- 更新日 : 2024年7月12日
RFPとは?提案依頼書を作成する目的やメリット、作り方を解説
RFPとは、課題や実現したいことを記載した資料です。外部企業にソリューションの提案を依頼する際に作成され、特にシステム開発・導入のプロジェクトでよく使用されています。
現代は社会的にDXが推進されていることもあり、今後もシステム導入などのニーズが増えていくことが予想されます。そのため、企業にとっては今後ますますRFPの作成が重要になるでしょう。
本記事では、RFPのメリット、記載すべき具体的な内容、作成ステップなどについて解説します。
目次
RFPとは?
RFPとは「Request for Proposal」の頭文字を取った言葉です。日本語では「提案依頼書」と訳され、一般的には「アールエフピー」と呼ばれています。
RFPは主に企業のシステム導入プロジェクトで作成される資料です。システム開発を依頼するSIerに要件を伝えるために作成されます。作成する際は、経営層、情報システム部門、各部署の業務担当など、多くの関係者と相談し要件をまとめます。
RFPの作成目的とメリット
RFP作成の主なメリットは、システム開発時に発注側と受注側との間に認識齟齬が発生しにくくなるという点が挙げられます。そのため、ポイントを抑えたREPを作成できれば、システム開発を想定通りに進めやすくなります。
プロジェクト成功率の向上
プロジェクトにおいて、もし要件の見落としがあった場合、システムへ適切な機能が実装されないことになります。このようなリスクは、RFP作成により要件を明確化することで防止することができます。細かい仕様の抜け漏れ防止にももちろん効果があります。
専門的なアドバイスの獲得
発注側の課題に対し、受注側から適切なソリューションを提案してもらえます。課題を発見できてもそれに対してどんなソリューションを講じるべきか分からない場合がよくありますが、そんな時はRFPを使ってプロに意見を求めることが効果的です。
開発コストの削減
RFP作成により複数ベンダーを比較できるため、コスト削減効果も期待できます。また選定基準が明確になり、それぞれのソリューションを適切に比較することができるようになるでしょう。逆に比較選定を行わず既存のシステム開発ベンダーに依頼すると、価格競争が発生せずコストが高くなる傾向があります。
RFPの構成と内容
RFPに含めるべき情報は課題や要件によって異なります。そのため、構成内容も当然その都度変わります。RFPのテンプレートはインターネット上に数多く公開されているため、参考にしてみましょう。
テンプレートは、一般的なものから特定の業界・業種向けのものまでさまざまな種類があります。テンプレートを一つ選定し、そこから必要に応じてカスタマイズして作成するといいでしょう。
また、RFPの一般的な構成を理解しておくことで適切なRFPを作りやすくなります。よくある構成としては以下のようなものがあります。
プロジェクト概要
プロジェクトの目的や背景を記載します。例えば、「ハードウェア老朽化のため、来年に入れ替えることを決定している。同じタイミングで、業務ソフトウェアも現代の業務課題を解決できるものへ刷新を検討している。」という形で記載します。ここでは詳細には触れず、大枠を簡潔に伝える形にするとよいでしょう。
業務・システム概要
業務プロセス、現在の課題などを記載します。それに加え、システム化した場合のイメージを記載すると良いでしょう。例えば、「現在は夜間バッチで営業から会計側へデータ連携している。これをリアルタイム連携に改善し、月末決算業務を迅速化させたい。」などと記載します。
機能要件
実現させたい機能要件をまとめます。具体的な機能を記載する場合が多いです。ただし、ベンダーにゼロから考えてもらい、ソリューションを提案してもらうために少し抽象的に書く場合もあります。
非機能要件
システムの性能面など、機能以外で求めている要件を記載します。例えば、データ処理性能、セキュリティ、UIなどに関する条件などが当てはまります。
開発条件
使用するプログラミング言語、スケジュールなどをまとめます。既存システムを改修するプロジェクトであれば、現行の構成も説明すると良いでしょう。記載に不備があるとベンダー選定後に開発を進めていく上で致命的な制約が見つかってしまうこともあるため、必要事項は細かく記載しましょう。
