジェンス(DD)は、売り手企業が有する潜在的なリスクを洗い出し、対策を検討する目的で実施されるプロセスです。主に、財務や法務、税務、ビジネス、ITなどの分野が調査対象となり、公認会計士や税理士などの専門家が調査を担います。
DDの結果に基づき、買い手によって買収価格の修正や買収可否の検討が行われます。
手順6:最終契約書の締結
正式にM&Aを実施する旨が決定したら、法的拘束力を持つ最終契約書を締結します。契約書には、合意した条件に加えて、表明保証やクロージング条項といった項目も盛り込まれます。
手順7:クロージング
クロージングとは、M&Aの取引自体を実行することであり、株式や資産などの引き渡し、対価の支払いなどが該当します。最終契約書のスケジュールや内容に基づいてクロージングが完了すれば、M&Aのエグゼキューションは終了です。
エグゼキューションを行うメリット・デメリット
エグゼキューションを実施するメリット(重要性)とデメリット(リスク)を解説します。
3つのメリット
エグゼキューションには、以下3つのメリット(重要性)があります。
| メリット | 概要 |
|---|---|
| 双方企業の合意形成 | 条件交渉や契約書締結などのプロセスを経ることで、認識の相違によるトラブルを回避できる |
| リスクの把握と対策の実施 | 簿外債務や訴訟などを引き継ぐリスクを事前に把握することで、高値掴みや事業停止などの事態を回避しやすくなる |
| 成立・成功可能性の向上 | 交渉やデューデリジェンスなどの手続きを順序立って行うことで、交渉成立やM&A後の目標達成がしやすくなる |
2つのデメリット
エグゼキューションの実施に当たっては、以下2つのデメリット(リスク)に注意が必要です。
| デメリット | 概要 |
|---|---|
| リソースの過剰消費・不足 | エグゼキューションの手続きに人材や時間を要するため、本業に支障を来すリスクがある |
| 失敗に伴う損失の発生 | エグゼキューションに失敗した場合、交渉決裂や買収資金の回収が不可能になることで、金銭的・時間的な損失を被るおそれがある |
エグゼキューションを成功させる5つのポイント
最後に、エグゼキューションを成功させる5つのポイントを解説します。
ポイント1:事前準備を入念に行う
エグゼキューションの成功には、事前準備が不可欠です。財務状況や法的な問題点を把握し、必要な書類を整えることで、スムーズな手続きが可能になります。また、事業の価値を正確に評価し、最適な売却戦略を立てることも重要です。
ポイント2:売り手・買い手双方にとっての納得を重視する
エグゼキューションでは、売り手と買い手の双方が納得することが重要です。価格交渉や条件設定においてお互いの利益を考慮し、公平な取引を目指すことが成功の鍵となります。両者が満足することで、取引後の関係も円滑になります。
ポイント3:本業に支障を来さないように手続きを実施する
本業に支障が出ないよう、エグゼキューションの手続きを進めることが大切です。専任チームを設置し、通常業務と並行して進行する体制を整えることで、日常業務への影響を最小限に抑えることができます。これにより、取引後の業務もスムーズに移行できます。
ポイント4:手続きの漏れがないかチェックしながら進める
エグゼキューションの手続きは多岐にわたるため、漏れがないように注意が必要です。チェックリストを作成し、各ステップごとに確認を行うことで、手続きの抜けやミスを防ぎます。また、関係者同士の密なコミュニケーションも不可欠です。
ポイント5:専門家の協力を得る
エグゼキューションの成功には、専門家の協力が不可欠です。M&Aアドバイザーや弁護士、公認会計士などのプロフェッショナルを活用することで、複雑な手続きや交渉を円滑に進めることができます。また、専門知識と経験を持つ専門家の支援により、バリュエーションやデューデリジェンスといった専門性の高い業務も問題なく行えるでしょう。
まとめ
エグゼキューションは、M&Aに関与する企業双方の認識のずれを防ぎ、成功可能性を高める上で不可欠なプロセスです。またリスクを把握し、失敗を回避する上でも効果的です。
エグゼキューションのプロセスには会計や税務などの専門知識を要するため、税理士などの専門家による協力を得ることがおすすめです。また、ERPなどのITツールを活用し、複雑な業務を管理することも重要となるでしょう。
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