提案依頼事項
ベンダー側から提案してほしい内容をまとめます。欲しい情報を具体的に記載しておきましょう。そうすることで他のベンダーと比較しやすくなります。
システムの概要、想定スケジュール、開発管理手法、見積などは基本的に記載してもらうことがほとんどです。それに加え、選定の際に重視したいポイントも記載します。例えば、過去の主要な開発実績を提示してもらうなどすれば、選定の参考にすることができます。
提案手続き
提案方法に関する情報をまとめます。具体的にはRFPの送付方法、送付先、期限などに関して記載します。また、選考スケジュールなどベンダー側が必要になる情報も記載しましょう。
評価
選定のポイントについて記載します。評価基準を明確にしておけば、ベンダー側からその部分に関する自社の強みをアピールしてもらえます。選定上有効な情報を集められるよう、書き方を工夫しましょう。
契約事項
想定する契約内容に関して記載しておきましょう。ベンダー選定後に契約上の理由でシステム開発が想定通り進まなくなるリスクを防止できます。発注形態、成果物を検収する際のチェック項目や内容、瑕疵担保責任や賠償責任について記載します。
RFP作成の流れ
RFP作成の流れは、企業やプロジェクトによって異なります。しかし基本的な部分はあまり変わらないため、段取りを考える上で参考にしてみてください。一般的には、以下の流れでRFPを作成します。
課題の洗い出し、分析
まずは現時点での課題を洗い出します。企業の業務を改善することが目的の場合であれば、改善計画と実態を比較してみましょう。例えば、
- 予定していた業務自動化が実現できていない
- 業務プロセスを実施してみたものの、想定通りの成果が出ていない
- 特定の業務で問題が頻繁に発生している
などが挙げられるでしょう。自社課題に目を向けるだけでなく、市場分析を実施して改善点を検知していく方法も有効です。
関係者との認識合わせ
次に、社内関係者と課題に対する認識合わせを行います。この段階で新たな要望が出てくることもあります。RFPの要件に都度追加・更新する形でまとめていきます。
必要に応じて、優先順位も決定しましょう。基本的に全ての要件を同時に実現することは難しい場合が多いです。優先順位を付けて少しずつ着実に実現していくことで、マネジメントが容易になります。これはプロジェクトの成功率を高める上で非常に有効です。
ベンダーの情報収集
RFPを提出するベンダーを選びます。通常、解決したい課題や必須となる要件は前工程までに決定しているため、それらの情報を参考に候補となるベンダーのリストアップを進めましょう。
最終的には、RFPに対する回答を踏まえてベンダーを選定します。そのため、この時点では各ベンダーが提供するソリューションに関して細かく把握する必要はありません。なお、候補は多めにリストアップしておくことをお勧めします。
RFPの作成と提出
最後にRFPの情報をまとめ、候補となるベンダーへ提出します。前述のRFPの構成を参考に、作成を進めましょう。
RFPとRFIの違い
RFPとよく混同される言葉で、「RFI(Request for Information)」があります。これは「情報提供依頼書」と訳されます。RFPと同じく、発注側からベンダーへ提出される書類で、開発実績や提供サービスなどの一般的な情報を共有してもらうための資料となります。
RFPもRFIもシステムベンダーを選定する際に作成されるものですが、その内容に違いがあることは把握しておく必要があります。一般的には、一次選考でRFI、二次選考でRFPが利用されます。
まとめ
現代において、IT技術の活用は企業の市場価値を高めていく上で不可欠になっています。さらに、システムは社会ニーズや環境の変化に合わせたリプレイスおよび機能改修が必要です。そのため、どんな企業でも定期的にシステム開発プロジェクトが企画・推進されています。
理想的なシステムを構築するには、RFPがカギになります。本記事を参考に、効果的なRFPを作成してください。
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